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プロローグ2

そして次の朝になった、亜夢の見た目は完全に厳つい不良だった

その恰好で家を出た、そして学校が近くなるにつれ

生徒達が見えてくる、亜夢の姿を見た生徒たちは不思議そうな顔をしていた

自分たちが通う学校にあんな奴いた?と思っている顔だ

そして亜夢が生徒達を一睨みすると生徒達は顔を背けた

亜夢はその様子を見て笑った、どうやら作戦の効果は出ているようだった


その後亜夢は学校へ辿り着き、そして靴を履き替えようとした時

靴の中に画鋲を発見、そしてその様子を見て驚いている女子生徒が居た

亜夢は女子生徒を見た、女子生徒は「ひッ!?」と、恐怖に染まった

女子生徒からしてみれば、怖い見た目の人が自分の仕掛けた悪戯に

ブチ切れているように映っているだろう


「おい?これお前がやったのか?」


「げっ下駄箱っ、ま、間違ってますっ!、その下駄箱は

九阿多 亜夢って人の物で」


「なら間違ってない、俺が九阿多 亜夢だ」


亜夢はそう言いながら女子生徒に近付き『ドンッ』と壁ドンを決めた

そして女子生徒にガンを飛ばす、女子生徒は自分の状況と亜夢から

言われた言葉を理解できず涙目になっている


「なんか言えよ?痛い思いをすれば悲鳴ぐらい出せるか?」


「ひッ!ご、ごめんなさい!ごめんなさい!許してください!

許してください!」


女子生徒は恐怖からか膝から崩れ落ち蹲ってしまう


「なんだ喋れるじゃないか?今回は許してやるが、また同じ事が有ったら

絶対許さないからな?」


「ごめんなさい!もうしません!」


「……いや待て、またしても良いぞ?」


「へっ?」


「家にある、使いたいけど使っていない肉切り包丁の使い勝手を

試したいしなぁ」


「……ひッ!?ひぎいぃぃぃッ!!」


女子生徒は断末魔のような声を上げ顔を涙や鼻水に濡らし、殺人者に

追われている人みたいに廊下を走り去って行った


「……やり過ぎたか?」


亜夢はそう思いながら教室へ向かった

『がらら』と教室の扉を開けると、中の生徒たちは亜夢を見て驚愕していた

知らない怖い人が入って来たと思っているのだろう

そして亜夢はそれに構わず自分の机に辿り着いた、机には悪口の落書きが

大量に書かれていた


「これ?誰がやった?」


亜夢はシャフ度の流し目で周りを見た

その様子に誰も答えない、と言うより、この今の状況を上手く

飲み込めていないようにも見えた


「……まあいいや、この机目障りだから別の机借りるわ」


亜夢はそう言うと動き出し、一つの机を手に取った


「そ、それ俺の机」


亜夢が机を運ぼうとした時、伝雄がそう話しかけて来た


「伝雄のだったか?なら友人が困ってるんだ、使っても構わないだろ?」


「えっ……ゆ、友人?は?友人じゃねぇよ、お前亜夢だろ?

