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142.大空を繋ぐ鋼鉄の血脈――21世紀帝国の超巨大航空ネットワーク

# 海洋帝国日本史 終章:21世紀の超大国と、分断された世界の果て


## 閑話:大空を繋ぐ鋼鉄の血脈――21世紀帝国の超巨大航空ネットワーク


### 1.帝都の双璧――羽田と成田の絶対的ハブ


21世紀、大日本帝国臣民の最も主要な長距離移動手段は「航空機」である。

広大な帝国領土を飛び回る数億人の移動需要を捌くため、帝都・東京近郊には、それぞれ**4本の巨大滑走路**を有する二つの超巨大国際空港が鎮座していた。


**新東京国際空港(成田)**と、**東京国際空港(羽田)**である。

この二つの空港は、東京駅の地下深くを貫く『空港連絡新幹線(リニア・新幹線直通)』によって数十分で結ばれており、事実上「一つの巨大なメガ・エアポート」として機能していた。


しかし、その役割は極めて明確に分担されていた。


* **【成田国際空港(国際線・LCCの牙城)】**

EATO圏内をはじめとするアジア各地や、北米(NAFTA)方面への長距離国際線のメインハブ。国内線は海外への乗り継ぎ需要に特化しており、後述するLCC(格安航空会社)の巨大なターミナルが群雄割拠している。

* **【羽田国際空港(帝国の大動脈・プレミアム拠点)】**

本土地域の国内線をメインとしつつ、南洋方面、台湾地域、そして中東の『アラブ特別県ドバイ・アブダビ』といった「帝国領土内(国内線扱い)」への重要路線を最優先で発着させる心臓部。国際線は、韓国、満州、北中華、イギリス、ドイツ、アメリカといった「極めて重要な同盟国・大国」へのプレミアム路線のみに限定されている。


羽田の空は、帝国のフラッグキャリアである**大日本帝国航空(JAL)**と**全日本空輸(ANA)**の二大巨頭による絶対的な寡占状態にあり、一部の本土系MCC(中堅航空会社)が辛うじて乗り入れているだけの、極めてステータスの高い空域であった。


### 2.巨大ハブ構想と、群雄割拠のエアライン


羽田と成田がそれぞれ4本の滑走路を持ってしても、2億2000万人の旺盛な移動需要に対して「発着枠」は常にパンク寸前であった。

そこで帝国政府は、広大な領土を大まかに5つのブロック(本土、南洋島嶼部、豪州、羊州、台湾)に分け、それぞれに**「巨大拠点ハブ空港」**を設定。主要都市間以外の移動は、このハブを経由する『ハブ・アンド・スポーク方式』を強力に推奨した。


**【帝国の主要ハブ空港群】**


* **関西国際空港:** 神戸沖の海上を埋め立てて建設され、史実の伊丹・神戸・関空の全機能を一つに超集約した西日本最大のメガハブ。

* **福岡国際空港:** 博多湾の人工島に立地し、韓国・満州・北中華への強烈なアクセスを誇る極東の玄関口。

* **新千歳国際空港:** 北の空の要衝。

* **志度新しどしん国際空港:** 史実のシドニー。豪州地方の絶対的中心。

* **明爾湾めいじわん国際空港:** 史実のメルボルン。

* **櫻港おうこう国際空港:** 史実のオークランド。羊州ニュージーランドのハブ。

* **ドバイ国際空港:** アラブ特別県に位置する、中東・アフリカ方面への帝国の超巨大ゲートウェイ。

* **桃園国際空港:** 台湾地域のハブ。


**【多様化する航空会社(MCCとLCC)】**

JALとANAの二強を追う形で、多様なプレイヤーが帝国の空を彩っていた。

中堅を担う**MCCミドル・コスト・キャリア**としては、本州路線を多めに飛ぶ**『スカイマーク』**、アラブ特別県ドバイ・アブダビを拠点とし、中東から豊富なオイルマネーで高級なサービスを提供する**『エミレーツ航空(※この世界では帝国の国内MCC扱い!)』**、そして豪州地方の空を牛耳る**『鳳凰国際航空』**が存在感を示す。


