表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

157/158

テコ入れすれば何か変わるかも?

 

 何やかんや、この悪の銃使いと言う作品も投稿されて早二年。

 この先の展開について、ヴォラクとサテラとシズハの三人は一室に集まって、今後についての事について話し合っていた。


「さて、と言う訳で何とか作者が失踪せずに打ち切りと言う最悪の展開は避けられたが…」


「今の所、全く更新してませんからね。この物語…」


「他作品への裏切り、伸びない人気、PCでゲームしてて書いてない等々…問題は山積みですね、ヴォラクさん」


 この状況、このまま続いてしまえば本当に打ち切りは間逃れない話であった。

 打ち切られてしまえば、自分達は永遠に忘れられる存在となってしまうだろう。


 打ち切りと言う最悪の状況を打破する為にも、今は状況打破を行わなければならなかった。


「よし、この状況を変える為にも僕達で何か()()()()しようじゃないか!」


 テコ入れ、それは期待しただけの効果が得られないでいる、あるいは状況が悪化している事態に対して、なんらかの改善を行うこと、またはその改善手段のことである。

 長編のアニメ等でよく見られるオリジナル展開等もテコ入れに近い例だ。

 アニメが原作に追い付きそうになって、原作を追い越しそうになった場合に、苦肉の策でオリジナル展開を挟んでかさ増ししたり、時間を稼ぐ等と言った事がよく見られる展開だ。


 その他にも、人気向上のために話の途中から何かしらの新しい要素、展開、コンセプトを盛り込むと言ったやり方も存在する。


 そこでヴォラクは、一番手っ取り早く簡単なテコ入れ方法を提案する。


「やっぱり、テコ入れと言ったらタイトルとかの変更だよな。何か案ある?」


 ヴォラクの言葉に、サテラはすぐに挙手をする。


「まぁ定番なら…」



『悪の銃使い2』



「とか…」



『悪の銃使い達』



「等はどうでしょう?」



 サテラの案に続いて、シズハも同じ様に案を出す。


「記号を入れるのは?Z、ZZ、VとかW、Xとか∀でもいいんじゃない?」


「ねぇシズハ。SEEDとかDESTINYとかOOはどう言う意味なんだろう…?」


「DESTINYは有りなんじゃない?作者好きだし」


 まずは様子見として、タイトルを変更したり記号を足してみる案を出したが、案を出すなりヴォラクは悩み込む様な表情を見せる。


「いや、でもなぁ…今更タイトル変更したぐらいじゃ、読者は納得しないだろうし人気も上がらないんだよなぁ…」


「ただでさえ、ここは競争激しいですし…」


「タイトル変更だけじゃ…」


 ただでさえ、尖った程の人気がなければ生き残れないこの業界。

 タイトルを変更しただけでは、読者は集まらないのだ。


 ヴォラクはソファにもたれる様にして座り込み、足を組みながら他の案を考える。


「やっぱり主人公陣営にパワーアップが必要なのかねぇ…例えば主役ロボを変えるとか、新しい武器を使うとか、今みたいに分かりやすいパワーアップをな…」


 続きを言おうとしたヴォラクではあったが、サテラの言葉によって遮られる。


「でも主様。この作品にロボットなんていませんよ。それに、新しい武器を作るなんて、この小説投稿サイトじゃ当たり前の事ですよ?新しい武器を一個作って持たせた所で、スマホ持ってる人とか、自分が核になった人とか、攻撃や魔術を全部弾き返してくる人とか、どんな魔法も使える骸骨さんとか、死んでもやり直す人とか、駄目な女神を連れてる人とか、スライムになれる人とか、何でも回復でゴリ押そうとする人とか、二丁拳銃の白髪眼帯厨二病銃士の人とか、奴隷買ってハーレムしてる人とか……勝てるんですか?」


 無理だ、勝てる訳がないよ。これが対抗馬、いや自分自身は対抗馬にすらなれないだろう。

 現実はあまりにも残酷と言うものだった。


「うっ、勝てない……」


「もしかして、主役変更も視野に…」


 シズハが()()()()と言うヴォラクからすれば、あまり聞きたくない言葉に、サテラが強い反応を見せてしまう。


「主役変更……ククク…思い付いたわ!これからの悪の銃使いは、この私が主人公よ!」



 ◇◇



 これは悪の銃使いであって、悪の銃使いではない。


 時代の波に翻弄され、一人彷徨い歩く。

 その果てに出会うのは、黒髪の男。


 互いに惹かれ合い、儚くも小さな恋に落ちる。

 ささやかながらも、永遠に続いてほしい様な幸せな生活。


 しかしその時、一杯のうどんと世界の混沌が二人を斬り裂いていく!