そんな悪ぶったって怖くなん――」


「伝雄うるせぇよ」


亜夢はそう言いながら伝雄の服の後ろ襟を掴み上げ、膝蹴りをした

そしてその膝蹴りした所はみぞおちで伝雄は苦痛の表情に染まった


「俺が貸せって言ってんだ、逆らうなよ?」


それから亜夢は伝雄の机と椅子を自分の席が在った所へ運び椅子に座り

両足をクロスし机を足置き代わりにした、その様子を生徒たちは

信じられないといった様子で見ていた、その中には十勝も居る


「は?何見てんだお前ら?」


亜夢がそう言うとクラスメート達は顔を背けた

そして何時もなら賑わしい1-Aの教室はとても静かになった

と言うより、音を立てないようにしている、何が亜夢の逆鱗に触れるか

分からない状態だ、だから声を殺しずっと耐えているようだ


そうしてチャイムが鳴り授業が始まった

担任の桜木先生が教室に入って来た


「おや?今日はやけに静……っ!?」


桜木先生は固まった、周りを見渡し困惑を極めた

生徒達は気まずそうに目を伏せ、伝雄は亜夢の落書き机を眺めながら泣き

亜夢は不良になっていた

桜木先生はこの状況は何なんだと困惑しているようだ


「先公早く授業始めろよ、俺達は授業を習いに来てんだぞ?」


「せ、先公!?」


「何見てんだ?喧嘩売ってんのか?」


「あ、いえ始めましょう!では今日は――」


こうして授業が始まった、でも不良っぽい亜夢が居る事で授業中はずっと

気まずい雰囲気が漂っていた、そして授業が終わり、亜夢以外の生徒は

即刻教室を出た、次の授業が体育であったのもあるが

一刻も早く亜夢が居る空間から抜け出したかったのだろう


「く、九阿多君ですよね?」


教室に残っていた桜木先生が青い顔して聞いて来た


「はい、先生、九阿多 亜夢です、さっきはすいませんでした

先生に失礼な事言っちゃって」


「それは気にして無いですが、一体どうしちゃったんですか!?」


それから亜夢は経緯を話した

そして話した上で暫くこのままで行かせて欲しいとお願いした

すると桜木先生は


「分かりました、ですが人に暴力を振るうのはいけません

それだけは守ってください」


「分かりました、でももう伝雄に振るっちゃった」


「なら後で謝ってください、もう暴力を振るっちゃ駄目ですよ?」


「分かってます、桜木先生ありがとうございます」


その後亜夢は体育の授業に出た、そしてその際伝雄に暴力の事を謝罪した

でも伝雄はさらに恐怖した


「な、何で急に謝る??ま、まさか!?

謝ったんだからもう一回蹴らせろって事じゃ!?」


だそうだ、亜夢は「いやそんな事は」と言ったが伝雄は全く信じていなかった

「謝らないでくれ!」と亜夢を恐れ、常に警戒していた

そんなこんなで授業は続いて行き、今日の授業は全て終わった

亜夢に変なイタズラを働く者は最初の画鋲女以外は居なかった


そして明日も明後日も亜夢に悪戯する輩は居なかった、むしろ

関わりたくないと言った様子だった

それ以外にも噂が幾つか流れた、髑髏の刺繍は実物を見て刺繍したとか

女子生徒を肉切り包丁で切る趣味があるとか

男子を膝蹴りする事で愉悦を得るとか、隠されていた本性を

呼び起こしてしまったとか、実際有ったり無かったりする噂が流れた

これで概ね亜夢の計画通りになっている、でもこれで高校生活中ずっと

一人と言うのがほぼ確定したと言えるだろう


亜夢はそんな事を思いながら今日も学校を終えた


「ま、待って!」


その声に亜夢は振り向いた、そこには良く知る人物が立って居た


「何だ十勝か、俺に何か用か?」


「そ、その!ごめんなさい!」


十勝は頭を下げそう言った


「……それは何の謝罪だ?」


「今回の事は、わ、私のせいで!だからもう良いんだよ!

無理してそんな風にならなくても」


「……これが俺の本性だ」


「嘘ッ!そんな筈ない!亜夢君はとっても優しい人」


「俺が優しい?勝手な妄想だな、付き合ってられん」


亜夢はそう言うと歩き出した


「まっ待ってよ!ど、どうしたら元に戻ってくれるの!?」


「…………」


亜夢は十勝の制止を聞く耳持たないと言った感じで、すたすたと歩いて行く


「も、元に戻ってくれるなら!なんだってするよ!

