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エターナルおぢさん〜隔離世界ノ中で〜  作者: 世界最弱ノ作者
6/13

語ろうか、お互いの事を……。

《日時? 朝 ルイの家》


――あれから慌ただしく食材を買い漁り、無事ルイの家まで辿り着いた。


……コトっッ――カチャッ――。


テーブルには熱々なお茶と、目玉焼きに食パンが2枚。


それ以外は……無い。


総司

「……朝だな、うん――」


ルイ

「うん……今日のご飯はお互い“コレで終わり”」


総司

「お……おん――い……頂きます」


ルイ

「ええ……ゆっくりと味わって食べてね?」


総司

「……た――足りない……トホホ……おぉ〜〜ん」


ルイ

「仕方がないじゃない――お金が無いのよ……」


そう、これは朝食ではない。朝昼晩の全てだ……。


どうしてこんなにお金が無いのかが、今後暴かれる事であろう。


正直、あまり聞きたくない事だった。


総司

「ふぅ……そんじゃ、本当に頂きます」


ルイ

「えぇ……どうぞ?」


総司

「あぁ……」


そのまま、なんだか重苦しい空気が流れて――。


《日時? 朝 ルイの家》


総司

「ふぃ〜〜食った食った!!」


爆速を超えて光の速さで食事が終わった……。


ルイ

「もぐもぐ……んっ――もう食べたの?」


総司

「まぁ……こんなもんだろ?」


この世界では違うのかも知れないが、現世はとにかく忙しいモノなのだ……。


仕事して家に帰って、飯食うて風呂入って、ちょいと娯楽を挟んだら寝て、また仕事行っての繰り返し。


仕事のお昼休みは世界最速で飯をかっ喰らい、さっさと休むが一番理想のムーヴだった。


日常生活では如何に時間を作り、休憩時間を確保出来るか……それが一番大事な事だった。


じゃないと多分、身が持たないのだから。


ルイ

「む〜〜“貴重な食事”なのに……」


ルイは可愛らしくムスッとした表情を浮かべながら、俺を見ていた。


めっちゃ怒ってる感じはするが、容姿が良すぎて全然怖く無い……。


総司

「“貴重だから”だよ。君にはまだ早いねこの感覚は」


ルイ

「ふぅ……なに言ってるんだか――」


総司

「そのままの通りだ。さっ? ゆっくり食べな?」


俺はそのまま熱いお茶を啜る。食後にカラッカラになった喉を潤す、熱々なお茶。


本当に五臓六腑に染み渡る様で最高だった。


総司

「――ッカァ〜〜うんめぇ〜〜んほぉ〜〜!?」


ルイ

「……幸せそうで何よりだわ?」


総司

「あぁ……最高だよ――ほんっと……」


貴重な食事、それを一気に食べて、極限の美味さを感じながら、渇いた喉を飲み物でぶっ放す。


この美味さはきっと、男にしか分からない感覚だろう。


命をかっ食らうこの感覚と速度こそが、男の食事である!!


