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51話「模擬戦……?」

 模擬戦だとは……どうやら、バスターランチャーを使う為に使える最高の実験モルモットが見つかった様だ。

 ヴォラクは早速、作業台の上に置かれた、自分で組み上げて作った(だが実際はパーツだけ組み立てただけで、組み上げる為のパーツはレイアに作ってもらった)


「模擬戦!?誰がヴォラクに模擬戦なんて挑もうとしたの?」


「模擬戦を所望するのは、我々の中で兵士ナンバー1『バリエル』殿であります!」


「え、バリエル?あんなゴリ押し男がヴォラクに模擬戦を?」


「はい!バリエル殿がレイア様が連れてこられたお仲間様に模擬戦を所望致しました!」


 ヴォラクは強く胸を踊らせる。新しく制作したバスターランチャーを使う事が出来る相手を見つける事が出来たのだ。

 胸が踊って仕方なかった。このバスターランチャーで相手を焼き消すのも悪くはないが、レイアの配下を行成、バスターランチャーで殺すのは流石にマズいと考えていたので流石に殺すのはやめて半殺しか死なない程度に殺すかのぐらいにしようと考えた。


「面白い……ちょっと楽しんでみるか」


「ヴォラク、やる気なの?」


「もちろんさぁ!」


「成程……やる気十分ね。なら、行こうか」


 すると兵士はレイアに敬礼をし、ヴォラク達の前を歩く。そしてそのまま地下室の扉から出ていった。

 ヴォラク達5人は地下室から、出ていった。





















 外に出ると、既に他の兵士が集まっていた。兵士達が立つ先には、少し大きな広場がある。

 大きな広場の真ん中には、僕と模擬戦をしたいと言っている人が立っている。


 仁王立ち状態で立っていて、片手には大きくかなりの重さがありそうな大剣を余裕な表情で握って、軽く振り回している。まるで「自分が勝つ!」と豪語している様な素振りだ。その一丁前の威勢だけ評価したい所だが…

 ヴォラクは正直な所、とても呆れていた。

 相手の力量も知らずに自分を強く見ている。そんな奴の末路は負けだけだ。

 相手の力量を知り、そこで自分が勝てるのか、それとも負けるのかそれを知った上で自分を見るべきだと思うのだ。

 しかし目の前に立つ奴は自分を強く見ている。他人の強さも分からずに「自分は最強だ」とでも思っているのだろう。誰にも負ける気なんて一切なさそうだ。

 しかし、ヴォラクはそんな奴に負ける気は満更なかった。


「あんたかい?僕の模擬戦相手ってのは……」


「その通り、俺の名はバリエル。この国の兵士中ではトップの兵士さ。今回はお前の強さを図る為に俺様が相手をしてやるって事だ」


「成程ねぇ…もし僕が負けたら…どうするつもりだ?」


「弱気な奴だな、負けたらレイア様の仲間から外れてもらうぜ。そんな弱い奴がレイア様の仲間になるぐらいなら、最強な俺様が仲間になる方がマシだと思うんだ」


「自分を強く言うのはやめた方がいいよ……弱く見えるよ」


 その言葉に周囲は動揺してしまう。

 一応だがバリエルはこの国では最強の兵士だと言うのだ。そんな奴に「弱く見える」だなんて言ってしまったのだ。

 それもそんな事を言った奴は今、この国に来たばかりの何処の馬の骨かも分からない奴だからだ。周囲が動揺してしまっても仕方ないかもしれない。現にレイアも「何言ってるの!?」と言いたげな顔をしてしまっている。

 しかし、サテラ達3人は「ヴォラクが負ける訳ない」と思っている。理由は簡単だ。

 ヴォラクはそこら辺の雑魚とは違うと言う事を…


 そして、バリエルはそんな事を言われてしまい、かなり激怒してしまっている。

 ヴォラクも感じていた。バリエルの怒りのオーラを肌で感じていた。

 しかし、恐れる事はない。

 こんなに安い挑発に乗ってしまう奴なんかに恐れる必要性など一切ない。


「お前…言葉を選べよ…てめぇみたいな素性も分からねぇ奴がそんな一丁前なセリフ言うんじゃねぇ!俺みたいに良いとこで生まれて、こんな風に兵士になれてる奴の方が、偉いんだよ!てめぇみたいな貧困育ちみたいな奴はぁ!」


 バリエルは激昂し、大剣片手に突っ込んできた。

 だがこの時、バリエルの負けが確定した。

 何故なら……


「痛い思いしなきゃ、分かんねぇかぁ!?」


「もう一度言う。君は弱いよ……相手の事も見ずにただ猪みたいに突っ込む奴はなぁ!」


 ヴォラクは先程作業台で作ったバスターランチャーを取り出し、単発形態の状態でバスターランチャーの銃口をバリエルの方に向ける。

 バリエルは大剣片手にただ馬鹿みたいに突っ込んできてるだけなので、進む進路を変える事はなさそうだった。

 じゃ、勝ち確定だね。


 ヴォラクはバスターランチャーを両手で構える。このバスターランチャーには精密射撃を安定して行う為にバスターランチャー本体の側面に安定用のフォアグリップを取り付けてあるのだ。

 右手で引き金を左手でフォアグリップを握った。

 そして、ターゲットに攻撃を確実に命中させる為に狙いを定める。


(動きが単調過ぎるぞ!そんなんじゃ戦場で……生き残れないだろ!)


