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五.五話./もう一つの日記/

「まさか隠し部屋があったとはな」


「そうだな俺達も結構調べた筈だったんだが」


こう話すのは警官たちだ、そして時刻は夜

解決したと思っていた事件は、実はまだ解決して無かったのだ

彼らは夜通し作業をしていた


「あの高校生たちには感謝しないとな」


「そうだな、あの子たちが居なければ、犯罪者をずっと野放しにする所だった

さあ明日からもっと忙しくなるぞ!気合い入れて頑張ろうぜ!」


そうして警官たちは明日から大宮 小井子、大宮 彦忠の両名を人探しから

指名手配犯に切り替え本格的に行方を探す事になる






「ふぅ……危ない危ない、あと一歩で異世界の事が明るみになる所だった」


何処かの誰かがそう呟いた、彼は一体何者なのか?

そして彼はこう続ける


「まさか日記に書かれているとは、盲点だったよ」


彼はそう言って亜夢たちが見たあの日記と瓜二つの日記をぱらぱらと開く

そしてそこに書かれていた物は――


――――――――――――――――――――


おばあちゃんごめんなさい!


私は大宮 鱗 事の顛末を記す


発端は私が昔馴染みと旅行に行って帰った後に起こった

いやその時既に起こっていたのかも知れない、あの日私は大切な孫の為に

買った玩具を渡した時、どんな喜び方をしてくれるのか、それを

想像しただけで幸せな気分になった


けど人の道は残酷だ、帰ったら孫たちは居なかった、それ処か

息子と義理娘も居なかった、けれども書置きが置かれていた、皆で

美味しい物でも食べに行ったのかと思えば

『夫婦だけで一日デートに行って来るので子供達をお願いします』全く

あの二人は何を考えているんだ?、まだ私が帰って来てもないのに

二人だけで遊びに行くなんて、もう一人子を作る気なら許してやるとしようか


そしてそれから私は家の中を探した、あの子たちの事だ何処かの隠し部屋に

隠れているんだろう

私はそう思い家にある隠し部屋を全部探した、でもあの子たちは

見つからなかった、これはいよいよ大事になったかもしれないと思った私は

息子と連絡を取ろうとした、でも連絡できなかった、義理娘の方も駄目だ

電源を切っているのだろう、私はもしかとたら何処かの家に遊びに行った

のかもしれないと思い、不安な気持ちを抱きながら夜まで待った

そしてあの子たちは帰って来る事は無かった


その後息子たちが帰って来た、そして家の隠し部屋に驚いていた

息子たちは家の隠し部屋の事を一切教えてなかった、そしてあの子たちが

居なくなった事も知る事になる、すると義理娘の小井子が突然怒り出した

居なくなったのは私がちゃんと見ていなかったからだと言うのだ

でも私が帰った時既に居なかったのだ、それを話しても取り付く島もない

そして息子の彦忠が、私の夫の世茂重(よもしげ)をモデルにして作った

人形を発見した、二人はそれを見て気持ちが悪いと青い顔をしていた

私が作った最高傑作を理解できないとは阿呆な二人だよ全く


それから二人は有ろう事か、この人形は人の一部が使われているに違いない

と言って来た、世茂重を殺したのも私なんじゃないかと疑って来た

私はそんな事する筈がないと否定した、……でもちょっぴりだけあの人の

骨の灰が使われている、もう会えないとしても、あの人が私を抱きしめて

くれた大切な手の記憶は天に返してあげる事は出来ない

誰が何を言ってもそれだけは譲れない、おっと話がずれてしまったね


私はそれからあらぬ罪を着せられ、この地下に監禁させられた

地下室の扉も閉められた、地下室の唯一の扉は開かなかった

恐らく扉の前に重い物を置いたかガムテープで目張りしたのか

それから二人は私を問い詰めた、でも私は何も知らない

こんな事をしている暇が有ったら警察と協力してあの子たちを探して欲しい

と言ったら「私達を貶める気!」と怒り出した、二人も今自分たちが何を

しているかきちんと理解しているようだ

幼気で超可愛い私をいじめていると言う自覚が、あははっ


そして冷静な判断が出来る者は、そこでやめるのだろう

でも子供が居なくなった事もあり、ふたりはさらにエスカレートしていった

ついには手も出された、小井子に強烈なビンタをされた、その時の小井子の顔は

今までの恨みと言った様子も有った、あれは本当に痛かった


でもいくら私を痛めつけても孫たちの居場所何て分からない

だから私はこの状況を打破する為に行動した

ある日小井子たちに言ってやった、「何時までもこんな事してて良いのか?」と

小井子は「さっさとお前が話せば済む事だろ!」と、数日前までは

聞けなかった口汚い口調で言って来た、そして私はこう返した

「私の古い馴染みが尋ねてくるかもしれない古い馴染みはこの家の

カラクリを理解している、私が居なくて、孫たちも居なくて、もし

そんな状況を見たらどう思うだろうね?」二人は私の言葉にたじろいだ

私は畳みかけた「この事がバレたらあんた達は犯罪者だ!今のあんたらには

刑務所の飯がお似合いだよ!」

私がそう言うと二人は逃げる様に地下室を出た


それから二人とは会っていない、さてどうしているんだろうね……

そして昔の馴染みが来るってのは真赤な嘘だ、この前昔の馴染みと遊んだが

それは滅多に無い事、三年に一度くらいだ、お互い離れた所に住んで居る

と言うのが、中々遊べない理由だ

ともあれ、あの二人の拷問からは逃れる事が出来た

でも此処からは時間の問題だった、ある程度は生きて行ける、ある算段が有った

それはこの地下室にも隠し扉が有るのだ、その隠し扉の中には缶詰と言う

非常食が入っている

でも残念な事にそれは無かった、私が大事に貯めていた鮭のハラスの缶詰が

一つ残らず無くなっていた、その近くにノートとペンが置かれていた

ノートを開くと、おばあちゃんごめんなさい!


私は笑った、絶望的状況だがこれは笑わずにいられなかった

ほんとっ可愛い子たちだ

でもあの子たちは一体何処へ行ってしまったんだろうか?

前に聞かせて貰った異世界転移とやらに巡り合って

異世界転移してしまったのだろうか?

もしそうだったらそれは面白いかも知れない

けれどちょっとだけ後悔だ、私もその輪の中に入り

一緒に掛け替えのない経験をしたかった


まあこれが事の顛末だ、後は座して死でも待つか!

そうだあの子たちが異世界で楽しい経験をしている内に

私は天国で面白い事を経験し、そしてあの子たちが来た時にそれを教えて

一緒に楽しい事をするとしよう、それとついでに

息子と娘も混ぜてやるとするか。






「中身は変われど結末は然程変わらないだろう

さあて夫婦の記憶でも弄りに行くとしましょうか」


そう言った彼は煙のようにそこから消えてなくなった


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