55話「武器制作Part2」
また、朝になった。刺す様な光がまた窓から差し込んでくる。
あの時と同じ様にまた右手を顔の前にかざし、窓から刺す光を見ない様にする。
この毎回見る様な朝を何度迎えただろうか…
この世界に来て、どれ程の時間が過ぎてしまったのか分からなくなってきていた。1ヶ月?2ヶ月?それともまだ1ヶ月も経っていない?
もう分からなくなってきた。
自分の時間感覚がどんどんと狂っていく様に時間の流れを掴む事が出来なくなってきてしまったのだ。
しかし、この世界にいつ来たのかを気にした所でどうにもならない。
逆にこの世界に来た時間が長すぎて元いた世界に無情にも帰りたくなってしまうかもしれないのだ。
ヴォラクはそれを恐れていた。自分がこの世界から……本当は家に帰りたいと言う事を。
家族の温かさに触れたい事。自分の部屋に篭っていたい事などの気持ちがあった。
しかしこの世界から脱出する方法なんて分からない。
今、自分に分かる事はただ黙々と流れていく時間を見る事とこの世界で生き抜くと言う気持ちとサテラ達を守りたいと言う気持ちがあると言う事ぐらいしか彼には分からなかった。
性懲りもないが、サテラとシズハは僕の横で裸体のままで寝転がっている。可愛らしい吐息を吐きながらまだ眠っている。多分疲れているのだろう。
まぁ、無理もないか……
昨日何回もハッスルしてたからね。疲れてても仕方ないよね。
取り敢えずヴォラクは寝転がっていたベットから立ち上がり、脱いでいた服を再び着用する。
今日の服も変わらず黒色の服だ。
やっぱりパーソナルカラーは黒だ。
僕の専用の色はやはり黒色だ←本人が勝手に思っているだけで絶対な確証はない。
顔に仮面は付けていない。今は付ける必要性があるとは感じなかったからだ。
周りには誰もいない。
それは今は誰もヴォラクの顔を見ていないと言う事と同じだ。
この仮面は勇者としての身分を剥奪され、国から追放された悪の人間である『不知火鎧亜』の存在を隠す為の物だ。もしも不知火鎧亜の事を知る人間にこの顔を見られる訳にはいかない。
あくまで僕は死んだ事になっている人間だ。生きている事を知られれば僕の元には危険がやってくるだろう。
それにサテラ達を巻き込む訳にはいかない。なのでこの仮面を付け、自らの存在を隠しているのだ。
服も着替え終わり、仮面はベットの傍に置かれた机の上に置いた。
今はまだ付けないくてもいいだろう。多分今は誰にも見られていないから。
「さて、起きてくるまで待つか……」
しばらくの時、彼は部屋の中で待つ事にした。
「んん―――。おはようございます、主ひゃま」
先に起きたのはシズハではなくサテラだった。少しは隠せっつうの。
よく男の前で裸体で身体を伸ばす事が出来るな。脇とか胸とか色々見えてるっつうの!
取り敢えずヴォラクは手で目を覆いながら「さっさと服を着ろ、色々と見えてる」と言った。
そう言われるとサテラは頬を赤くした。
「あ、あんまり見ないでくださいね…は、恥ずかしいです」
「心配するな。今は何も見えてない。だから安心して着替えろ」
「着替え終わったたら、また言いますね」
サテラはそう言って、ベットの近くに置かれた服を手に取り、そのまま着用する。
昨日は全て脱ぎ捨てて、ベットの上にいたからね。
服は一つも畳まれていなかった。これではシワが出来てしまうよ…
少しの時間だけ、両目を手を使って隠した後、サテラの声が聞こえてきて目を覆うのをやめた。
「主様、もう大丈夫です」
「なら目を退けるぞ。って、シズハも起きてたのか?」
ヴォラクはサテラが着ていた服よりもサテラの近くで寝ていたシズハが起きていた事の方に目がいっていた。
しかももう着替えてるってね。せめて一言ぐらい言えよ。
相変わらずの巫女服だけどよ。
でも可愛いから許す。獣耳との相性は抜群だ。
「ヴォラクさん、おはよう!」
「元気だね、疲れてないのか?」
昨日はかなりハッスルしたのでシズハだけじゃなくサテラも疲れているかもしれないと思った。
だが見た目だけ見れば、疲れている様子は見られない。
「まだ中に……いいや何でもないよ。私は疲れてないから」
「私も大丈夫です。全く疲れていません」
「なら、いいんだけど……」
「「「…………………」」」
何話していいのか分からない。
そこからどんな会話に派生すりゃええのかさっぱりだ。
何か気まずい。サテラとシズハも少し照れていて何から話せばいいのか、誰から話せばいいのか完全にさっぱりな状態だ。
どうしよう。こんな時間がずっと流れるのは正直嫌な話だ。
どうしよう。
いや、本当にどうしよう?
