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エターナルおぢさん〜隔離世界ノ中で〜  作者: 世界最弱ノ作者
8/13

エターナルおぢさん爆誕☆

《日時? 夜 ルイの家 リビング》


――ガッツリ昼寝した結果、すっかり辺りは暗くなっていた。


……ぐぅ〜〜ぐぅ〜〜。


総司

「ハァ――腹減ったな……腹がグーグーなってらぁ」


ルイ

「ちょっと待ってて!! お茶持ってくるから」


総司

「あぁ……すまねぇ」


本当にこの家には、食料と言えるモノは無い……。


あまりにも空虚で、何もかもが――空っぽだった。


もっとこう……ファンタジーな世界なら、多少は(きら)びやかな景色が広がっている筈だ。


しかし――あまりにもココは……“現実的”である。


正直、家の造りなんかは現世とあまり変わらない。


電気やガスみたいなナニかは張り巡らされているし、家具なんかもある。


ただ……言ってしまえば“撮影のセット部屋”?


人が生活している感は少なく、どこか無機質に感じた。


言ってしまえば……“がらんどう”なのだろう。


この家はただ、“寝るだけに寄る場所”。


必要最低限なモノしか、この家には無いのだ。


総司

「なぁ……ルイ――“コーヒー”とかねぇよな?」


俺はふと、そんな事を呟いた。俺はお茶よりコーヒー派なのだ。


よく……タバコ片手にコーヒーを飲んでいたもんだ。


ルイ

「あるワケないでしょ……“物凄く高い”のよ?」


総司

「さいですか……ふぅ――“アッチもそうだった”」


政府が馬鹿みたいな政策をぶち撒けた結果――。


見事にお金の価値は下がりまくり、モノの値段がほぼ全て3倍〜5倍なんて事になった……。


贅沢出来る余裕なんて、普通に暮らしてるヤツには出来やしない。


息吸ってるだけでも金が飛ぶと揶揄され、お陰様で出生率は、過去最低を年々更新している始末。


総司

「……思い出したらイライラして来た――」


ルイ

「何があったのよ……」


総司

「大した事はねぇさ、“年末年始の大勝負に負けた”」


本当にくだらない話だが、馬とスロに負けただけの話だ。


実に現実的な話だ。


ルイ

「あ〜あ……うん。“なんか勿体無いね”――」


総司

「あぁ……そんなモンだ。“勿体無く生きるのも男”」


損得感情じゃない――そこにあるのはただのロマン。


ある程度、納得した状態で勝負するんだ。ムカつくけど、後悔はしない。


ただ……その後、普通に心臓麻痺かなんかで死んだ。


本当に酷い終わり方だった……。


ルイ

「ふふっ……でも、“そのお陰でココに居る”」


総司

「あぁ……“ある意味賭けは勝った”のかも知れない」


金銭的な面と現世での肉体は失ったが、こうして全く新しい世界へと来れたのだ。


そう考えるなら……最後の最期、どんでん返しの大勝利を収めたと言えるだろう。


ルイ

「ふふっ……“きっと悪運”ね?」


総司

「だろうね……普通の運は持ってねぇし……ウン」


ルイ

「それでも――最後の最期、子供達に食べ物やお金を渡したんでしょう?」


総司

「あぁ……そうだ」


総司

「雪が積もる寒い夜の事だ――ボロボロな服装した兄妹が、裸足で俺の元までやって来た……」


総司

「靴も履いてなけりゃお前――服もボロボロだ……」


総司

「お互い華奢でよ……気がついたら飯渡して、金も渡してた」


ルイ

「良かったじゃない――アナタもその兄妹も……」


総司

「どうだかな――治安が悪いんだ、そう言う目的で近付くヤツらかも知れない……」


ルイ

「ま……まぁ、その線も拭えないけど……」


総司

「でも、良いんだ。アイツらも馬鹿じゃねぇ……」


総司

「そん時はそん時で、上手くやってるさ……きっと」


ルイ

「そうね……上手くやらなきゃ、生きられないもの」


総司

「……あぁ」


残念ながら、世の中は大きく変化してしまった。きっと……悪い方向に。


自分で決めて、自分で判断し、自分でけりをつける。


それが――大人だけじゃなく、子供にも求められる世の中になった。


俺達は、どこまで行ったってお花畑で、いつも決まって、臭いものには蓋をして生きて来た。


その結果どうなった?