自分でも良く分からない――。


でもそれでいい、これこそが男の食事なのだから。


――カチャッ……。


ルイ

「ふぅ……ごちそうさま」


総司

「こちらこそ、ごちそうさま」


こうして優雅? な、食事シーンは幕を落とす。


そして――ここからが本番だ。


ルイ

「それで? 一体、“アナタは何者”なの?」


自分が何者かだって? そんなのは決まっている。


俺はただの……。


総司

「ふっ……はっ?! 俺か――“ただのオジサン”だ」


それ以上でも、それ以下でもない。


総司

「ルイ……お前も気付いているだろ……?」


総司

「俺が――“コチラ側の人間じゃない”って」


ルイ

「……えっ?」


総司

「……えっ?」


正直、お互いポカーンとしていた。


俺達の頭の上には、疑問符が浮かんでいたからだ。


ルイ

「ちょっと待って? 話が噛み合わない……」


総司

「いやいやいやいやいやいや……コッチこそ?」


完全に俺達は硬直していた……。


あれ? 変な事言ったっけ? そんな様子なのだ。


ルイ

「いや……単純に、“コッチの境界に生き来出来る人”かなって?」


総司

「は……い?」


謎が謎を呼ぶとはこの事だった。悪意の塊の様なモノを感じた、謎の猫耳お姉さん。


それに――コッチの境界とは何の事だと。


ルイ

「いや……だって、コッチの世界に人間は居ないし」


総司

「待て待て待て、それは俺も見たから分かるさ?」


一体、何の話をしているのか分からなくなる。


コッチの境界とは一体、なんの事を指すのか……。


ますます話が分からなくなる。


ルイ

「ふぅ……簡単な話よ、“境界の向こう側には居る”」


総司

「だから、“境界”ってなんだよ?」


ルイ

「詳しくは分からないけど、“居るらしい”の人間が」


――ガシャガシャ!!


総司

「はぁ……何がなんだか分からねぇよ――」


俺は思いっ切り頭を掻きむしりながら、俯く。


あまりにも曖昧で、謎に満ちたこの異世界に。


ルイ

「そう言えば、コチラ側の人間じゃないって言ったよね?」


総司

「あぁ……そうだ。“この世界に存在しない人間だ”」


ルイ

「つまり……“境界の向こう側の人間じゃない”と?」


総司

「そうだ、その境界は知らねぇが……」


総司

「“全部を引っくるめても”――“俺は存在しない”」


このままだと、話がまとまらない。だから俺は全てと表現した。


きっと、これが今出来る最適解なのだ――。


暫くポカーンとしていた様子なルイだったが、やっとキリッとした表情を見せ始める。


ルイ

「つまり……“本当に別の世界”からやって来た?」


総司

「あぁ……そうだ。“こんな世界には居なかった”」


ルイ

「なる……ほど――ね」


総司

「これが全てだよ。元の世界でも俺はオジサンだった」


悲しい事に多分……容姿はほぼ変わっていない。


変わった事は、ほんのチョッピリ若返った……?


肌感や腕毛が薄くなったくらいの変化だろう。


本当にどうでも良い事だった。


ルイ

「そっか……何となくだけど、違和感はあった」


総司

「ははっ……そりゃお互い様だろう?」


ルイ

「そうね、お互い――“見慣れない”ものね?」


総司

「あぁ……本当にな――」


見慣れないなんてモノじゃない――。


今だって、何かの夢を見ているのかも知れない。


もしくは、本当にオーバーテクノロジーなVR空間に俺が居る?


その線はどうしても拭えないのだから。


ルイ

「んっ……? どうしたの? 私の顔をジロジロ見て」


総司

「……いや、何でもない」


だって……あまりにも“リアル過ぎる”んだ。


ピチピチして、ツヤツヤした褐色肌に――。


とっても美しくて可愛らしくて……。


とっても凛々しい姿の、美少女褐色エルフが目の前に居るだなんて。


それだけじゃない――息遣いも、妙に生々しい叡智な香りも、何もかもがリアル過ぎて、意味が分からない。


本当にココは現実なのか? 夢でも見ている?


それとも――仮想空間の中に閉じ込められている?


