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004:非常2

 


「我々は君に────」

「(ゴクッ)」

「生徒会役員として、共に働いてほしい」


「(……っ、やっぱりーっ…他でもない…キリッ…のやつきた───やっぱり帰ってさっきの手伝いしよーか───」


⁇「へーこの人が追加の…」


⁇「ふーーんなるほどね…」


後ろを振り向きかけたその時、黒マスクをつけたギャルがこちらを覗き込む。


「ってか男子なんだ、初耳ーてっきり女子来るかとうちは思ってたけど」

「言っていなかったか、連絡したつもり、だったが…」

「はぁ??…そーゆー大事なことは直接言えっつってんの…」


「確認、しなかったのは貴様だろう」

「だか────」

「ンンッ!お二人ともっ!!」

ピカッと光る眼鏡が、咳払いで二人をいなす。


「チッ...」

「すまない、石仲(いしなか)くん」

「いえ...」


覇月はこの二人の関係性と、誰かそれに頭を悩まされているかをなんとなく察した。

「(会長...ッ()()仲です…ッ)」


「ふーん…ってか…」

ギャルが近づく。覇月は先ほどから近い距離にたじろいている様だ。


「へー…まーちょっとかわいーけーって感じー?ってかタメ口でいーっしょマジ」

指で髪をクルクルとしながら鼻が触れるくらいの近さで目が合う。


「────ッ」

慌てて目を逸らす。

下に目を逸らしたことで制服のバッジに気が付いた。


「(あぁそっか、この人たち制服からして一年…)」

「よ…よろっす──」

「ンはーい、ヨロヨローっ」


(っ、チャラいな────)

この手の女子の中でも生粋のチャラさだ。でも生徒会の部屋ん中にいるってことは、もしかしたら彼女も生徒会役員なんだろうか。本当に......?



そんなふうに考える覇月に挨拶のタイミングを見かねていた者がまた一人。

(ってかなんか近づいて────)


二人を諭していた女子が顔をグッと突き出す。

(グイッ)


「 よ ろ し く 」


「んなっ、わっ──」

「お願いします」

「(カチャっ)」


またもや顔目前まで近づかれ、たじろぐ。


「…ます…(変なひとだなーー)」

「(なんだぁ〜この人…たち───)」


呆れている覇月を腕を組んで見ていた男子が話しかける。


「おーっ...、近くでみるとより女子っぽい感じだねっ」

「ってあの時────」


声と髪型で、音楽の教室で出逢った彼と気づく。

「キミも…呼ばれたんだな…」

(やはり...)

「よろしく、男子の人員が増えて嬉しいな────ハグしよう」

「?」


そういって手を広げる。

「んでだ!」

「ハハッ─────」


「…しないか?」

少し笑ったと思うと、また手を広げる。

「しねーーわ!するかっ普通」


「そうか...しないか...」

本当に悲しそうにする天パ、話を聞くにここでは暫く男一人で頑張っている、らしい。

「いや、まぁ、その、よろ...しく…」


握手を交わす。本当によかった、と感涙した彼の肩に手をやる。そんなにしてやれないハグでもなかった、男一人のキツさもあるんだろうなと同情をした。


次に覇月は残った二人の女子に目をやる。髪型やアクセサリーこそ異なるものの、全くの瓜二つである。

(随分似ているなぁ、双子か)

目があったのに気づいたようで近づいてくる。 

「「よろしくおねがいします〜」」


(わ、揃った)

「よ、よろしく」

「優しそうな人でよかったね〜レレちゃん」

レレ「そうですね〜ララちゃん」

ララ「メンズが1人増えました〜」


徐ろに天パの彼の方に目をやると、ウィンクと少しの笑みを浮かべてくる。まだ入るとは言っていないんだがな...。


「これで力仕事も安心だね〜」

天パがソワっとし出した。シワが増え汗が吹き出してくる。

「そうですねー」



「うちには力強〜い男の人が」

「(ギクッ…)」

「少 な い か ら」


「カハッ…────」

喀血する天パに呆れる覇月。


「もぅ〜、レレちゃんひどいよ〜鳴巳くん大丈夫〜?」

「っ...はぁはぁ…いや、大丈夫だ…すまない…いつも…」

「??」


「そんなことより」

「グサッ────」

「よろしくね、新入りさん」


「あっ、はい──」


レレと呼ばれた方は毒づきが少々強めらしい。覇月はそんな風に感じた、感じ取った。苦笑いをしながら見た目通りフワッとした方に目線をやる。


「うんッ、よろしくね〜」

「…───」


先ほどから感じてはいたが、その覇月の気持ちは挨拶を交わすたびに強まっていた。

(なんかこの生徒会…統一されてない感じだな───)


