カレンダーの印にはご注意を
「もうすぐ、クリスマスなんだよねぇ」
私は、カレンダーを見ながらにやける。
目の前にあるカレンダーには、三日後の二十四日に赤い印がつけてあった。
この日は、やっとできた彼氏とデートなのである。
「今から楽しみだなぁ!」
私は鼻歌を歌いながら、家を出ていった。
次の日、カレンダーを見ると、二十二のところにバツ印がしてあった。
「あれ、こんなのつけたっけ?」
私は首を傾げるが、気にも留めなかった。
だが、次の日も同じくバツ印がしてあった。
さすがに、これはおかしい。
怖くなった私は、男友達に連絡をとり、相談にのってもらうことにした。
「それって、お前のおふくろじゃねぇの?」
「まっさかぁ!」
「だって、たまに来てくれるんだろう?」
「そうだけど……」
「あんまり、気にするなって!」
「うん、わかった……」
確かに、お母さんはたまに、私の家に掃除に来る。
だとしても、カレンダーに来た日に印を入れるだろうか。
私は不安だったが、帰りに彼氏から、明日のことについてのメールが入ってきた。
うれしくなった私は、不安が一気にどこかへいってしまった。
明日はデートなのだから、このことは一旦忘れよう。
次の日、着替えてふとカレンダーを見る。
そこには、赤い印の上から、大きくバツ印がつけてあった。
「なっ、なにこれ?!」
「私は怖くなり、お母さんに電話をした。
「はい、もしもし」
「おっ、お母さん、私だけど!」
「わかるわよ、名前出てるし。どうしたの?」」
「最近、私の家に来たりした?」
「はぁ? なに言っているの。あんた、家には来ないでって、この前言っていたじゃない」
「えっ、じゃぁ……」
「行ってないわよ、全然。話はそれだけ?」
「まっ、待って! まだ聞きたいことが……」
「母さん、今忙しいから、今度はこっちから電話するわね」
お母さんはそれだけ言って、電話を切ってしまった。
だが私には、ひとつの疑問がわいてきた。
じゃぁ、このバツ印をつけたのは、誰?
すると、急に近くに気配を感じる。
それは、だんだん近づき、私の肩に手を置いたのだ。
私は、ゆっくりと振り向いた。
「メリークリスマス……お嬢さん……」
そこには、赤い服を着て、片手になたを持った男性が立っていたのである。
「いやあぁーっ!」
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