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【第二章開幕】エンド・オブ・クロニクル 〜神話へと続く旅路〜【2000PV突破】  作者: 百瀬 三月
第二章 大会編

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2-1-14 向き合う

「あくまで可能性の一つとして聞いて欲しいんだけど——」

ミンは視線を逸らしながら話し始めた。

その言葉にはどこか淀みがある。


「殺人集団に関して、聞いたことはある?」

ミンの口から出た突拍子もない言葉に唖然としてしまう。

聞いたことがないといえば嘘になる。

組織的な集団殺人が行われた、という話は田舎に住んでいた時も少なからず聞いたことがある。

「まぁ、ある程度は……」

そう言いながら、焼けた肉を自分の皿に持ってくる。

入店までお腹が空いていなかったのに、匂いだけで自然と食欲が湧く。


こちらの様子に気が付いたのか、ルカが少し笑った。

それをミンが見てから改めてこっちを注視した。

「あぁ、食べながら話そうか」

先輩二人も焼けた肉を皿に盛った。


全員が一口目を黙々と咀嚼する。

口の中で肉汁が溢れ、幸せな感覚が襲ってくる。

「んで、さっきの話の続きだけど」

ミンが食べながら続ける。

「追ってきてる連中が、その組織的な殺人集団なのかもしれないって話」

ミンの目つきが変わった。

どうやら冗談で言っているわけではないらしい。


だが、その話がどうにも信じられない。

「なんでその集団が俺のことを追ってきてるんです?」

「そもそも追う動機がないって言うか——」

その続きを言おうとすると、ミンが小さく一回拍手した。

「そこで、キースくんが持ってる『力』の話になるんだよ」


ここまできて、やっと話が鮮明に思えてきた。

そのままミンの方を見つめる。


「キースくんの力は今までにも耳にしてきただろうけど、どの文献や歴史にも記録がない」

「私の部族伝統の気配を消す武術や、ルカの魂の武器(ソウルアーマメント)複製もかなり珍しい部類ではあるんだ」

「そんなソウルの専門分野や最新研究の成果にも、君と同等の能力の記載はない」


「でも——」

「ある一点のみを除いて」

その言葉には力強さを感じた。

重く突き刺さるような鋭さ。


「それって、どんなのなんですか?」

少し言い淀んだが、それでも聞くべきだと思った。


今までは、どこか奥底で『謎の力』のことを拒んでいた。

もちろん建前では知りたいと口にすることは多い。


それでも、身体に潜む正体不明のものに足を踏み入れる自信はなかった。

だが、そう言ってられる場合ではない段階まで来ている気がする。


ルカが口元まで運んでいた箸をぴたりと止めた。

「——言う前に、二つ約束をして欲しい」

目線はまだ下を向いたまま。

その言葉には、今までの無情な彼女の言葉には感じられなかった重圧を感じた。

「今から言うのは、私たちが君の力と対峙して感じた『単なる憶測』の域を出ない見解」

「そして、この憶測は学長によって『彼には言うな』と止められているほどのことと言うことを前提に聞いてほしい」


ルカが指を一本立てた。

「一個目は、このことを誰にも言わないこと」

「学長はもちろん、普段仲良くしているバディや友人にも」

あまりにも重い条件。

それほど核心をついた見解なのかもしれない。

事実、学長に止められているほど、と考えると納得もつく。


それでも、すぐに納得できるような条件というわけでもない。

少なくともラヴェンツァには知らせておくべきだと感じる。


だが、ここで止まっていられるほど大人ではない。

首を縦に振った。


ルカが二本目の指を立てた。

「二個目は——」

「絶対に一人で抱え込まないこと」

それをすぐに了承した。


「まずなんだけど、キースくんは遺物戦争オリジンウォーってのは知ってる?」

ミンに話が変わった。


200年前に国同士で争った戦争だ。

この戦争によって、一国が滅んだことも聞いたことがある。

でも、詳しいことまでは知らない。


「名前くらいは」


「なら詳しい説明は省くね」

遺物戦争オリジンウォーは近年に発生した戦争であるにも関わらず、『何を起点に始まったのか』がわかってないんだ」

ミンの顔が明らかに暗くなった。

「まぁ、本当にわからないのか意図的に隠しているのかは分からないけどね」

ミンは自分の状況に気がついたのか、表情を取り繕うとした。

それでもどこかに悲哀が残っている。


「それで、ここからが本題」

「確かに、図書館や書店に置いてある歴史書などには記載がないのは事実」


「でも言い伝えとか伝承だったら、それはいつまでも残り続ける」

ミンが大きく息を吸った。

そして聞こえるくらい大きな音で息を吐いた。

肉が焼ける音は既に上の空。


「私のおじいちゃんが、その戦争の時のことを教えてくれた」

その場にいる全員が固唾を飲み込む。

「もちろん、おじいちゃんが実際に経験したわけじゃなくて、言い伝えで聞いたらしい」


ミンが思い出すように話し始めた。

「山は焼け爛れ、石をも溶かすほどの豪炎」

「周りには白骨化した死体が散乱し、骨には僅かな肉と鎧がこびり付く」

「その中心部には、人が立っていたらしい」


「ごく普通な刀を持ち、周りはその人物の魂の形(ソウルレムナント)で白く染まっている」

「目の奥には光がなく、殺意と破壊衝動だけが静かにソウルを燃やしていた」


「——って」

「そして、キースくんと戦った時にこう感じたんだ」

「『同じだ』ってね」


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