表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

001:日常

 

 異能───。この世の理から外れたチカラ。一般人...いや、健常者には関連のないものである。その異能を表現に使う者、その異能を悪事に使う者...、それに抗う者...。そしてこの学園でも、異能によってある少年が巻き込まれる。実際は既に巻き込まれていたのやもしれない...。


 

 ──────────────────────


 ⁇「...?!」

 ⁇「会長??」

 ⁇「今の彼...私の能力で...」

 

 ⁇「まさか....」


 ──────────────────────


 朝8時頃、晴れ間がのぞく涼しい気候。多くの制服が風と歩行に揺れている。

「よっ覇月ちゃーん、おはよっーー」

肩を掴まれる。

「...おぅ、おはよーっ......」


今日は、入学から一ヶ月が経つ、第三・八曜日。俺、こと覇月ちゃーん…の日常(変わり映えのない毎日)が───、始まった───。


 第一話[日常]



「んだよォ、ムスッとしてぇー」

同級生の荒々しい手がむちむちッ、と白い肌を摘む。

「...むちむち触んなっ、手!指!皮脂がッ──」


「コノコノーーおらぁーー」

「っ、だから手の皮脂ッ。とか汗がもう気持ち悪ィ!!」

こいつとは特別親しいとか、まだ一ヶ月だしないけど...。ばかな"気のいいやつ"として絡むことにした。で、こいつの名前は────


「ソレ〜!!!」

彼が覇月ちゃーん(?)の頭を掴み、わしゃわしゃと掻き乱す。足を巻きつける猛攻が始まり、周りの生徒が水たまりのように彼らを避けて行く。


「だからやめっ、やめろって!なんだって朝からこんな...」

身体を捩ってセクハラな触手から逃れようとする。

「いいじゃねーかーー!」

「「覇月ちゃん」」

わかっていたというように覇月ちゃんはそれを制した。

「ってやつ。ハァ....それお前やめろっ、キモいっ。」


(ソワソワする、ソワソワ。)とジェスチャーで伝える。こいつにも伝わったようで、手を合わせて悪そうにしている。


 

わかったならいいと歩き出す俺に、こいつはニヤリと笑って言った。それもかなり悪そうな含み笑いで。

「んーわるかったーー、悪気ないっ、はづき…ちゃ──」



 ──────────────────────



1ノ1クラス───


 

「教室到着!!!」

「え?あいつ顔どうした」

「(ざわざわ)」


覇月達はいつも通り教室に着く。ただ、クラスメイトは、横にいる彼の様子が気になるようだ。


「はー…なんか面白ーくなることー…、無ェかなー」

「いまアンタの顔が1番よ」

こいつのボコボコにされた顔を見てクラスの奴らが話しかける。気になった他の奴らも集まってくる。

「やだーちょっとっ、何?あれ」

「おもしろー」

「顔ヤバッ、写真撮ろーっ」

 パシャパシャ──


問題を起こしたアイドル、もしくは囚人のマグショット並にフラッシュが瞬いている。なぜか本人は揚々と撮られている。


「ははーこりゃ面白いわー」

「あっ、もしかして()と喧嘩したーー⁇」

 犯人らしき男に女子が聞くも、すかさず覇月が反論する。


「いやオイ、(じょ)じゃ違うだろ!」

(氏でも、ねえし)

「どしたん…気ノ好...。」

「気ノ好、かおボッコボコじゃーん!」


気ノ好「あぁだいじょぶ、軽く殴らせてみたッ」

俺の肩を掴む。意味のわからない自慢げな姿にため息を吐く女子群。

「はあ────」


「コイツ、いいパンチ持ってるなーーっ、ハハーッ」

「へぇ────」

(引くわー…)と言わんばかりの顔をして、ゾロゾロと集まっていた群衆が散る。

「乙宮…」

「大変だね────乙ちん」

と同情するように俺の肩に手を置いて去ってった。勘違いされてないといいけど…。


というのも、俺はこの(中性的な)見た目からなのか、女子いじり、もといこいつの彼女扱いなどなど、散々な被害を受けていて...。


(はぁ...勘違いされてないといいけど...)



 ──────────────────────



「はぁーー…なんか楽しいコトないかなー…」

「気ノ好、お前どうした」

席に着いた気ノ好は珍しく気分を下げていた。

「いや、なんかフツーだなー。ってさ......」

と、覇月の机に顔を突っ伏している。


(お前は顔がフツーじゃないが...)

そう言いかけたが、こいつの話していることはわかる。


確かに、入学ってなんかこうもっと、ヌワーー!とかキャッ、ウフフッ!ってなって...って、期待してたし、残念だ、少し───少しだけ───。


「なんかこう、もっとぬわーー!とかっキャワーーとか、なりてぇよなぁ、とは思──」

「ッ、お前エスパーかッ!?」


考えていたことを当てられ、思わず出た言葉だった。

「いやーーさぁ、お前も感じてたか?いやー分かるっ、おれもさー乙宮さァ、分かっちまうんだぁなァー────」  

「っ…。」



気のいい彼と高まりつつある教室(クラス)のクラスらしさは、日常を安心と退屈の最中に彷徨わせる───。

「たしかに、...は...女子......ってな......思うわけさ!......」

覇月を、深い記憶の底から這い出す手助けをするように、そっと…蓋をする────。



「────さぁ...あっ先生来た、じゃな!また話す‼︎」

適当に返事をした。きっと女子だの歳下だのと話していたし、年頃らしい会話に華を咲かせていたのだろう、と自分と話していたことを忘れたまま窓の外を見つめる。  



「エスパー…」


 

エスパー(能力者)…か────」


 

 ──────────────────────


覇月の脳裏に数分前の会話が少しよぎる。

『なんか、フツーだなってさ────』

『ッ、お前エスパーかッ!?』


「8曜日の日直ー、誰だー⁇」


(そうだ...)


「だっ誰もいない...?!」


(そう、フツーで良い...)



『だっ!誰も…いない...』

『たっ、助けてっ...』


「...ふぅー...」


「せ、先生、消すからなー」


(フツー、それで)


「ほ、ほんとに消すぞっ」


それでいい......。ふとよぎる。思い出す。

『誰も...助けには...』

『 コ ナ イ ッ ッ 』


ビクッ───。


「(ガタッ。)」

体のびくつきで机が動く、俺はふと我に帰る。

「...んーと、大丈夫...?」

「あぁ...うん...いや、大丈...夫──。」


クラスメイトに声をかけられ、溜めたため息を吐く。

「けっ、消したー...消したぞー(消したなー)」

気怠げな顔で窓の中を見つめる。



「よし、じゃあホームルームをはじめますっ。起立。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