そう思ってしまえば、ただグルグルと無限ループするだけ。


総司

「いや……“何かあるとすれば”――」


ルイ

「何かあるとすれば……?」


ただ、これだけは聞かなくてはならなかった。


総司

「俺達って……“存在して実在してる”よな……?」


ルイ

「ふっ……“何を当たり前の事を言ってる”のよ――」


ルイ

「私もアナタも存在してるし、実在してる」


総司

「ははっ……そう――だよな? 変な事言ってごめん 」


ルイ

「少なくとも、“私は長い間ココで過ごして来た”」


ルイ

「アナタも――“全く別の世界で生きて来たんでしょ”」


総司

「あぁ……“多分”な」


こんな展開になれば、自分自身も疑ってしまうものだ。


本当に俺は実在していたのかって。


もしかしたら俺は全て、“作られた存在”なのではないかって。


あまりにも現実離れした展開過ぎて、俺もルイもそもそもが実在しない、仮想現実の世界の住民じゃないかって……。


そんな漫画やゲーム、アニメみたいな展開になる訳がないだろうって。


それに、それらに出てくる主人公みたく、すぐに現実を受け入れる訳がない。


オジサンって生き物は、とにかく疑い深いモノだ。


そう簡単に現実を受け入れられる筈が無い……。


――スッ……ギュッ――。


ルイ

「大丈夫、“私達は存在してるし実在してる”」


俺の震える手を強く握り、純粋で力強い目線を送るルイの姿――。


総司

「ははっ……だってさ――怖いんだ……」


ルイ

「何が……?」


総司

「今までの事全てが――“作り物”じゃないかって」


ルイ

「作り物……ね――あっははっ? “面白い話”ね」


総司

「へっ……? 何が面白い話なんだよ……」


ルイ

「“別に作り物でも良いじゃない”……くだらない」


総司

「えっ……何を――?」


――ガッッ!! グイっッ!! ズッ――。


ルイ

「“アナタが私に名前を付けてくれた”……」


ルイ

「それだけで十分――なの……」


……ちゅっ――。


総司

「…………」


ルイ

「どう? 落ち着いた……?」


総司

「…………“落ち着くワケねぇ”だろ――ったく」


テーブルに向かい合って会話をしていた俺達は、軽いキスをしていた。


ルイの些細な仕草に一気に現実感が湧いてくる。


そんな自然な動作を見せられたらもう……。


総司

「考え過ぎだな。ありがとう、落ち着いたよ」


ルイ

「――ったく、“全くどっちなのよ”……もう?」


正解はどっちもだ。とってもドキドキしたし、落ち着けた。


そして、とても冷静になれた。


やっぱりここは“現実”なのだと。


仮にそんなオーバーテクノロジーな仮想現実があったとする、ただのオッサンである俺の脳は耐え切れない。


何らかのケーブルを脳ミソに繋いだとしても、きっと一瞬で弾け飛んで、脳ミソも体もお陀仏だ……。


総司

「わりぃ、ワリィ、そんじゃ語ろうか……」


総司

「お互いの事……“その全てを”――」


《日時? お昼 ルイの家》


――あれから、俺達はガッツリとお互いの事を話し合った。


俺の世界での出来事、それから俺自身のコト。


ルイからは、自分が知っている事を全て聞いた。


ルイ

「なる……ほ――ど……“似た様な世界”なんだ」


総司

「あぁ……ここまで退廃的で荒廃はしてねぇけど」


ルイ

「それに……人間ばかりの世界に居ただなんて――」


総司

「あぁ……人間しか居らず、“エルフも居ない”――」


掻い摘んだ会話だったが、ある程度理解はしてくれるだろう。


世の中、何となくで大体意味は伝わるものだ。


ルイ

「ゴブリンも、オークも……“魔物”もだよね……?」


総司

「まぁ……俺からしたら“ルイも魔物みたいなモン”だぞ?」


ルイ

「ちょっと!! 本当に失礼な人ね? アナタって」


総司

「違う違う……人間ばかりの世界だったんだ」


総司

「そんな世界に居たらさ……“誰だってそう見える”」


凄く失礼な事を言っている自覚はある。


でも、オジサンからして見ればそうだ……。


幽霊や妖怪、その他に分類するモノは、魔物みたいなモノとして見てしまう。


だって、形容し難いモノにどう説明すればいい?


話は至って簡単だった。


総司

「で……“ナニか異論”はあるかな?」


ルイ

「まっ……まぁ――そうだよね、“存在しないから”」


総司

「あぁ……自分が知らない未知のモノは、そう見えてしまうモノだ」


ルイ

「でも……魔物だなんて本当失礼だわ?」


総司

「だから悪かったって!! 例え話をしたまでだ」


ルイはキッ――と不満そうな表情を向ける。


俺は、バツが悪そうに目を逸らして、別の話題を振る事に。


総司

「で……出られないんだろ? “境界の外”には……」


ルイ

「えぇ……“街の外に森がある”のは知ってる?」


総司

「知ってるも何も、さっき聞いたばかりだぜ?」


ルイ

「あ……うん、でね? さっき話した通り、外には出られないんだ……」


総司

虹色(にびいろ)の……“結界”――ねぇ……?」


ルイ

「えぇ……食料確保や報酬目当てで森には行くけど、最後に行き着く先は……虹色の壁があってね……」


総司

「ふむ……“隔離世界”――か」


隔離世界と言う表現は果たしてあっているのか?


