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先生。ほら、欲しくなりません?――ソシャゲでざまぁされるメスガキ先生に転生、そして囚われる

作者: 松平 ちこ
掲載日:2026/06/09

「ぐっ!」


 地面に転がり、呻き声を上げる金髪の少年を足蹴にする小柄な影。自身の左胸を指して、ニタリと笑ったその様はまるで悪魔のようだ。


「雑魚雑魚、雑っ魚~。キミィ、そんなに弱くて先生のコレ、とれると思ってるの~? 甘過ぎるよぉ、そんなだから、いつまで経っても、雑魚のまんまなの~! マジで魚みたいにピチピチって、ウケる~!」


 ラベンダーのツインテールをなびかせて、大きな瞳は夜空のように深い碧が煌めいている。

 八重歯が見える幼い容姿は黙っていれば可愛いのに、その唇から漏れる鈴のような声はとても残念な響きをしていた。


「ほぉら、ほらほらほらほらぁ! いつまで地面と仲良く寝てるのよぉ。先生がせっかくその身に直接、教えてあげてるんだから、早く立ちなさいよぉ」


「ふ、ぐぅ……」


「ヤダ。泣いてるぅ? マジで雑魚過ぎ~。だいたいさぁ。雑魚は雑魚なりに先生のサンドバックにもならなきゃ、単位恵んでもらってるんだしぃ。気遣いに感謝してよねぇ?」


 甲高い笑い声が教室の外、廊下にまで聞こえていた。


「――ええ、本当に感謝していますよ、先生。先生のお陰で、情けなど無用だと痛む心さえありませんから」


 泣きべそをかいていたかつての少年が、数年の歳月を経て青年へと姿を変えた。

 もう薄汚れた金髪ではなく、日に照らされて輝きを放つその美貌は、弱さとは無縁だろう。

 紅い瞳は静かに見据え、ただ無表情に青年は呟いた。その手には赤く染まった鉛筆が一本、握られている。


「かっ……」


「さようなら、先生」


 青年は口角をわずかにあげ、少女の左胸から鉛筆を引き抜く。ボタボタと、その赤が教室の床を染め上げた。


「バッカじゃないのぉ、それで勝ったつもりぃ? だから雑魚、なのよぉ? 私のライフはねぇ……」


「心配しないでください。先生のライフが尽きるまで、何度でも、お付き合いしますから」




 ◇◆◇◆◇◆◇




「それは、やだぁぁあ――!?」


 ガバリと身を起こしたそこは、保健室のベッドだ。ペタペタと自分の顔を手探りで触り、そのぷっくりとした弾力に、潤いのあるつや肌を実感するなり、盛大にため息を吐いた。


「夢じゃなかったよぉぉぉぉお。コレ、メスガキ先生ェェエ!」


 しくしくと、布団を被ったまま三角座りをする。手持ち無沙汰な小さな手で、足の甲を布団越しにバシバシと叩いた。

 夢であればいいと願ったのに、変わらぬ現実がそこにあった。


 ――ううぅ。なんで序盤で死ぬ、ミレナ・イスクシャティに転生してるのぉ。


 視界に映るラベンダーの髪を眺めて、悲観に暮れる。見慣れたその特徴的な色は、ソシャゲの序盤、主人公を始めとした学生を虐めたおしたことで有名な、見た目幼女の先生キャラのものだ。


