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エターナルおぢさん〜隔離世界ノ中で〜  作者: 世界最弱ノ作者
13/13

本当の闇ルート解放で草。

《日時? 昼 街中》


――ただただ空腹だった。


俺達は闇ルートの仕事をこなし、街中で食材を探していた。


食パンを噛じりながら……。


総司

「ふぅ……少しは腹が満たされたな」


ルイ

「えぇ……チョットはね?」


二人で食パンを噛じりながら、ただ練り歩く。


昼時だからなのか、街中は大いに賑わっていた。


露店で買い物をするヤツに、露店前で食事をするヤツ。


ただただ、街をブラブラするヤツ――。


現世と若干違う所はあれど、見慣れた光景だった。


でも――やはり、闇ルートのオークの言う通り……。


俺の存在は、“無いモノ”と扱われている。


ルイ

「なに? 何か考えてるみたいだけど……?」


総司

「いや……“この街の中に”――“居る”んだよな?」


ルイ

「あぁ……“箝口令”」


総司

「だとすれば――ヤッパリ……“アイツ”か?」


空腹でバタバタして、あまり考える時間がなかった。


でも……“アイツ”ならあり得るのだ。


ルイ

「何? “誰か当たりをつけた”の?」


総司

「……あぁ。例えば――“アイツとか”」


俺は視線をソイツにスゥ――と、向けた。


ルイ

「……“猫耳お姉さん”」


総司

「あぁ……“多分アイツ”」


ルイ

「悪意の匂いとか、ナントカ言ってたもんね……」


総司

「あぁ……そうだ。何て言ったかは覚えてねぇけど」


ルイ

「“男の勘”とかナントカなんでしょ?」


総司

「まぁ……そんなトコロだ。“見てみろアレ”――」


俺は顎をクイッ――とさせ、ルイに合図を送る。


ルイ

「……“凄い”――“ニコニコ”しながら接客してる」


ルイは食い入る様に、猫耳お姉さんを見ていた。


総司

「なぁ……“胡散臭い”だろ? どう見ても……お前」


どう見ても高そうな着物を着て、露店で仕事?


