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異世界ライフ加護が熊 〜転生したら神の熊がついてきた〜  作者: マーたん


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第33話 赤の点滅

前回のリクは??

ん??



第34話 赤の点滅 ― 風が告げた死の予兆 ―




■1 静寂のターミナルに走る“赤”


ターミナル開通式から三日。

初便の運行も無事に終え、村はこれまでにない活気に満ちていた。

夜のトモ村ターミナルは、荷物を降ろす者や行商人の笑い声が響き、穏やかな風が旗を揺らしていた。


だが――その静かな空間に、

チッ…… チッ……

と、耳をつんざくような金属音が混じったのは、リクだけが気づいた異変だった。


リクは足を止め、眉をひそめた。


「……今の音、なんだ?」


ターミナル中央の接続柱。

魔力循環装置の制御コア――そこに、小さな赤の点滅が灯っていた。


通常は青。

異常時は黄。

赤は…… 緊急警告、暴走前兆。


「まずい……!」

リクの背筋に氷の刃が走った。


その瞬間だった。


風が逆巻き、ターミナルの天井を揺らすほどの突風が吹いた。

リクの隣にいたセリアが、胸を押さえて膝をつく。


「……リク……いや……ダメ……っ!」


「セリア!?」


彼女の頬を涙が伝い落ちる。

その涙は恐怖からではない。

風の精霊が“強制的に”ビジョンを送りつけている証。


セリアは震えながら、リクの手を掴んだ。


「赤の点滅に注意しろ……

 さもないと……あなたは死ぬ……!」


夜の空気が、一瞬で凍りついた。



■2 風の娘が見た“死の予兆”


リクはセリアを抱き上げ、ターミナルの脇の管理棟に運び込んだ。

椅子に座らせると、彼女は額に汗を流しながらゆっくり呼吸を整えた。


「……見たんだな。ビジョンを」


「ええ……風の精霊たちが、必死で叫んでいたわ」


「何を?」


「――“死の影が近づいている”って。

 そして、その合図が……さっきの赤い点滅」


セリアの視線はリクの胸の奥――“神熊の核”へと向いた。


「リク……あなたを殺すために、

 何かが動き出している」


リクは黙った。

だが、胸の奥に痛むような感覚がある。

神熊の核が、じりじりと警戒音を鳴らしている。


敵は“神殺し用の装置”を起動させた可能性がある――。


「相手は……影王か?」


「影王だけじゃない……もっと古い、封印されていた“何か”。

 あなたの力を吸い取る存在」


セリアの声は震えていた。

普段、強気な彼女からこれほどの恐怖が滲むのは初めてだった。


「リク……私……守れないかもしれない……」


「セリア、そんなわけないだろ」


リクは彼女の手を包む。

温もりが触れた瞬間、セリアの瞳が揺れた。


「お前がいなきゃ……俺は今ここにいない。

 死ぬわけないだろ。守るから」


セリアの肩が震え、彼の胸に額を押しつけた。


「……リク……怖いの……」


「俺も怖い。でも、一人じゃない」


その時――外で爆音が響いた。



■3 “赤の点滅”が呼ぶ災害


ターミナル中央柱が、赤く激しく点滅し始めた。

さっきの弱い光ではない。

今は、血のように濃い赤が脈打ち、地面が震え始めている。


「リク!! 魔力流が逆流してる!!」


「暴走か……!」


リクは外へ駆け出した。

地面の魔法陣が歪み、ターミナルのレールが軋む音を立てる。


このままでは“爆発的魔力放出”が起こる。

 ターミナルの半径500メートルが吹き飛ぶ。


「くそっ……村が……っ!」


その中心で、巨大な影が立ち上がった。


赤い点滅の中から現れたのは――


“人型の魔装兵”。

胸に組み込まれた赤玉が、律動に合わせて光っている。


セリアが叫んだ。


「リク!! あれ……“神殺し兵装”よ!!

 あなたのために造られた……!」


「はあ……? 俺、そんなに嫌われてたか……」


皮肉を言いながらも、リクの汗は止まらない。


魔装兵の赤い目が、カッと開いた。


「対象認識——“神熊の器”。

 排除プログラム、起動」


「来やがったな……!」


リクは拳を構え、熊の核を全開にする。


セリアが背後で風の杖を掲げた。


「リク……! 生きて帰ってくるのよ!!」


「もちろんだ!」


赤い点滅が激しく明滅し、魔装兵が地面を抉って突進して来る――!



■4 赤の点滅の意味


最初の衝突が起きる寸前、

リクの頭の中に、神熊の声が響いた。


“赤の点滅――それは“死の警句”ではない。

 

 “お前の力が殺す”という意味だ。”


「……は?」


その瞬間、リクの身体が赤く燃え上がった。


魔装兵の拳に、リクの拳が重なる。


轟音。

地鳴り。

衝撃波。

夜空を裂く赤い閃光。


セリアが叫ぶ。


「リク!!!」


赤の点滅は――ただの警告ではなかった。

**“リクの力が制御不能になり、周囲を滅ぼす前兆”**だったのだ。


リクはその真実を、殴り合いの渦中で理解した。


“これは……俺自身との戦いだ……”


そして物語は、新たな危機へと向かう。

次回も楽しみに

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