「そもそもこの学園、腐りきってるんだよぉ……。そりゃあ、覚醒したヴェザノストが殺したくなるってぇ」


 人間と吸血鬼が共存する世界。なのにゲームでは、人間を見るからに下に扱うのが、ミレナを始めとした一部の吸血鬼の教職員たちだ。

 人間である主人公が吸血鬼に対抗出来るハンターとして覚醒し、仲間やプレイヤーと協力して学園の不正を正していく王道ストーリーがソシャゲとして展開する。


「仲悪いならさぁ。共生なんか、しなきゃ良いじゃないのよぉ。住み分けしろ、住み分けぇ」


 目を真っ赤に腫らしながら、ミレナは一人愚痴を溢す。ここがソシャゲの世界だと思い出したのはまさに、この手で主人公を痛めつけている最中だ。


『雑魚のくせに、先生の手を煩わせるなんていけない子なんだからぁ?』


『ミレナ先生、そこの餓鬼、任せてくれればこちらで如何様にも致しますよ?』


『やっだぁ、先生方ぁ。コレは長年調教した私のペットですよぉ? ほら、良い顔してると思わないですかぁ? でもでも、ダァメ。横取りなんて、しないでもらえますぅ?』


 通りかかった教師が加わり、ミレナが嬉しそうに自慢話を始めたのだ。主人公がそのやり取りを憎悪の眼差しで見つめてきて、走馬灯のように思い出したのである。

 あまりの衝撃でどうやらその後、ミレナは倒れたらしい。


「……先生。あの、具合は大丈夫ですか?」


「ひぇ」


「……え?」


 躊躇いがちにカーテンが開かれ、気遣うように覗いて来たのは主人公だ。艶やかな金髪に、切れ長の紅い瞳、青年として整った顔立ちである。

 それを台無しにするように頬にガーゼが貼ってある辺り、虐めと言う名の教育の事後であったのは明白だ。

 ミレナは居たたまれず、視線を反らして話題を振った。


「ああ、いや、なんでもないからぁ! ヴェザノストはぁ、どうしてここに……?」


「先、生……?」


 ヴェザノストの訝しげな眼差しに、殺されたシーンを思い出した。本来のミレナは彼を名前呼びなど決してしないと、気づき慌てた。


「ちょっとぉ。ザコの癖に、名前を呼ばれたからって気色の悪い顔しないでくれる? 下等生物に想われてるだなんて知れたら、とんだ笑い者じゃなぁい!」


 この場をどう切り抜けるか迫られ口から出た弁明は、生前吐いたことのない悪態まみれの発言となった。


 ――あぁぁ! 何言ってんのぉぉ!?


 これでは近々、ヴェザノストによってミレナが殺させるシナリオ一直線、間違いなしではないか。


「目覚めにザッコの顔なんて見たくないわぁ。早く消えないと教育的指導するわよ? 痛めつけられて喜ぶなんて、本当に、とんだ変態に育ったものねぇ?」


 さらに捲し立てた言葉に、ミレナはぐさりとブーメランを食らった気分だった。

 内心を隠すために表情を取り繕えば、見下すように目を細めて口許が歪んだ。


 ――やめてぇぇえ!


 どうしてこの身体は、息を吐くようにゲスいことしか出来ないのか。誰がどう見ても断罪一択、最低のメスガキで間違いないだろう。


「……先生のご命令に従います。失礼しますね」


 ヴェザノストは押し黙った後、一礼して出ていった。保健室の扉が閉まるのを確認して、ミレナはぐたりとベッドに仰向けになる。


 ――死んだ。絶対、死んだ。


 ゲームの通り、間違いなくこのままではミレナは殺される。これから優しくしようなどと、今更もう遅いだろう。

 ヴェザノストは青年の姿をしていた。ミレナが記憶を取り戻す切っ掛けだって、その殺意の眼差しからだった。


 ――もうすぐ、ゲームが始まる。いや、始まってる?


 ヴェザノストが学園に入学してからの数年間、ミレナが虐め抜いた過去は、どう足掻いたところで消えはしない。

 残された時間があとどれくらいなどと、ミレナに分かるはずもない。


「いっそ辞表出して、逃げるか!」


 ミレナは、吸血鬼としては優秀だ。メスガキ先生とあだ名をつけられるだけあって、その見た目の幼さながら、教職に就くだけの実力は備わっているのだから当然だ。


 ――学園内のシナリオしか知らないけど、なんとでも生きられるはずよね。


 我ながら、なかなか良い案かも知れない。がばりと、もう一度ベッドから起き上がるとミレナは、思い立ったが吉日精神で辞表を提出しに行った。


『だって、雑魚虐めにも飽きたしぃ? 私ってば天才児だからぁ。こんな乳臭い窮屈なところぉ、出ていくに決まってんじゃなぁい? ね、学園長先生ぇ?』


 学園長の前でさえ、意味不明な発言をして出てきたミレナ。羞恥は捨てた。この口調と態度は今後の要改善案件だ。

 今はそれよりもなによりも、教職員寮の一室で荷物を詰めて出ていく準備を進める方が大事だ。


「ミレナって、意外と質素なのね……」


 部屋中見直しても、トランク一つに入りきるだけの荷物しかなかった。あの言動に可愛い容姿と併せ羽振りを利かせて、人間から金品を巻き上げていてもおかしくないと思ってしまうのは、気のせいだろうか。


