表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ライフ加護が熊 〜転生したら神の熊がついてきた〜  作者: マーたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/51

第26話 本気の牙

いつも読んでくださりありがとうございます。

第26話では、いよいよ影王が“本気”を見せ始め、リクとセリアの前に立ちはだかる巨大な影獣との死闘が幕を開けます。


リクは熊の加護を、セリアは風と雷の力を、それぞれ限界まで引き出しながらも、影王の圧倒的な力に押されていきます。


二人の絆、互いを信じる気持ち、そして「雑魚じゃない」という静かな誓いが物語を動かす重要な回です。


闇王の“本気”に、二人はどう立ち向かうのか――

ぜひ、本編をお楽しみください。

第26話 本気の牙 ― 闇王の嘲笑 ―


「本気で私に勝てると思っているのか?

 雑魚め。」


 影王の声は、まるで氷を砕くように冷たく、刺すように鋭い。

 空間に響いた瞬間、闇の大地が波打ち、黒い稲妻のようなひび割れが走った。


 その威圧だけで、普通の人間なら膝から崩れ落ちる。

 だが――リクは一歩も退かなかった。


 肩越しにセリアを見る。

 セリアは翼を必死に立て直しながら、小さく頷いた。


「リク……いける。

 私たちは……雑魚なんかじゃない」


「……ああ。あいつを倒して、ここから出る」


 リクが影王に視線を戻すと、影王は薄く笑い、指を弾いた。


 パチン。


 その音と同時に、世界が反転する。


 黒い床が渦を巻き、天井が落ちるようにねじれ、影王の影が何十倍にも増殖していく。


「雑魚が二匹……仲良く足掻くか。

 だが覚えておけ。

 “本気の私”は、まだ姿を見せていない。」


 その瞬間――。


 ドゴォォォン!!


 闇の巨腕がリクを殴りつけた。

 熊の加護で強化された体でも、吹き飛ばされるほどの衝撃。


 地面に激突し、黒い煙が上がる。


「リク!!」


 セリアはすぐに駆け寄ろうとするが、別の影が前に立ち塞がる。

 細身の人型、だが中身は空洞。

 “影王の分体”だ。


「くっ……!」


 雷を放とうとした瞬間、分体の手が伸び、セリアの喉元を掴んだ。


「な……っ!」


 空中に持ち上げられ、呼吸が止まる。


 影王の声が響く。


「弱い。

 感情で力が増すのは面白いが……同時に、隙だらけだ」


 リクが影の煙を吹き飛ばしながら立ち上がる。


「セリアに触るなッ!!」


 紅熊の腕が伸び、分体を握りつぶす。

 黒い液体が飛び散り、セリアは重力に引かれるように落ちた。


 リクが抱きとめる。


「大丈夫かっ!」


「……うん……ごめん。

 あいつ……強すぎる」


「わかってる。だけど、勝つ」


 二人が立ち上がると、影王が面倒そうに手を振った。


「雑魚の癖に、何度立つ。

 だが――おまえたちが本気を見せるというなら……」


 影王の影が膨らむ。

 四方八方から黒い光が集まり、一点へ収束していく。


「こちらも “格” を示さねばなるまい。」


 影王の姿が完全に闇へ沈み、代わりに巨大な“影獣えいじゅう”が姿を現した。


 熊より大きい。

 ドラゴンより長い。

 狼より凶暴。


 黒く燃える五つの目。

 牙の一本一つが大木ほどの大きさ。


 セリアが震える声で言った。


「……あれ……反則でしょ……」


 リクは逆に笑った。


「上等だ。

 俺らを雑魚って言ったんだ……!」


 紅熊のオーラが吹き上がり、背中に巨大な熊の幻影が浮かび上がる。


「雑魚じゃねぇってこと、見せてやる!!」


 影獣が咆哮を上げた。


グォォォォォオオオオオ!!!


 その風圧だけで、地面が削れ、空間が揺らぐ。


 だがリクは、一歩前に踏み出した。


 セリアが背に雷を送り込む。


「リク、行って……!

 私がついてる!」


 紅熊が吠える。

 影獣が吠える。


 闇と紅の光が弾け、戦場が閃光に包まれた。


 影王の声が響く。


「来い、雑魚ども。

 “本気の私”に触れられるものならな!」

第26話、ここまで読んでくださりありがとうございました。


今回は、影王の初めての“真の力”披露回でした。

リクとセリアがいくら力を合わせても、影王はまだ本気の一部しか見せていません。

二人の力差は歴然で、本当の勝負はまだ序盤も序盤です。


しかし、リクが持つ「紅熊の加護」は、影王が知らぬ“危険な進化”を秘めています。

次回、第27話では、ついに紅熊の力の新段階が目を覚まします。


二つの魂、闇と光、そして――神を超える牙。


次回も、どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