寒空の元、死す。
他にはない世界観をお魅せ出来たら幸いです。小説書いてると言うか、ゲームのシナリオを描いてるみたいなものです。自分には絵を描く才能も、文才も勿論持ち合わせてはいませんし、音楽を作る事も出来ません。ですが、思い浮かんだ世界観をそのまま、ここに残して置きたかった。イチ、シナリオゲームファンである自分が、自分で描いたらどうなるんだろう? そんな好奇心だけで描いているだけに過ぎません。例え、音が無くても、絵が無くても、文章だけで表現出来たらいいなと。難しい事を言っているかも知れませんが、自分に出来る事と言えば、絵も音もない文字だけのシナリオゲームです。
小説は普段読みませんし、あまり好みではありませんので、あらかじめご了承ください。
――全くツイてねぇ人生だった。何をするにしても、失敗の連続で、空回りの日々……。
仕事も上手くいかない、憂さ晴らしにギャンブルしても、たまにしか勝てない。
ただまぁ……借金だけは無い事だけは救いだった。
その昔、親から言われた。借金だけはするなと。もし、したとしてもすぐに返済して、慎ましく生きろってさ。
それが唯一の救いだったのかも知れない。
――でもある時、そんな人生に大きな変化が起きた。
そう……それは雪が降りしきる寒い寒い夜の事。
総司
「チッ……湿気てんなぁ……年末だってのによ――」
久々に俺は街に出掛けていた。久々にギャンブルやったら勝てるのでは?
そんな誰もが思い描いた甘いフレーズを、思い付きで実行し、無事大敗!!
総司
「結局、競馬もスロも散々だったぜ……とほほ……」
都合、8万が消し飛び、帰り際にスーパーに寄り、惣菜を袋いっぱいになるまで買い込んで、タバコも解禁する事に……。
カチッ――ジジジッ……。
総司
「ふぅ……吸わなきゃやってらんねぇよ……こんなもんお前……」
とても冷え込む夜の公園で、キンキンに冷えたベンチに座りながら、タバコをふかす俺。
総司
「ゴホッ――ゴホッ――ふっ……ふぅ……久々にタバコ吸って、ヤニクラすらぁ……」
暫くタバコを禁煙していた為、超絶ヤニクラを起こしていた。一度でも禁煙し、失敗したヤツなら分かる、あの頭が重くてクラクラする感覚……。
同時に懐かしさも感じていた。
総司
「ははっ……◯坊かよ……あぁ……最高だぜおい」
その昔、初めてタバコを吸って、思いっきり肺に煙を入れたら、頭がキューってなってクラクラしたホロ苦い思い出を――。
総司
「……でも、ほんっと――悪くねぇ……」
タバコ片手に天を仰ぐと、青白い鉛色の空から大きな雪が降ってくる。
人生上がらねぇヤツにとって、最高の夜だった。
人間は平等だ。上がいれば下がいる。
人生がハッピーなヤツがいれば、俺みたいに悲惨なヤツもいて、それが平等なのだ。
同じ時、同じ場所――こうして雪は平等に降りしきる。人生の敗北者である俺にとっては、お似合いの光景だった。
総司
「ふぅ……ほんだら、帰るか――寒みぃしよ……」
タバコを携帯灰皿にぶち込んで、俺は公園のベンチから立ち去る……つもりだった。
……ザッ――ザッ――ザッ――。
総司
「ん……っ?」
雪が少し積もる公園内に、複数と思われる足音がジワジワと近付いてくる。
遠目から足音がする方へ目を向けると、兄妹の様なシルエットが見えた。
総司
「おいおい……こんな夜にガキんちょが出歩いてんなよ……」
ここ最近、物騒な事件が多く、景気がとても悪い世の中だ。そんな最中、夜の公園に子供が二人で出歩くなんて、まぁ……無い。
正直、ギョッとした目でその二人を眺めていると……。
ザッ――ピタッ……。
総司
「……おいおい、なんだよお二人さん?」
気がつけば俺の目の前には、ボーッと佇む兄妹の姿があった。
怪訝そうな表情を浮かべながら、俺はその二人を凝視すると、お互いボロボロで薄っぺらい服装をし、まさかの……裸足だった。
総司
「事情は知らねぇが、飯でも喰うか……?」
二人の視線の先を追うと、俺の隣に置かれたスーパーの袋が気になるのだと気が付き、俺は二人に声を掛けた。
兄妹
「コク……」
総司
「コク……じゃねぇよ――それに、お前ら裸足じゃねぇかよ? 何があったらそんなんなるんだよ……」
服装はボロボロだわ、オマケにこんな寒空で雪が降りしきる中、裸足だわで、映画のワンシーンかよなんて思いながら、俺は途方に暮れていた。
カチャチャチャ――ジジジ――スッ……。
パッ――!!
総司
「ほら……裸足でいると、凍傷になって足なくなんぞ? これで靴でも買ってこいよ」
俺は妹らしき子にお金を渡し、兄らしき子にスーパーの袋ごと手渡した。
兄妹
「……コクッ――」
ガシャガシャガシャガシャ……!!
総司
「早いところ、靴屋行ってちゃんと靴を買ってこい」
俺はバツが悪そうに頭を掻きながら、そのまま公園を後にする事にした。
本当は、一緒に靴屋に出向けば良かったが、あらぬ疑いを向けられたくは無かったのだ……。
俺に出来る、精一杯の施しはここまで。後は、兄妹がなんとかするしか無い話だ。
世の中、結局信じる者は自分だけ。誰も助けちゃくれない。最後には自らの決断で歩まなければならない。
――カチッ……ジジジ……。
総司
「なんだか分かんねぇけど……空っぽになっちまったぜ――はは……は……」
俺は公園を後にしながら、紫煙をくゆらせ帰路についた。
これは人生の上がらない、敗北者からのプレゼント。
財布は更に薄くなってしまったが、別に悪い気はしない。
人生なんてモノはそんなモノなのだ。それ以上でも以下でもない。
良い事があれば良くない事もある。引っくるめて平等なのだから。
出来る事ならば、あの兄妹に今後幸あれと願いながら、俺はひたすら自宅へと足を走らせる。
総司
「はぁ……ハァ……なんか――体が重い……?」
その最中、俺の体に何らかの異変が起きていた。
寒さのせいなのか、久々のタバコのせいで特大のヤニクラを起こしているのか、なんなのか……。
動悸がし心臓がドクドク、バクバクしだし、ズーンと頭が沈む様な感覚に襲われる。
総司
「あっ――マジでヤベェかも……気が遠退く――」
ザザッ――ガクッ――ドゴッ――!!
ぽた……。
頬に伝わる冷たい雪。目の前は真っ暗で、ただただ、心臓の鼓動がオカシクて、意識がスゥ――と、何処かへ引き摺り込まれる感覚だけが増大していく。
総司
「おいおい……終わりなのかよ――ここで……」
なんとなく、自分自身の終わりを悟っていた。
総司
「最後くれぇ――タバコ吸わせてくれや……」
タバコは手元から離れ、雪に埋もれて俺の最後の願いはもう……届かない。
総司
「は……はぁ――グッ――はっ――ふぅ……」
次第に呼吸が乱れ、息もマトモに吸えない……。
本当に人生の最後が訪れていた。
総司
「は……ははっ――最後も――悲惨……だ――」
最後の最後、タバコを一口すら吸えずに俺は――。
“死んだ”。




