表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/158

50話「早々に武器制作」

 

 今は考えない事にする。あまり、考え過ぎるのも良くない事だ。

 ヴォラクはまるで見逃すかの様に考える事をやめた。


「そう言えばさ、貴方達3人の名前、まだ聞いてなかったね…聞かせてくれる?」


 確かに、サテラ、シズハ、血雷の3人はまだ自分の名前をレイアに教えてなかった。

 流石に自分だけ名乗っておいて、3人が名乗らないのはおかしい。


 しかし、サテラ達はすぐにレイアの要求に答えた。


「まだ、名前言ってなかったですね。私は『サテラ・ディア』と言います。主様の奴隷です、宜しくお願いします。色々と聞いてみたい事があったら言ってくださいね」


「聞きたい事?スリーサイズは?」


 何てはっちゃけていてジョークが混ざった質問だ……ヴォラクは少しだけ呆れてしまった。


「えっえ?えーっと……秘密です…」


 サテラは頬を赤くし、恥じらう様な表情をレイアに見せた。ヴォラクは何だか、そんなサテラが少し可哀想に見えてきてしまった。

 まぁ、ヴォラクは何も言わない事にした。女性の会話に首を突っ込むのは好きじゃないので。


「えっと…『クジョウ・シズハ』って名前です。魔法とか、遠距離での射撃戦が得意です。後、和ノ世界出身です」


「あぁ!あの和ノ世界の所の生まれ?私も1回行った事あるよ。あそこは普通にいい所よね~って言うかシズハは亜人族なのね。それに……純粋に狐の血を持ってるよね?」


「はい、私は狐の血が混ざった亜人なので…」










「血雷って言う者だ。気軽に呼んでくれ。言っとくけど、多分アタシの方が年上だぜ?」


「何歳なんですか?私は18歳だけど…」


 18歳って、僕と同じ歳何だけど…しれっと同年だし。

 しかし驚いてしまった。同年でこんなに美しい女の子が存在していたなんて……アニメやゲーム、漫画の中だけかと思っていたが、そんなの真実を見てからじゃないと分からないものだ。

 ヴォラクはまた一つ、何か重要な事を覚えた様な気がしてきた。

 気がしてきただけだ……


「ふっ…アタシは20歳だ。しっかりと敬えよ!アタシの方が年上だからな!」


「言われなくとも、そうするつもりです。それに……血雷さんに対して私は………色々な所で負けてると思いますし…」


 と言って、レイアは血雷の非常に大きな胸や腰周り、お尻の部分などを見ていた。流石にレイアでも血雷の美し過ぎる肉体には勝てなかったのだ。そう言う所では、レイアは血雷に負けてしまっているかもしれない。


 ヴォラクは関わる気0状態だ。

 今は女の子だけの会話。僕の様な男子が介入する場面ではない。

 堪えろ。今は辛抱だ……

 話したかったら、また後でゆっくり話せば良いのだから……










「あっ!ヴォラク、見えてきたよ」


「ん?何が?……………ああっそういう事ね」


 ヴォラクは正面を見つめる。そこには……


 レイアが言っていた、レイアの国があったのだ?国とは言っても、あるのは中世の時代に建てられていた様なお城だったのだ。

 大きさはかなり大きく、地上から上を見上げればなお大きく見えてしまう。

 それに、周りは石で作られた城壁の様な物で固められていて、周りからの侵入は不可能に近いだろう。壁を登って行こうにも、突起などがないので登るのは出来なさそうだ。

 壊すにもあの壁には相当な耐久力があるだろう。殴ったり、蹴れば壊れる様な代物ではない。強力な魔法を使えば、何とか壊せるレベルの強度を持っていそうだ。

 まぁ、ヴォラクのツェアシュテールングなら貫通するかも……サテラのネーベルだって、撃ちまくれば穴ぐらいは空くんじゃないかな?シズハのステイメンなんて、大穴を開けてしまうだろう……姉さんの刀は………………ノーコメントで……… 絶対に無理だろ?刀で強度に作られた石の壁斬って壊すなんて普通に考えて出来ない事だ。