さらに、若者やビジネスマンの気軽な移動を支える**LCC**では、ANA系列の**『Peach』**と、JAL系列の**『ZIPAIR』**が、成田や関西を拠点に血みどろの価格競争とシェア争いを繰り広げていた。


### 3.絶対的ドル箱路線――『羽田=志度新』と空の巨人たち


これら無数の航空路線の中で、間違いなく世界最大、そして帝国最高の収益を誇る**「絶対的ドル箱路線」**が存在した。


**『東京圏(羽田) ⇔ 豪州・志度新シドニー』**の路線である。

北半球のメガシティと南半球のメガシティを結ぶこの路線は、ビジネス、観光、そして避寒・避暑の需要が一年中途切れることがない。新幹線のように大量の人員を一気に運べる陸路が存在しないため、航空需要が異常なまでに集中していた。


この超ドル箱路線では、JALとANAがなんと**「1時間に1.5本」**という通勤電車並みのダイヤで大型機を飛ばし、豪州の雄である鳳凰国際航空も1日に12便を運航。さらに深夜・早朝枠を使ってPeachやZIPAIRのLCCも多数参入する激戦区であった。


**【大空を支配する『TOKUGAWA』の怪鳥】**

この「発着枠は限界だが、需要は無限にある」という極限状況が生み出したのが、帝国航空産業の頂点に君臨する巨大航空機メーカー**『TOKUGAWA(旧徳川航空産業)』**の超大型旅客機群であった。


* **TOKUGAWA 810型 / 820型(総2階建て・500席級)**

かつての300型の系譜を継ぐ、巨大な総2階建て機。810型は長距離タイプ、820型は超長距離タイプであり、羽田=志度新の大量輸送を捌くためだけに存在するような「空のマンモス」である。

* **TOKUGAWA 350型 / 270型(双発広胴機)**

350型は主要都市間(東京〜ドバイ等)を結ぶフラッグシップ。270型は、大都市と需要の大きい地方都市を高頻度で結ぶワークホースとして、世界中の空を飛び回っていた。


一方、180席以下の「小型機リージョナルジェット」市場は、**『三菱重工業』**の完全な独壇場であった。

プロペラターボプロップの**『MS-100型』**と、小型ジェットの**『MS-200型』**が、南洋の島々や本土の地方路線、羊州の山岳地帯などを縫うように結び、帝国の毛細血管としての役割を完璧に果たしていた。


### 4.世界へ羽ばたく翼――国際線の果て


巨大な国内(帝国領土内)の移動網を確立した帝国航空網は、世界の果てへのアクセスも極めて戦略的に構築していた。


国際線の主眼は、当然ながら世界経済の半分を占める**『EATO圏内(韓国、満州、北中華、東南アジア)』**に向けられており、ビジネスマンを乗せたTOKUGAWAや三菱の機体がひっきりなしに飛び交っている。


一方、遠方の大陸へのアクセスは、帝国領土の「きわ」にあるハブ空港が見事に機能していた。


* **アフリカ方面:** 一度、アラブ特別県(ドバイ国際空港)に飛び、そこからエミレーツ航空などに乗り継いでアフリカ大陸各地へと向かうルートが一般的。

* **南米方面(SASU):** 太平洋を越えて北米アメリカを経由するか、南半球の果てである**櫻港オークランド国際空港**を経由し、南氷洋の上を飛んでチリのサンティアゴへと向かう超長距離ルートが開拓されていた。


### エピローグ


21世紀の青空を見上げれば、TOKUGAWA製の巨大な2階建ての機体が、白く美しい飛行機雲を引きながら、北半球の帝都と南半球の大都市を結んで優雅に飛んでいく。

それは、凄惨な戦争の時代を乗り越え、情報と物流が世界を繋ぐ「パックス・ジャポニカ」の完成を象徴する、最も力強く美しい光景であった――。


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