そもそも、ソコからもう怪しいのだ……。


真っ白な髪を(なび)かせ、凛々しく働く。


でも――きっと、“メガネの奥はニコニコしてない”。


“作り物感”が、どうしても拭えない――。


ルイ

「“分からない”……わ? “普通に見える”けど……」


総司

「――世の中、“普通に見えるヤツは案外”……」


総司

「“かなり危険”だったりすんだよ……覚えとけ」


ルイ

「へぇ……そうなんだ?」


……ザッ――ガクッ……。


俺はガックリしていた。


ルイは出来るけど、何処か抜けているのだから……。


総司

「お前……良く、この世界で生きて来られたな?」


ルイ

「まぁ……この世界って、“あんまり干渉しない”し」


総司

「ふぅ……まぁいいや。ただ、“疑う目を持てよ”?」


それは“他人でも自分”でも、何でもだ。


世の中ってのは、善が全てじゃない――。


少なからず、“悪も混じっている”ものだ。


誰だって、疑いたくないモノだ。


でも――自分を守り、周りを守るにはソレが必要だ。


ルイ

「まぁ……分かったわ。もう少し考えてみる」


総司

「あぁ……そうしてくれ。ふぅ……で、だ――」


ルイ

「何? これからどうするツモリ……?」


総司

「ふふっ……“逆にコッチからチョッカイ掛ける”」


ルイ

「え"っッ――?! 何々、どう言うコト……??」


総司

「ハハッ――“アッチにバレてんだ”……」


総司

「“バレてんなら話は別なんだよ”」


ルイ

「ナニソレ……“意味分かんない”」


総司

「説明してる時間はねぇ……ほら行くぞ?」


ルイ

「わ……分かったわ!!」


疑う目を持てって言葉の意味は、コッチの素性を相手が知らない場合の話だ。


そして、逆も(しか)りだ。


お互い……認知してしまえば話は別だ。


同じく知ってんなら、それはもう――。


疑う目で遠ざけるのではなく、“探り合う”だけ。


……タッタッタッタッ――。


俺は雑踏の中を華麗に歩く。


周りの異種族は、綺麗に俺を避けて行き――。


……タッ――。


猫耳お姉さん

「……ん? あら――アナタ……“この前の”?」


目の前にはポカーンとした、猫耳お姉さん。


俺はきっと――“悪そうな顔”をしているのだろう。


総司

「よう? この前は話せなくて悪かったな?」


猫耳お姉さん

「あぁ……えぇ。“接客中”だったし、大丈夫よ」


猫耳お姉さんは何か、考え事でもしている様な素振りを見せた。


総司

「いやぁ……“ゴブリンと仲良くやってたから”よ?」


気が付けば、猫耳お姉さんの露店前は閑散としていた。


むしろ、コチラに好都合だった。


猫耳お姉さん

「えぇ……最近、良く買ってくれるの、あの方は」


総司

「ハハッ――だから、“俺達はすぐに離れたんだ”」


猫耳お姉さん

「ふふっ――そうかしら? “避けてる気がしたわ”」


総司

「――あぁ……だって、“胡散臭くてよ”――?」


お互い、“一歩も引かない”――。


男は度胸、女は愛嬌、オカマは最強。


良くそう言われたものだが、“ココでは違う”。


“引かない勇気”と……“度胸”だけ。