 考えない方がいいだろう…逆に刀で斬る事が出来たら凄いと姉さんを褒め讃えよう。






















 そして、正面には大きな門がある。門は固く閉ざされていて、押したり、引いたりして開ける様な門ではなさそうだ。開かないならぶち壊すの考えも間違ってはいないと思うが、少々の無理があるのでやめておこう。

 それに目の前に立ち塞がる問題は成る可く、手荒な手段を避けて片付けたい。全ての問題を手荒に片付ける様な事は好きではなかったからだ。


 しかし、色々と考えている内に、レイアが突然として叫んだ。めちゃくちゃ大きい声ではなかったものの、耳がそれなりに刺激される声だった。


「おぉーい!私だよ~開けてくれ~」


 と叫んだ瞬間、固く閉ざされていて壊す以外開ける方法を考えていなかった、あの門が突然としてゆっくりと開き始めたのだ。

 低い音を立てながら、開く門を見て、ヴォラクは何も考えずにただ開く門をただ見つめていた。


 門がどんどんと開いていき、そして全開となる。


 門が完全に開いた瞬間、門の奥からは沢山の兵士と思われる人間が現れたのだ。


「戻られましたか、レイア様……?そこの4人の人達は?客人でしょうか?」


 1人の兵士がレイアに僕達の事を尋ねる。レイアは胸を張って答える。


「いいえ、違うよ。この人達は………私の仲間なの!」


「「「「「「「「「「「な、何だってぇぇぇぇぇぇえ!!!!」」」」」」」」」」」


 周りから、集団で集まる様な人間の大声がこだました。その音はうるさいじゃ済まないぐらい大きな声だった。

 はっきり言って、うるさ過ぎて、聞くに絶えない音だった。

 ヴォラクはあまりのうるささに耳を塞いだ。サテラと血雷もヴォラクと同じ様に耳を塞いだ。シズハに至っては狐の様な耳を両手で塞いでいる。それに、シズハの耳は集音性が高いのか、ヴォラク、サテラ、血雷よりも苦しそうな表情を見せていた。ヴォラクは「大丈夫?」と言って、シズハの頭を撫でた。

 シズハは頬を赤らめながら「大丈夫です…」と恥ずかしそうに答えた。











「な、なんと?レイア様にお仲間が?」


「我々はただの配下なのに…まさか、仲間を連れてくるとは…」


「しかも1人は男っぽいぞ!まさか…恋人か?」


(恋人なら、既に3人いるんですが……これ以上増えたら…こま、らないか…?)




 レイアはその「恋人」と言う言葉に強く反応してしまう。流石にまだ、恋人と言うには早すぎる気がする。

 そもそも、ヴォラクとレイアの2人が恋人になる気があるのか怪しいので、気にする事はないだろう。

 もしも、恋人になったとしても………なったとしても?


「さ、流石に…恋人じゃないから。ただの仲間だからね!」


 うん、乙女だね。純粋に美しい女の子だ。ヴォラクは仮面の下でニヤける様に笑ってしまった。

 微笑ましいのか、ただ他人を馬鹿にしているだけなのか…


「で?僕はどうすればいいんだ?あんたの下僕にでもなればいいのか?それとも、奴隷の様に働き続ければいいのか?」


「そ、それはSな奴しかやらないよ。ただ一緒に戦って、一緒に過ごして、一緒にご飯食べてくれればいいよ。後……ヴォラクのその武器とかの制作技術、私にも見せてくれない?」


