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26話「最初の足」

 

 



  昨日の夜の出来事は最高だった。とても楽しかったし彼女達の姿が美しかった……

 

  外からは明るい光が部屋を照らし、部屋の中に居る裸体のサテラとシズハを照らしていた。ヴォラクは寝転がっていたベットから立ち上がろうとしたが…


  しかし今日の朝は身体が思う様に動かなかったのだった…無理はない。

  昨日の出来事でかなり身体が動いたと思う。

 

  「う~おはようサテラ…身体動かんわ」


  「おはようございます…主様昨日は楽しかったですね。シズハにあんなに激しく…それに…」


  「待て待て待てぇ!それ以上言うなぁ!」


  ヴォラクは両手でサテラの両肩を掴んで揺さぶる。サテラは「うぁ~~」とやる気の無い声で叫ぶ。サテラも今はまだ調子が良い訳ではなさそうだった。


  「ヴォラクさん?元気ないなら…また………」


  「その話はまた外でしよう。今は聞きたくない…」


  「え?……今度は外で…するの?」


  「僕の思考回路はぶち壊れました!」


  シズハにそう言われてしまい、ヴォラクは叫んでベットに仰向けに倒れ込んだ。

  そしてそのまま目を閉じた…放っておかれたい為に。しかしその願いは儚くも簡単に散ってしまった。目を閉じていても分かる。

  近くに誰か居る。多分シズハかサテラと思うが、目を閉じているのでどっちなのかは分からない。






  「………んっ!?」


  唇に何かが当たった。何が当たったかはすぐに分かった。

  誰かの唇だった。(サテラか?)と思ったが、前にサテラとキスとした時とは唇の感触が全く違った。昨日行為をしてる時にシズハとも口付けをしたがその時の感触に非常に似ていた。

  ヴォラクは目を開けてみた…そこには自分に騎乗する様に、ヴォラクの身体に乗りながら彼にキスをするシズハの姿があった。


  「んっ……し、シズハ…」


  「んっ…ヴォラクさん…なんかあなたの事が好き」


  シズハは口付けをやめる事なく自分の唇をヴォラクの唇に当て続けている。

  シズハは口付けをやめる事なく自分の舌を伸ばし、ヴォラクの舌に自分の舌を当てた。


  「舌を入れるのか!シズハ!?」


  「ダメかな?恋人同士ならこんな事しても普通じゃない?」


  「僕は…君の恋人?」


  「うん…私は…ヴォラクさんが好きなの。でもなんで好きかは分からない…昨日沢山あんな事したからかもしれないし、私がヴォラクさんの事を好きになってる気持ちを見つけられていなかったかもしれない。でも私はヴォラクさんの事が…好きなの」


  「シズハ……そうか…そうだよな。昨日あんな事して、好きじゃないなんて言えんからな。きっと僕も君が好きなのかもね」


  悟る様にヴォラクは話していたが彼はシズハの事が好きだった。顔も可愛いし耳や尻尾も個人的に大好きだった…この時間を楽しみたいと思い、ヴォラクは再びシズハの唇を奪う。


  「シズハ…僕も好きだよ」


  「ヴォラクさん…私も好き、貴方はとても強いしカッコイイから。大好き……」


  ヴォラクはシズハの身体を抱き寄せ、口付けを続ける。今度はヴォラクの方から舌を入れ、シズハの柔らかい舌に自分の舌を絡める。


  「これは…私邪魔かな?」


  「別に邪魔じゃないよ。でも今は2人で…キスさせてくれ」


  そう言い、ヴォラクは視点をシズハの方へと戻した。シズハは目を開け、ヴォラクの方を見ながら口付けを続けている。




  すると、サテラはヴォラクの近くに寄ってきた。サテラはヴォラクの横に座ると、ヴォラクの履いていた下の服に手を伸ばした。


  「な…サテラ?何を…」


  「動かないでください。私が今…楽しくしてあげます」


  「マジかよ…」


  サテラはヴォラクの服を脱がした。ヴォラクの上半身が露出しそうになっあ。


  「ちょ!サテラ!?何する気?」


  「ちょっとね……」


  「おい待て…僕の意見は?」


  ヴォラクは腕を組み、2人に問うが2人にはまるで聞こえていない。2人は自分の前で何かを話している。

 


  「じゃあ…どっちが上手く出来るか勝負しようじゃないの?」


  「言ったわねぇ!絶対に負けないんだから!」


  「待てよ!僕はいいと言った覚えは……」


  「ヴォラクさんは黙ってて!でも判定はよろしくね!」


  「主様…私頑張ります!」


  ヴォラクはもう何も言わなくなってしまった。何か言っても無駄だと気付いたからだ…ヴォラクは何も言わずに2人に任せる事にした。




  そしてサテラとシズハはヴォラクの上半身の方に目を向けた。サテラとシズハは2人で可愛い顔をして睨み合っていた。睨み合っていたとは言っても嫌いと言う意味ではない。






















  結局サテラとシズハの戦いは引き分けに終わってしまった。そもそも勝負していたのかすら怪しかったのに……




  「引き分けですか……次は勝ちますよ」


  「私も次は勝たせてもらうからね…」


  「勝ちも負けもないと思うよ(でも……まぁ…別にいいか)」






 