どれだけ“肝が据わってる”かどうか――。


ただ、それだけだ。


猫耳お姉さん

「ふぅ……ココじゃなんだし、“ソコ行かない”?」


姉耳お姉さんは、ドコかを指さした。 


その先に見えたものは……。


総司

「……ハッハッハッ――“立派なビル”だな」


周りのビル群は、ヒビ割れや老朽化が進み、かなり廃れていた。


でも……あのビルだけは、何処か小綺麗だった。


猫耳お姉さん

「えぇ……そうでしょ? さ、エルフのアナタも」


ルイ

「……えっ? あ――はい?」


ルイはポカーンとしていた。


総司

「んじゃ、行きますかっ――と……」


この先の展開は誰にも分からない。


でも……ここを避けたら、何も始まらないのだ。


これがもし、本当の闇ルート解放に繋がるとしても。


ココだけは――“避けられない”。


《街中 昼 謎の一等地ビル・エントランス》


――俺達は、謎の立派なビルの中に居た。


露店は、他のモノが店番を任されていた。


これで懸念していた事は一応、無くなった。


露店が放ったらかしにならない事と、ちゃんと話が出来そうな事だ。


総司

「悪いな……他のヤツに店任す事になって」


猫耳お姉さん

「ふふっ……イイのよ」


猫耳お姉さん

「たまには、“息抜きもしたいし”……ね?」


総司

「へぇ〜〜? まぁ、何て言うか……うん」


猫耳お姉さん

「んっ……? なに? どうかした?」


総司

「あっ――ははっ……“儲かってんなってさ”――」


ビルの内部も小綺麗だ。確かに、ピカピカじゃない。


でも……ちゃんと手入れされていて、清潔だった。


それに――“息抜きと言うワード”だ。


忙しく過ごしてる事が伝わって来た。


猫耳お姉さん

「ふぅ……そうなの。“朝も夜も”――“働き詰め”」


猫耳お姉さん

「仕事ばっかりで、“お金ばかり貯まるわ”」


猫耳お姉さんは自分の頬に手をあて、俯く。


コチラからしたら、景気のイイ話に聞こえてならない……。


総司

「で、行かないのか? “部屋”に」


いつまでも、下で待機している場合じゃない。


こうして立っているだけでも、疲れるのだ……。


猫耳お姉さん

「それじゃ……案内するわ? 着いてきて?」


総司

「……おい、ルイ? なにボーッとしてる?」


ルイ

「……えっ? あっ――いや、何がなんだか……」


総司

「ふっ――良いんだよ、それは俺もだ」


猫耳お姉さん

「あら……? “アナタ”――“名前”を?」


話の矛先はルイに向いていた。


ルイ

「えぇ……まぁ――はい」


ルイは何だか恥ずかしそうに、頭を掻いた。


総司

「まっ――この話は後だ。まずは先を急ごう」


猫耳お姉さん

「分かったわ。さ――エレベーターに乗って?」


総司

「ふぅ……分かった」


こんな場所で長話する気はない。


俺は端的に何が起きているか、それだけ聞けたらイイのだ。


――チーーン……。


お互いそのまま沈黙を貫いていると、エレベーターが1階まで降りて来た。


猫耳お姉さん

「……ふふっ――“色々お話しましょうか”……」


……ドキっッ――!!