「情報を拡散して、技術を漏洩させないのなら許可をするよ」


「大丈夫。誰にも言わないし、漏洩させる気もないよ。ただ私にだけ見せてくれればいいの」


「分かった。見せよう……で?何処に行ってそれをやればいい?」


 すると、レイアは門の中に建つ城の扉を指差した。指の方向を見ると、指の先は城の下を指していた。

 きっと地下になにかあるのだろう。テンプレなら地下に武器などを作る為の工房でもあるのだろう。

 何となくではあるが、ヴォラクには分かっていた。


「地下に工房でもあるのか?」


「大正解だよ。地下には武器制作の為の工房があるの。今から、来てくれるよね?」


「行くよ…武器なら早く作りたいし」


 レイアは「その意気よ!」を親指を立てて言い、歩き出した。

 ヴォラクはレイアの後ろを着いていく事しか出来なかった。そして、サテラ、シズハ、血雷も不安になったのか、ヴォラクの後を着いていった。

 ヴォラクは何も言わずに歩いていた。3人を拒絶する事もなく、着いてくる事に何の疑問も抱いていなかった。


 そして、その姿を周りの兵士達はただ呆然として見つめていた。誰も叫んではいなかった。

 羨ましそうに見る者もただ唖然としている者も。未だに状況を理解出来ていない人もいた。


「後で、レイア様が連れてきた仲間と話してみようかな?」


「皆、可愛いな~仲良くしてあげよう」


「ねぇねぇ、あの仮面付けてる人。カッコよくない?ダークな感じだよ!」


「仮面がカッコ良さ出してるよね~後で話しかけてみよっと!」


(虫唾が走る奴だ……さっさと消えてほしいものだな…)


 ヴォラクはこんな会話を聞く事はなかった。耳に入る事すらなかった。

 色々な人間がいる。美しい女性に目を奪われ、仲良くしようとする人間もいれば、そのダークな印象に心を奪われてしまう者も、そしてそんな彼の存在を鬱陶しく、邪魔に思う者もいた。

 ヴォラクはそんな事知らなかったが、ただヴォラク以外に人間にはこんな風に言われている事を知ってもらってほしかったのかもしれない。

 その人を思う本音には色々なパターンがあり、その人を良い様に言う人も悪い様な事を言う人もいる事を……






 
















 そして、本題の武器制作だ!

 レイアに連れられて城の中に入ると、周りを見る事もなく、レイアにすぐに地下への階段に案内された。周りを見る事もなく地下の階段を降りる事にした。

 ヴォラクは最初、地下への階段を見た時「何だこの階段は?」と言ってしまった。

 そして、暗い階段を5人で降り、下へと進んで行った………















「うん、暗いね」


「まぁ、もう長い間使ってないからね。武器なんてもう今は自国で作らずに、生産量の多い国からお金払って仕入れてるから、もうこの場所は完全に宝の持ち腐れ状態なのよ。だから、好きなだけ使っていいからね。武器の素材とか、ここに置いてある既存武器とかも使ってくれて構わないからね」


「よし……これから、武器制作に入る。一応指示を入れるよ」


 ヴォラクのスイッチが入ってしまった。

 こうなってしまえば、もうヴォラクが止まる事はない。これから、ヴォラクは少しだけ人格が入れ替わってしまった様になる。

 これもオタク故の力なのかもしれない……


「サテラは、武器以外の物を持てるだけ持ってきてくれ。医療器具とかでも構わん。シズハは設備の確認を頼む。姉さんは既存武器に何があるの見てきてくれ。レイは、僕が使う素材や武器にどんな力があるのか教えてくれ」


 ヴォラクの的確な指示に4人はすぐにヴォラクの指示を受諾した。

 5人はすぐに行動を開始する。


 ヴォラクはすぐに、この部屋に残された武器を作る為の素材の確認を始めた。既存武器の確認や設備の確認や武器以外の物の確認はサテラ達に任せているので問題なし、気にしなくていい。

 何があるだろうか……


「主様!救急箱を見つけました。中に何か入ってると思うので、見てください!」


「おう、そんな物見つけたのか。よくやった!じゃ確認を!」


(主様に褒めてもらった!めっちゃ嬉しい!)


