死の時間の終わり ~ 1部END ~
「リリカ!!」
「アリア!!」
声と共にギルバートと父親のハリーと騎士がなだれ込んできた。
私は魔法陣に手を翳して振り下ろそうとした騎士に光の矢を放った。もちろん、パワーは抑えた。
それでも騎士は吹っ飛ぶとそのまま倒れ落ちた。
カリナ・フォン・フェルミナは斬られて倒れ落ちると動かなくなった。カリナを切った騎士だけが慌てて踵を返すと逃げだし、他の騎士はその場で呆然と立ち尽くしフェルミナ伯爵家の騎士はギルバートと父が連れてきた騎士によって捉えられた。
その後、王宮に伝令を走らせて王都を守る守護騎士団に連絡を入れてフェルミナ伯爵家の邸宅を調べると多くの黒魔術の本や魔呪具が出てきた。その中にはエリザベート王妃の部屋から出てきた魔呪具と同じものもあり、エリザベート王妃の魔呪具を見つけたのもフェルミナ伯爵関係の騎士だったので一気に疑惑が沸き立った。
しかし、フェルミナ伯爵は毒を煽って死んでおり、全容は分からないままであった。ただフェルミナ伯爵は数日前に既に亡くなっていただろうと判断された。
伯母のエレーヌ・フォン・フェルミナは運良く魔呪具の影響も短時間だったので暫くロレーヌ公爵家で治療を受けることになった。
伯母は自分もフェルミナ伯爵も何も知らないと母に告げていた。
「アリア、ごめんなさい。でも、ジェームズは優しい人だったのよ。一体何があったのか分からなくて……貴方にリリカの謝罪の手紙を出しても返事が無くて、暫く気持ちが落ち着いたらと思っていたの。そんな私を見てカリナがあの指輪をすると気持ちが落ち着くと渡されたの。それからのことは全く覚えていなくて」
……カリナがどうしてあんな事をしたのか全く分からないの、ただフェルミナ伯爵家は元々幼い頃から魔法を学ぶので魔法の教師を頼んでからおかしくなった気がするわ……
その魔法の教師を探したが既に姿を消しており見つからなかった。
マリベル妃は自身の母方の不祥事にその事が分かるとショックで表に出なくなった。アレクサンダー第二王子についてはギルバート王子と同様に表向きは咎めなしとなったが王は全てが明らかになるまでフローレンス公爵家へと暫く留め置くように指示を出したのである。
どちらにしてもアレクサンダー第二王子もギルバート王子も魔法学校へ行くことになっているのでその間の処置であった。
私はカリナ・フォン・フェルミナが最期に言った言葉がずっと頭に残っていた。
『や、やっぱり……魔法が使えないはずなのに……いや、いや……叔母さま』
彼女は叔母さまと言ったのだ。
母と伯母のエレーヌ・フォン・フェルミナからカリナ・フォン・フェルミナから見て叔母に当たる人物について聞いてみた。
エレーヌ・フォン・フェルミナは少し考えて
「そうね、3人ほどいるわ。一人はマリベル妃ね。マリベル妃はジェームズの妹に当たるわ。あと、隣国のセルジオ王国の公爵家に嫁いだグレイス・フォン・ガルシアと、最後の一人がイザベラ・フォン・クラークね。クラーク子爵へと嫁いで今は王都ではなく子爵の領地で暮らしているわ」
と告げた。
私はお茶をしながら伯母であるエレーヌ・フォン・フェルミナの話を聞き、その中の誰かがカリナ・フォン・フェルミナが言った『叔母さま』だと考えた。
マリベル妃やグレイス・フォン・ガルシアは正直調べるのは難しい。
先ずはイザベラ・フォン・クラークなる。
私はそう結論を出した。
カリナ・フォン・フェルミナが残した『叔母さま』を突き止めることがきっと私やギルバートの死エンドを完全に回避するために大切なことに違いない。
「絶対に見つけてみせるわ」
私はそう心に誓った。
そして、数日後。
私はギルバートとメアリ・フォン・フローレンスとアレクサンダー王子と共に魔法学校へと入学した。
青が広がる空の下で私はギルバートと顔を見合わせて王都魔法学校の門を潜った。
ゲームでは潜ることのなかった魔法学校の門。
まだ先は見えないけれど……ゲームでの死の時間が終わったのだ。