 ―――サテラァァ!!!


 ―――ヴォラク!!


 そして遂に舞台は銀河の彼方へ…。


 互いにそれぞれの運命を決した二人は、終わりなき戦いへと向かっていく。


「死ぬなよ、サテラ!」


「言われなくとも、貴方の子を産むまでは!」


 何を企む白銀の女王レイア?


「貴様にアイツの夫など、務まるものかぁ!」


 今年、新たな悪の銃使いが幕を開ける。


『この宇宙の果てに……』


 ――君はまだ、本当の悪の銃使いを知らない…



 ◇◇



「主様!どうですか!?最高ですよね!?」


 これ大丈夫なの?ヴォラクは心の中で静かに呟いた。多少苦笑いしながらも、ヴォラクは数回手を叩いた。


「う、うん良いと思うよ…?何でレイが敵で出てきてるのかは別として…」


「何言ってるの、サテラ?今更、この手のヤツは流行らないよ!」


「何だと…?シズハ?」


 サテラの案は流行らないと言うシズハ。


「ナンセンスよ、今の時代。この程度の恋話じゃ、盛り上がらないのよ!」


「と言うと?」


「そそられる展開と、どっぷり見てられる様な色気こそが制すのよ!サテラに続いて、私も!」



 ◇◇



 世の中自由に恋が出来る訳じゃない。


「シズハ、これが君の婚約者だ」


 信じられない様な結婚。

 全くもって好きになれない相手。


 名のある家に生まれたクジョウ・シズハは自らの結婚相手に希望を見出せなかった。

 シズハは、先の見えない不安な未来に耐えられず、一人家を出て、僅かな自由を求めて一人旅立つ。


 しかし、所詮は世界を知らないか弱き娘。僅かな自由を手に入れた代償はあまりにも大きかった。


 そして雨が降り、雨風に晒される中で獣の耳と尻尾を生やした彼女はとある男に拾われた。

 その男、黒い髪に落ち着いていて整った声。彼女は、シズハはそんな彼に恋焦がれる。


 後の事は、とても早い展開だった。


 気が付けば、シズハは夜這いする様にして彼の布団の中へと潜り込む。

 ただ、愛し合いたい。連れ戻されるぐらいなら、自分が恋をしたこの男性に純潔を捧げてしまいたい。

 口付けをし、口淫を行い、そのまま素直に処女を散らせてしまいたい。


 そんな一心だった。私達の先にあるもの……何をするかは分かりきっている。


 今から、始めよう。その細部まで貴方に…。



 ◇◇



「待て待て待て!本当にBANされる!マジでBANされる!」


「何でですか?私とヴォラクさんのエッチする所、もっと細かく書いても…」


「ガチであかん。ただでさえ厳重注意受けてんのに、ここでR18要素出してきたらマジでこの小説消されるぞ?」


「読者のハートを掴むのも簡単だと思ったんですが…」


「その前に、僕達のハートが偉い人に握り潰される羽目になるよ……」


 危ない所だった。これ以上細かく作者が書いてしまっていたら、本当に自分達のハートが偉い人に握り潰される所だった。


「おーす、邪魔するぞ!」


 この三人では考えが纏まる所か、迷走を早める一方だった。

 まるでそんな彼らに手を差し伸べる様にして、部屋に入ってきた血雷とレイア。


「姉さん!それにレイも!」


「お困りと聞いて、参上したぜ!テコ入れの話してんだろ?こう言うのは、アタシに任せ…」


 任せろ、と続けて言おうとした血雷ではあったが横槍を入れる形でレイアが血雷の事を蹴っ飛ばして、正面に入る。


「いいかお前ら、今この作品に足りないのは圧倒的な王道展開!今の小説環境はストレスフリーで俺TUEEEEじゃないとダメかもしれない。しかし、逆を行くのもまた一つの手じゃないだろうか?努力と強い友情、そして敵を倒す度に新しい敵が出てきて熱い王道な展開こそが、最高の物語だと思うのよー!」



