76話「Counter Attack.2」
そしてヴォラクとレイアは地下室の天井に空いた穴に飛び移るとすぐにカインから逃げる様にして天井に空いた穴に入ると地上に辿り着く為に急いで上へ上へと登っていく。クライミングの経験は全くないが、ヴォラクは問題なく壁を登り続けていく。
カインがまた追ってくるかもしれない。ノロノロと登っていては追い付かれる可能性があるので、ヴォラクは少し無理をしながらも登るスピードを早めて壁を登っていく。
一応ヴォラクはカインの肩に(本当は心臓狙い)ツェアシュテールングから発射した弾丸を撃ち込んでいて少しの間だけはカインは怯んでいるかもしれない。
だが、ヴォラクにはカインがいつまでくたばっているか分からない。いくら鉛の弾丸を肩に撃ち込んだとは言え、ここは魔法が蔓延る異世界だ。もしかしたら超回復が出来る的な魔法ですぐに回復して来る可能性だって否定出来ない。
なのでなるべく急いで地上まで戻りたいものだがヴォラクは左腕でレイアを抱き締めたまま片腕と両足だけを使って穴の中を登っていたのだ。しかしレイアはまだ、心を恐怖によって支配されていて真面に動けそうにはない。今はまだ彼女の体は震えており、ヴォラクに強く抱き着き、密着していて絶対に離れようとはしなかった。これでは今彼女に離れろて自分で登れと言うのはヴォラクには無理だった。なのでヴォラクはレイアを左腕で抱きながら右手と両足を使って穴の中に出来た壁を登っていったのだった。
結構キツいかもしれないが案外ヴォラクにとっては辛い事ではなかった。一応ヴォラクだって今の今まで一切鍛えてこなかった訳でもないので片腕と両足だけでも、そしてレイアを左腕で抱きながらでも壁を登る事は可能だった。
だが、思ってたよりも地下室と地上の距離はかなり長く、ヴォラクでも壁に掴まったまま休み休みで登り続けていた。ずっと登り続けるのは流石に無理だった。
「ハァ……ハァ……流石にこりゃ、ちょっと堪えるな……」
「ヴォラク、ゆっくりで良いよ。あんまり急ぎ過ぎると体壊しちゃうよ?」
レイアはそう荒く息を吐くヴォラクに優しく語りかけるが、ヴォラクは少し険しい表情で底の見えない穴の下の方を見下ろした。下の方は真っ暗な闇に包まれている。今は夜だと言う事も相まって、下はまるで底なしの穴の様だった。
「けど、いつまた奴が来るか分からん。鉛弾を肩にぶち込んだが、奴の事だ……すぐに追ってくるだろ?だから急がせてもらうよ!」
ヴォラクはカインがすぐに追ってくると感じて、全くペースを落とす事なく壁を登る。
自分の額から首筋へと汗が流れていくが、その汗を自分の首を強く乱暴に振って汗を払い、再びまだ続く壁を登り始めた。血雷と共に行った戦闘や登り続けた事により壁を登る為に使っている右腕だけではなく走り続けた両足やレイアを抱き抱えている左手等に強く痛みが募っていくがヴォラクはその全身に広がる痛みを堪えて壁を登っていく。
ヴォラクがレイアを左腕で抱き抱えて壁を登る中でヴォラクに抱き抱えられていたレイアには疑問が残っていた。
疑問を上げるとするならば何故自分が囚われていたこの地下室の場所がまるで手に取る様に分かり、しかもこの敵の戦力が集結している敵の本城に単独で乗り込み、しかもほぼ無傷で自分の元に辿り着く事が出来たのか。
レイアにはヴォラクが自分が囚われていた場所に辿り着く前に彼の身に何が起こったのか全く予想する事が出来なかったのだ。しかしレイアは分からない事があるとすぐに聞いてしまう事があるので、実際にレイアはヴォラクにここに来るまでの経緯を聞こうとした。
しかしいつもならすぐに口から言葉を発して、素早く自分が疑問に思った事を聞こうとしたのが抱き抱えられたレイアがヴォラクの顔の方を見た時レイアは自分が思った疑問を突然として聞けなくなってしまったのだ。
何故ならヴォラクの表情はいつも通り冷静かつ物静かそうな涼しい表情、そして死んだ様な魚の目をしていて、息もまだ非常に荒いと言う訳ではなく、少しだけ息が乱れている程度で汗もさっき拭ったお陰なのかあまり目立つ様な事はなかった。
しかしレイアにはヴォラクが見せているその冷静そうな表情は作り物だと言う事が分かった。確かに冷静そうな表情をしている。しかしそれはレイアが自分の事を心配しない様にする為の演技だと言う事がレイアには分かった。彼の本当の気持ちはそんな涼しげで冷静な訳ではない。
本当は壁を登るのは辛い事だし、私に会いに来るのも決して簡単な道程ではなかった事が分かった気がした。その涼しげで冷静な表情、目鼻立ちも普通に整っているその顔とその表情は本当は私を心配させない様にする為の偽物の表情だと言う事。でも私はヴォラクが見せていた表情が自分を安心にさせる為、辛い表情を見せて自分を心配させない様にする為の偽物の表情だと言う事を私は知っていた。違う表情を作っているとは言っても、若干だけ、ほんの僅かながら辛さを堪える様な仕草と表情を見せていたから、私はヴォラクが本当は辛いと言う事が分かった。人をちゃんと見る事を私はしていたからね。
現にヴォラクはレイアを心配させない様に安心させる為に気を使い、辛い表情を必死に隠し続けていた。ヴォラクはレイアに心配させない様にこの様な偽物の様な表情を作っていたのだった。するとレイアはヴォラクに何か話しかけてきた。ヴォラクは壁を登る為、上の方を見ていたがレイアに声をかけられるとヴォラクはすぐに壁に手をかけながらも、レイアの方を向く。勿論だが壁は登っているよ?