  ヴォラクは互いに可愛らしい顔で睨み合うサテラとシズハを見ながら、静かに微笑んでいた。

  彼の見せた微笑みにサテラとシズハは気付いていなかった。自分の微笑みを2人に見られてもよかったが、何故か(見られなくてよかった…)と思ってしまう自分に疑問を持ってしまった。




  「喧嘩は終わったか?」


  「終わったよ。てか…喧嘩じゃないけどね」


  「主様…迷惑でしたか?」


  「いや…迷惑ではないから」


  ヴォラクは視線をずらし、外の方を見て話した。彼女の顔を今は見る気にならない。頑張って目を逸らす様に頑張る。


  「目を逸らさないでよ!私の事ちゃんと見て!」


  「はいはい…分かりましたよ」


  ヴォラクは少し焦る顔を見せながらも、シズハの方を見る。

  するとサテラもヴォラクの顔が見たいのか、ヴォラクの前に現れる。シズハ同様にヴォラク顔を近づけている。


  「私も見てくださいね。主様」


  「了解しましたよ、サテラ」


  そしてヴォラクは女の子2人にしばらくの間見つめられる事になってしまった。第三者から見ては嬉しそうな光景なのだが、他人から見られる事に慣れていないヴォラクにとってはかなりのキツかったらしい。





























  「も、もういいよね?」


  「はい…満足しました。またこうしてください」


  「また見てよね?」


  2人の願いに彼はどうしたらいいのか分からなかった。取り敢えずヴォラクは「分かりました」と軽く答えた。今はこの返答でいいだろうと自分が思っていたからだった………









  ヴォラク達は出発する準備を始めていた。いつまでもベットの上で座っている訳にもいけないので。


  「そう言えば…この宿色々と売ってるみたいだが、何か買う物とか欲しい物はあるか?」


  するとサテラが挙手をする様に手を上に挙げた。ヴォラクは「サテラさんどうぞ」と言う。これは元の世界に居た時に言われた事をそのまま言っただけだった。しかし名前の所は違うけど。


  「そろそろ薬が切れそうなので、新しいのを買いたいんですけど」


  サテラが言った事にヴォラクは(んんんんんんーー?????)と心の中で思ってしまい正気を失いそうになるが、そんな事を思っていても何も変わらないと思い正気を保とうとする。


  「あ、ああ…分かったよ…………したら困るからな…」


  「サテラ……割と気が利くね」


  「どうも…ありがとうね」


  ヴォラクは少し苦笑いしながらもサテラに対して「買っとくな」と言った。そしてヴォラクはシズハにも同様の質問をする。シズハも何か欲しい物があるかもしれないからだ。


  「私はいいよ。特に欲しい物ないし」


  「そうか…なら買うのは水と食料、後は…薬だな…」


  ヴォラクの言葉にサテラに嬉しそうな顔を見せていた。理由はヴォラクには分からない。


  取り敢えずヴォラクは部屋を出る事にした。後ろを見ると、サテラとシズハは着替えを済ましていた。

  ヴォラクも着ていた黒色の服を整えた。身だしなみは大切な事なので。そして黒色の仮面を顔に付けた。血の様に赤い六本の線が不気味に仮面に施されている。

  ヴォラクはこの仮面を外す事は絶対に出来ない事だった。



  「準備OKか?」


  「大丈夫です。主様」

 

  「いつでもいいよ!」


  「まぁ…気長に行こうか」




  そしてヴォラク達3人は部屋から出た。そのまま音を鳴らしながら、階段を降っていった……









  受付に着くと、ヴォラクはまず部屋の鍵を返す事にした。鍵を返すといきなり受付の男にヴォラクは話しかけられた。ヴォラクに歩いて近付き、彼の耳元で小声で囁く様に話しかけてくる。


  「昨日は楽しかったですか?」


  「まぁな…」


  「では…また来てくださいね…」


  「帰る前に…水と食料と…後……薬をくれ」


  「そうですか!少々お待ちを…」


  そう言い残して、受付は奥にある扉の中に消えてしまった。その間ヴォラクはその場に石像の様に固まってしまっていた。















  「お待たせしました!必要な物を全てお持ちしました!」


  「ありがとな。代金はいくらだ?」


  「全て合わせて……500Gです!」


  「安いな…ほらよ」


  ヴォラクはGを入れた袋から500G丁度を受付の男に手渡した。男はGを受け取り、気味の悪い笑顔を見せていた。




 

  「行くぞ…」


  「分かりました。主様…」


  「了解した」


  「またいつでも来てくださいね。冒険者殿…」



  ヴォラク達は宿から出た。外は晴れていた…目を焼く様な眩しい光が自分達を照らして、雲も空のどこを探しても見つからなかった。あるのは空から自分達を照らす光だけだった。それを見てもヴォラクは何も感じなかった。しかし(あってもいい)と思っていた…









  (行こうか……)






  心の中でそう呟き、ヴォラク達は自分の足を動かし始めた…

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