 ◇◇



 古から伝えられる伝説の秘宝、その秘宝を奪い世界を征服しようと企む者達が世界を脅かそうとしていた。

 そんな困窮しかけている世界を救う為に集まった、選ばれし七人の勇者達……。


「行くぞ、皆!」


 七人の男女の熱き友情。


「うぁぁぁ!」


「しっかりしろ!」


「僕の事はいい!行け!」


「私が必ず助ける!」


 目の前に立ちはだかる数多の敵。


「うぉらぁぁ!」


「喰らい尽くせ!ベル○ビュー○!」


「どりゃぁぁぁぁ!!」


「ド○ナーとシュ○ークで!」


「きぇぇぇぇい!!」


「アイ○ムアトミッ○!!」


 今年度最高の異世界ファンタジー!


 悪の銃使い作者が送る最新作!


『ありふれた転生したら、陰の実力者になって世界最強だった件』



 ◇◇



「出来るかァァァ!!危ないのがそこらじゅうに仕掛けられてんじゃんか!」


「なんでよ、サテラ。こう言う長いタイトルで王道展開こそが人気を集めるのよ」


「レイ、人気を集める所か、マジで人目を集めて消し飛ばされるかもしれないぞ……」


 見事な程までの通報案件。これでは本当に作品を消し飛ばさる可能性が出てきた。


「やっぱり私と主様の!」


「いや、ここは私のラブストーリーで!」


「いいや、私の冒険ファンタジーで!」


 綺麗と言えるぐらいの纏まりようのなさ。

 ヴォラクはこの事態に強く困惑する。そして全員の作品を潰しにかかって来ている事に対する恐怖を覚えていた。


「待てよ、ここは最年長のアタシに任せとけ」


「血雷さん?」


「こう言うのはな、やっぱ流行りに乗っかるのがベタんだよ。例えばこう言うのとか!」



 ◇◇



 ―――アタシは引きこもりの女、血雷。今日も今日とて暇潰しに新作の乙女ゲーをプレイしていたアタシ。


 ―――主人公の可愛い女の子を操って、悪役令嬢の攻撃を回避しながらイケメンとムフフな恋を!?



 と思っていたのも束の間。ある日たまたま近所のコンビニに買い物に出掛けたアタシ。


 そしたら、偶然鳥が運んでいた亀が落下してアタシの頭に直撃。治療のかいなく、結果死にました。



 そしたら、まさかの転生?しかも転生したのは、まさかまさかの敵役の悪役令嬢?

 どうする血雷、悪役令嬢として転生した今、自分に出来る事は何か!?


 今日も元引きこもりは、悪役令嬢として頑張る!


 新作ストーリー!


『すばらしい悪役令嬢転生に祝福を!』



 ◇◇



「ちょ、何これ!?誰だよ、勝手に悪役令嬢ネタに改変した奴!」


「いや、これは一つの手かも…」


「悪役令嬢ネタは流行りですからねぇ~」


「聞けや!」


 結果として、これも不採用に近い形となってしまった。

 これでまた振り出しに逆戻りだ。


 この屑みたいな状況を解決してくれる者はいないのだろうか。


「何やってんだよ、凱亜。まだこんな事でくっちゃべってんのか?」


「おぉ、悠介。お前何処から出てきた?」


「そんな事はどうでも良い……それよりテコ入れの話してんだろ?」


 突然、何処かから急に現れた悠介。


「私も悠介と一緒に考えたんだ!見てってよ!」


 悠介とは対照的に明るいリアも同様に姿を現した。


「まぁ、気楽に見てくれ」



 ◇◇



「………あれ、おい悠介何も始まらな……」


 BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB


「え…?」


 AAAAAAAああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


 あああああああああ

 あああああ

 あああ

 ああ!