「ねぇ、ヴォラク。ちょっと良いかな?」
「ん?どしたの?」
今はヴォラクに向かって自分が思った疑問を打ち明けて、それを聞けそうな状況ではなかった。ヴォラクは自分の事を抱き抱えながら辛い表情を隠して高い高い壁を自分の事を抱き抱えて登ってくれている。
そんな中で1人登り続けていてくれているヴォラクに自分の疑問を聞くなんて事、本当ならレイアには出来なさそうだったがレイアはやはり気になって仕方なかった。このまま知らないままでいるのは歯痒い気がしたので、レイアは思い切って聞く事にしたのだった。
最悪ヴォラクに話す事を断られてしまっても構わない。しかし聞きたいと思ったから、レイアは多少無理矢理な事だと分かっていても、ヴォラクに自分が思った疑問を全て投げ掛ける事にした。
そしてレイアは自分が持つ全ての疑問をヴォラクに投げ掛けた。何て彼に返されるかは分からない。今はそんな事言ってる場合じゃない、だとか、今聞く必要ある?みたいに返されるだろうとレイアは予想した。今は聞く事は出来ない。
と思っていたのだが、ヴォラクの返答はレイアが予報していた返しとは全く違った。
するとヴォラクは「聞きたいなら登りながら話してやるよ」とレイアに言って、レイアを左腕で抱き抱えながら、そして壁を登りながらヴォラクはこうしてレイアの元まで辿り着いた経緯を彼女に話し始めた。
本当は壁を登る事や戦う事も辛いかもしれないのに、彼はレイアに対して、顔色一つ変える事なくここに辿り着くまでの経緯を説明し始める。そんなヴォラクにレイアは少しだけ頬を赤くしてしまう。レイアは今のヴォラクの様な凄まじい強さと他人を気遣う事が出来る人を好む事があった。
レイアに説明を開始すると同時に、ここに乗り込む前の記憶がヴォラクの脳内に蘇ってくる。
レイアに説明する中でその記憶が鮮明にヴォラクの脳内に映し出された。
レイアは勘違いしてるかもしれないが、ヴォラクはここに来る時は1人ではなく、血雷と共にここに乗り込んできている。
レイアがヴォラクによって救出され、カインが行動不能になってしまった少し前の事。ヴォラクと血雷はサテラとシズハをテントを張っていた所に置いて来て、2人だけで敵本拠地の近くにまで迫っていた。今2人が立つのは敵本拠地の近くにある小さな森の中。森の中は薄暗く、尚且つ今は夜なので2人の姿が敵城外付近で警備を行っているかなりの数の兵士に2人の存在が気付かれる事はなかった。
(まぁ、悠介なら思いっ切り前でも気付かれないだろうけど……)
「何か言った?」←悠介
しかしヴォラクは悠介程影は薄くないので、もし今1人で独断突撃したら間違いなく敵の的になってしまう。乗り込む際には慎重に行動しなければならない。
何故ならここは敵城、基敵の本拠地である為敵の戦力が全て集結している所でもある。敵の数も決して少ないと言う訳でもない。一応先日の戦いである程度敵の兵力は消費されているかもしれないが、カインやその配下である敵兵の数は少ないとヴォラクは思わなかった。最悪前の戦いの様に数で押し切られる可能性がある。
そうなれば皆、死ぬ可能性がある。だからヴォラクはサテラやシズハ、血雷を置いて1人で行こうとしたのだ。死ぬのは人間として穢れている自分だけで良いと思っていたからだ。
彼女達の様な美しい女性達を死なせる訳にはいなかい。そう思っていたからこそ1人で行こうとした。しかし血雷に、本当は1人だけで戦う事が怖いと言う事を見破られてしまい、血雷はそんな恐怖を消しきれていないヴォラクに着いて来た。しかし自分に着いて来る人がいたお陰でヴォラクは少しだけ安心した気がした。
「さぁ、ヴォラク…どうやって攻める?アタシはいつでも突撃出来るぜ?」
ヴォラクは敵の本城に攻め入る為の作戦を考えている中、血雷はそう言って腰に携えていた刀を抜刀し、その鈍く輝く銀色の刀の刃をヴォラクに見せる。ヴォラクは慎重に行動するべきなのだが、どうやら血雷は刀片手に突撃する事しか考えていない様だった。
しかし血雷の考えている突撃も悪い案ではないと思った。
現にヴォラクが考えていた遠距離からのバスターブラスターによる射撃はヴォラクから見て強そうに見えたのだが、すぐに脳内からこの考えを捨てる事になってしまった。