そのツケが治安悪化を招き、子供達にも波及していった。


本来、大人がそうならない為に、やるべき事はあった。


だけど……怠け過ぎたんだ。


答えをいつまでも出さず、“誰かに出して貰う人生”。


そして……崩れていった。


……コトっッ――。


ルイ

「なに考え込んでるの? “答えなんて一生出ないのに”」


目の前には熱々なお茶が置かれていた。


総司

「ふっ……まぁ――“その通りだな”」


結局のトコロ、答えなんてきっと出ない。


だって、それが本当に正しいかなんて、誰にも分からない。


世の中はそんな曖昧な中で常に動き続けている。


そうであろう、そうであれ、ただそれだけの意思で動いている。


誰も本当の答えなんて知らないし、出せやしない。


そう……“誰一人”、“証明が出来ない”のだから。


ルイ

「“考えるだけ無駄”よ……アナタも分かってるでしょ?」


総司

「あぁ……“間違いねぇ”」


ルイ

「ほら、熱いうちに飲んで?」


総司

「お……おう? ありがと」


ルイ

「うん……」


ほんっと――こんな幸せな時が続けば良い。


許されるならば……長い間こうしてルイと――。


ルイ

「ふぅ……美味しい――」


総司

「あぁ……うまい――」


空腹に喘ぐ二人だが、それよりも心が満たされて悪い気はしなかった。


明日には、初めての“異世界労働編”が待っている。


総司

「ズズッ――そういやぁさ、“日雇いとかあんの”?」


お茶を啜りながら、気になった事を聞く事に。


ルイ

「あるけど……多分、“超キツイ”よ?」


総司

「あの……えと? ちなみにどんな……?」


超キツイと言われたら、恐る恐る聞く他ない……。


何をやらされるのかと、内心ビビっていると――。


ルイ

「う〜ん……“瓦礫の撤去作業”とか?」


総司

「……ハハッ――なんだよ、それでいいの?」


ルイ

「えっ……? 超キツイけどやるの?」


総司

「オジサン舐めんなよ……何でもやって来たっての」


そう……オジサンは色んな仕事を転々しまくり、のらりくらりやって来たタイプだ。


1社に骨埋めるツモリで生きては来なかった為、まぁ……色々やって来た。


勿論、肉体労働もやった。体がバッキバキになるまで働き、安い賃金でも飯が食えたら上等。


贅沢なんてまぁ……出来ない世の中だった。


年に一度くらいはガッツリ勝負はすれど、それ以外は本当に質素倹約でさ――。


ルイ

「なら……いいけど――ね?」


総司

「いやいやいやいや……何その“含みある言い方”?」


ルイ

「ふふっ……まぁ――“明日からのお楽しみかな”?」


総司

「うぐっ――なんか急に不安になって来た……」


ルイ

「私は、森に動物狩りに行こうかな?」


総司

「狩って、それ売るのか……?」


ルイ

「うん、“闇ルート”で」


総司

「うん……ん――? あ……あれ? 聞き間違い?」


ルイ

「うん、“闇ルート”で」


総司

「おぉふ……お――おん? 闇……闇ルートね……」


何だか一番ヤバそうなワードが、ルイの口から飛び出してきた。


ルイは自分の両手を頬にあて、微笑んでいる……。


ルイ

「まぁ……職業紹介所じゃマトモな仕事無いし……」


総司

「闇バイトかよ……大丈夫なのそれ?」


ルイ

「う〜〜ん……まぁ、取り締まる側が腐ってるからね?」


総司

「お〜〜ん、まぁ……それなら大丈夫――か?」


ルイ

「”世の中そんなモノ”よ――」


ルイ

「生きて行くだけで精一杯なんだから……」


総司

「まぁ……そうだよ――な」


余っ程ヤバい事ヤッてるなら、俺が止めなくてはならない。


でも、動物を狩って正規ルートで売らずに裏ルートなら……。


なんとも難しいモノがあった。


退廃的で荒廃した世界の中で、果たして何が正解で、何が不正解なのか……。


誰にも分かりゃしないのだから。


ルイ

「ふふっ……それに、大した事じゃないわ?」


ルイ

「まぁ……“狭いエリアが私達の世界なの”」


総司

「あぁ……そうだな」


この世界を全てグルリと見たわけじゃない。


でも、分かる事が“一つだけ”ある。


この世界が――“ハリボテ”だって。


ほんっと狭いエリアにコンクリートジャングル、スラム街、そして狭いエリアを囲い込む様に森林が広がっている。


勿論――境界からは出る事が許されない……。


そんな世界の中で、マトモに法律や規則なんてモノが通用するだろうか?


答えは多分出来ない――。


だからこそ、見て見ぬ振りをするのだ……。


ルイ

「大丈夫よ、捕まったりはしないわ?」


ルイ

「それより……“アナタの方こそ気をつけてよ”?」


総司

「っすぅ……ふぅ――忘れてた……“人間俺だけ”じゃんよ……」


ルイ

「そうよ……何すぐ、この世界に溶け込んでるのよ」


総司

「あ〜〜うん、種族が違うだけで、世界の作りは現世とあまり変わらないから?」


ルイ

「とにかく気を付けるのは、アナタの方よ」


総司

「うん……なんか猫耳お姉さんとかもいるし……」


ルイ

「あぁ……そうね」


ルイは視線を湯呑み茶碗に移した。


どこか寂しそうにも見えて、俺も目を逸らす。


総司

「とにかく気を付けるよ。なんか怪しいしアイツ」


ルイ

「それもそうだけど、“取られないかってさ”……」


総司

「なに? 俺が? アイツと? 無いって……」


ルイ

「でも……ボン・キュッ・ボンだよ?」


総司

「たから何だよ……“あんなもん死ぬ程見て来た”っての!!」


ウン……ゲームでの話である!!