妙に胸がザワザワした。


これから――大きく何かが進む気がして。


総司

「あぁ……“望むトコロ”だよ」


ルイ

「ハァ……なんなの一体――ははっ……?」


三者三様――色んな思いが交差する。


ナニかを企むヤツに――踏み込むモノ。


そして――ワケも分からず流されるモノ。


後は自然に流されて、行き着くだけ……。


《日時? 昼 謎の一等地ビル・謎の部屋》


――コトっッ……。


猫耳お姉さん

「紅茶でいいかしら?」


目の前には高そうなカップと紅茶。


それを見た俺は――。


総司

「……出来れば“ブラックコーヒー”が欲しい」


ルイ

「ちょっと……物凄く高いんだからね? 紅茶」


総司

「分かってる――だが、“コーヒーが飲みたい”」


こう言った機会でしか、多分飲めないのだ……。


なら、交渉してみるのもアリだろう。


時には欲に忠実に。それが“おぢさん”だ。


猫耳お姉さん

「ふふっ……分かったわ? ならアナタが飲んで?」


メイド?

「……コク――」


……カチャッ――スッ――。


猫耳お姉さんは、メイドらしきエルフに紅茶を引き取らせた。


総司

「ワリぃな? メイド……さん?」


メイド?

「……ブンブン――」


総司

「ブンブンじゃないよ……声に出てんのよ……」


大丈夫です〜〜的な、アレが口に出ていた。


総司

「とりあえず、先に二人は紅茶飲んでてくれ」


ルイ

「ふぅ……じゃあ、お言葉に甘えて――」


ルイ

「それじゃ、頂くわね? 猫耳お姉さん」


猫耳お姉さん

「ふふっ……そんな、かしこまらないで?」


ルイ

「あ……いや、あまり飲めないから嬉しくて」


猫耳お姉さん

「大丈夫――遠慮せず、沢山飲んでね?」


ルイ

「は……はぁ――い……頂きます……」


――カチャッ……すっ……。


ルイ

「……お――美味しい……何コレ――香りが広がる」


総司

「えっ……? なんか俺も欲しくなったんだが?」


ルイ

「何言ってるの……アナタはコーヒーでしょ?」


総司

「人が美味しく飲んでたら、欲しくなんだろ……」


猫耳お姉さん

「あっはっはっはっ――こりゃいい……」


猫耳お姉さん

「ふぅ……流石、“人間”ね……ふふっ――“本物”だ」


猫耳お姉さんは、バルンバルンなお胸を、手でパタパタさせて、笑っていた。


嗤うではなく――笑うだ。


総司

「まぁ……人間程――意味分かんねぇヤツ居ねぇよ」


猫耳お姉さん

「ふふっ……“本当”にね?」


総司

「人間って生きモンはな……コロコロ変わんのよ」


総司

「“そう言う生きモンだ”――」


ルイ

「まぁ……ソコも良さであり、悪さでもあるわね」


総司

「良いんだよ……“そうして生きる生きモンだから”」


色々考えて、悩んで、モヤモヤして……。


あーだこうだ言って、迷い続けて答えを出す。


ソレが人間ってモノなのだから。


猫耳お姉さん

「ふぅ……しかし――“妙だねぇ”……ほんっと――」


猫耳お姉さんは、紅茶をふぅふぅしながら、ふと……そんな事を呟いた。


総司

「……妙? “なんのコト”だ?」


何となく、俺自身も違和感を覚えていた。


ソレが何なのかは分からない。


でも……確かに心につかえる、“ナニか”があった。


猫耳耳お姉さん

「……ふふっ――いや、だって……うん――」


……コトっッ――。


紅茶をテーブルに置き、スゥ……と、コチラを見る猫耳お姉さん。


何処か――真剣な眼差しに見えて、俺は生唾を飲んだ。


ナニか、重要な事が聞けそうだと。


猫耳お姉さん

「だってさ……“女の人間”だって聞いたんだ」


……ゾワッッ――。


総司

「……はっ? 女――の人間……??」


俺は動揺していた。この隔離された世界に……。


人間が――“二人”?