理由を上げるのなら、確かにバスターブラスターの威力は絶大で、敵に気付かれず、接近しなくとも簡単に敵城を破壊する事も出来るし、敵兵を混乱に陥らせる事も可能だ。パッと見れば味方側には誰も犠牲にする事なく、しかも簡単に勝てる方法かもしれないが良く考えてみればこの作戦には大きな穴があった事にヴォラクは気付いた。
それは今回の戦いの目的は敵城の破壊ではなく、レイアの救出だ。この事を考えた上でのこの作戦案はレイアを救出出来ない可能性があるのだ。と言うよりも救出出来ない可能性があると言うよりは殆どの確率で救出出来ないと言う事が分かった。何故ならこの作戦ではレイアを救出出来ずにカインがレイアを連れて逃げてしまうと言う事が起こる可能性がある。
自分の事がピンチになったら、逃げるのは普通の事。バスターブラスターで敵の本城を全て破壊してしまったら、カインは捕らえられたレイアを連れて何処かに消えてしまう可能性があるとヴォラクは考えたのだ。
もしヴォラクの考えが的中してしまえば、バスターブラスターで全てを破壊した後に更地になった敵城に向かった所でカインとレイアの姿はそこには存在しないだろう。遠距離から全てを破壊しても、大将とレイアがいなければ意味が無い。ヴォラクは敵の城を破壊する為にここに来た訳ではない。
ヴォラクの目的はレイアの救出である。敵の城を遠くから城だけ破壊だけして、カインに逃げられた挙句レイアを連れ去られて、そのまま2人が行方不明になって出処が掴めなくなってしまえば、もう2人の追跡は不可能に近い。
そうなればもう取り返しはつかない。なのでこのバスターブラスターでの遠距離射撃はこの様な危険が発生する可能性があるのでこの作戦はお蔵入りにするしかなかった。違う作戦を考える必要がある。やはり突撃した方が良いのか?
「なぁヴォラク、いつまでもここで待ってる訳にもいかねぇぞ?早く行かねぇとレイアを助けられないぞ?どうするんだ?」
まだ作戦を考えていたヴォラクだったが、作戦を考えるだけなのに、それなりの時間を使ってしまっていたので血雷に声を掛けられた。少しモタモタし過ぎてしまった様だ。
もう作戦を考えている暇もなさそうだった。作戦を考えるだけにあまりにも時間を掛けすぎてしまえば、レイアが精神的に殺されてしまうかもしれないので、ヴォラクはバスターブラスターを手に取ろうとする事をやめて、彼は右手にツェアシュテールングを握り、左手にビームサーベルを握る。まだ戦いは始まってはいないのだがヴォラクは既にビームサーベルの実態のない刃を形成し、既に戦闘態勢を整えていた。ツェアシュテールングのマガジンには既に弾が全て装填されており、もう弾を込める事が出来なかった。勿論予備の弾薬も備えている。途中で弾切れになる事は絶対に避けたいので当然の事だった。
ツェアシュテールングとビームサーベルを握り締め、戦う準備が出来たヴォラクを見た血雷は口元に笑いを浮かべる。遂に覚悟を決めたか、と言う感じの表情だった。血雷もそんなヴォラクを見て愛刀を構えてヴォラクと同様に戦う準備を整える。
「行けるか?」
「あぁ……3…2…1…Go!」
ヴォラクがGoと叫んだ瞬間、ヴォラクと血雷は森から飛び出し敵の戦力が集結する敵の城、しかも正面にそびえ立つ城に入る為の門に向かって2人は走り出した。
ヴォラクは全速力とまではいかないが、かなりのスピードでツェアシュテールングとビームサーベルを握り締めて走り出した。しかしヴォラクよりも走るのが速かったのは血雷だった。血雷とヴォラクは横並びで走っていたのだが、敵の城に入る為の門に近付いていく内に血雷の方が少し前で走っていたのだ。
まぁ気にする事はない。どうせ敵兵と戦えば、すぐに追い付くだろうからね。
(……姉さんの乳揺れ凄すぎない?晒胸に巻いててもこれは………流石GかH、鼻血が飛び出しそうだよ………と言うか露出が多いんだよその服、胸とか太腿が大胆に見えてるってのに……)
血雷の胸の事についてはどうでも良い事だとしておいて。ヴォラクの目に映るのは既にヴォラクと血雷の存在に気付き、剣や槍、盾を構えて2人を迎撃しようとする人物、城の門を開けて他の兵士達に敵襲が来た事を伝える為に城の方へと走っていく兵士達、しかしヴォラクの目に映る敵兵はただ殺戮の犠牲となる無抵抗の人間としてしか見えていなかった。敵兵は軽めながらもそれなりの装甲がありそうな鎧や兜を身に纏っていたが………ツェアシュテールングとビームサーベルの前でそんな物はただの鉄クズにしか過ぎなかった。
