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第4話:覚醒する公爵令嬢――その才能、国家級

ガルドたちを連れ、血と泥にまみれた体を引きずりながら拠点へと戻った瞬間、俺は奇妙な「違和感」に足を止めた。


(……早い。何かが、決定的に変わっている)


つい数時間前まで、ここはただの古びた隠れ家、あるいは逃亡者たちが身を寄せる仮初めの箱でしかなかった。しかし、今のこの場所には、目に見えない**「秩序の脈動」**が流れている。


入り口には無駄のない歩哨が立ち、奥ではミーナが集めてきた物資が、種類と緊急度ごとに完璧に仕分けられていた。負傷兵への手当、炊き出しの煙、情報の集約。それらすべてが、まるで一本の巨大な糸に導かれるように、淀みなく循環している。


「……戻りました」


俺が声をかけると、奥で数人の男たちにテキパキと指示を出していた女性が、ゆっくりと振り返った。


「お疲れ様です、レオン」


クラリス様だ。

彼女の声は、戦場から戻った俺を労うように落ち着いていた。だが、その瞳に宿る光は、昨夜までの「絶望した令嬢」のそれではない。そこにあるのは、冷徹なまでの最適解を導き出し続ける**「統治者の眼」**だ。


俺は無意識に、彼女へと**「識眼」**を向けた。


【クラリス・フォン・アルヴェルン】

【統治能力:SS】

【影響力:急上昇中】

(……やっぱり、おかしい。このスピード感は異常だ)


俺が戦場で剣を振り、数人の兵士の信頼を勝ち取っている間に、彼女はこの拠点を一つの「国家の縮図」に作り変えていた。


「驚きました。俺がいなかった数時間で、ここが軍の司令部のようになっている」


「当然の処置をしたまでです。資源が限られ、追っ手の脅威がある以上、一秒の停滞も許されません。ミーナさんの情報網と、あなたの連れてきた兵たちの適性を整理した結果、これが最も生存率を高める形でした」


彼女の手元にある地図には、細かな書き込みがなされていた。周辺の地形、補給路の予測、さらには王都の経済状況から逆算した「敵が動けない期間」の試算まで。


「レオン、あなたが戦場で見せてくれた『個』の価値。それを最大化するための『場』を作るのが、私の役割です。あなたが前を向くなら、私はその足元を盤石にしましょう」


彼女は淡々と言った。だが、その言葉の裏には、自分を捨てた王国への静かな、そして苛烈なまでの反撃の意志が込められていた。


「私は、国を動かすために育てられました。レオニード様が捨てたのは、ただの婚約者ではなく、この国の『心臓』そのものだったと……思い知らせて差し上げますわ」


その瞬間、俺は理解した。

俺が「個」の価値を繋ぐ者なら、彼女は「組織」という魔物を作り上げる者だ。

一人の武勇では国は変わらない。だが、彼女のSSランクの統治能力が、俺たちの拾い上げた「価値」を束ねたとき、それは王国の正規軍すら凌駕する巨大な奔流になる。


(……レオニード、お前は本当にとんでもないものを手放したな)


