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140.白頭鷲のIT覇権と、分割された南の楽園

# 海洋帝国日本史 終章:21世紀の超大国と、分断された世界の果て


## 中編:白頭鷲のIT覇権と、分割された南の楽園(2000年代〜2010年代)


### 1.パックス・アメリカーナの再定義と、奇跡のラストベルト


21世紀のアメリカ合衆国は、**NAFTA(北米自由貿易協定)**の絶対的な中心として、ソビエト崩壊の空白を突いて中米や南米への影響力をかつてないほどに拡大させ、空前の経済繁栄を謳歌していた。


史実(我々の世界)のアメリカは、20世紀末から製造業が衰退し、中西部は「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」と化していった。

しかし、この世界線のアメリカは違った。冷戦下において「南米社会主義連合(SASU)」という巨大な脅威が南に存在し続けたため、国家防衛と米州ブロック内の自給自足体制を維持する目的で、**アメリカの重厚長大産業(製造業)は手厚く保護・維持され続けていた**のである。


国際市場ヨーロッパやアジアにおいては、アメリカの自動車や鉄鋼は、大日本帝国やドイツの圧倒的な技術力と品質の前に「全く歯が立たない」状態であった。

だが、巨大な北米・中米ブロック内においては話が別である。**GMゼネラルモーターズ**や**フォード**は未だに米国内で絶対的な強さを誇り、**USスチール**や**クリーブランド・クリフス**といった鉄鋼巨人も、南北アメリカ大陸において強大な影響力を保持していた。


### 2.日米電脳大戦――GAFAM vs 帝国メガテック


製造業が地域ブロックごとに住み分けられる中、国境を完全に越えて世界を二分する血みどろの覇権争いを繰り広げたのが、**『IT・デジタル分野』**であった。


クリントン大統領時代から国を挙げてIT化を推し進めていたアメリカは、21世紀に入り、世界を席巻する巨大テクノロジー企業群、通称**『GAFAM』**を生み出した。

これに対するは、圧倒的なハードウェアとインフラを武器にする**大日本帝国のメガテック企業**たちである。世界の電脳空間は、日米の巨人たちによる「代理戦争」の舞台となった。


* **【検索・AI戦争】Google vs NTT**

世界中の情報をインデックス化するGoogleに対し、帝国は光ファイバー網と自社製生成AIを牛耳るNTTが立ちはだかり、言語圏やブロックごとにシェアを二分した。

* **【デバイス・覇権戦争】Apple vs SONY・東芝・SAMSUNG・HUAWEI**

iPhoneという革命を起こしたAppleに対し、EATO陣営はSONYや東芝の超ハイエンド機、そしてSAMSUNGやHUAWEIの圧倒的なコスパ機で包囲網を敷き、ハードウェアの死闘を繰り広げた。

* **【SNS・プラットフォーム戦争】Facebook vs SoftBank**

世界を繋ぐFacebookに対し、帝国ではSoftBankが強烈な画像共有アプリや独自SNSを展開し、アジア圏の若者の時間を奪い合った。

* **【EC・物流戦争】Amazon vs 楽天・アリババ**

物流を支配するAmazonに対し、帝国本土では楽天が独自の経済圏(ポイント網)で徹底抗戦し、アジアでは北中華のアリババが巨大な壁となった。

* **【OS・インフラ戦争】Microsoft vs NEC(TRON)**

Windowsで世界のPCを支配するMicrosoftに対し、帝国の住友財閥系(NEC)が開発した国産OS『TRON』が、家電や自動車、産業用ロボットの組み込みOSとして世界標準を握り、見事な棲み分けと対立構造を築いた。


**【リーマン・ショックの逆説】**

2008年のリーマン・ショックは、世界中を金融パニックに陥れたが、アメリカにとっては奇妙な『カンフル剤』となった。

中華民国(旧南華共和国)やインドネシアなど、新興国に投下されていた莫大なアメリカ資本が、リスク回避のために「アメリカ本土」へと大還流したのである。この国富の帰還が、逆にアメリカのIT産業と金融業をさらなる成長へと押し上げ、南米市場への資本浸透(パックス・アメリカーナの完成)を決定づけることになった。


