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*昼食*

訓練場で、騎士の方々と手合わせし

女と分かってもらえた後も

対等に扱ってもらうことができるようになって数日がたった。



騎士の中でもルトやファゼが、仕事を教えてくれたし、

仕事をたのんできてくれることが多くあった。


セザル殿下はとりあえず、私には、

裏の機関で働くよう命じている。


表では侍女の仕事で城を出回るからだ。

無論髪は黒に魔法で染め上げたりして、


昼も夜も、昼夜問わず、働き続ける。


「騎士の皆さん、昼食をお届けに来ました」


「お!待ってましたーー!!」


私の言葉と共に、騎士たちのざわめきに

喜びと期待の歓声が唱和する。


がたっ!


と、大きな板箱を、地べたに置いた。


訓練の最中であるおなかペコペコな騎士たちに

おいしい昼食を送り届けるのも私の仕事のひとつ。


だが、もう身体も疲れ果てている。

疲れを顔に出さないのが大変なくらいだ。


「いっただきまーす!!」


「どうぞ?めしあがれ」


いい大人が子供のようにはしゃいで朝食にありつくために、

手を合わせて食べ物に感謝の意を込める。


私はその光景に目を細めながら笑ってそう促した。


がつがつむしゃむしゃ

がつがつむしゃむしゃ!!


そう音を立てて食べ始めるまでに一秒たりとも間がなかった。


「ふぅ・・」


騎士たちがざわざわと食べている中、

私は一息ついた。


さすがに・・、一人でこの量を毎回は・・。


魔法は万能じゃない。

限界というものがあるし、魔力消費は体力消費につながる。


少し軽くする魔法をかけるものの、

やはり、簡単にはいかないのだ。

維持することが一番魔力を根こそぎ奪っていく。


「疲れているようだな、レイ」


唯一静かに昼食を食べるルトが私に声をかけた。


「ぇ・・?」


みられてたのか・・

表に出さないように気をつけてたし、見てると思わなかったのに。


そんな視線を投げかけてルトを見ると、


「そんなんで、今日の夜の任務を遂行できるのか?」


早々に食べ終えて、私だけを視線で捉えてはずさない。

嘘を・・ついてはいけない・・

否、うそをつける状況ではない・・


そう思わせるだけの眼差しが自分に向けられていた。


それなら・・!


「遂行するしか、選択はないよ、・・それよりも!」


ぐっと、彼との距離をつめて、

語尾を強調する。


「そ、それより、も?」


少し動揺を隠せない声で、鸚鵡返しにルトは呟いた。


ルトは、女に弱い。

否、女に免疫が、ないのだ。


「食べ終わったんなら、すぐに戻して。

でないと、私が次の仕事にいけないから」


私はルトの空になった弁当箱を指差した。


すでに他の騎士は箱に空になったそれを戻し終わっていた。

なんともはやいことだ。


「わ、わるい・・っ」


慌ててルトは私にそれをよこした。


「はい、どうも。

これで、次にいけるよ。

それが終わったら、夕食持ってくるから、

任務はその後ね」


私は、それをもらって、軽くウィンクしてみせる。


「あ、あぁ・・そうだが。

本当に、そんなハードスケジュールで、

動けるのか?」


しつこく聞いてくるルト。

まるでなにか、・・なにか待っているようだ。

上目遣いで、なにか、請うように

わがままをするように心配してくれる。


私が、助けを請うとでも、思ってるのだろうか。

頼ってほしいと思ってくれてるのだろうか・・


だけど、あいにく私は

彼の望みに対して、応えることなんかできない。


「あれ?ルトも大変でも、やらなきゃいけないことってないの?

騎士ならありそうなものだけどなぁ・・?」


私は強がってむしろ、軽蔑気味た当然のようなしぐさで

そう言い返した。


「あ、あるさ、そういうことも。だけど・・」


「だったら、だけど・とか・そんなんで・とか関係ないじゃん。

それに、ルト・・心配してくれてるの?」


普段言わないようなセリフを私はいってのけた。

自分を意識してなければいえない言葉かもしれない。

けれど、相手の言葉や視線からなら気づけるものだった。

・・それを指摘されたくないことも。


「え・・っ!?」


「だって、何回も聞くからさ?」


にやっと、意味ある笑みを浮かべながらに問いかける。


「な・・っ、な、にを、・・!!」


顔を真っ赤にして動揺しまくりのルト。

だが、私がからかってるんだということに気づくと・・


「べつ、に!別に、任務の心配くらいしてもいいだろっ!?

失敗したら、お、おまえのっ、レイのせいだからな!!」


そう、がたっと、立ち上がってそう、言い残して、去っていった。


「はいはい、わかったよぉ~」


そう、それでいい。

心の中では冷淡にもそう思い、手を振って、

私も、退出した。


そして、次の仕事を終えて、


侍女の最後の仕事として、夕食をもっていった。

そのときには、殿下も、待っていた。



お、ルトってやっぱり・・ツンデレ・・?


「お、おれは、ツンデレじゃねぇ!!」


ルト、赤面して否定する。


ーーしかし、レイを(・・・)心配してるのに!!

無情にも任務に置き換えてしまった

ルトであったww

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