俺は苦笑し、彼女が差し出した次なる作戦計画書を受け取った。

そこには、王都の物流を麻痺させ、王家への不信感を煽るための**「経済戦」**の端緒が記されていた。


「……いいでしょう。俺が剣となり、盾となります。クラリス様、あなたは思う存分、この世界を書き換えてください」


「ええ。私たちの『国』を、ここから始めましょう」






拠点に戻った瞬間、俺は息を呑んだ。

そこはもはや、ただの隠れ家ではなかった。


「水路の整備は完了しました。これで農地の生産効率は1.5倍になります」

「……早すぎないか? 昨日の今日だぞ」

「当然です。それから、周辺の商人も呼びました。富が回らなければ、ここはただの墓場ですから」


クラリスが淡々と告げる。彼女の頭上には【統治能力:SS】の文字が輝く。王太子レオニードが捨てたのは、単なる令嬢ではない。この国の「心臓」そのものだったのだ。

横ではミーナが、村人たちと親しげに笑い合っている。


「すごいでしょ? 私が『新しいお姫様が美味しいパンを約束してくれた』って宣伝したら、みんなやる気満々になっちゃって!」


【人心掌握:SS】。

この二人の才能が組み合わさるだけで、更地から数日で「国家」の雛形が出来上がっていく。俺が戦場で剣を振っている間に、彼女たちは世界を書き換えていた。


その時、一人の兵士が血相を変えて駆け込んできた。

「報告! 近隣に大規模な盗賊団が出現! 物資を狙っている模様です!」


空気が一変した。

「排除が妥当ですわ」

クラリスが冷徹に断じる。秩序を乱す不確定要素は、芽のうちに摘むのが統治の鉄則だ。

「でも、力仕事ができる男手も欲しいよね?」

ミーナが少し悪戯っぽく微笑む。彼女は「人の価値」を別の角度から見ていた。


合理的な排除か、それともリスクを承知の活用か。

二人の「SS」が異なる正解を突きつける中、俺は自身の「識眼」を遠く、森の影へと向けた。


「……様子を見る」


俺の目には、遠くに潜む影たちのステータスが、奇妙な色で映っていた。

ただの略奪者なら斬ればいい。だが、もし彼らが「何か」によって追い詰められ、その牙を研いでいるのだとしたら。


「あいつらが本当にただのゴミか、それとも磨けば光る原石か。それを見極める必要がある。……行くぞ、ガルド。案内しろ」

「了解だ。あんたの目、信じてるぜ」


立ち上がる俺の背中を、クラリスが静かな、だが期待を含んだ眼差しで見送る。

「……失敗は許されませんわよ、レオン」

「わかってる。俺の『成長性』、ここで試させてもらう」


拠点の外、木々の揺らぎの中に「黒い外套」が、また一瞬だけ揺れた気がした。

あいつもまた、俺が「人の価値」をどう扱うか、観察しているのだろうか。


略奪の夜が明ける時、この村に新たな「価値」が加わるのか、それとも屍が積み上がるのか。

俺の、本当の『戦術』が問われようとしていた。





薄い月が、雲の合間から冷たい光を投げかけている。

俺たちは今、拠点の北に位置する険しい岩山の陰から、眼下に広がる盗賊の野営地を見下ろしていた。焚き火の爆ぜる音がかすかに届き、獣のような男たちの哄笑が夜の静寂を汚している。


俺は目を細め、その中心で酒を煽る大男に「識眼」を向けた。


【盗賊頭目:ザッハ】

【戦闘:A / 忠誠:なし / 生存本能:高】

(……なるほどな)


「戦闘A」はこの辺りの正規兵でもそうはいない。だが、それ以上に俺の目を引いたのは「生存本能:高」という項目だ。彼らの眼光は、単なる欲望に溺れた者のそれではない。追い詰められ、食うために牙を剥くしかない野良犬の鋭さだった。


「どうするの、レオン?」


隣で息を潜めていたミーナが、囁くような声で尋ねる。彼女の【人心掌握:SS】は、既に彼らの心の底にある「渇き」を敏感に感じ取っているようだった。


「クラリス様、あなたの意見は?」


俺が問いかけると、銀髪の公爵令嬢は表情一つ変えずに、氷のような声で断じた。


「排除すべきです。秩序ある統治において、法を無視する暴力装置は『毒』でしかありません。彼らを許せば、せっかく芽生えた村の安寧が、内側から腐り始めますわ。効率を考えるなら、今この場で全滅させるのが最善です」