「死にな……」
ヴォラクは颯爽としたスピードで敵兵の群れにビームサーベルの矛先を向けて血雷と共に突撃し敵兵の近くにまで接近するとヴォラクは躊躇う様子を見せる事なくビームサーベルを振り翳すと容赦なく敵兵の体をビームサーベルの刃で斬り裂いた。
敵兵の体が斬り裂かれると、その斬り裂かれた体からは滝とも呼べる程の量の血が吹き出し、簡単に体を崩して地面に倒れてしまった。勿論だがそんな風なグロテスクな死に方をしたのは今殺した兵士だけではない。
次々と武器を持って迫り来る敵兵は剣や槍を使ってヴォラクと血雷を討ち取ろうとするが、武器を持って向かってくる敵は全てヴォラクのビームサーベルと血雷の持つ愛刀によって全て斬り捨てられてしまう。あまりにも簡単に斬れる敵兵の体は面白いぐらい簡単に斬る事が出来る。まるで包丁で豆腐を切っている様な気分だった。気が付けば自分の周りには屍になってしまった兵士が転がり、自分の服や顔には返り血が付着していた。
しかし簡単に斬れるとは言っても敵兵の数は先日の時の戦いと殆ど変わらないと言っても過言ではない。
敵の数が多いと言う事もあってか、いつの間にかヴォラクと血雷は敵兵の群れによって包囲されており、2人は敵に包囲されながら背中合わせ状態になっていた。
しかし敵兵は2人を包囲出来ていたが、誰一人として敵兵は攻撃を仕掛けてはこない。しかしヴォラクには理由は分かっていた。何故なら敵兵達はヴォラクと血雷に武器を持って向かっていけば、待っているのは死だと言う事が分かっていたからだ。あの実力では自分の様な凡人には勝てないと悟り、敵兵達は前に進む事が出来ない状態だったのだ。なら今は敵兵を一掃出来る絶好のチャンスでもあるが、ヴォラクは生憎銃弾の無駄遣いはしたくないし、周囲の大人数の敵兵を様な剣戟を使える訳では無い。ここは血雷に任せて傍観しておく事にしよう。
「姉さん、頼むよ…」
「任されたぜ!伏せてろ!」
血雷の叫びと同時にヴォラクは姿勢を低くし、血雷の斬撃が当たらない様にする。
そして血雷は右手に握り締めた愛刀を敵兵に向かってその剣先を向ける。
「………参式【大往生】」
血雷が何か言葉を発すると、血雷の刀の刃が彼女の髪の色と同じ様に血に染まった様な真っ赤な色に変わり、その刀を振るう速度が恐ろしいまでに上昇する。さっきとは全く違うと言って良いぐらい刀を振るう速度の差があり、その剣戟のスピードはヴォラクでも捉えるのが難しいぐらいだった。しかし血雷はその刀を出鱈目に振るっているのではなく、その刀の剣筋はまるで八芒星の様な形を作り出していた。右手に握られた刀が作り出したその八芒星の様な剣筋は前だけではなく、横、斜め、自分の背後を取っていた敵すらも包囲していた殆どの敵を簡単に斬り捨ててしまったのだ。しかも敵兵の体は殆どがバラバラになってしまっていて、一部の敵兵に至っては人間である原型が全く留まっていない様な程までに切り刻まれていたのだった。
ヴォラクも流石に血雷が放った大技には少しだけ驚愕し、冷や汗を流した。そして刀を振り終わり刀の刃もいつもの色に戻ると、ヴォラクは伏せる事をやめて立ち上がった。
「いやはや、恐ろしい技だね、その……参式?とか言うヤツ…」
「だろ?アタシの『式技』!?」
「式…技?何だよそれ?」
聞いた事のない技名が出てきた。まるで必殺技の名前の様だが、血雷が言うその式技と言うのは正に必殺技に相応しい技だった。
「刀握った時から、親父に教えてもらってたんだよ。親父が言うには「自分が持つ魔の力と自分の持つ刀が組み合わされる事で使える事が出来る」技らしいんだよ。結構な数があるらしいんだが、アタシは今の所は壱式から玖式まで取得したって所だな。あ、言っとくけどさっき使った参式ってのは大人数相手にした時にその状況を打破出来る技だからな?」
「一応聞くんだけど……その壱から玖以外にもあるのか?」
「親父は他にも使ってたみたいだったな……アタシは使えねぇけど…何せ親父だけの技みたいだったし……」