嘘ではないので、そのままルイに伝えた。


ルイ

「アナタが取られるんじゃないかって……不安でね」


総司

「馬鹿言うなよ……ワリぃけど耐性あんだわ……こちとら」


そう……オジサンは超耐性持ちなのだ……。


それこそ死ぬ程、漫画やゲーム、アニメ、映画、雑誌等でバッキバキに鍛え上げられて来た口だ。


例えは街で超絶美人で綺麗な人を見掛けても、へぇ……凄いね。


これで終わりだ。


余韻が……無い。


これがオジサンなのだ……虚しい事に。


ルイ

「あぁ……だから“冷たい目をしていた”のね?」


総司

「そうだよ、(はな)から興味がねぇんだ……」


総司

「人間は興味が無いと、どうでもいい目で物事を見る生き物でな?」


総司

「正直……あんま考えてねぇんだわ……ハハッ?」


ルイ

「ふふっ……安心した」


総司

「なら結構」


――そのまま、お茶が冷えるまで会話を続けた。


ほんっと……くだらない話を。


でも、心はきっと満たされていた。


こうして――話し相手が居るだけでも救われるのだ。


空っぽな自分が満たされて行く気がして、堪らない。


《日時? 夜 ルイの家 ルイの部屋》


――良い夜だった。


お茶を飲み終わり、ルイと一緒に寝床で横になって、ボーッとしているだけ。


それだけで十分幸せなんだ。


ルイ

「ふぅ……“明日からが本番”よ? 頑張りましょう」  


総司

「分かってる――生きる為、食う為に戦うさ」


ルイ

「えぇ……そうしましょう」


総司

「仕事が終わったらさ……飯ちゃんと食おうぜ……」


ルイ

「うん……お茶だけだと流石にお腹空くもの……」


総司

「あぁ……ホントにな――今すぐにでも消えそうだ」


ルイ

「アナタが消えたら、“私も同時に消滅する”――」


総司

「えっ……?」


ルイ

「そして――“私が消えても”……当然アナタも消滅する」


――ギュッ……。


ルイ

「ふふっ……言ったでしょ? “死ぬ時は一緒って”」


比喩ではなく――“本当に消える話”だった。


ルイに強く抱きしめられながら……話は続く。


ルイ

「そして……“お互いの命は”――“綺麗に半分こ”」


ルイ

「うっふふ――“沢山時間があるわ”……」


総司

「それって……どう言う意味――?」


ルイ

「言った通りよ? “私の命もアナタの命も”……」


ルイ

「ふふっ……“均等になる様に混ぜられるの”」


総司

「…………」


ルイ

「だから……ふふっ……“沢山一緒に居れるの”……」


総司

「ど……“どのくらいエルフは生きるんだ”……?」


ルイ

「う〜ん……“平均500年と言われてる”わね?」


総司

「お……おん? で……俺達はどれくらい……?」


ルイ

「まぁ……均等だから――“後200年前後”?」


総司

「まぢ……スカ?」


ルイ

「うん、まぢ!!」


衝撃の事実が判明した。


まさかの……後200年前後生きるなんて……。


ルイ

「ふふっ……エルフからしたら短いけど」


総司

「……人間からしたら――“超絶なげぇ”!!」


とんでもない事態に陥り、思わず思考停止していた。


ルイ

「あ〜〜後、“容姿は最初から最後まで、変わらないから”」


総司

「おぅふっ――!? 老けないけどこのまま……?」


ルイ

「うん、背も伸びないし、勿論……」


総司

「勿論……?」


ルイ

「パイ……も――“育たない”」


総司

「いや……なんと言えばいいか、その……うん?」


ルイ

「もう少し大きくてもイイのに……残念だわ……」


総司

「……それに関しては何にも言えねぇよ――トホホ」


それに関しては本当にノーコメントだった。


ルイ

「ねぇ……“本当に満足してるの”?」


総司

「……あぁ、十分過ぎる程、お釣りが来る程な?」


それだけは間違いなかった。


ルイは……本当に素晴らしいエルフなのだから。


ルイ

「ならいいけど……」


総司

「他と比べんなよ? お前はお前で、他は他だ」


総司

「それこそくだらねぇんだよ……いや、マジで」


ルイ

「そうね? ありがと……」


――ギュッ……。


総司

「もう寝よう、朝からお仕事だぜ……」


ルイ

「うん……このまま寝る……」


総司

「あぁ……」


そして俺達は朝まで――ぐっすりと……眠る。









































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