それは分からない――でも、何となくそんな表現で合っている気がした。


ルイ

「えぇ……“それがこの世界”なの」


総司

「……で、“他のヤツは大丈夫”なのかよ?」


これには色んな意味を含ませている。


そう……“色んな意味”を。


ルイ

「まぁ……そうね、外の世界を知りたい気持ちは誰にでもあるの」


ルイ

「でも……それよりも――」


総司

「なっ……何だよ、言い淀んで……?」


なんだか重苦しい空気が流れ始めた気がする。


ズーンっと空気が重くなり、どこか張り詰めた様な圧迫感の数々――。


めちゃくちゃ厭な予感ばかりが増大して……。


ほんっと――ならない。


ルイ

「ふふっ――“無理矢理突破したら死ぬの”」


ガタッ――ダンッ――!!


総司

「ははっ……なんだよそれ? 死ぬ……?」


思わず動揺して、テーブルを揺らしてしまった。


ただ単純に、外に出られないだけかと思っていた。


この世界から出る事が出来ない……ただの箱庭。


そんな甘っちょろい考えは、すぐに吹き飛ばされた。


ルイ

「えぇ……今まで何度も外に出ようとしたモノは居た」


ルイ

「でも……いつも決まって“バラッバラの話”だけ」


総司

「魔法かナニかでヤラれるってワケ……か――」


ルイ

「そうよ、“この世界には魔法が存在する”の」


ルイ

「決まって話はこうだわ? また刻まれたってね」


総司

「んぐっ――何かこう……エグい話だなおい」


何だかヤバい世界に紛れ込んだ気がした。


現世では馬鹿みたいな死に方して、今度はどうだ?


まるでファンタジーモノな世界にお出ましだ。


ルイ

「……それ以降、そんな話が出てきても、みんな別に気にする事はなくなった」


総司

「ははっ――でも、“コッチの世界も同じ”か……」


ルイ

「どう言う意味……?」


総司

「そのままさ――“最初はみんな心配すんだ”……」


ルイ

「うん……」


総司

「でもさ……“そんな話題が増え過ぎ”たら?」


ルイ

「徐々に――“薄くなる”」


総司

「あぁ……そうだ、だから気に病む事はない」


総司

「世の中ってのは――“大抵そんなもんだ”」


ルイ

「ははっ……そうだね」


お互い思う所はある。でも、世の中はどうしょうもなく、そんなモノなのだ。


治安が年々悪くなり、景気が悪くなり、良くなる気配がない……。


するとどうだろう? 始めこそ反発はするだろう。


でも――それでも解決しなければ?


後は諦め、やがて“同化し始める”だけ。


それが当たり前なんだ、そんな状況なんだって。


“間違った事”があたかも、“正解にすり替えられる”。


見たくないモノに蓋をし続け、気がつけばゴミの山。


総司

「……悔しいけどな、“世の中ってこんなもん”」


ルイ

「ふふっ……“悲しいね”? ほんっ――と……」


総司

「あぁ……ほんっ――と……悲しい話さ」


ドコに行ったって問題は山積みで、解決しなければ間違った解釈で物事は勝手に進んで行くだけ。


やがて夢や希望も潰えて、朽ち果てるのを待つだけの人生に成り果てる。


何の為に生きているのか、何の為に働くのか、何の為に自分が存在しているのか――。


そんな存在証明すら出来ずに、ただ息吸って動くだけのモノに成り果てる。


これがこの世界にも、現世にも起きている事。


現世も異世界も本質的なモノは何一つ……。


“変わっちゃいない”。


――パンッッ!!


