表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

危機

「レミア!おいっ!!しっかりしろっ!!」


何度そう声をかけても彼女の意識は戻ることはなかった。


身体は次第に熱を帯びて肩で荒く浅い呼吸を繰り返す。


なぜここにレミアがいるんだ!

ファゼのヤツ、なんでーー・・・!!


そう何度も心の中でファゼをなじった。


だが、レミアのあの“せめないで”という言葉が

俺の心の声を抑えてしまう。


「王よ、この話はいずれにまたさせてもらう。」


ざっと、彼女を抱き上げて俺は立ち上がった。

ぎゅっと、だきしめて、早く戻らなければという使命感に襲われる。


「ファゼ、帰るぞ。すぐに!」


「セザル!彼女にはもう馬車に揺られる体力は残ってないはずだっっ

だから、まほうじんでーーー」


「っ!!そうだな、そうしよう。

王、移動陣の部屋を借りさせてもらう」


「・・どうぞ、お使いください」


弱弱しい王の声。あきらめたかのような力のない声だった。


バタンッ


王と言い合いした部屋の扉を俺は乱暴に閉めて

そこから離れた。


そして移動の陣を使う。


移動の陣は大きな魔力を消費する高度なものだ。


だから大抵は魔力の塊である結晶を代償に使う。

今日は、それをもっていない。


「セザル、俺の魔力全部使って!

俺のせいでもあるし、レイちゃんにはお前が必要だ」


「!わかった、そうする」


そうして、俺はファゼを残して移動の陣を使い、国に帰った。



***


すぐに、彼女を寝台に寝かせる。


「彼女が倒れた!早く医者を!!」


「はいっ!!」


侍女と医者をよびつけて、診させた。


気が気じゃなかった。


心配で、焦って、失いたくなくて。


ただでさえ、呪いを俺のためにつかったせいで消耗していたのに、

追いかけてきて、限界に達して倒れてしまう。


俺がなにもいわずにいったから、おいかけてきてしまった。


俺はバカだ。それもどうしようもなく。


「っーーー」


唇をかみ締めて、ぎゅっとこぶしを握り締めた。


言葉が、たりなかった。


彼女はきっと、あの国を滅びへと追い詰めようとすると思って

追いかけてきたのだろう。


俺の目的は違ったのに。

俺の目的は、お前をーーレミアを、婚約者にすることだった のに。



「殿下、人払いを」


俺にそういい、医者が診察を、終えた。


「!ああ」


ソノ言葉にいやなものかんじながら、人払いをした。




「殿下、レミア殿は、そう簡単に意識は戻らないでしょう。


ーーーーーー昏睡 状態です」



医者はいいにくそうに、それを告げた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