「そう……か…でも今の包囲されてた状況を打破出来たのは最高だ、ありがとう姉さん。それじゃ突入……」
しようとしたのだが、ヴォラクは後ろの方に何者かの気配を感じた。ヴォラクはすぐに後ろを振り返った。後ろにはまだ生き残っていた1人の兵士が剣を持ってヴォラク達の後ろで構えていた。目の前で多くの仲間が殺されたのだが男は全く怯える姿勢を見せず、逆に自分の方が強いと言わんばかりな強気でヴォラク達を見下す様な表情を見せていた。
「恐ろしく早い剣戟…俺以外の奴じゃ簡単に斬られちゃってたね」
どうやらまだ生き残りがいた様だ。死に損ないはさっさと殺すのが吉なのだがヴォラクはどこかで聞き馴れたセリフの様な何かが聞こえた気がしたのでツェアシュテールングの引き金を引けなかった。ヴォラクは目の前に立つ兵士に尋ねる。しかしツェアシュテールングの銃口は奴の頭部に向かって向けられている。
「お前は?」
「俺の名は……いや、お前みたいな奴に名乗る名なんて無い……どうせお前は死ぬか消えるだけだ」
銃の銃口を向けられていると言うのに、男はそれに怯える事はなく、強い態度でヴォラクに話す。
「へぇ……言ってくれるじゃん…」
冷静な表情を崩さないヴォラクだが内心怒りが結構込み上げてきています。これ以上刺激したら最悪キレる可能性があります。
「こんな弱そうな奴、俺でも殺せる。俺は安全に名誉をゲットしたいんでね…………一応言っておくが、もし逃げたいなら今の内だぜ?ブッとばされんうちにな」
「随分と物言いな奴だな…死にたい覚悟は出来てるのか?」
「まぁ、仲間の兵士は殆ど死んじまったが、取り敢えず俺は適当にお前を殺してその女を味見させてもらうとするか……オラァ!」
コイツは馬鹿だった。
死に急いだアホだった。
それだけだ。そして珍しくヴォラクに怒りを呼び覚まさせたから、行動に移しておらず口上だけの事とは言っても、大切な姉さんを汚そうとした、殺す必要がある。男はツェアシュテールングとリベリオンと言う銃を持っている事も知らず、剣を両手で握ってこちらに向かって走ってくる。だがコイツは銃で剣に勝てると思っているのだろうか、それとも銃の事を知らないのだろうか、だがどっちでも良い事だ。
こう言う分からずやは始末してしまおう。
「死ねぇ!………ガハァ……」
「噛ませ犬か」
ヴォラクは何故かムカついてしまったのでツェアシュテールングの引き金を引き、銃口から発射された銃弾によって剣を両手に突撃して来た男の脳天を簡単に貫いてしまった。勿論脳天を貫かれてしまった男は即死し、為す術なく地面に倒れ、絶命した。
「時間の無駄だったな……姉さん、急ごう!」
「あぁ、行くか!」
自分達の周囲に敵兵がいなくなった事を確認した2人はすぐさま2人の正面に建てられた敵城に入る為の門の前に辿り着いた。すぐさま2人は強固な木で作られた門をビームサーベルと刀を使って破壊し、城の城壁を突破し、城の前に辿り着いた。場所は城の中庭の様な所だ。城の外、更には城壁外の敵兵は殆ど、いや全て殺したのだが、流石敵本拠地だと言う事もあって敵兵の数は衰える事を見せなかった。
「ったく、一体どれだけ湧いてくるんだよコイツら。なぁ姉さん、僕達後何人斬って何人撃てば良いんだ?」
「さぁな…だが、今はこの戦いを楽しまないか?こんなに山程の敵兵がわんさか待ち構えてやがる。こんな興奮は久々だぜ!」
「姉さん…僕はレイアの救出を急ぐ。中庭の敵は無視して城内部に突入するが、姉さんはどうする?」
「ここにいる敵全部斬ってやらァ、ヴォラク城の中の敵は任せるからよ……ここはアタシに譲れ…」
「ね、姉さん?……分かった。じゃ、じゃあここは頼んだ!」
その時の血雷の目は強く夥しい殺気を帯びた目だった。血雷の目は怒りが込み上げ、殺意が強く上昇している時のヴォラクと似ている様な目だった。