「まぁ、良いや。ちゃっちゃとおさらばしよう」


「ちゃっちゃと、どこに行くんですか? 先生?」


 廊下を歩いて誰かに会うのも面倒だと、一階なのを良いことにミレナが窓に手を乗せ外に出た。

 そこへ夜の闇に溶け込むように、外壁に背を預け立っていたヴェザノストが声を掛けてくるではないか。


「――っ、ザコに関係ないわよねぇ? 良かったじゃなぁい? 私が居なくなればぁ、やっと、望む学園ライフを送れるかもねぇ。感謝してよぉ」


 引きつった笑みでミレナが答えれば、ヴェザノストが静かにこちらを見つめて唇を動かした。


「《捕縛(ザロビティ)》」


「――なっ!?」


 じゃらりとミレナの身体に巻きついたのは、突如として何もない所から現れた銀の鎖だった。

 身動き一つ取れず、驚愕で見開いた瞳にはヴェザノストの真剣な顔が映る。


 ――まさか、もう覚醒済みなの!?


「ねぇ、先生。どこに行く気だったんですか? 教えてくださいよ?」


「――っ!」


 耳元で囁かれた声に、ミレナはビクりと身を竦ませる。恐怖でいっぱいいっぱいなのに、首から下は鎖のせいで指先一つ動かすことすらままならない。


 ――間に合わなかったかぁ。私、殺されるのね。


 ここまで一日と経ってない。怒涛の連続で、どこか現実感はなかった。

 そのまま、痛くないと良いなぁとミレナはズレた思考になる。その深い碧の瞳から、ポトリと溢れた涙が滴った。


「……泣かせるつもりは、無かったのですが」


「なによぉ。ザコで愚図のくせにぃ、ひと思いに、殺しなさいよぉ……」


 ぽろぽろと涙を溢しながら、口から出たのはまたしても可愛げのない言葉だ。

 ミレナは心の底から泣きたいと思い、もう泣いているんだったと気づく。


「先生? 殺したりしませんよ?」


「はぁ? ザコ、のくせにぃ……何、ワケわかんないこと言って……私のこと、殺したいほど嫌いなくせにぃ」


「先生は先生であり、恩人ですよ。殺すはずがありません。他の教員からの虐めを受けないよう、率先して私たち生徒に関わっていただけじゃないですか」


 ミレナの頬を両手で優しく包みヴェザノストは、言い聞かせるような響きで言葉を紡ぐ。

 そのまっすぐな瞳に気圧されて、ミレナはますます訳がわからない。


「はぁ!? ザコ過ぎて、とうとう頭イッちゃったわけぇ? どうしたらそんな解釈が出来るのよぉ! 私は、虐めを楽しんでたのぉ。ザコはザコらしく恨んで、ひと思いに殺しなさいったらぁ!」