総司

「それはそうとだ、魔法について詳しく聞かせてくれ」


重苦しい空気に耐え切れず、俺は自分の頬を両手で叩いた。


何か、この空気を変えたくて。


ルイ

「あっ――えぇ、さっきも説明したけど、“街中じゃ魔法は禁止”」


ルイ

「後はそうだな……森の方は簡単な魔法は使えるけど、環境を破壊する程の大魔法は禁止なの」


総司

「そりゃそうだろオメェ……食いもんが消し飛ぶぜ」


ルイ

「そう、森には大事な食料である動物だったり、川もあるからね」


総司

「それが分かって良かった」


ルイ

「だから、森に入れば“大魔法を放てる魔力は没収”」


総司

「ほぉ……? そりゃ面白い」


大魔法を放てる魔力は没収――一体どんなカラクリがあるのか。


俺は非常に気になっていた。


ルイ

「吸い取られた魔力は街中に飛び回り、街中に配られて、“様々なモノに変換される”」


総司

「なら……この家の明かりも?」


不思議なモノで、本当にこればかりは現世と何ら変わらないのだ。


水道からは水が出て、暖かい温水のシャワーが浴びられて、完全に電気やガス……みたいなモノは張り巡らされている。


ルイ

「そうよ。ただ……“毎月使用量を取られる”わ?」


――ずごぉッッ!! ドッ――!!


総司

「オイオイ……“超絶現実”じゃん……」


俺は思わずテーブルに突っ伏した。


だって……あまりにも現実味を帯びているから。


ルイ

「全く……既に魔力吸い取られてるのに、更に使用量取るってなんなのよ……」


総司

「マジで変わらねぇな……クソみたいな税金システムに関しては」


現世でも年々、税金システムがぶっ壊れ始め、国民がブチギレたモノの……。


更に酷くなって、ドンドン景気は冷えて、観光客もまばらになった。


やれ……観光大国だ? 移住政策だ? 共生だ?


そうやって、利権利権利権利権って……テメェの懐を温める政策ばかり、政府はやりやがった。


結果、理由も分からぬまま税金は増え続けて、全世界が傾き、朽ちて行くだけ――。


ルイ

「でも良かった……“ここが持ち家で”」


総司

「雨風凌げる家があるだけまだマシだな」


ルイ

「えぇ……この家は唯一“両親が遺してくれた家”なのよ」


総司

「――そうか、ここで一人だったのかずっと……」


ルイ

「えぇ……そう。ずっと――“一人で生きて来た”」


総司

「何と言えばいいか……その、わりぃ」


何となくルイの悲しみを汲んでやれる気がした。


こんな終わってる世界の中、一人で生きてきたんだ。


外の世界も見れず、無理に出ようとすれば――。


死ぬ様な世界の中で。


ルイ

「でも……いいの、“一生アナタと一緒だから”」


総司

「――あっ……」


ルイ

「だからいいの、ふふっ? これからはさ……」


総司

「……っぐっごぐっ――ッ――」


ルイ

「“死ぬ時も一緒だから”」


総司

「……あぁ、そうだな」


この世界では、名前をつけられたモノはなんとやら。


つまり……“結婚みたいなモノ”なのだろう。


ルイ

「ほらぁ……見て? “左手の薬指”」


総司

「んぁ……? んっ――あ……“赤いリング”……」


ルイ

「とっても……“素敵でしょ”?」


総司

「お……おう? なんか――実感が湧かねぇんだ」


ルイ

「私もよ――でも、ゆっくり共に歩みましょう?」


総司

「あぁ……ゆっくり――な?」


俺達の左手の薬指には……。


まるで血の様な色をした、リングがはめられていた。


なんと言えばいいか……ただの輪っかなのに、どこか異質に感じられて、禍々しい気がした。


ルイ

「ふぅ……話疲れたな――“寝室に行きましょ”?」


総司

「え"ッッ――?! まだお昼だよ……?」


ルイ

「だってやる事無いし、ならお昼寝しましょ?」


総司

「ふぅ……分かった」


ただ昼寝するだけならいいが……どうなる事やら。


そんな事を思っていると――。


ルイ

「ふふっ……これからずっと――“一緒”」


総司

「お……おう?」


どこか艶めかしい表情でコチラを見詰めるルイ。


綺麗な紅い瞳がキラリと光ったと思えば、俺は思わず身震いした。


ルイ

「ねぇ……ほら――行こ?」


総司

「お……おん――」


そのまま自然に身を任せて、そのまま――。























































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