血雷はより一層愛刀の柄を強く握り締め、口元にヴォラクが見せる様なニヤリとした笑いを見せる。笑いを見せているとは言ってもニヤリとした口元だけの笑いと強い殺気を帯びたその目のせいで日常の中でヴォラクに見せていた様な目元も口元も笑っている様な笑いとは百八十度違う狂気に満ちた様な笑いだった。そしてヴォラクが気が付いた時、血雷は既に二人に迫る敵兵に向かって刀を両手で握り、大きな雄叫びと共に迫る敵全てを斬り裂いていく。その時に飛び散る血の雨はヴォラクですら生み出した事がないぐらいの量の血の量だった。その血雷の姿に人を殺し、非情な性格であったヴォラクですら、そんな血雷に息を飲んでしまった。息を飲んでしまったヴォラクはその場から少しの間だけ固まってしまい、石像の様にツェアシュテールングとビームサーベルを握り締めたまま立ち尽くしてしまった。
だが敵兵と刀を使って戦闘を行っていた血雷の叫びがヴォラクの耳に入った時、ヴォラクは再び足を強く動かし、城の内部に向かって走り出す。
「ヴォラク、何やってんだ!立ち止まんじゃねぇ!前だけ向いて走れぇぇぇぇ!」
「ハッ、姉さん!………うぉぉぉぉ!」
血雷の言葉にハッとしたヴォラクは血雷の方を振り向く事なくツェアシュテールングとビームサーベルを握り締めたまま前だけ向いて全力で走る。しかし走る方向にはさっきと同等、いやそれ以上の敵兵がヴォラクの前に立ちはだかる。この数を全てビームサーベルを使って斬っていては完全に時間を浪費してしまう事になる。
この数を一斉に排除するのなら、全てを一掃する事が出来る大火力兵装が必要になる。しかしヴォラクはこんな事を予想していたのか、彼の背中には遠距離射撃用大火力兵装が備わっていた。
それはバスターブラスターだった。ヴォラクは敵兵の群れに向かって走る中でツェアシュテールングとビームサーベルを一度元の位置に戻し、背中にマウントされたバスターブラスターを取り出し、走りながら敵兵にバスターブラスターの銃口を向け、あの数を全て一掃可能な量のエネルギーをチャージする。
バスターブラスターはかなりの重量なのだがヴォラクはその重量デメリットを打ち消すかの如く全く干渉を受ける事なく走り続け、エネルギーが充填出来た事を確認すると敵兵の群れに向かってバスターブラスターの引き金を引いた。引き金を引けば、バスターブラスターの銃口からは内部で高濃度圧縮された魔力が全てを溶解させる為に発射され、全てを一掃する。
眩しくなると感じる程の光と全てを溶解させる収束照射されたレーザービームの様な光がバスターブラスターの大きめの銃口から発射されるとその収束照射された光は敵兵を飲み込んでいく。
敵兵は最初は何が起こったのか理解出来ず、ただ眩しい光が自分達に向けられたとしか思えなかった。しかしその光は自分に当てられたスポットライトではなく死への攻撃だったのだ。敵兵は断末魔を上げる間もヴォラクに一矢報いる事も出来ずに簡単にその存在事消し飛ばされ、その体はバスターブラスターにより完全に消失してしまった。
バスターブラスターからのレーザービームの照射が終わりバスターブラスターの銃口からの照射が終了した頃、城の内部に突入する為の扉の前に立っていた大人数の敵兵は全てが完全に消滅し、城の内部に入る事を拒んでいた厚い扉ですら大穴が空き、簡単に入る事が出来る様な状態になっていたのだ。しかしこれであの厚い扉を破壊する手間が省けた。
ヴォラクは銃身の冷却とエネルギーの最充填を行う為に再びバスターブラスターを背中にマウントし、今度はツェアシュテールングとビームサーベルを取り出しさっきと同じ様な銃&剣スタイルに戻った。そして城の内部に突入する為のあの厚い扉に空いた大穴をくぐって城の内部に突入した。
正直な話城の中を呑気に眺めている暇はなかった。ヴォラクはこの時レイアを助ける事しか目に無かった為レイアが囚われている場所を血眼になって探し続けていた。一つの事に集中し過ぎていて、ヴォラクは周りの事が見えていない。城の内装についてもそして敵の攻撃もだった。
「ん!?」
突然として何か攻撃されている気がしたヴォラクはヴォラクは一度走るのをやめ、後ろにバックステップをする。これでただの勘違いだったらかなり恥ずかしいがどうやら勘違い、と言う訳ではなかった様だった。何か自分に投げられたと思い、ヴォラクは咄嗟にバックステップをして壁を確認する。
すると、城の中の壁には数本のナイフが突き刺さっていたのだ。しかも自分に向かって投げられたナイフはかなり鋭利そうな感じで対人用に使われている物としか思えない。この硬そうな壁に簡単に突き刺さる事やこの投げられたナイフ返しが付いている事からこのナイフは自分に投げられ、敵を殺す為に作られた物だと言う事が簡単に分かった。