何から話す?どんな事を話す?分からねぇ…
「お~い、ヴォラク。朝ごはん作ってくれぇ~」
今、心の中で僕は敬礼をした。
勢いよくドアを開けたのは血雷だった。
この気まずい雰囲気に割り込んできてくれて今の所1番嬉しい人材だった!
だがしかし……
「ね、姉さん……………………服をちゃんと着ろぉぉぉぉぉ!!!見えそう。てかちょっと見えてる!」
服が乱れていた。しかも動きやすく着崩れた薄い侍の様な着物の服なので、はだけるとすぐに全て脱げてしまいそうだ。万が一服が全て脱げてしまったら色々と大変だ。
それに綺麗な赤い色の髪も乱れていてせっかくの美しい髪が台無しになってしまっている。
「ん?何だ見たいのか?……ヴォラク、割と大胆にいく気か?」
「誰も見たいだなんて言ってねぇつぅの!本当に本当に見えそうだから、言ってるの?……あぁもうしょうがねぇ!」
(主様ってやっぱり、大きい人の方が好きなのかな……私なんて…雀の涙もないや…)
(まだだ、まだ終わらんよ!私だってDぐらいはある………………だから何なの?負けてるじゃん、私)
心の中で泣くなよ。
ヴォラクは部屋に持ってきていた、予備用の黒色の上着を血雷の元へ持っていき、見えそうになっている身体に黒色の上着をかけてあげたのだ。
黒色の上着のお陰で血雷の身体は殆ど見えなくなり見えているのは足だけになった。
「……そんなはしたない格好で歩かないでくださいよ。姉さん、女の子なんだから…」とヴォラクは照れくさくなりながら言った。
すると、血雷も少し照れてしまっていた。
「あ、ありがとな……確かにお前の言う通りだよ。少し淫らになりすぎた。ちょっと着替えてくる。終わったら、また来るぜ!」
そして血雷は貸したヴォラク上着を羽織ったまま自分の部屋に戻ってしまったのだった。
「少しだけ、待ってやろうぜ…姉さんの事」
ヴォラクが後ろを振り向くと、2人は首を縦に振った。
そしてしばらくの時間が流れた。
いや、違うかも。しばらくとは言ったが、強いて5分ちょいぐらいだったと思う。僕の体内時計が狂っていなかったらの話だけど……
「すまねぇ、待たせちまったぜ」
「大丈夫だ、問題ない」
今度はちゃんと着替えてきてくれた。侍の様な着物は着崩れしておらず、さっきまだ乱れてしまっていた赤い髪は後で纏め上げていた。
腰にはいつも持っている長刀を携えている。
まだ敵は出てきてはいないが、いつ襲撃に遭うかは分からない。
「うん、やっぱりその姉さんの姿が1番可愛いぜ」
「なっ!………言ってくれんじゃんか」
血雷は頬を赤くした。
ヴォラクに可愛いと言われて嬉しかったのだろう。
血雷は相変わらず美しい笑顔をヴォラクに見せてくれた。
男勝りな女の顔ではなく、美しい女性の顔を血雷はしていた。
少しの時間だけその美しさに浸っていると、横の通路から足音が聞こえてきた。
トットッと少し早い歩きのテンポでこっちに迫ってくる。姿形は分からないが人である事だけは分かった。
誰だ?敵か?