非の打ち所がない、正論だ。統治能力SSを持つ彼女からすれば、この集団は管理不可能なバグに過ぎない。

だが、俺は首を振った。


「いや……使う」


「……本気ですか? 忠誠心が皆無の相手を組織に入れるなど、背中から刺してくれと言っているようなものですわよ」


「ああ、分かっている。だから『信頼』なんて甘いものは期待しない。俺が使うのは、あいつらの『生存本能』だ」


俺は立ち上がり、斜面を降り始めた。


「レオン!? ちょっと、一人で行く気!?」

「ミーナ、お前はここで待機。クラリス様、もし俺が失敗したら、その時はあなたの判断通り、総員でここを焼き払ってください」


俺の言葉に、クラリスは一瞬だけ驚いたように目を見開いたが、すぐに諦めたように溜息をついた。

「……バカな人。ですが、その無謀さが今の私たちを支えているのも事実。……五分だけ待ちますわ。それを過ぎれば、容赦なく矢を放たせます」


「五分もあれば十分だ」


俺は一人、焚き火の明かりが届く範囲へと足を踏み入れた。


「誰だ、貴様ッ!」


即座に数人の男たちが飛び起き、錆びた剣や斧を俺に向ける。その中心で、頭目のザッハが立ち上がった。熊のような巨躯から放たれるプレッシャーは、戦場で対峙したあの騎士団の指揮官よりも重い。


「命知らずか、それともただの馬鹿か。こんなところに一人で来るとはな」


ザッハの【戦闘A】が、俺の喉元を切り裂くイメージを突きつけてくる。俺の【剣技E】では、瞬きをする間に殺されるだろう。

だが、俺は剣を抜かなかった。ただ、平然と歩みを止める。


「あんた、死にたいのか?」


俺の問いに、ザッハが低く笑った。

「死にたいのは貴様のほうだろう。今ここで首を跳ねて、村への見せしめにしてやるよ」


「残念だが、死ぬのはあんたたちのほうだ」


俺は背後の闇を指差した。

「この丘の上には、王都の正規軍すら手こずらせる精鋭が配置されている。俺が合図をすれば、五分後にはここが火の海だ。あんたたちがいくら強くても、数と火力を前に全滅は免れない」


男たちの間に動揺が走る。

「ハッ、ハッタリだ! そんな奴らがいるなら、さっさと攻めてくりゃいいだろうが!」


「わざわざここに来たのは、あんたたちの『価値』が惜しいからだ。……ザッハ。あんた、本当は略奪なんてしたくないだろう?」


ザッハの眉がピクリと跳ねる。


「識眼」が、彼の過去の断片を読み取っていく。

【経歴:元辺境守備隊。飢饉による給与未払いにより脱走。】


「国に捨てられ、部下を食べさせるために泥水を啜って生きてきた。そんなあんたが、誇りも何もないただの強盗で終わっていいのか? 俺の下に来い。今すぐここを捨てて、俺の村の『壁』になれ」


「……俺たちが、大人しく従うと思うか? 貴族のガキに飼われるなんて真っ平御免だ」


「飼うんじゃない。契約だ。俺はあんたたちに『明日も生きられる保証』と『まともな食事』、そして『戦う理由』を与える。あんたたちは俺に、その『生存本能』を貸せ。……裏切りたければいつでも裏切ればいい。だが、俺よりいい条件を提示できる奴が、この国に他にいると思うか?」


沈黙が流れる。

ザッハは俺を射抜くような視線で睨みつけ、ゆっくりと剣の柄を握り直した。

一触即発。俺の心臓は、壊れそうなほど激しく鐘を打っている。


(頼むぞ、Aランクの『生存本能』……!)