予想していたコトが大きく外れていた。


どうせ、“俺を利用するツモリで見ていた”と……。


でも……どうやら、そうじゃないらしい。


猫耳お姉さん

「あぁ……そうさ。私は女だと聞いたんだ」


ルイ

「ははっ……この世界にもう一人居るの……?」


猫耳お姉さん

「えぇ……どうやらそうみたい。ほら……ね?」


猫耳お姉さんは、俺のほうへ視線を向けた。


ルイ

「……あはっ?! 凄いや……人間が二人も……」


猫耳お姉さん

「えぇ……大変な事よ。まさか二人居るなんてね?」


総司

「……ワリぃ――“大きな勘違い”してたみたいだ」


猫耳お姉さん

「んっ――? いや……“勘違いじゃない”わよ?」


総司

「……はい? 勘違いじゃない? えっ……?」


意味が分からなかった。勘違いじゃないとは?


つまり――ヤッパリ、この猫耳お姉さんは……。


猫耳お姉さん

「うっふふっ……“想像通り”よ――」


総司

「……つまり、“最初から利用”しようと――?」


猫耳お姉さん

「えぇ……“その通り”。“囲っておこうかなって”」


総司

「おほほほほほ……危ない危ない――ほんっと」


ルイ

「ふぅ……先にツバつけておいて良かったわ――」


猫耳お姉さん

「ほ〜〜んと……先越されたわ? 残念だけど」


総司

「オイオイ……やめてくれよ、モノみたいによ?」


何がなんだか分からないが、一応助かった模様。


いや……ルイもルイで――ヤバいが……まずだ。


猫耳お姉さん

「だってさ……“ラッキー”じゃない?」


猫耳お姉さん

「“お目当ての女”じゃなくて、“フリーの男”だし?」


総司

「なんか……うん――なんか……嫌だなその言葉」


何となく、不快だった。


都合の良い男的な意味で、なんか……うん。


猫耳お姉さん

「だって、“珍しいんだもん”……“人間”って――」


総司

「まぁ……ただの“オッサン”だけどな」


猫耳お姉さん

「それも良いのよ……ふふっ? ね? エルフさん」


ルイ

「……えっ? あ――はい」


総司

「ハァ……で、話したいんだけどイイか?」


この話題が長引いたらメンドイので、俺は本題に取り掛かる事にした。


猫耳お姉さん

「えぇ……どうぞ?」


総司

「まず、聞きたいのは――“誰だその女”」


男は黙ってドストレート。直球勝負だ。


猫耳お姉さん

「あぁ……“人間の女”? “結界の外の人間”だよ」


総司

「だろうね。で……何でまた、“コチラの世界に”?」


猫耳お姉さん

「さぁ……“分からないわ”? ただ、そう聞いたの」


総司

「何だそりゃ……じゃ、“箝口令を敷いた”のは?」


猫耳お姉さん

「あぁ……“それは私”。一応通達しとこってさ」


総司

「それは危害を街のヤツラが、加えない為か?」


猫耳お姉さん

「まっ――そんなトコロかなぁ〜〜?」


総司

「……そう――か。なる程、分かった」


正直、納得はいっていない。でも、納得できた。


ルイ

「それで、“その女の人間はドコ”に?」


猫耳お姉さん

「う〜〜ん――それも“ワカンナイ”」


総司

「お……おぉう……なんか……その――“軽いな”」


まるで他人事の様だった。あまり興味が無いみたいな。


猫耳お姉さん

「まぁ……“捕まえたら返さなきゃね”?」


総司

「は……はぁ――」


ごもっともなお話だった。何の為に箝口令を敷くのか。


そう言うコトだ。


猫耳お姉さん

「“知りたい事は違う”でしょう? ね? 聞いて?」


軽いと思ったら、逆にグイグイする猫耳お姉さんだった。


何だか、ノリノリな気がしてならない……。


総司

「なら、お言葉に甘えて。ふぅ……“出れるのか”?」


意味深な言葉だが、通じるだろう――きっと。


この猫耳お姉さんならば。


猫耳お姉さん

「いや……? “出られないわよ”?」


猫耳お姉さん

「“この世界からは”」


ズーーン……。


総司

「おぉふっ……で――出られない――か、やっぱり」


気分がズーーンと沈んだ。


やはりココは隔離された世界なのだろう。


結界とか言うヤツに阻まれて、隣の世界に行けない。


“狭い狭いエリア”が、“俺達の世界”なのだ。


猫耳お姉さん

「ただし――“例外を除いて”だけど」


総司

「……例外――?」


意味深な言葉が、猫耳お姉さんから返って来た。


猫耳お姉さん

「まぁ……端的に言えば、“位が高い人”とか?」


総司

「……何だよ――“地獄の沙汰も金次第”かよ」


権力や金が結局、どこの世界も正義なのだろう。


全く笑えない話だった。


猫耳お姉さん

「まっ――“そんなモン”でしょ? “常識的”にね?」


ルイ

「猫耳お姉さんは、“ソッチに行けないの”?」


ルイがキラーパスを出していた。


確かに気になる事だった。


猫耳お姉さん

「あぁ……無理よ。私はただの“商売人”だもん」


猫耳お姉さん

「あぁ……“人間じゃないけど”ね?」


総司

「ソコはどうでも良いんだよ……全く――」


本当にどうでも良かった。でも、猫耳お姉さんでも無理なら、どうするのだろうか?