私亜夢君の為ならなんだって出来ちゃうの!」


「……今、俺の為ならなんだって出来ちゃうのって言ったか?いや空耳だな」


亜夢は一度足を止めたが再び歩き出した


「そ、空耳じゃないよ!」


「……計画通りだ!」


「へっ?」


「言質の言葉は録音させて貰った、もう覆す事は出来ない」


「えっ?えっ?」


「……親の転勤も俺がこの学校へ来て、お前の隣の席になったのも、俺の計画

お前をメス豚化させる計画だった」


「嘘……私の告白を聞かずに痰ぺっぺしたのも、その後

亜夢君がクラスから孤立したのも全て……?」


十勝はこの世の終わりのような顔をしている


「……そうだ、これでお前は一生俺の玩具として過ごして貰う

……こうも簡単に計画が上手く行くとは思わなかった」


「そ、そんな……」


「…………あー……十勝、明日から楽しい日々になりそうだなぁ?」


そう言って亜夢は学校の校門を出た

それから家までの道中をぼんやりしながら歩いた


「……どう接して良いか分からず適当なノリで乗り切ってしまった

……まあいっか」






そして次の日の朝になり俺は目覚めた、それから朝食を食べ

髪と衣服をバッチリ決め、家を出た


「「ごにょごにゃ」」


近所の人だ、数日で変わった俺の話でもしているのかもしれない

まあ荒れている風に見せているのは学校内だけなので

此処は普通に朝の挨拶くらい決めておくとしよう


「おはようございます!」


「「ッ!?」」


近所の人は俺に声を掛けられ一瞬此方を見て、そして直ぐに目を逸らした

まあ当たり前の光景かも知れないと俺は思った、あまり知らない人で

金髪と厳つい学生服だ、でも何れ慣れてくれるだろう

そして俺は学校の道を歩く


その後、何時ものように学校へ辿り着き靴を履き替え

畏怖の視線を感じながら廊下の中央を我が物顔で歩いた

すると自然と生徒たちは廊下の端に移動していた、やはり俺の見た目と恰好は

効果覿面なのだろう、それから教室へ入った、すると直ぐに幾つもの

視線が俺に刺さった、けれど直ぐに解ける、俺だと分かって目を

逸らしたのだろう、でも一つの視線が俺にまだ突き刺さっていた

俺はそいつの目を見た、すると直ぐに視線を外した


十勝か、昨日変な冗談をかましてしまったからな、その事だろうな

けれどその後の学校の日常生活で十勝普通だった、何時もと変わらず

十勝は十勝だった

やはり昨日のは冗談だって流石に気付いたか、なら誤解を解く必要も

無いだろう、と俺は思い、放課後まで過ごした、けれど帰る時に十勝に

呼び出された、場所は今は使われていない倉庫の裏だ

そこは普段から人気が無く、内緒の話をするのに持って来いの場所だった

そしてそんな所に呼び出すなんて、一体どう言う事なのだろうか?


俺はそんな事を思いながら目的の場所までやって来た

すると十勝が既に待っていた


「もう来てたのか?それで話ってなんだ?」


「亜夢君」


十勝は何か覚悟を決めたような顔つきをしていた


「何だ?」


「……その、昨日の事、私覚悟を決めたから」


十勝は俺を引き寄せ、こしょこしょと小さい声で言った


「か、覚悟?」


俺は顔が近すぎて動揺した


「私声優を始めてから言葉って凄く凄い物だって思ってるの

私にとって言葉は大切の物だから、だから一度言った事は曲げない

私、亜夢君のメス豚になる、だから録音した私の言葉は大事に持っていてね」


十勝はそう言うと俺から距離を取った、赤面していた


「ご、ごめん、ちょっと急に恥ずかしくなっちゃって……その

メス豚についての知識が無くて、どうすればメス豚になれるか分からないの

でも!安心して!、私勉強するから、そして立派な亜夢君専用の

メス豚になって見せるから!」


「……あっ……いっ……」


俺は何と言って誤解を解けば良いか混乱し言葉が上手く出なかった


「そ、それじゃ……ごっごしゅっ……亜夢君また明日ね」


十勝は恥ずかしそうに赤面しながらその場を後にした


……どうするんだこの後!?変な事言うんじゃなかった……

そもそもメス豚って何よ?俺も良く分かんないよ、それに録音なんて

してないんだけど……


亜夢は今になってノリでとんでもない事を言ってしまったと後悔した

その後俺はそんな気持ちを抱きながら教室へ戻り、自分の鞄を持って

教室を出た、すると――


「うおっ!不良アクションバトル漫画に出てくる主人公っぽいのが

居るじゃないか!?」


俺はそう言われ足を止めチラッとその人物の顔を見た

知らない女子生徒だった、だから無視してまた歩き出した


「ちょっ待ってくれないか!君に言ったんだ金髪君!」


「…………」


また変な人に捕まってしまった気がする

何故こんな事になってしまったのか……アレが原因だな


「おお!立ち止まってくれたか!さては私に惚れたな?

だったら私が部長を務める部活、異世界転移部に来てくれないか!」

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