 ゲーム上、虐めをしたことも殺されたことも事実である。あのミレナの満面の笑みのスチル、あれが演技などと嘘も良いところだ。


 ――変な期待を抱かせて、油断させて、惨たらしく殺すつもり? そんなのヤダァ。


 生命力が強いミレナは、例え天敵のハンター相手でも、何度も殺さないと死なないのだ。

 序盤で主人公がハンターとしての殺し方を学ぶための教材となるのだから、それは不可避であり決定事項だ。ならば、なるべく痛くない方法でお願いしたい。


「はぁ……、何か誤解があるようですね? では、仕方ありません」


「――いっ」


 ヴェザノストが何かを諦め決意したかのように、己の指を噛みきり、ミレナの指先も同じように噛んだ。

 裂けた皮膚から血が滲む。それを口で掬うと互いの血を混ぜ合わせ、ヴェザノストはミレナへ口づけた。


「んぅ――、っ!」


 無理矢理に血を飲まされて、コクりと喉がなる。瞬間、ゾクリと全身を何かが駆け巡った。


「契約成立ですよ、先生。いくら吸血鬼の始祖の系譜だとしても、先生はこれで私からの血しか受けつけません。残念ですが、離れられなくなりましたね?」


「……何、言って」


「ほら、傷を治した分、欲しくなりませんか?」


 ヴェザノストは制服の襟をはだけさせ、首筋を露にするとミレナの前へと差し出した。

 きゅっと視界がすぼまり、その色気のある肌に釘つけになった。どうしようもなく噛みつき、吸血したい欲求が高ぶる。

 自然と開いた口からは犬歯が伸びて、キラリと光っていた。


「ザコの、分際でぇ――」


 思い出した前世が、人としての理性で吸血鬼の衝動を抑え、ミレナの頬が堪えるために紅潮して息が上がる。

 拘束された鎖に抗うように、ギリギリと拳を握りしめた。


 ――もう、なによ。ワケわかんない!


 高ぶる感情のままに腕に力を込めれば、バチッと、一際大きく爆ぜる音がして鎖が千切れた。

 しゅうしゅうと煙が立ち上るのは、鎖で焼けたミレナの身体からだった。


 ――うぅ、くらくらする。


 それさえも吸血鬼の性がすぐさま回復させ、酷い渇きに襲われる。くらりとよろめいた身体を、手で頭を押さえてなんとか踏んばった。


「さすが先生、腕力だけで解いちゃいますか。でもずっと飢餓状態だったところに、さらにそれでは、あまりにお辛そうですよ?」


「――っ!? ……ふ、ぅ……」


 噛み切って癒えていない指の傷、ヴェザノストはミレナの腰に手を回して動きを封じ、それを口へと押し込め血を吸わせた。


 ――ヴェザノストって、こんなキャラだった……?


 吸い込まれそうなほどに、じっと見つめてくる瞳に昼間の殺意など感じられず、深いルビーの色はとても綺麗だ。

 本能のままにコクり、コクりと血を飲み込んで、ミレナは抗えず眠るように意識を失った。


「確かに私は、これまでずっと守られるだけの、無力な雑魚でした。これからは先生のことを利用していた奴らからも、私が守りますから安心してくださいね?」


 ヴェザノストは、力なく倒れたミレナを優しく抱き止めた。




 ◇◆◇◆◇◆◇




「そこの下等生物。ミレナ・イクスシャティをこちらへ渡せ」


「嫌ですよ。これ以上、先生を穢さないでくれますか? 虫唾が走る」


 ガサガサと、木々の合間から人影が出てくる。ミレナは気づいていなかったが、寮の部屋へも人が押し入っていた。


『私、誰もが欲しがる高貴な血を持ってるの。どぉ、羨ましいぃ? 雑魚とは生まれからして、天と地よりもなお差があるわねぇ。幾らハンターとして素養があっても未覚醒なら、ザマァないわぁ!』