ルイ

「なら……“食料品や医薬品関係の方”なの?」


猫耳お姉さん

「鋭いわね? エルフさん。まぁ……“大方正解”よ」


ルイ

「つまり……権力者が――この世界に出入りしてる」


猫耳お姉さん

「たまにだけどね? 頻繁には来ないわよ」


総司

「なんか嫌だな……ソイツらだけ出入り出来るって」


猫耳お姉さん

「まぁ……ね? コッチはアッチの世界を知らないし」


総司

「なぁ……いつか、アンタならアッチに行けるか?」


猫耳お姉さん

「さぁ……ね? 貢献度によるんじゃない?」


猫耳お姉さん

「どうしてそんな事を?」


総司

「いや、狭い世界で“窮屈”じゃんって思ってさ?」


単純な話だ。


隣街へ電車に乗ったはいいが、駅のホームから出られない。


こんな話があるかって事だ。


そして、元の街へ戻る羽目になる。


行きたくても、ガッチガチに出口や周りを囲まれて、隣街へ行く事は許されない……。


窮屈にも程があるのだ。


超極秘軍事地点なら、話は分かる。


ただ……隣街へ行けないは、おかしな話だ。


猫耳お姉さん

「う〜〜ん、行ってみたいけど、別に良いかな?」


ルイ

「えぇ……別に、ココでも何とか生きれるし」


総司

「ふぅ……“まるで茹でガエル”だな」


温度がジワジワ上がってんのに、気が付かずに……。


茹であがるアレだ。


同じ場所に居過ぎて、それが当たり前にすり替わった。


そして、それが普通で慣れてしまった。


猫耳お姉さん

「ふふっ……アナタは良いわね? “色々見れて”」


総司

「ふっ……色々見すぎて、“色を失ったよ”――」


便利で良い世界も――徐々に壊れて行く世界も。


俺は……同じ時間、同じ空間の中で過ごして来た。


でも、別にソレが駄目だとは言っていない。


それも一つのストーリーなのだから。


猫耳お姉さん

「アナタ……“コッチの人間じゃない”でしょ?」


総司

「あぁ……“別の世界で生きてきたオッサン”だ」


ルイ

「あっ――?! ちょ……?!」


総司

「良いんだ、ルイ。別にコイツは悪さしねぇよ」


ルイは動揺していた。軽く秘密を打ち明けるものだから。


でも、お互い様なのだ。


コチラだけ、得をするワケにはいかない。


猫耳お姉さん

「やっぱり――何となく、そう思ったんだ」


総司

「まっ……“そんなモン”よな?」


猫耳お姉さん

「ふふっ……“なら私の事は当てられる”?」


そんな問いに俺は……。


総司

「あぁ……分かるぜ? ふふっ……“勘だがな”?」


猫耳お姉さん

「ならどうぞ? 当ててみて?」


俺は何故か、“確信的なモノ”を感じていた。


こんな高級そうな場所に住んでる以上……つまり。


総司

「“ピー館の女主人”――そんなトコロだ」


猫耳お姉さんは、自分の口元を隠しながら俯く。


そのまま……。


猫耳お姉さん

「ふぅ……そう。“大正解”よ」


総司

「まっ――そんなトコロだよな? 稼ぐって言えば」


猫耳お姉さん

「えぇ……だから“囲っとこう”かなって?」


総司

「オイオイ……“ナニ”させるツモリだよ……?」


猫耳お姉さん

「“ナニ”って――“とびっきり上玉な娘”の?」


総司

「……オイオイ――勘弁してくれよ……えっ?」


猫耳お姉さん

「いやいやいや……“今日は凄い娘くるの”」


総司

「オイオイオイオイ……“バケモンみたいなヤツ”?」


本当に勘弁して欲しかった。


チェンジ要求的な、アレなアレが来る?


そんな想像をしてしまったのだ。


ルイ

「なに……働く気になってんのよ……もう」


総司

「バッ――チゲぇよ!! ちょっと気になったの」


ルイ

「ま……まぁ――そんな私もチョット気になる……」


総司

「お前もオナぢじゃん……全くよ――ハァ……」


結局、俺達は何となく気になっていた。


そんな仕事をした事が無いのだから……。


猫耳お姉さん

「うっふふ……まぁ――“ある意味”?」


猫耳お姉さん

「“バケモン”……なのかな? どう? 気になる?」


総司

「うぎ――ギッ――ぐっ……き――ぎに"な"る……」


ルイ

「う……うん――なんか……気になるわね――」


猫耳お姉さん

「なら、“二人でお試しで働かない”?」


――ドーーーーーーンッッ!!!!


その時、謎の強い衝撃が俺達を襲っていた。


ルイ

「ぐぬぬぬっ……“お金は”――“弾むの”?」


総司

「オイオイ……なんでお前がぐぬぬぬっなんだよ?」


俺のセリフだった。


悔しそうにルイは歯を食いしばって、聞いていた。


猫耳お姉さん

「えぇ……“特別に沢山弾ませる”わ?」


……ぽよん――ポヨンポヨン……!!


大きなスイカが……バルンバルンしていた――。


総司

「……“ヤル”? その……あの――“二人”で?」


ルイ

「……ふふっ? どうしよっか――ほんっと……」


俺達は戸惑いの中、苦しんでいた。


――ガチャッ……タッタッタッタッ――カタッ……。


目の前にはアツアツなブラックコーヒーが……。


メイド?

