笑顔の彼女
「初めまして僕は転生した人間です」
そう眼前の彼女に告白したのは随分前の事だ。
僕の目の前には彼女が居る。
笑顔の彼女が。
生まれた時から一緒の彼女が。
赤く染めた髪の彼女。
僕が離乳食を食べてる時もニコニコと笑う彼女。
保育園に行く時も一緒。
遊ぶ時も彼女と一緒に。
積み木で遊んだり。
ブランコで遊んだり。
色々遊んだ。
何故か保育園で出来た知り合いは彼女を無視した。
折角知り合った子だが彼女を無視をする。
そう思った僕は保育園で出会った子を避けるようになった。
何故か其れを見て先生は苦い顔をしていた。
小学生の時。
数多くの知り合いが出来た。
だけど僕が彼女の事を紹介すると決まって変な反応をする。
困惑若しくは眉を潜めるか。
そうして知り合った人達とは直ぐに疎遠になった。
中学生時代。
何故か僕は孤立無援になり寂しい学生生活を送っていた。
卒業を控えたある日。
僕は一人のクラスメイトから告白された。
彼女と居る時に。
隣の席に座る子。
眼鏡の女子。
精一杯の勇気を振り絞り告白してくれた事は分かる。
だけど丁寧に僕は謝り断る。
涙を堪えて笑顔で許してくれた。
良かった。
高校生卒業した時に両親が他界した。
交通事故だ。
涙は出なかった。
親類が居ないので僕は専門の業者に葬式を任せた。
天涯孤独となった僕は生活するために就職した。
その僕の傍で彼女は微笑んでいた。
そうして数年後。
僕はアパートを借りていた。
仕事休みでアパート寝てると呼び鈴が聞こえた。
玄関を開けると見慣れた顔の男が居た。
ああ。
もうか。
隣に引っ越してきた男は挨拶をする。
僕はニコニコと笑い引っ越し祝いを受け取った。
そしてお返しに近くの高級温泉宿のチケットを渡す。
期限は今日迄の。
勿体ないから使ってくれと頼んだ。
恐縮していたが快く受け取ってくれた。
その日の深夜。
不法侵入して来た女を金槌で殴り殺した。
隣の男の部屋で。
隣の部屋。
其の鍵の在り処を知っていたので僕は潜んで居たのだ。
そうして不法侵入してきた女を殺した。
女は隣の男のストーカーだった。
告白して断られ粘着。
引越し先まで押しかけ無理心中しようとしていた。
包丁で。
其の事を僕は知っている。
死ぬ直前ベラベラ喋っていたからだ。
今は頭を僕に殴られ死んでいるが。
笑顔で死んでいる。
愛する人を殺して自分の物にする妄想をしたのだろう。
血で赤く染まった髪。
笑顔の彼女。
僕の瞳に生まれた時から焼き付いてる彼女だ。
僕を殺して返り血で髪を赤く染めたストーカー。
前世の僕を殺した女だ。




