表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

遂に

 そんなこんなで2年の時が経ち、私は2歳になった。その間、びっくりするくらいなんの進展もなく、姉様達の打楽器に対する興味も薄れ、最近は小太鼓をレベルアップさせ作ったスネアを適当に叩いていることが多い。暇つぶし程度の気持ちだろう。まだ音符という概念を分かっていないから、拍子も音間もぐちゃぐちゃだけどそれで音楽に親しんでくれると嬉しい。


 そして、嬉しいことにかなりの魔力が溜まり、ようやく亜空間が使えるようになり、またグランドピアノも作れるくらいには魔力が溜まった。成長限界突破のおかげか魔力の成長に天井が見えない。数値的には見えないけれど、体の中で核のようなものが大きくなっているような、そんな気がする。

 さて、遂にピアノを弾ける時が来たのだから、早速亜空間で弾いてみることにした。


「あくうかん」


そう唱えればいつの間にか真っ白な空間にいた。広さがどれくらいあるのかはわからないけれど、グランドピアノ1台なら余裕で置けそうだ。


「そうぞう、グランドピアノ」


その空間に遂に愛しのピアノを作り置くことができた。音も無くそこに現れたピアノは、私が前世で使っていたピアノのメーカーのもので、丁寧に椅子と足置きまでついている。小さい間は床に足がつかないので必須なものだ。試しに椅子に座り、ポーンとドの音を出してみる。それだけで涙が出そうなくらい嬉しかった。それにこの空間は変に反響せず、練習にちょうどよかった。本当は蓋も開きたいが、残念ながらこの体だと持ち上げることすら不可能だろうから今は諦める。

 まぁこの部屋で練習している間も向こうの時間はゆっくり進んでいるし、さっさと練習してしまおうと私は基礎練を始めた。

ピアノは基礎練の量で上手さが決まると言っても過言ではない。前世でもそれなりにしたと思っていたが、上には上がいる。私はそれに及ばなかった。それに、この世の中には『才能』という凡人が持ちえないものもある。聴いただけで、見ただけでその曲の殆どを理解し、自分で解釈し弾いてしまえる天才がいるのだ。このタイプの天才も、凡人より練習してくるのだから、凡人の私は……。パラパラと小さな手を動かしてハノンをとにかく沢山弾く。まだ小さな体はすぐにしんどくなってしまうかと思ったがそんなことはなく、とにかく沢山練習した。一通り全調弾いて、指の練習をし、和音の練習(手が小さいので3度の和音しかできなかったが)をして今日は終わりにした。


 亜空間から抜けると、元いた部屋の中にいて、時間もそこまで経っていないようだった。体感は2時間以上は確実にしていたので、やはり亜空間は何かを練習するのにもってこいの魔法だったようだ。ありがとう女神様。私、沢山頑張ってみます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