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144.太平洋を覆う鋼鉄の巨船と、南十字星の航跡――21世紀帝国の海運網

# 海洋帝国日本史 終章:21世紀の超大国と、分断された世界の果て


## 閑話:太平洋を覆う鋼鉄の巨船と、南十字星の航跡――21世紀帝国の海運網


### 1.絶対的生命線――「輸送専用」に特化した帝国の海


21世紀の大日本帝国において、航空機は「人」と「高付加価値な小型貨物」を運ぶためにそのリソースの限界まで酷使されていた。だからこそ、資源、食糧、そして膨大な工業製品といった「国家の質量」そのものを運ぶ任務は、すべて海を往く**『商船』**に託されていた。


帝国の航路の大部分は**「輸送専用(貨物メイン)」**に極限まで特化している。

四方を海に囲まれた本土のみならず、台湾、南洋島嶼部、豪州、羊州といった巨大な領土群すべてが太平洋という一つの巨大な「内海」に面しており、海運を制する者が帝国経済を制すると言っても過言ではなかった。


**【七つの海を支配する海運の巨人たち】**

この巨大な物流を担うのは、世界最大規模の船腹量を誇る帝国の海運メガ・キャリアたちである。

伝統と格式の**『日本郵船』**、資源輸送の雄たる**『商船三井』**、巨大コンテナ船隊を操る**『川崎汽船』**、そして財閥の力を背景に極東から欧州までを繋ぐ**『徳川海運』**。これら大手各社の全長400メートル級のメガ・コンテナ船やLNG運搬船が、休むことなく太平洋を行き交っている。


さらに、帝国の心臓部であるアラブ特別県(中東)から、本土や豪州の工業地帯へと「国家の血液(石油)」を運び続けるのが、**『IDEMITSU(出光)』**や**『ENEOS』**といった大手石油資本直属の巨大タンカー(VLCC)船隊である。彼らの存在なしに、21世紀の帝国の繁栄は1秒たりとも維持できない。


### 2.鋼鉄の要塞――80を超える『戦略港湾』


これらの巨大船を迎え入れるため、帝国領内の各大都市には、世界最先端のITとフィジカルAIによって徹底的に無人化・効率化された巨大な港湾施設が整備されている。


帝国政府は、国家のサプライチェーンを維持するための最重要拠点として、領土内に**『80を超える戦略港湾』**を指定していた。

東京湾のメガターミナル、大阪港、名古屋港といった本土の巨大港はもちろんのこと、豪州の鉄鉱石を積み出す西部の専用港、満州の小麦を世界へ送り出す大連港、そして南洋のハブ港湾まで。

ガントリークレーンが24時間体制で全自動で動き続け、数万個のコンテナをパズルのようにさばくその光景は、計画経済と資本主義が融合した「大日本帝国の圧倒的国力」の象徴であった。


### 3.ロマンと時間――限定的な旅客航路フェリー


貨物輸送が極限まで効率化された一方で、海路での**「旅客輸送」**は21世紀に入り極めて限定的なものとなっていた。


「時は金なり」。分刻みで動く帝国企業のビジネスマンや一般の旅行者は、もっぱら航空機(TOKUGAWAの超大型機や新幹線)を利用する。そのため、本州周辺の海域では、かつて栄えた「鉄道連絡船」や長距離フェリーの姿は、新幹線網と海底トンネル・巨大橋梁の完成によってほとんど過去のものとなっていた。


現代の海を船で旅するのは、有り余る「時間」を持て余したバックパッカーの若者たちか、あるいは豪華客船(クルーズ船)で優雅な船旅を楽しむ富裕層くらいのものである。


### 4.南十字星の下の玄関口――南洋島嶼部のフェリー網


しかし、そんな「効率化された帝国」の中にあって、旅客航海フェリーが今なお**『人々の絶対的な生活の足(生命線)』**として大活躍している広大な地域が存在した。


赤道直下から南半球にかけて無数に広がる、**南洋の島々(南洋島嶼部)**である。


「……すべての島に空港を造るわけにはいかないからな。サンゴ礁の海を渡るには、やっぱり船が一番さ」

経済的な理由、あるいは貴重な自然環境や地形的な制約から、南洋のすべての島に滑走路を敷くことは不可能であった。そのため、この地域では「各エリアで一番大きい島(拠点島)までは航空機で飛び、そこからはフェリーで周辺の島々へ散らばる」というハブ・アンド・スポーク方式が確立されていた。


**【大南島ニューギニア蘇炉ソロモンの玄関口】**

南洋の西側に位置する巨大な**大南島(史実のニューギニア島)**。その中心都市である**『盛酢飛(モリスヒ / ポートモレスビー)』**の巨大な港は、単なる貨物港ではなく、東に連なる**『蘇炉諸島(ソロモン諸島)』**方面へ向かう人々の巨大な「海の玄関口」として機能していた。

ターミナルには、色鮮やかな南洋の民族衣装を着た人々や、帝国本土からの観光客が入り乱れ、大型フェリーから小型の高速船までが無数に出入りする活気あふれる光景が広がっている。


**【火地フィジーのハブ・フェリー網】**

さらに東の**『火地(史実のフィジー)』**でも状況は同じである。

大型機が発着できる国際空港は本島(ビティレブ島等)にしか存在しないため、そこから先、青く透き通るサンゴ礁の海に点在する無数の美しいリゾートアイランドや離島へは、大小さまざまな客船やカーフェリーがひっきりなしに運航されている。


甲板で南太平洋の潮風を浴びながら、島から島へと渡り歩く。

それは、効率化とAI化が極まった21世紀の大日本帝国において、唯一残された「古き良き南洋のロマン」であり、同時に何百万人もの島民の生活を支える、決して途切れることのない逞しい海の血脈なのである。


(閑話 完)


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こんな国に住みたいなぁ(叶わぬ願い)
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