どうやらまだ死にたい奴が残っているらしいね、ならばそんな奴は全て自らの手で殺す必要性がある。ヴォラクは自分に向けて投げられたナイフの方向に目を向ける。
目を向ける先には数人の女が武装した状態で立っていた。全員ヴォラクに対して反逆を示す様な表情をしている。どうやら全員、ヴォラクに敵対するつもりの様だ。なら殺すしかないね。
「へぇ、結構動けるじゃん…侵入者の人」
「随分と美しい人達だね、カインの妾か何かかな?でも危ないじゃないの。人に尖った物は投げちゃいけないってお母さんに教わらなかった?」
「御託はその辺にしていてくれないかな?勝手に私達の家に土足で上がり込んで来た分際で!…………………………え?」
「道ぐらい教えろや…」
今は他人の話を聞く事なんてしない。時には優しさや情けと言うモノを捨てて、冷酷で非情になる必要だってある。ヴォラクはレイアを助ける事しか考えられていなかったので、敵の話ぐらい聞いてやると言う事も忘れて、敵から何も情報を得られなかった腹癒せに目の前に立つカインの女達に向けて容赦のないビームサーベルによる攻撃を仕掛けた。超速で女に迫り、抵抗する様な猶予を与える事なく、簡単にビームサーベルの刃を彼女達に向け、そのまま彼女達の体を簡単に斬り裂いた。
彼女達はパッと見は美しく、レイアやサテラやシズハや血雷にも劣らない美貌を持っていた。まだ優しさを捨てきれていないヴォラクなら「まだ間に合うから僕達に着くんだ」とか「戦わないなら命は取らない」とかの御託を抜かしていただろう。しかし今のヴォラクはそんな悠長な事を言う様な奴ではなくなっていた。敵が武器を取ろうが取らまいが、降伏しようがしまいが、命乞いをして必死になって死ぬ事を拒んだとしても今の強い殺気と内なる邪悪を帯びたヴォラクでは、味方以外の誰であろうと逃げようが逃げまいが殺される事になっているだろう。
例えば今目の前に立つ美しい女性達だとしても、ヴォラクが攻撃の手を止める様な事は一切しなかった。ヴォラクはそのビームサーベルを握る手を止める事なく彼女達の体を簡単にビームサーベルで斬り捨てていく。
最初の1人がビームサーベルによって斬り裂かれた後、残った女達はその場に立ち尽くし、唖然とした表情を少しの間だけ浮かべるとすぐに鼓膜を裂く勢いの大きな悲鳴を上げた。
随分とうるさくて耳障りな叫びで、大音量で聞いている音楽とは真逆の音だった。断末魔としても聞きたくはない。
立ち尽くしていた女も腰を抜かしてしまい、立ち尽くしていた体は床に倒れ込み、尻もちを付いてしまう。ヴォラクはビームサーベルとツェアシュテールングを握ったまま、一歩一歩と残された女達の所へ歩み寄っていく。女はヴォラクが一歩ずつ近付く度に腰を抜かして、立ち上がれない中でそそくさと後ろに下がっていく。しかし下がりすぎた先にあるのは壁、それ以上下がる事はもう出来ない。遂に逃げる事すらも出来なくなった女はヴォラクに命乞いをするしかなかった。
「お、お願い!見逃して!何でもします!何でもしますから!」
そう1人の女は言い、もう2人の女も同じ様な事を言い首を縦に振って、必死に命乞いをする。しかしヴォラクはその言葉に耳を傾けようとはしない。ヴォラクはツェアシュテールングの銃口を女の額に向け、そのまま殺気を帯びた目と物静かで冷静な表情を女に向ける。
女はこの武器が自分の命を簡単に奪う事が出来る物だと知っていたのか、涙を流して必死になってヴォラクに助けを乞う。
「お願い……します……身体も差し出します、命令に従います……だからお願い……」
「……命、無駄にしたね」
「え?」
涙を流して、必死になって命乞いをしようと。たとえ相手が殆ど無抵抗な奴だったとしても、敵は敵だ。ヴォラクはツェアシュテールングの引き金を引いて、1人の女の額を撃ち抜いた。額を撃ち抜かれた女は目を見開いたままで、涙を流したままで床に仰向けに倒れ込みそのまま絶命してしまった。
ヴォラクは1人殺したが、何も感じてはいない。殺したから何だ?敵だから殺しただけだ、何もおかしい様な事ではないだろ?