 ヴォラクは狙いを確実に定めると、バスターランチャーの引き金を引いた。

 これが、バスターランチャーの初めての射撃だった。銃口からは若干紫色の光が超高速で放出されバリエルの方に確実に飛んで行った……


「………えっ?」


 バリエルが気付いた時にはもう遅かった。バスターランチャーの単発射撃はバリエルの体に命中、バリエルの姿勢は大きく後ろに傾いた。

 バリエルは巨漢な体をしていた為、完全に後ろに倒れる事はなかったが、大きくバランスを崩す事が出来た。

 バリエルはもう動けそうになかった。ただ後ろに傾いた状態で立っているだけでまともに動けそうではなかった。

 大剣だって手放して、地面に落としてしまっている。


「まだ、終わりじゃないよ!」


 ヴォラクはバスターランチャーを地面に投げ捨てて、バリエルに一気に接近する。

 全力で前方に向かって走り、バリエルの目の前にまで来ると……


「死にな…」


 ヴォラクはバリエルの膝の皿の所に向かって、思い切り強い蹴りを行った。

 多分中の骨ごと折れてるだろうが、そんな気にしない。

 と言うか、気にする必要性がない。


 バリエルは低い叫び声を上げる。その音は非常に高い音だった。耳を塞ぎたくなる程に。


 ヴォラクはバリエルの叫び声が耳障りで仕方なかった。邪魔でしかなかった。

 そして、バリエルは前方に倒れ込んできた。

 どうにか両手を使って、四つん這いにはなれていた。

 もうバリエルは虫の息と言っても過言ではなかった。まだ低い叫び声を上げ、苦しそうな表情をしている。


「うるさいよ…」


 そしてヴォラクは後頭部の部分に自分の右手を差し出すと……


 容赦ないストレートがバリエルの後頭部に直撃した。

 ストレートを後頭部にきめた次の瞬間、バリエルは動かなくなった。

 しかし、バリエルの体はまだ温かかった。

 バリエルは死んではいない。ただ気を失っただけだった。

 ヴォラクは半場殺す気でいたが、脳を直接潰す事はなかった。少しだけ殴る場所をズラしていたからだ。

 しかしバリエルの脳の所を直接殴っていたら、多分死んでるだろう。

 人間の脳は柔らかいから、簡単に潰れてしまうかもしれない…












「レイ、僕の勝ちって事でいいんだよ……な?」


「うん!ヴォラクの勝ちだね!」


 そしてレイアは右手の親指を立てた。


「って!喜んでる場合じゃなかった!皆、早く担架を!バリエルを運んで上げて!」


「「「「了解致しました!」」」」


 すると、すぐに周りに立っていた兵士は担架を持ってきた。

 バリエルは担架に乗せられ、4人の兵士によって何処かに運ばれていった……




















 今、見せた攻撃は嘗て僕が自分で生み出した対人用の殴打技だ。それも人間が痛みを負う中で特に痛い所を殴り、蹴る為に作った技だ。


 しかし名前などは特にない。

 ただ、膝の部分を思い切り蹴って、前方か後方に倒れた所に、後頭部、もしくは顔面に直接ストレートを叩き込むだけの技だ。

 しかしこの技の実験台になってくれる人がいなかったので今回の模擬戦はこの技を人で試した初めての戦いだったのだ。


 前の世界にいた時は人ではなくサンドバッグにこの技を使っていたので、やっと対人に使う事が出来て、ヴォラクは少しだけ嬉しかった。

 







 そして、さっき地面に投げ捨てたバスターランチャーを拾うとサテラ達がヴォラクの傍に集まってきた。


「主様!カッコよかったです!あんな奴を倒してしまうなんて!」


「流石はヴォラクさんだよ。あんな口だけ男やっつけてくれてありがとう!」


「大口叩いてた奴をメッタメタにするとは…やるねぇ、ヴォラク!」


「まぁ、これでヴォラクの強さが皆に伝わったよ。ヴォラクは強い、やっぱり私の仲間に相応しいよ………えぇっとこれからも宜しくね」


 レイアは少しだけ頬を赤くした。照れているのだろうか……


「あ!そうだ。今日の夜は歓迎会しようよ!ヴォラク達が来てくれた記念に」


「お、それいいんじゃないの?賛成するぜ」


「よぉ―――し!決まりだね!」


 今夜は楽しくなりそうだった。



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