あれは誰だ?誰だ?
レイアだったぁ~
「あ、レイアだった。どったの?」
「朝ごはん、出来たよ。早く来て!」
「おぅ、腹減ってたから丁度良かったぜ。ならさっさと行こうぜ!」
「激しく同意する。レイア、案内してくれ」
「りょ―――かい」
先頭に立ったレイアにヴォラク達4人は彼女に着いていった………
「ふぅ、食った食った」
「強いて、そんなに食ってないだろ?姉さん?」
「いや……食った」
「ヴォラク、血雷さん結構食べてたよ」
「朝からよくそんなに食えるな」
歩いてきたのは朝ごはんを終えた5人だった。
味はとても良い物だ。
自分も腹も減ってたのか遂沢山食べてしまった気がする。
ヴォラクは悩んでいた。
この後何しよう?何もする事が見えてこない。
何をしようか?
え?何も見えてこないんだけど。1日持て余すってか?
流石に嫌だね。
なら何するか………
よし、武器作ろ。
まだ作りたい創作武器は山の様にある。
まだ作れる集中力と作る為の素材はあの地下室に残っている。
なので、僕は昨日レイアと一緒に行った地下室に行く事にした。なのでレイアに案内してもらう事にした。
「なぁ、レイア。昨日の地下室、また案内してくれないか?また武器作りたくてね。今日は空いてるか?」
「空いてる以前に基本的に私は暇なの。この国、国とは言っても城1個しか建ってないから国の政治だなんて大きい事はしてないのよ。する事なんて偶に戦闘訓練に参加するか、他国からの輸入関連の書類に目を通す事ぐらいしかしてないのよ」
おい、一国のトップがそんな感じで大丈夫か?
完全に半分以上仕事してないじゃん。
まぁ僕が言える事じゃないけどさ、レイが本当に国の1番上の人間なのか疑ってしまいそうになる。
でも武器作りを手伝ってくれるなら問題ないけどね。
「なら、すぐに案内してくれる?今日は大量に作りたいんでね」
「OK!それじゃ行こうか。他の3人はどうする?」
「私は主様に着いていきます」
「アタシは刀の訓練でもしとくぜ。生憎アタシは不器用だからな」
「訓練なら、今日は外で戦闘訓練あるから行ってみたらどうですか?」
「よし、行く!」
血雷はヴォラクと似た指の動きを見せる。親指を立てる動きだ。
そして刀の持ち手の部分を握った。抜刀はしなかったが、まるで刀を抜刀する勢いだ。
「なら私も言っていいですか?魔法の練習したいんです」
シズハも血雷と同意見だった。
シズハは血雷と同じ様に訓練をしたいと言った←ただし剣ではなく魔法
「よし、なら僕とレイとサテラは地下室送りで姉さんとシズハは訓練と言う事でいいね?」
「おぅ問題なしだぜ、ヴォラク」
「あ、姉さん。聞いておきたい事があったんだ」
「ん?どした?」
「姉さんって刀とか剣使って二刀流出来る?」
「二刀流か?出来ない事はないぞ。逆にやろうと思えば出来るぞ…………だが、二刀流がどうした?」
「いや、ただ聞きたかっただけだ」
その回答に対して、血雷は軽く首を右に傾げた。
見た目に似合わない彼女の行動にヴォラクは少しだけ惹かれてしまう。
それでは、互いの行動を始める事にしようか。
「ほんじゃ、また後でな」
「おぅ、じゃまた」
「私、頑張ってきます!」
その場でヴォラクは血雷とシズハと別れた。
血雷が自分の視界から完全に消えたぐらいに、ヴォラク達も行動を始めた。
まずはレイアに昨日行った地下室に案内してもらわなくては、そうしないと話が始まらない。
「よし、LET'S GO――――!」
「それじゃ行こうか!」
(何だろう?私空気感凄い気が……)
昨日来て、バスターランチャーをこの手で生み出したあの地下室にまたやって来た。
昨日と変わっている所は一切ない。
さて、また昨日と同じ様に作業台に向かって只管に武器を作る。
今日は朝から晩までずっとそうしようと思っていた。
さて、何から作ろうか。
