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35話「服選び」

 




 テントの中で色々あった日の翌日。ヴォラク達は歩いてる途中に偶然見つけた小さな村に訪れていた。そしてその村にあった服屋を訪れていた。新しい服を買う為に。


 昨日降ってきてしまった大雨のせいでヴォラク達が着ていた服は濡れに濡れまくってしまったのだった。

 そして今着ているのは昨日雨のせいで濡れてしまった服である。昨日脱いで乾かしていたおかげで昨日よりは少しは乾いてはいるが正直な所若干濡れている。少し濡れた服を着ていると身体中にかなり違和感が残るので困ってしまっている。




 なので新しい服を手に入れる為に早朝からテントを片付けて出発して変えの服を見つけようとしていた時に村を見つけ、そこの服屋に来たのだった。

 村に歩るいてくる途中は身体が痒くなったりまだ濡れている所が体に触れてしまい、ヴォラクは歩くのが少々嫌になってしまった。


 服を買う為に必要な金の問題は全くない。何故なら今までのクエスト等の報酬が山の様にあるからだ。



 早速3人は村で見つけた服屋の中に入り、自分好みの服を探す事にした。























(黒色の服は無いのか?黒以外の色ははあんまり好きじゃないんだけど…)


 ヴォラクは黒色が一番好みの色だった。

 真っ黒で漆黒に染る様な暗い黒が大好きだった。その色がヴォラクにとっては最高の色だった。

 しかしこの服屋には黒色の服が見当たらなかった。ヴォラクは心底悲しんでしまった。黒色の服が一つも無いと言う事に。「別に一つぐらいあってもいいだろ!?」と言いたくなってしまう。


 近くを見渡すと、サテラが服を探している。今は彼女に話しかけなかった。今は1人で選ばせてあげたいと心の中で思ったからだ。

 ヴォラクはサテラから目を離し、再び自分の服探しに戻った。




「ダメだ…好きな色が無い。どうすりゃええんだ?このまま濡れた服でも着てろってか?……ん?何だこれ?」


 そこにあった服はヴォラクの目を止めた。そこにあったのは葡萄酒色ワインレッドの薄いダウンコートと同じ色のズボンだった。ズボンにはポケットがあり、ツェアシュテールングを収納するには丁度いい代物でもあった。実はヴォラクはこの色に少しばかり思い入れがあった。




(この色は……ガン○ムエ○オンを塗装した時に…使ったなこの色…)







 気が付けばヴォラクは葡萄酒色ワインレッドのコートを手に取っていた。何故かヴォラクは無性にこの服が欲しくなってしまった。

 コートを手に取ると店の中に居た店員にヴォラクは声をかけた。


「おいおっさん。この服買うわ」


「分かりましたお客様。えぇっと…この服は…この服は780Gになります」


「分かったよ。ほら…金だ」


 ヴォラクは金を店員に渡すとヴォラクは早速その服を持ったまま近くにあった試着室に向かった。

 ヴォラクは試着室の中に入ると素早く着替え始めた。















「どうかな?前よりは少しばかりはカッコよくなったかな?」


 ヴォラクは鏡の前に立ち、自分の姿を見つめる。その姿は決して悪いとは言い難い姿だった。真紅の様に染る葡萄酒色ワインレッドはヴォラクに上手く噛み合っていた。まるで邪悪の塊に染まった銃士の様に…

 

「何独りで言ってるの?」


「うぉ!?シズハ!びっくりしたじゃねぇか……で?シズハは服決まったのか?」


「心配ないよ。私は予備の服があるから。もしも壊れても、修復魔法を私は使えるから問題なしだから…私は服はいらないよ。と言うか……ヴォラクさん黒以外も普通に似合ってるよ」


「そりゃどうも」


 ヴォラクはシズハに対して首を縦に振った。シズハは少しだけヴォラクに笑みを浮かべて、サテラの方に向かって行った。


 向こうではサテラとシズハが楽しそうに服を探していた。

 その姿は年頃の女の子だった。ヴォラクは心の中で静かに微笑み、その光景を遠くから黙ったまま静かに見つめていた。

































「どうサテラ?可愛い服見つけた?」


「……無いね。どれもあと一歩って感じかな?何故かどれもイマイチなのよね…可愛くなくちゃ主様から褒めてもらえないし」


「まぁ…私が言える事でもないと思うけど。きっとサテラの選んだ服なら、ヴォラクさんはどんな服でも良いって言ってくれると思うよ。だから自分が一番良いと思う服を選んだら?」


「そうだね。主様なら……どんな服でも良いって言ってくれるよね!よし…私にとって最高の服を探そう!」


「サテラ頑張れ!」


 そう言ってシズハに背を向けるサテラに対してシズハは親指を立てた。



















 サテラは沢山ある服の中で一つの服を選ぼうとしていた。

 しかし数多い中から一つを選ぶのは簡単な事ではなかった。サテラは数多い服を闇雲に見ていた。取り敢えず見ていれば良い服に出会えると思い、ひたすら目に入る服を見ていた。


(やっぱりここは主様と同じ黒色にした方が良いかも。一応女の人用の黒服はあるみたいだし……よし!一か八かでこの服を着てみよう!いつまでもウジウジしてられないからね!)


 サテラが手に取ったのは黒色のボンバージャケットだった。下の服は黒色の通気性の良いズボンだった。

 これなら身体を思う存分に動かす事が出来るだろう。

 それに少し前までヴォラクが着ていた服と同じ色だから、ヴォラクもきっと気に入ってくれると思い、サテラは思い切ってこの服を選ぶ事にした。


 サテラは服を手に取ると店員に声をかけた。






「すいません!この服ください!」



























 サテラもヴォラクと同じ様に試着室の中に入り、着替え始めた。前に着ていた他者を殺して血に汚れていた服とは違い、真っ黒で…漆黒の様に染る黒色の服だった。



 試着室の中の鏡を見ると、そこには黒色の服をジャケットを着た自分が居た。サテラは鏡に向かって静かに笑ってみた。その姿は美しかった。

 サテラはこの姿をヴォラクに見せればヴォラクは絶対に自分が嬉しくなれる事を言ってくれると思った。試着室から出た。目の前にはヴォラクが新しい服を着てサテラの事を待っていた。

 サテラは一度大きく息を吸う。そしてヴォラクに対して言った。


「どうですか?主様?似合ってますか?」


「…ああ…最高に似合ってるよ」


「ありがとう…最高の褒め言葉です…」


 ヴォラクの一言にサテラの顔は嬉しさに満ち溢れていた。





 ヴォラクはそのまま新しい服を着て、店を出て行った。


「サテラ…行こっか」


「そうだね」






 3人は再び足を動かし始めた。

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