数秒が、永遠のように感じられた。

やがて、ザッハは吐き捨てるように鼻を鳴らし、剣を地面に突き立てた。


「……五分で火の海、ってのは本当か?」


「ああ。あと一分も残ってない」


「ちっ……。野垂れ死ぬよりは、その『契約』ってやつに乗ってやる。ただし、メシがまずかったらその場で貴様の喉を掻き切るからな」


その瞬間、俺の視界の文字が書き換わった。


【ザッハ:雇用関係(暫定)】

【忠誠:なし → G(打算)】

【勢力拡大:戦闘力が大幅に向上】

「……交渉成立だ」


俺は背後に向かって、短く口笛を吹いた。

暗闇から、クラリスとミーナが姿を現す。クラリスの瞳には、まだ「信じられない」といった色が残っていたが、整然と並ぶ盗賊たちを見て、すぐに統治者としての顔に戻った。


「レオン、正気ではありませんわ。ですが……これほどの戦力を、たった数分の言葉で手に入れるとは」


「レオン、凄かったよ! 彼ら、今は怖いけど、きっといい仕事してくれる!」


ミーナが駆け寄り、俺の腕を叩く。その明るい声が、殺伐とした野営地の空気をわずかに和らげた。


俺はふと、遠くの森の影を見た。

そこに、例の「黒い外套」の気配が揺れているのを感じた。


(見ていたか。これが、俺の『価値』の使い方だ)


略奪者という名の「毒」が、一夜にして拠点を守る「薬」へと変わった。

もちろん、これからが本番だ。クラリスの統治能力で彼らをどう組織に組み込み、ミーナの人心掌握でどう「帰属意識」を持たせるか。


俺の「成長性A」は、この荒くれ者たちとの関わりの中で、さらに加速していく予感がしていた。


「さあ、帰るぞ。明日から、やることは山積みだ」


俺たちは、新たに加わった屈強な「野良犬」たちを引き連れ、自分たちの国へと続く道を引き返した。

王太子レオニードが、そしてあの大広間にいた連中が、この光景を見たらどんな顔をするだろうか。


俺たちの反撃の軍勢に、最初の「牙」が加わった夜だった。






第6話:価値の選別――生存か、従属か

夜の帳が下り、盗賊たちの野営地を包み込む。焚き火の爆ぜる音だけが、張り詰めた静寂を辛うじて繋ぎ止めていた。


俺の背後では、クラリスとミーナが静かにこちらの出方を伺っている。

【統治能力:SS】を持つクラリスは、既にこの集団を「排除すべき害悪」として計算し終えているだろう。一方、【人心掌握:SS】を持つミーナは、彼らの瞳の奥に潜む「飢え」と「諦め」を鋭く読み取っているはずだ。


二人の圧倒的な才能が、俺の背中を押し、同時に試している。

俺は一歩、光の中に踏み出した。


「選べ」


俺の声は、自分でも驚くほど低く、冷徹に響いた。

【剣技:E】。身体能力だけで言えば、ここにいる荒くれ者の一人にすら劣るだろう。だが、俺の視界に映る「識眼」の数値は、彼らが隠そうとしている「弱点」と「本能」を赤裸々に暴き出していた。


「ここで死ぬか。……それとも、俺の下で働くか」


さらに一歩、前へ。

盗賊たちの中心に座る大男、ザッハが鋭い眼光を向けてくる。【戦闘:A】の重圧。並の人間ならその視線だけで射すくめられ、膝を突く。しかし、俺は視線を逸らさない。


「貴様、正気か? 男爵家の三男坊が、俺たちを飼い慣らすつもりかよ。……剣もまともに握れそうにないその細い腕で」


ザッハが嘲笑を浮かべ、傍らに置かれた大剣を握り直す。周囲の盗賊たちも、殺気とともに腰を浮かせた。一触即発。俺の心臓は壊れそうなほど激しく鐘を打っている。だが、俺の「識眼」は別の真実を告げていた。


【ザッハ:心理状態】

極度の空腹、及び部下の生存に対する強烈な不安。

「確かな帰る場所」への渇望:80%

「飼い慣らす? 違うな。俺が提示しているのは『契約』だ」


俺はザッハの瞳を真っ直ぐに見つめ、網膜に浮かぶ彼のステータスを読み上げながら続けた。


「あんたたちは、国境警備隊の崩れだろう? 飢饉で給与が止まり、部下を見捨てられずに脱走した。……まともな飯も食わせられず、泥水を啜りながら、いつか騎士団に討伐される日を待つだけの生活。それが、あんたの望んだ『自由』か?」