 まだヴェザノストが小さかった頃。彼女は確かに、ヴェザノストをいたぶりながらそう言った。それが最初の違和感だった。

 共生を宣う社会で人間にとって警察があるように、吸血鬼にはハンターという組織が規則を取り締まる。いわば天敵だ。


 ――学園で、五体満足なのは私だけ。


 しかし国内のハンター絶対数が少なく手が足りていないのは明らかだ。原因はハンターの素養だけでなく、覚醒前に大抵何らかの事故に見せかけて殺されるからだ。


「《断罪の鎖(プレスダラナツ)》」


「ぐあ!?」


 ヴェザノストは暗い瞳で、吸血鬼の男を見据える。

 学園には人間の教職員もいる、通報だって誰でも可能だ。そうでなくとも不審死が続けば、事件だと目に見えて分かることだった。

 それでも、学園側にハンターが介入出来ないでいるのは理由がある。


「……下等生物風情が、貴様らが触れることこそ穢れるだろう! 彼女に流れる血は、貴様では到底理解できない価値があるのだぞ」


「それは、先生の血から作られるドロップが欲しいからでしょう? ハンターを上回る力を授けてくれる、吸血鬼の始祖の血が。薄汚いウジ虫は、どちらでしょうか?」


 拘束したというのに強気な吸血鬼の態度には、呆れを通り越し殺意しかない。

 ヴェザノストの腕にすっぽりと収まるミレナは、見た目よりもさらに重さを感じない。

 力を込めれば折れてしまうのではと、錯覚するほどに手足も細いのだ。


『毎日、毎日、食事なんて面倒な行為がないと生きていけないなんて、本当に雑魚ねぇ。

 そんなだから、人間の血なんて不味くて飲めたものじゃないし。ここの教職員は誰も人間の血を必要としてないわ。私も含めて、ドロップがあれば渇きなんて感じないの。ほら、尊き私を崇めなさい?』


 日々罵倒しながら、ミレナはヴェザノストに知識を与えていた。何のためにと、思ったのは一度や二度だけじゃない。

 昼間もそうだ。他の吸血鬼の手が伸びないよう、彼女は矢面に立っている。


「先生が一人去ろうとしたことに驚いたのは、貴方たち吸血鬼だけじゃないんですよ?」


 目の前で倒れたミレナを保健室へ運んだ。保険医が不在でなんとなく離れがたく、ヴェザノストはその場にいた。

 カーテン越しに聞こえた彼女の言葉に、驚いた。全てを把握してなお、その場に留まっていたのは、ヴェザノストの覚醒を待っていたのか、と。


「先生の血、一滴残らず返してもらいます」


「は! 運良く拘束したからといい気になるな! 俺の中には始祖の――」


「意思も伴わず、ただおこぼれに預かっただけの力で、よくもそれだけ威張れますね?」


 ヴェザノストはさらに鎖を巻きつけ、ニッと嗤う。見つめる先は卑しい形相の男ではなく、血を飲んで頬を赤く染めたミレナの寝顔だ。


『良い? 雑魚は雑魚らしく、足掻いて、足掻いて力をつけなさい。そうしたら、いつか急所を狙えるかもねぇ。ここよぉ、ここ。心臓。雑魚の残念な目でも見えるかしらぁ? いたぶるなんて、私みたいな強者のすることなんだからぁ。その時が来たら、真似なんてしないでよぉ?』


「はい。先生――《魂の消滅(ドゥシャネスタナク)》」


 ヴェザノストは瞳を閉じて、かつての教えに一つ頷く。覚醒と同時に、ハンターの力の使い方は自然と分かった。

 言霊と共に銀の鎖が男の胸を貫き、その血を吸い上げ赤く染まる。


「な、なぜ!? が、ぁ……っ……」


「なぜって、私と先生が契約によって深く結ばれているからですよ?」


 吸血鬼が人を害さないように隷属させるハンターの秘術。けれど、ミレナに流れる始祖の血がそれを上回り、血の縛りしか効果がない。

 そしてヴェザノストには、吸血鬼たちの始祖の血による強化が効かない。


 ――それで十分だ。先生が傍にいてくれたら。


 干からびて砂となって消える男を眺めながら、ヴェザノストはほくそ笑む。


「先ずは一人。全てのしがらみを取り除いたら、先生はいったいどんな姿を私に見せてくれるのでしょうか?」


 罵るのか、嘲るのか、それとも笑うのか、恐れるのか、涙するのか、どれをとってもきっと可愛く、愛しいに違いない。

 どんなミレナの言動にも全て、意味があるのだから。

参加しているオープンチャットの企画で、@こんにちはさんから

・メスガキ先生

・ソシャゲ

・今更もう遅い

というタグをいただき書きましたm(_ _)m


もし、この作品を少しでも楽しんでいただけたなら、 ぽちっと応援していただけると、今後の活力になります!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました☆(*^^*)

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