呆れた顔でいると、瀧沢と目が合う。

(気まずいな、まだ入るとも言ってないし───)

「───統一感のない生徒会...」


「?!」

「そう、感じているな」

「いや、まぁ、その…」


俺の思ったことは全て顔に出てしまうらしい。こちらに視線が集まる。


「っ──、統一感ない感じ…...っすねー…」


「おやおや」

「言うね〜」

「言いますねっ」

「「フフフっ」」


(賑やかな雰囲気なのはいいんだけど、どうも生徒会のピシッとした感じがないっていうか...)


「あ、そうだ...聞きたいんですけど...なんで俺、呼ばれたんですかね」

今日は体育の時間からドギマギしっぱなしだ...。正直この件もすぐに終わらして帰りたい...。


「なぜ...か...君はさっき、統一感がないと言っていたな」

「はぁ...」

(あれはまずい発言だったか...?)


「君がそう思うのも無理はない。なぜなら私達は、政府によってに集められた存在だからだ」

「?!...」

「まぁ、正確に言えば政府と連携して私が集めた、というところだな...」

そう彼女が答え、覇月は驚く。なぜそんなことを政府が行うのか、なぜそんな存在に自分が招かれているのか。


「会長が政府と...?政府がなんでそんなこと...」

「なぜなら...」

会長の言葉の続きをギャルが遮る。


「なんでって生徒会(うちら)が───」


戯譜音(ギフト)を悪用しちゃってるワルぅい奴ら、ぶっ潰すために、組織だから」



 ──────────────────────



「ぎふ…と...、えっ何────」

「コーソクした悪人を、政府のなんちゃら機関?ってとこにソーカン?して、異能による犯罪を防ぐために集められたのがうちら生徒会...いや───」


「別名...|聖異能徒(せいいのうと)取締役會(とりしまりやくかい)...」

「ねっ()長さんっ」

「すべて言ってしまったではないか...全く...。」

「そこはわたくしから説明するつもりでしたのに...。裔永さんったら...」

眼鏡は少し拗ねている。


「ちょっっと、待ってください!」

「チカラ、とか…その…"ぎふと"って、なんですか?」


「ちょっ、アンタ知らないわけ?」

「ってか知らない筈ないでしょ、アンタだって戯譜───」


「裔永。」

「...。」


「説明してやれ。」

「ッチ…。」


呆れた顔をしながら、ギャルはそれについて説明を始めた。


「世の中、異変や怪異が毎年のように起こってるけど、それ全部戯譜音、能力によるものなの。」


戸惑っている様子の覇月を見て、天パが説明に加わる。

「ボクもここに来て、初めて知ったんだ────」

「だからクラスで試してたんだけど…」 


『スーーピーーー────』

『おい気ノ好!』 

『あれ、全員寝かしたと思ったんだけど────』


「あれはまずかったらしい、会長さんたちにかなり叱られてしまった…ハハ…」

「ハァ...」

腕を組み呆れる瀧澤と睨みつける石仲。


(あれは、夢じゃなかったのか...集団催眠...いや、本当にこの人達の言う..."戯譜音(ギフト)の...?)

覇月はまだ呆然としていた。


「えーっと…」

黒マスクの彼女が徐ろに席を立つ。


「たとえば、それ」


彼女がそれと言って指を指した先には、覇月達が囲む巨大な卓があった。そしてマスクに手をかけ、何かを発する。


(なんでマスク外し────)

「戯譜音────"言霊"」


「?!」


「「(ソラ)」」


 フワっ────


卓が宙に浮かぶ。宙に浮く卓が、ただ覇月を納得せしめる現実として────


「浮いてるっ...」


浮かぶ───。


「驚いた??ボクも最初は信じがたかったよ...この世界にそんなチカラが存在する、ましてや自分にもそのチカラが備わっているなんてね...」


「この世界は音の周波によって実体が形成される、その周波数に歪みが生む変異のチカラ、それが戯譜音。」


「それを持ち、かつ感知可能な存在。それが────戯譜天人(ギフテッド)。」


「戯譜天人...?!」


「そう...そして、ここに呼ばれた…乙宮覇月くん...。キミも───戯譜天人(ギフテッド)だ」



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