ザッハの表情が凍りついた。周囲の男たちも、動揺を隠せない。俺がなぜその事実を知っているのか、彼らには理解できないだろう。これが、相手の「価値」と「過去」を暴く、俺だけの力だ。


「俺の拠点は、クラリス様のおかげで既に水路が通り、食糧の備蓄も始まっている。俺の下に来れば、明日からまともな飯と、正当な報酬を約束しよう。……ただし、俺のルールに従えないなら、今この場で死んでもらう」


俺はあえて、背後の闇を指差した。

そこには、クラリスが配置したガルドたち数名が、弓を番えて潜んでいる。


「選べ。このまま野垂れ死ぬか、俺と一緒に、この腐りきった国をひっくり返す側に回るか」


沈黙。

張り詰めた糸が、今にも弾けそうな極限の緊張。

ザッハは俺を凝視したまま動かない。俺の【成長性:A】が、この瞬間に何かを引き寄せているのを感じた。


やがて――。


「……はは、はははは!」


ザッハが、突然声を上げて笑い出した。その笑いは自嘲ではなく、何かとてつもなく「面白いもの」を見つけたかのような、晴れやかなものだった。


「……勝てねえ。いや、勝負にすらなってねえよ、これは」


ザッハは大剣を地面に突き立て、両手を上げた。


「剣の腕じゃねえ。……その目だ。全部見透かされてるんじゃ、抗う気も失せる。あんた、ただの貴族のガキじゃねえな。化け物だろ、中身は」


それが、崩壊の合図だった。

頭目が屈したことで、他の男たちからも戦意が急速に失われていく。

俺の視界にある文字が、激しく、かつ鮮やかに書き換わった。


【ザッハ】

【忠誠:0 → B(契約・畏怖による従属)】

(……いける)


俺は心の中で、長く止めていた息を吐き出した。

「忠誠:B」。最初から心まで預けてくれるわけではない。だが、プロとしての契約と、俺という人間への「得体の知れない恐怖」が、彼らを繋ぎ止める鎖になった。


「話が早くて助かる。……クラリス様、彼らの受け入れをお願いできますか?」


背後から歩み寄ってきたクラリスが、冷徹な視線をザッハたちに投げかける。

「……承知いたしました。ですが、彼らの『教育』には少々厳しい手順を踏ませていただきますわよ。私の作成した法典を、三日で頭に叩き込んでもらいます」


「げっ、勉強かよ……」

ザッハが顔を顰める。


「ミーナ、彼らにまずは温かいスープとパンを。胃袋を掴むのも、あなたの役目だ」

「任せて! みんな、お腹空いてるでしょ? 美味しいの作ってあげるから、レオンに感謝しなよ!」


ミーナの明るい声が、殺伐とした野営地の空気を一気に塗り替えていく。

人心掌握。統治。そして、価値の選別。

バラバラだった「個」が、俺という接点を通じて、一つの「組織」へと形を変え始めた。


俺はふと、遠くの森の影を見つめた。

そこには、一瞬だけ、黒い外套の端が揺れた気がした。


あの大広間で笑っていた男。王太子の側近。

あいつもまた、この「奇跡」を見ていただろうか。

俺が剣を振るわず、ただ「言葉」と「価値」だけで、Aランクの戦力を手に入れた瞬間を。


(見ていろ。これが俺のやり方だ)


俺たちは、もはやただの逃亡者ではない。

クラリスの知略、ミーナの求心力、そして俺が拾い上げた「爪」と「牙」。

この三人が揃ったとき、王国を揺るがす嵐が生まれる。


「……さあ、帰るぞ。明日から、世界を驚かせなきゃいけないんだからな」


俺は、新たに加わった屈強な「仲間」たちを引き連れ、拠点の灯りへと向かって歩き出した。

俺のステータスはまだ未熟だ。だが、この「成長性」がどこまで届くのか、俺自身が一番楽しみにしていた。






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