「……コクっ――」


総司

「コクっ……じゃねぇよ――ふぅ……頂きます」


俺は気まずそうに、コーヒーに手をつける。


総司

「……んっ――ゴクッ……んっ――??!!」


……パァ〜〜ふぁ〜〜。


総司

「ゔっ――おぉ゙……おぼぼぼぼっ――おうふっ……」


脳ミソが飛びかけた――。


超絶イライラしている時に、タバコを一本吸った時の、アレに似ていた。


まるで……頭の上から魂が抜ける様な、謎の感覚。


それと、本当に良いコーヒーを飲むと眠くなる。


いや……リラックス出来るアレだろう。


ルイ

「ちょっと……“ナニか変なの入れてない”よね?」


猫耳お姉さん

「ふふっ……入れてないわよ? “ソレより”……」


ルイ

「んなっ――なに?」


猫耳お姉さん

「アナタの方が――“危険じゃないの”……?」


ルイ

「えっ……?」


猫耳お姉さん

「ねぇ……“メイドちゃん”?」


メイド

「ブンブン……!!」


ルイ

「それはどう言う意味――?」


猫耳お姉さん

「ふぅ……さっきから“叡智な匂いする”わよ?」


ルイ

「うぐっ――ソレは……でも、体洗ったし……」


猫耳お姉さん

「無駄よ……“染みツイて取れない”わ?」


総司

「……ふぅ――メチャクチャうめぇや!!」


総司

「で……“何の話”?」


あまりのコーヒーの美味さに、別の世界にイッていた。


猫耳お姉さん

「あぁ……“二人は本当に適任”だなって?」


ルイ

「うぐぐっ――なんか……“恥ずかしい”――」 


総司

「なんだなんだ……? 変だぞルイ……」


猫耳お姉さん

「まぁ……“周りの人が言わないもんね”?」


ルイ

「えぇ……言われてハッとしたわ――ふぅ……」


猫耳お姉さん

「で……? どうする? やってみる?」


総司

「いや……ヤルも何も――“やり方しらねぇよ”」


ルイ

「どうすりゃイイのよ……もう――」


猫耳お姉さん

「なに……“お話するだけ”よ? “簡単”でしょ?」


何ともグレーなお話だった……。


言ってしまえば、建前上の自由恋愛?


総司

「どうする? いや――ルイはどうしたい?」


ルイ

「……“ヤルわ”。何かメチャクチャ恥ずかしいし」


猫耳お姉さん

「だってさ? アナタもイイわよね?」


総司

「“本当に知らねぇぞ”? 知らねぇしこんなコト」


猫耳お姉さん

「えぇ……“責任は私が全て取る”」


猫耳お姉さん

「それじゃ……そろそろ露店に戻るわね?」


総司

「あっ――ちょっ……?!」


猫耳お姉さん

「近くに寝床あるから、好きにしてイイわ?」


猫耳お姉さん

「メイドちゃんは、この部屋で待機してて?」


メイド

「んっ――」


猫耳お姉さん

「何かあったら、この娘に言って?」


総司

「あ……ハイ――」


猫耳お姉さん

「それじゃ、“夜迎えに来るわ”」


ルイ

「えぇ……それまでノンビリさせて貰う」


猫耳お姉さん

「ふふっ……フカフカなベッドで休んでいて?」


総司

「ふぅ……そりゃどうも」


猫耳お姉さん

「それじゃあね……?」


総司

「あぁ……またな」


こうして俺達は別れた。


ルイ

「ふぅ……それじゃ案内して――メイドさん」


メイド

「……んっ?」


ルイ

「んっ? じゃない……お部屋よ……“寝床”」


メイド

「……うんうん!!」


総司

「何なんだ……このメイドは……」


まるでロボットみたいなエルフだった。


背格好はルイとあまり変わらない。


緑色のショートカット姿で、なんか――凄くうん。


メッチャクチャ……良い匂いがする。


そんな不思議なメイドだった。


メイド

「あ〜〜うん、“喋れるよ”」


……ギクッ――!!