(何が入ってるかな?まず包帯は……バタフライテープはあるが…スポンジ……はないか。他には…衣服を切るハサミもある。ジェルパッドみたいなのもあるな。それに止血剤にガーゼロールにゴム手袋もある!割と良い物揃ってるな…)


 中にはヴォラクのご要望の物があったらしい。色々と必要なあったお陰でヴォラクは少し上機嫌だ。

 そして、シズハも報告に来た。この場所にある設備を確認してきたのだ。


「ヴォラクさん。色々置いてあったよ。工具が置かれた作業台、他にも金床とかもあったよ!」


「ヴォラク!既存武器なら山の様にあったぞ。剣もあるし、バラバラにされた武器のパーツもあったぞ。他にもありとあらゆる武器が転がってるぜ、ここは。刀は無かったけどな……まぁ、そんな所だな、武器組み合わせるのも悪くないかもしれないぜ」


 どうやら、この場所にはかなりの素材と武器が置いてある様だ。

 これだけあれば、武器の1つや2つ所か、数え切れない程の武器を作る事が出来るかもしれない。

 ヴォラクの脳内には様々なアイデアが浮かび上がる。凡人には考えられない程の情報を脳内に挿入していく。

 作ろうとしている武器の形状や内部形成、全てを脳内で考え、パズルを組み立てる様に形成していく。

 ヴォラクの脳内では自分の指1本で武器が全てが創られていく様だった……















 色々と考えた後、ヴォラクは作業台に向かい、すぐに作業台の椅子に座る。

 すると、作業台の上には何かが置かれていた。


「……レイ、これは何だ?石……?なのか?」


「ああ、それは『魔力生成石』って言ってね。この石は魔力を自己的に作り出す事が出来てね。この石には魔法を使う為に必要な魔力を生み出す事が出来るの。勿論だけど、この石から魔力が無くなる事はないよ。半永久的に魔力を生み出し続ける……神が作り、永遠に生み出される魔力を組み込んだ物と言われてるの。ちなみに、この石、後10個ぐらいあるよ!」


「10個もあるのか……凄いな(そんな神様が作ったとか言われてる、世界に数個しか無い様な物がこんなボロボロの地下室に10個もあっていいのか?設定的にマズイ気がするんだけど……と言うか、これ完全に核エンジン的なあれだよね?)」


「後、これは魔力に関する事なんだけど。この魔力生成石を使ってこの国オリジナルの武器である『魔力砲』と言うものを使う事が出来るの。魔力砲って言うのは、使うと外部に放出される魔力をこの石の中へと高濃度圧縮して魔力生成石本体から魔力を発射する武器なの。詳しい事はまた今度説明するけど、簡単に言うとそんな感じ。魔力生成石にはそんな使い方も出来るの!」


 レイアの説明を聞いた瞬間、ヴォラクに電流が走る。(本当に走ってるか分かんないけど)この魔力生成石には魔力を圧縮し魔力生成石本体から銃の様にして発射する事が出来ると言うのだ。

 つまり……魔力生成石本体を銃の形にしたパーツの内部に組み込み、引き金を引いて、銃の発射時に魔力生成石内に圧縮された魔力を発射すると言うのだ。

 まるでロボットなどが使う事がある『ビームライフル』の様な武器だ。

 つまり、この魔力生成石を自分で作った銃の内部に装着し、銃を撃つ為に必要な銃弾にこの魔力生成石により生成、圧縮される魔力を銃弾に纏わせて、発射すれば、擬似的であるがビームを撃つ様にする事が出来るかもしれないと考えたのだ。

 しかし魔力を銃弾に纏わせて発射するよりも普通に魔力のみでの攻撃の方が良いと考えたので、ヴォラクは高濃度圧縮された魔力のみでの発射を考えていた。



 勿論だが、成功の確証などないに等しい。

 そもそも実験もした事ないのに、使えるかどうかの判断もつかない。

 それに、万が一完成したとしても、ただの金属が魔力の発射に耐えられるかどうかも分からない。もしかしたら、魔力を発射する時の反動で銃がバラバラになってしまう可能性も否定は出来ない。