ヴォラクはツェアシュテールングの銃口を残る2人の女に向ける。女はもう強過ぎる恐怖で目を閉じてしまっていてもう目を空けられる様な状態ではなかった。優しい人間ならもうこんな無抵抗で戦闘意識が残っていない奴なんて、相手にせずそのまま殺さずに放置するのが普通かもしれない。だがヴォラクは1人目と同じ様にツェアシュテールングの銃口を向けると再びとして引き金を引き、また1人、そしてまた1人とその手で女3人をツェアシュテールングで殺した。
「殺しは平等にしなければね……」
ヴォラクは殺しに対する恐怖が消えていた。昔と違って殺したぐらいじゃ手が震える様な事もないし、落ち着かない様な事はなかった。逆に無抵抗の弱者を殺す事が出来て気分がハイになりそうになった。だが、ハイになるのはもう少し後にした方が良さそうだった。
早くレイアを救出しなければならない。しかし殺した奴からは何も情報を得る事が出来なかったので、もう当てずっぽうになっているかもしれないが城の中を虱潰しに探していくしかなかった。(聞く前に殺したヴォラクが悪い)
ヴォラクは死体を置き去りにして、再びレイアを探し出す為に奔走する。何かありそうな扉は片っ端から開けて、怪しそうな所があれば入念に確認する。しかしそれでもまだレイアを見つけ出す事は出来ていない。間に合わなければ本当に取り返しの付かない事になる。何処かにレイアは居るはずだ、何処かに囚われているはずだ。
「クソ!城が広くて何処に居るのか分からねぇ、と言うか僕が今何処に居るのかすら分からん!ヤバいね……このままじゃ……………ん?ここの扉は…」
独り言を呟きながら、レイアを見つける為に走り続けるヴォラクだったが走っていると突然自分の目に飛び込んで来た扉があった。まだ開けていない扉だ。しかもさっき開けてた扉よりも大きく、異質な存在を見せている。これは大当たりかもしれない。すぐさまヴォラクは扉に近付き、蹴り開けた。
すると扉の中には階段が設置されていた。階段とは普通なら二階に上がる為に上に行く為に作られている事が多い気がするが、今ヴォラクの目に入って来た階段は下へと続く階段、即ち地下室へと続く階段だったのだ。まさか城の中には地下室が隠されていたのだ。流石のヴォラクにも城の中の中に地下室があるなんて事は予測………いや、レイアの城にも地下室あったわ。予想しとけば良かったかも……
しかしそんな事はどうでも良い。
そしてヴォラクの勘はこの下にレイアが囚われていると言っている。最悪賭けになるがヴォラクはこの下にあるだろう地下室にレイアが囚われていると確信して、階段を降りようとしたのだがヴォラクはある問題に気が付いた。
階段で降りていては間に合わないと思った。と言うのも地下室へと続く階段は底が見えておらず、どうもすぐに到着する様な段数ではない事が想像出来る。これを一段一段ずつ降りていっては流石に時間の無駄にも程がある。レイアの事や血雷が1人で戦い続けている事も考えれば、階段を降りていくのは愚策に等しかった。
「なら…………バスターブラスターで穴開けるしかねぇ!」
何を血迷ったのかは知らないが、ヴォラクは背中にマウントしていたバスターブラスターを取り出すと今度はその銃口を下方向に向けた。
そう、ヴォラクは地下室に最速で行く為に床に大穴を開けて、直接地下室まで行こうとしたのだ。深さがどれぐらいかは知らないがもうそんな事で迷える暇はなかった。ヴォラクはすぐさまエネルギーを充填し、発射に備えた………
そしてヴォラクの脳内に鮮明に浮かび上がった記憶とレイアに今までの経緯をある程度話した後、ヴォラク達2人は無事に大穴を抜けて、地上に辿り着いた。
「ヴォラクと血雷さんが………そこまでしてくれるなんて…」
「よっと、仲間の為ならそれぐらいするよ。さ、地上に出たぞ。立てるか?」
地上に上がっても尚、ヴォラクはレイアを抱き抱えていたが地上に上がると、レイアはヴォラクから降りて自分の足で地上の上に立った。
どうやらもう立つ事は出来るみたいだ。
「ねぇ……ヴォラク、まだちゃんと言えてなかったけど…」
「ん?何だ、言いたい事なら聞くぞ?」
まだ戦場に近い場所に立つ2人だったが、ヴォラクはレイアの言いたい事を聞く事にした。聞かないのは流石に失礼と思い、レイアの言葉に素直に耳を傾ける。
「その………えぇっと……………」
レイアがヴォラクに何か言おうとした次の瞬間、後ろからダイナマイトを爆発させた時の激しい爆発音の様な音が聞こえ、地上に土煙が巻き起こると同時にヴォラクとレイアが立つ場所から少し離れた所で地面が割れ、地面の中から何かが飛び出した。
「ちぃ、感動の再会は延期かよ!」
ヴォラクはレイアの前に立ち、ツェアシュテールングとリベリオンを取り出すと何かが飛び出した方向にその銃口を向けたのだった。