予定では、超火力でバスターランチャーと同じ様な感じで作ろうと思っているレーザーブラスターやあるSF映画によく登場する光る剣の様な武器。他にもロマンしか感じられないレーザーガトリング砲など色々と作ろうと思っている。
まぁ、取り敢えず素材が尽きない限り作り続けようと考えた。
次の瞬間、ヴォラクの目付きが変わった。
「レイア、これから僕は設計図を書く。それまで少し静かにしていてくれ」
急なキャラチェンジにレイアは少しだけ動揺しながらも「り、了解しました」と言った。
そしてヴォラクは作業台の上に置かれた紙とボールペンの様なペンを使って、紙に武器のデザインやパーツなどを只管に書き始めた。
レイアとサテラは後ろでその様子を見つめていた。
しかしいつまでもただ見つめているだけなんて事は出来なかったので、ヴォラクを待っている間に他の事をする事にした。
ヴォラクが必死になって作業台に座り、設計図を書いている時、後ろではサテラとレイアが何かしていた。
何を?知らない……
「そう言えばさ、サテラって攻撃は出来るけど………そんな貧弱でペラッペラな装備で大丈夫なの?」
と言ってレイアはサテラの体を指さした。
レイアが指摘したのは、サテラの着ている服についてだった。
サテラの服は普通の布の服で前に主であるヴォラクに買ってもらった服だ。個人的には主に買ってもらった物なので多少の防御力の不安があるとは言っても、買ってもらっただけとても嬉しい服だった。
しかしレイアが指摘したのはこんな薄い服では敵からの攻撃にこの服が耐えられない事だ。確かにこんな薄くてペラッペラの服ではいつ攻撃を食らって死ぬか分からない。
それなら最初から防御力を上げる為に鎧等を買えばよかったはずなのだが、正直な話、敵が近付いて来る前に武器であるネーベルを使用すれば大体の敵は肉になるのであまり気にしていなかったのだ。
しかし、レイアだって今着ている服はサテラとは大差ない服だ。露出結構多いし。
「まぁ、私は戦闘用の服があるから非戦闘時はこの服だけど、サテラは戦闘時でもその服なんでしょ?」
「はい、戦闘時でも私はこの服を着てます。問題ありますか?」
「いやっ、大ありだよ!そんな服じゃすぐ死ぬよ?戦場でそんな服で彷徨いてたら剣で斬られて死ぬぞ!全くもぅ!私がここにある鎧とか探してあげるから、ちょっと来て!」
「それって必要?」
「必要だよ!そんなペラッペラな服じゃ死ぬっつうの!ペラッペラなのはその胸だけにしてね!」
(今、何ったゴラァ!?)
サテラのバストサイズはCぐらいです。
レイアはE
前も言ったっけ?
そして、サテラはレイアに防御力を上げる為の鎧や服をこの地下室の中から探す事にした。
多分この地下室ならサテラでも着れる鎧ぐらいあると思う。
多分ね。
「よし、取り敢えず軽装の鎧でいいかな?サテラって守護戦士みたいな重い鎧は着たい?」
「断固拒否します。私はスピード系の人なので」
「分かった。それじゃ、攻撃を受けやすい胸の所とか肘とか脛の部分に鎧を付けて、胸の後ろには皮の鎧でも付けとけばいい………かな?よし、ちょっと待ってて、取ってくる!」
「了解しました!」
レイアは地下室の中にあった、散らかった装備品の山の中に飛び込んだ。穴の中に飛び込む様に装備品の中に飛び込んだ。
全く片付けられていない。ただ乱雑に置いた感が凄かった。本当にここには誰も人が来ていないのだろうか?それならせめて「誰か掃除しろよ」と言いたくなったが、よそ者の自分が言える台詞ではないとサテラは思った。
取り敢えずレイアを待っていようか。
「ふぇへへへ……順調」
しばらくすると、装備品の山の中からレイアがホコリを少しだけ被りながら出てきた。
綺麗で美しい銀色の髪も乱れてるし、服もちょっと汚れちゃってるし、て言うか考えもなしに装備品の山の中に特攻するとは……