 所謂、危険行為と言うものだ。運が悪ければ死ぬ可能性だってある。相当なリスクがあると言った方が良いだろう。


 だが、ヴォラクはこんな事で下がりはしない。銃に関しては後退のネジを外しているからだ。やりたくなったらやる。

 それがヴォラクの考えだ。取り敢えずやってみる!失敗したら、失敗しただ!やれるだけやってみようとヴォラクは思ったのだ。


「ちょっと、良い事思い付いた。今からこの魔力生成石を使って、面白い武器を作る事にするよ………後、レイ、頼みたい事があるんだが」


「ん、何?」


「ここにあるただの金属の強度を増させてくれないか?今回作る武器がねぇ、ちょっと危ない武器なのよ、だから……そう言う事…」


「そんな事なら、任せてよ!金属に強化魔法を使って、強度を増させるから!……最後に言い忘れてた事があった。魔力って言うのは、過剰に体に魔力を取り込むと、致死性が非常に大きな毒性を持つものでもあるよ。だから使う時は気を付けないと、体を毒で蝕まれる事になるから……気を付けて」


「分かった……すまない、頼む」


 しかし、何を元にビームライフル的な武器を作ろうか……

 最強のオタクと言っても過言ではない、ヴォラクにとってはアイデアなんてすぐにでも出てくるだろう……取り敢えずガ○ダ○に出てきたMSが使っていたビームライフルを頭の中で想像してみた。


 ありとあらゆる武器が思い浮かんでくる。

 小型から、大型の武器まで思い浮かんでくる。


 取り敢えず、大型のビームランチャーをモチーフにして作ってみる事にする。ヴォラクは設計図の様な紙を作業台の上に見つけたので、その作業台の上に置かれた紙にビームランチャーの各パーツや内部パーツ。どの様な力を持つのかを片っ端に書く事にした。


 イメージとしては砲身はロングバレル型にして、ライフル自体は折り畳み出来る様に……したかったが、出来なかった(本人の技術力の問題)のでオミットする事にした。

 ランチャーの後部には本来は、エネルギーを装填する為のマガジンがセットするはずだが、このマガジンがセットされる場所に魔力生成石を設置する事にした。

 マガジン基、魔力生成石が設置された場所から魔力を消費し、ランチャーの銃口から魔力生成石によって高濃度圧縮された魔力を撃ち出す。これがヴォラクが考えた武器『ビームランチャー』の力だ。ビームランチャー自体を作る事ぐらいは容易い物だ。

 強化魔法によって、強化された素材を使い、ビームランチャーを作ると言うのだ。武器の形についてはレイアがどうにかしてくれると信じている。

 素材本体を強化出来ると言うのなら、素材の形を変える事も可能だろうと思ったからだ。


「レイ、素材の形を変える事は出来るか?」


「全然出来るよ。そんな事は序の口よ」


「有難い。それじゃ、強化した素材をこの設計図に書いてあるパーツの形に変えてくれ。ここに書かれたパーツを組み立てる事で1つの武器になるんだ」


「よ、よく分かんないけど…分かった。ここに書いてあるパーツの形に素材の形を変えればいいのね?」


「あぁ、そんな感じだ。よろしくな」


 そして、レイアは強化された素材に手を伸ばしヴォラクが書いた設計図を見ながら、強化した素材の形を変えていくのだった。

 レイアが素材の形を変えている間、ヴォラクはめちゃくちゃ暇だったので、何とかして暇潰しをしようとその場で呆然としていたサテラ達と話す事にしていた。


「何か暇潰しの道具ないのか?サテラ……」


「ないですね……残念な事に…」


「暇……ですね。ヴォラクさん…」

 