### 3.陽気な停滞――南米社会主義連合(SASU)の21世紀


アメリカの真下に位置する南米大陸。

ここは21世紀に入っても、依然として**『南米社会主義連合(SASU)』**という赤い看板を掲げ続けていた。


しかし、その内部は決して一枚岩ではない。**ブラジルとアルゼンチン**という南米の二大巨頭は、21世紀になっても静かな覇権争い(対立)を続けており、大陸全体の経済状況は極めて不安定であった。

そこに、リーマン・ショックで本土へ資金を戻しつつも、強欲なシステムを維持するアメリカの資本(とCIAの工作員)が、パックス・アメリカーナの触手として深く入り込んでいた。南米の製造業は不振を極め、国際競争力のない「比較的粗悪なアメリカ製の工業製品」ですらシェアを取れてしまうほど、実体経済は悪化していた。


しかし、南米の民衆は決して「絶望」してはいなかった。


「……金はない。だが、食うには困らないし、明日のサッカーの試合がある!」

南米は、長年の社会主義体制によって**『成熟したセーフティネット(福祉・医療・配給)』**が社会の末端まで機能していた。

経済的な大躍進こそないものの、餓死者は出ず、人々は貧しいながらも陽気に歌い、踊り、そして熱狂的な『サッカー大国』としてワールドカップで列強を打ち負かすことに無上の喜びを見出していた。「清貧なる幸福」とでも呼ぶべき、独特の社会が築かれていたのである。


ただし、その光の裏側で、CIAの工作やアメリカの麻薬需要と結びついた**コロンビアやベネズエラ**のジャングルでは、政府軍とカルテルによる血みどろの『麻薬戦争』が、21世紀の闇として延々と繰り広げられていた。


### 4.分割された大地――アフリカの「安定という名の足枷」


最後に、人類発祥の地であるアフリカ大陸である。

1996年に南アフリカ共和国が列強(日英西)に完膚なきまでに叩き潰されたことで、アフリカは「特定の覇権国家が大陸を統一する」という最悪の未来を回避した。


しかしそれは、アフリカ各国が**『列強のアライアンス(資本経済圏)に完全に組み込まれた』**ことを意味していた。

史実のような極端な内戦や絶対的貧困は大幅に減少したものの、列強の都合の良い「資源供給地」として固定化されたため、独自の大規模な工業化や爆発的な発展を遂げづらい、ある種の『ガラスの天井』が嵌められた状態になっていた。


その中でも、列強の資本をうまく利用して地域大国となった国々が存在する。


* **ナイジェリア(ドイツ資本の牙城):** 豊富な石油資源を背景に、ドイツの重工業資本が大量に流入。アフリカ屈指の経済規模と人口を誇る巨大市場として成長。

* **アンゴラ(スペイン資本の優等生):** 豊かな資源と、スペイン同盟の支援による「高い識字率・教育水準」を武器に、安定した発展を遂げる優等生国家。

* **ケニア(イギリス資本のITサバンナ):** イギリスの資本と洗練された観光政策が見事に融合。サファリ観光で外貨を稼ぎつつ、首都ナイロビは「シリコン・サバンナ」と呼ばれるアフリカ有数のITハブへと成長。


一方で、列強の巨大な資本の波に乗れなかった国々もある。

エチオピアは、独立を保ったものの主要産業が育たず、巨大な**「コーヒー産業(輸出)頼みの国家」**として生き残る道を模索。

そして、アフリカで最も早く独立し、スエズ運河を国有化して世界の動脈を握ったはずの**エジプト**は、運河の通行料とピラミッドなどのエジプト文明の「観光収入」に依存しきってしまった。外資の積極的な資本投下が行われなかったため、21世紀に入ると経済成長は完全に鈍化し、過去の遺産で食いつなぐ停滞国家となってしまったのである。


(終章 中編 完)


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