「よし、ちょっと汚れてるけど良いのがあったよ。着てみ?」
レイアは自分の発言通りに胸に付ける為の金属で作られた鎧、他にも肘や脛、肩を防御する為の鎧を取ってきてくれたのだった。鎧は薄い銀色で地下室を照らす明かりに反射してギラギラと光っている。表面は僅かながらだが、汚れている。
しかし錆などは付着しておらず、まだ全然使う事が出来そうだ。
レイアから少しだけ汚れた鎧を手渡されると、サテラは早速その鎧を着てみる事にした。こんな風に鎧を着るのは初めてだ。
だけど、着方が分からない訳では無いので実際に着てみる事にした。
「に、似合ってますか?」
「似合ってると言うか何と言うか…………少し逞しくなった気がする。後、何か冒険者?っぽく見えてきた」
似合ってると言われるかと思ったが、予想していた答えとはまた違う答えが返ってきた。
より冒険者らしくなったと言われたのだ。似合ってると言われたのではなく。
ま、あんな服装ならね、仕方ないね。鎧着てて可愛いだなんて言う人なんてあんまりいないと思うし。
「これで少しは防御力上がったんじゃない。とっても似合ってるよ、さっき言えなくてごめん。まぁ、取り敢えず……バッチリ上手く決まったんじゃないの?」
「あはは、嬉しいです」
「レイ!カモォ―――――――――ン!!!」
「うっせぇわ。声のボリュームダウンしてくれよヴォラク」
「すいません」
ヴォラクが作業台の近くに置かれた椅子から立ち上がり、カモォ――――――――ン!!!と超大きな声で叫んだ。
ヴォラクのデカすぎる声は地下室全体に響き渡った。デカすぎて地下室の外にもヴォラクのデカすぎる声が聞こえてきそうだ。
レイアとサテラは2人揃って耳を塞いだ。
「すまん、声がデカすぎた。レイ、設計図が出来た。これの通りにパーツを生み出してくれ。素材はあれを使ってくれ、使っていいのか分からんけど」
「使ってくれていいよ。ならちょっと設計図見せて」
レイアはヴォラクから手渡された設計図を手に取る。
レイアはある程度、設計図に目を通すと設計図をヴォラクに返した。
「よし、やってみるか」
「あぁ、よろしく頼む」
レイアは早速、作業台の近くに置かれた多くの素材に自分の素材の形を変える事が出来る魔法を使う事にした。
ヴォラクはまた、魔力生成石を取り出した。
今回使う魔力生成石は昨日作ったバスターランチャーと同じ物だ。
しかし昨日作ったバスターランチャーに組み込まれた魔力生成石とは違う所がある。
この魔力生成石は個体によって、大きさにバラつきがあるのだ。
これは自分の持論に過ぎないが、この魔力生成石は本体の大きさによって、生成出来る魔力の量も変わっているのではないのか?と考えているのだ。
今回使う魔力生成石は昨日の物よりも一回り大きいサイズだ。
今回作ろうと思っている武器はバスターランチャーよりも大型で威力もバスターランチャーよりも勝る武器なので、バスターランチャーに組み込んだ普通サイズの魔力生成石ではなく、少し大きな魔力生成石を数ある中から選んだのだ。
今回作ろうと思っている武器はバスターランチャーを大型化した射撃武器で、常時バスターランチャーに勝る威力のビームを撃ち出す事が出来る。
名前は『バスターブラスター』←ヴォラクが考えた。
更にカッコよくして『ブリッツ』←急襲と言う意味がある。
更に更にこのブラスターには以前に制作したミサイルランチャーも取り付ける予定だ。これを付ける事でブラスター本体の攻撃だけでなく、ミサイルによる火力増加も可能だ。
ブラスター本体からの強力なビーム。そしてミサイルによる支援。
強力以外の何物でもない。
大きさは縦幅を40cm横幅は1m70cm程の大きさもある。
因みにバスターランチャーの縦幅は25cm横幅は1m30cm程だ。