「本当だよ。時間の使い方間違ってる気がしてきたぜ…」


 4人揃って、何か絶望している様な顔をしている。

 まるで人生に絶望している様な顔だ。ヴォラクに至っては仮面の下の顔が恐ろしい事になっていた。

 過去の自分に似た顔をしていた。何も見に出せず、周りの何にも楽しめず、ただ生きていただけで自分が好きな事以外、生き甲斐を感じない生活を送っていた時の自分の様だった。

 今はあの時とは違う顔をしているが、今の時間だけはあの時と同じ様な顔になっていた。















 だったが、そんな時間は遅く感じる様で早く流れていくのだ。

 レイアがすぐにヴォラクが頼んだ事をやってのけたのだ。もう既に強化された素材を設計図に書かれた通りのパーツの形に仕上げ、組み立てが出来る様にしてくれたのだ。


「注文の品は完成したよ。で?ここからは……任せるよ」


「任せろ…」


 ヴォラクはすぐに作業台の所に戻り、椅子に座る。広い作業台の上には、レイアが仕上げてくれたビームランチャーのパーツが出来上がっている。

 ヴォラクはこれを組み立てて、武器を生み出す気だった。


「さて、組み立てるか……」


 ヴォラクは強化された素材、ビームランチャーのパーツに手を伸ばし、組み合わせを開始した。1から作るより余っ程簡単だ。

 すぐに組み立てる事が出来る。まるでプラモデルの様だ。内部構造までしっかりと組み立てる事にしている。

 ビームランチャーを発射する為に使う魔力を供給する為のパーツや内部の細かなパーツ等の全て組み上げる。

 外部の装甲パーツや魔力生成石を設置する為のマガジン部分なども全て組み上げた。

 そして、マガジンの部分にさっきレイアに紹介してもらった魔力生成石をマガジン内部に設置する。

 そして、内部パーツの1つである魔力供給用のパーツに魔力生成石を繋げる。こうする事で魔力が直接供給されて、高濃度圧縮された魔力を銃口から発射する事が出来る様になる。

 発射については引き金を引いていない時は内部に設けられた魔力漏れ防止のシャッターにより、魔力が外に出ていく事を防ぐ事が出来る様になっている。

 しかし、ビームランチャーの引き金を引いた時だけそのシャッターは開き、魔力を発射する事が出来るのだ。

 その他にも、単発形態と照射形態の2つの形態を設けさせる事にも成功した。これは設計図に書いていた事をレイアが仕上げてくれたからだ。

 単発形態では引き金を引くと、銃口からは単発状態で魔力が発射される。魔力の使用量も少なく尚且つ連射も可能なので、基本的にはこちらを利用するつもりだ。

 もう1つの照射形態は主に大型の魔獣の撃退や大勢で攻めてきた時の対処に使用する。

 この形態は使用する魔力量が大きく、1度の照射でも魔力を結構使ってしまう。だがその消費する魔力の多さの引き換えとして、照射形態での威力は申し分なく単発と比べればその威力は計り知れない。

 まぁ、きっとどっちも使う事になるだろうし問題なしだろ?まだ実戦テストとかもやってないけど多分大丈夫……


 多分……













 と言う訳で、ヴォラクが作ろうと思っていたビームランチャーは完成した。自分で1から銃を作る時とは違い、結構楽に作る事が出来た。それもきっとレイアのお陰だろう。

 彼女の魔法の力があったからこそ、出来たのだ。感謝しなければならない。


 ヴォラクはレイアに「ありがとう」とだけ言った。それに対して、レイアは「どういたしまして」と言ってくれた。









 さて、次はこの武器を使った実戦テストだが……どうしよう?誰で試せばいいんだ?


 ヴォラクが悩んでいると、突然地下室の汚れた扉が大きな音を立てて開いた。

 そこにはレイアの配下の兵士が1人立っていた。


「レイア様!連れてこられた仲間様と模擬戦を行いたいと言う者が現れました!」


(最高の実験台だ!)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