第29話 2年後ー
リク
村長選に出る
― 2年後:村長選と隣のセリア ―
あれから2年。リクはリクトモ村で穏やかな日々を送っていた。
熊の加護は依然として彼の背中にあり、森や村の安全を守る存在として知られている。
しかし、平穏な日々の中にも、村をより良くするための新たな課題は絶えず降りかかる。
その日、広場には村人たちが集まっていた。
村長選――リクトモ村にとって10年ぶりの大きな選挙である。
リクは、村を再建し、外の世界との交流を広げるため、自ら立候補することを決めていた。
そして、投票日当日。村人たちが集まる会場の壇上に立つと、なぜか隣にセリアが立っていた。
「……セリア?」
リクの驚きに、セリアは笑顔で応える。
「ふふ、リク。今日は応援に来たの。隣にいるのは“象徴”よ」
その意味はすぐにわかった。
セリアは“風の加護の精霊”としてだけではなく、今は人間の姿を保ち、村人たちにリクの信頼性を示す存在になっていたのだ。
リクは深呼吸する。
村の人々の視線は熱い。化け物扱いされ、孤独だったあの頃を知る者たちも、今では彼の背中を認め、信頼している。
「皆さん。私、リクは、村をより良く、安心して暮らせる場所にしたいと考えています」
リクの言葉に、村人たちから拍手が起こる。
隣で微笑むセリアの存在が、リクにさらなる勇気を与える。
風の加護と紅熊の力が、今、静かに彼の背中で光っている。
壇上で語る間、リクは思った。
「村を守る力は、私だけではない。仲間、加護、そして信頼があってこそ――」
選挙の結果発表。村人たちの声が響く。
「リク、当選です!」
歓声と拍手に包まれ、リクは照れくさそうに微笑む。
そしてふと、セリアを見る。
彼女もまた、誇らしげに微笑んでいた。
リクは胸の奥で確かに感じた。
「これからも、俺は守る――村も、森も、そしてセリアも」
その日、リクトモ村に新しい風が吹いた。
平和でありながら、新しい未来への希望に満ちた、黄金の光が村を照らしていた。
結果は…
いかがでしたか?