さてと、後はレイに任せるとするか、生憎僕は魔法は一切使えないんでね。出来ない事は出来る人に頼むのが1番良い選択だ。
素材の形を変えるのはレイの仕事だ。その形が変わった素材を組み立て、武器とするのが僕の役目だと決めていた。
しばらく待つとするか……
10分程待ったら、レイアが少し疲れた表情でヴォラクに話しかけてきた。
かなりのパーツ数があったのだ。多少疲れていても仕方ないかもしれないね。
「すまん、ありがとう。後は僕がやるよ、バトンタッチだ」
「すいまひぇん。後頼む。止まるんじゃねぇぞ」
と言い残して、少し汚れた床にレイアは座り込んでしまった。
サテラは「大丈夫ですか!?」と慌てた表情で話しかけて、オロオロとした様子でレイアの隣に座った。
よし、ここはサテラに任せて組み立てるか。大丈夫、プラモデルと同じ様な感覚で組み立てる。その為にパーツに小さな穴や小さな棒を付けてもらったのだ。(これに穴に棒が組み込まれ、取れない様になる)
よし、「足が棒になる」ならぬ「手が棒になる」状態になるかもしれないが、只管になってやってみる事にした。
そう言えばさ、さっき作るのはブラスターだけって言っていたよね?
あれは嘘だ。
実は設計図に書いたのはブラスターだけではなく他にも設計図に書いた武器がある。
それは「ビームソード」ヴォラクが付けた名前は『メメントモリ』ネーミングセンスは知らん。
仕組みとしては、バスターランチャーやバスターブラスターと同じく、内部(握る部分)魔力生成石(バスターランチャー、バスターブラスターとは同じタイプだが、設置出来る大きさの都合上、バスターランチャー等と比べると石の大きさは小型になっている)
握り手の部分の内部には魔力生成石が組み込まれていて、握り手に取り付けたボタンを押す事で魔力生成石の中に生成された魔力を解放する。
しかし、バスターランチャーは魔力を圧縮して発射出来るが、このビームソードは圧縮した魔力を形に変える事が出来る様になっている。ここら辺の事は全てレイアに任せてある。
これにより握り手の先から魔力の刃を出現させる事が出来るのだ。因みにこのビームソード、1個だけじゃなくて3つ程作ってもらった。
お陰で残された魔力生成石の10個中5個使ってしまった。
でもレイアに怒られてないからセーフ。
さて、ビームソードもバスターブラスターの両方、全て僕が作り上げてやる!
「だからよ……止まるんじゃねぇぞ」
「大変だ―――――!ヴォラクが昇天しかけてる!」
「あ、主様ァァ!2時間も休憩なしで作業するからですよぉ!」
「お前らが止まんねぇ限り、その先に僕は……」
いや、何意味分からん事言ってんの?レイア達には伝わらないよ?
そのネタ分かるのは違う人だと思うよ?
ヴォラク、もう少し違うネタを用意しろ。
「起きろぉぉぉぉ!まだ昇天すんなぁ!」
「へぁ!?わ、悪い……ちょっと疲れただけ………だ」
「ほ、本当に大丈夫?目が死んだ魚みたいになってるけど?」
元からだよ。目が死んでるだなんて、今まで何回も言われた事あるぞ。
「心配すんな。そんな事何回も言われた事あるぞ」
「本当?本当に大丈夫?」
「大丈夫だよ!お陰で色々と武器作れたからな」
「そ、それなら良かった………じゃあさ、性能試験してみる?」
「してみるさ。と言うかしたい」
「よ~し!LET'S GO!!」
レイアはニコッと笑いながら、ヴォラクの手を握る。ヴォラクはまだ作った武器を持っていなかったので「まだ、まだ武器持ってない!」と叫ぶ。
レイアは「ごめーんね」と言ってヴォラクの手から手を離した。
ヴォラクは手を離してもらったので、作業台の上に置かれたバスターブラスター『ブリッツ』と3つのビームソードである『メメントモリ』を手に取り、歩き出した。
そして、ヴォラクはサテラとレイアと共に暗い地下室から脱出した。
さぁ、また武器の力を見ようじゃないか……