総司

「何だよ……喋れるじゃねぇかよ――ったく」


なんか胸がドキッとした。


イキナリ喋られたら誰でもビビるのだ。


メイド

「なんか……大事な話してるっぽいからさ?」


総司

「大した話してねぇよ……なぁ?」


ルイ

「えぇ……まぁ――そうね?」


何とも歯切れが悪いコト……。


メイド

「えへへ〜〜“ビックリした”でしょ?」


総司

「いや、“変な奴”いんなって思ったよ」


メイド

「あ〜〜酷い!! 初めて人間見たけど怖いなぁ」


総司

「それはお互い様だろ……何言ってんだコイツ」


ルイ

「あ〜〜とりあえず、疲れたし部屋に案内して?」


メイド

「むむむっ……こっちのエルフも感じ悪い……」


ルイ

「なによ……ソッチもペチャクチャうるさいのよ」


なんか……バチバチしていた。


空気が……凄く重くて仕方が無い――。


メイド

「はぁ……どうしてアナタ達みたいなのがココに」


総司

「まぁ……色々あんのよ? お前なんなんだよ?」


メイド

「“拾われたの”!! 主人様に!!」


総司

「あぁ……そうですか。“ご愁傷さま”」


メイド

「いやいやいやいや……“お気の毒”じゃないし」


総司

「で……“実際”は?」


メイド

「う〜〜ん……“忙しくてキツイ”かな?」


総司

「よし!! レッツゴー!! 早く案内してくれ」


メイド

「ちょ?! なに――襲われちゃうの?」


総司

「襲わねぇよ?! 誰がうるせぇヤツと――」


メイド

「やだ……ひどい――」


総司

「あ〜〜ハイハイ、とりあえず部屋まで行って?」


メイド

「う〜〜ん……?」


総司

「お前……もしかして――“暇なの”?」


メイド

「てへっ? バレちった? あっ……ははっ――?」


ルイ

「ふぅ……じゃあ“アナタもお昼寝”する?」


メイド

「えっ? イイの? すんごい助かるぅ〜〜!!」


総司

「う……うん? 寝れんの……これ?」 


ルイ

「大丈夫じゃない……? た――たぶん?」


メイド

「へへへ〜〜ラッキーお昼寝出来る〜〜!!」


総司

「なぁ……ルイ――」


ルイ

「えぇ……“ウザいわね”――」


メイド

「それじゃ……案内しまぁ〜〜〜〜す♪」


総司

「ハァ……まぁ――いっか」


そのまま俺達は寝床へと向かうだけ。


何だか、ドッ――と……疲れが押し寄せて来ていた。


ぐっすりと寝れそうだった。


《日時? 昼 一等地のビル 豪華な寝床》


――ずぴぃ〜〜ぐがぁ〜〜グガガッ――むぐっ……。


まるでカエルの大合唱だ。


メイドは部屋に着いた途端、ベッドに身を投げた。


そのまま、すぐに寝始めたら……大イビキかいて爆睡だ。


ルイ

「唯一の救いは……ベッドが二つある事ね」


総司

「あぁ……あんなのと寝れねぇよ――終わってる」


メイド

「ぐがっ――むごっ――ずびっ――ガァーガァー」


メイドはうつ伏せで、ぶっ倒れる様に爆睡をかます。


フカフカなベッドで良かった。


ある程度、遮音されてギリ耐えなのだ……。


ルイ

「全く――色気もク◯もないわね……」


総司

「あぁ……ありゃ“男”だわ」


ルイ

「ふふっ……とりあえず寝ましょうか?」


総司

「あぁ……ふぁ――あぁ〜〜っと……眠いしな――」


ルイ

「それに……“夜からはハードになる”」


総司

「あぁ……一体、どうなるのかも分かんねぇ……」


ルイ

「ふぅ……“ココはお預けね”」


総司

「そうしてくれ……頼む――いや、“ガチで”」


ルイ

「分かった……“我慢するわ”」


モゾモゾ……モジモジ――。


総司

「すまん――ココは耐えてくれ……」


ルイ

「今度……“埋め合わせしてね”」


……ピタッ――。


総司

「あぁ……“死ぬ程埋め合わせする”」


ルイ

「はぁ……なら宜しい」


総司

「…………」


ルイに我慢させているのは、分かってる。


でも……ココは耐えて貰わなきゃならない。


ガチの闇ルート解放で草なのだ……。


バッドエンドに見せ掛けた、正解なのか。


それとも――バッドエンドなのか。


俺には分からない……。


でも、きっとこれは“正解の選択肢”を選んだ。


ルイ

「んっ……」


――ぎゅっ……。


ルイ

「すぅ……スゥ……ふぅ……んっ――ふぅ……」


総司

「ヤバい……それは“反則”だぜ――ルイ……」


俺の着ているボロ切れを、小さな手で掴んで……。


可愛く寝息をたてるルイ。


総司

「……それに――コーヒー飲んで……“目が”――」


総司

「“ギンギン”だ……」


エルフ二人は既に、微睡みの世界へと旅立った。


俺だけが取り残されていた……。


総司

「トホホ……コーヒー飲むんじゃなかった……」


俺はそのまま、泣きながら目を瞑った。


この世界は――ナニかを得て、ナニかを失う。


実に現実的で、残酷だった……。














































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