 しばらくお待ち下さい。大変不快な文章が表示されました。



 ◇◇



「のわァァァァァァァァ!!俺がガ○ダムだ俺が○ンダムだ俺がガン○ムだ俺がガンダ○だ俺が○ンダムだ俺がガン○ムだガン○ムが俺だァ!」


「バルサミコ酢、やっぱいらなぁい!」


「プルコギ…プルコギ…プルコギ…プルコギ…」


「アタシはぁ~♪ただの人間と、気持ち悪い男にはぁ~♪興味が~なぁ~い♪そして、弟をいると言う嘘を信じる事を~♪強いられて~いるんだ~♪」


「あははのはァ?私も銀髪なのよ!メインヒロインにぃ!」


 カオスと言う言葉があるのなら、今の状況が一番合っていると言えるだろう。

 謎の攻撃によって狂ってしまった一行。見事な催眠攻撃だった。


「み、皆落ち着けぇ!ただの精神攻撃だ!落ち着くんだぁ!」



 ◇◇



 15分後……。


「ハァハァ…何とか落ち着いたか…?」


 15分にも及ぶ死闘の末に、何とか精神攻撃を耐え抜いたヴォラク一行。

 しかしながら…。


「やっぱり私と主様のラブストーリー!」


「いいえ、私とヴォラクさんの!」


「ここは、アタシの案が一番いいんじゃないの?」


「黙ってろよ、デカ乳侍。私の最高ファンタジーこそ一番よ!」


「ちょっと待てよ。俺なんて精神攻撃しかしてないぞ?一応言うと、案も言ってないからな?」


「うっせーぞ根暗陰キャ。主役ポジ取っておいてロクに活躍してないくせに」


「おぅふ、気にしてたのに…」


 完全に全員で入り乱れる状態であった。全員、それぞれの意見を強く主張し合い、最早乱闘騒ぎ一歩手前まで来ている程であった。


 この事態の中で、何とか冷静を取り戻し、1人沈黙を貫いていたヴォラクだったが…。


「……うっせー!」


 遂に我慢が出来なくなってしまい、怒りの声を上げた。


「まぁ想像は着いてはいたが……めちゃくちゃになっちまった。ここは、仮にも主役の僕がキメさせてもらうぞ!」


「主様!」


「確かに、そうだな」


「これが、僕の考えた最新作だ!正座して見ろぉ!」



 ◇◇



 それは、原初であり終末の物語…。


「さぁ、これが本当の最後って奴か…?」


 ――――その姿、黒い外套を身に纏い、両手に握るのはまだ銃口の温かい二丁の銃。

 背中に背負うのは、敵を確実に融解させる程の高威力のビーム砲。


 血を浴びながら、その目を血走らせて敵へと果敢に向かうその姿は、正に悪魔であり銃使い。

 

 誰かが言った。そんな彼の事を『悪の銃使い』と呼んだ…。



『悪の銃使い 最終章』



 襲来する各国の連合軍。迫るのは自由国フライハイト。


「全部隊、前進!」


「七番隊、全員アタシに続きやがれぇ!」


 散りゆく仲間と敵の命、終わる事のないループする様な戦い。

 傷付く体、そして徐々に追い詰められるフライハイトの騎士達。


「はぁ、はぁ…」


「ほれ、立てるか?アタシの可愛い弟」


「あぁ、助かるよ姉さん…」


 ◇◇



 夜に見上げるは、美しき夜空。七人で、盟友とも呼べる様な仲の七人で、彼らは空を見上げる。


「明日は生き残れるだろうか…」


「分からねぇよ、そんな事」


「でも、私は死ぬ時まで主である貴方に仕えます」


「さ、流石にちょっと体痛いけど…」


「ヴォラク、私達は仲間だ。最後まで、諦めない…」


 仲間達の大いなる言葉。そして、戦火の中で見せる僅かな笑顔。

 それが彼らにとっては、小さな幸せだった……。



 ◇◇



 刹那、銀の一閃が白銀の髪の騎士の左目を捉える。


「あっ……あ、あぁ…」


 左目が真っ赤に染まる。止めどなく、赤い液体がその目から延々と流れ続けている。


「お前、まさか!」


 刹那、更に銀の一閃が胴体目掛けて迫り来る。


(殺られる!)


 しかし、銀の一閃は彼の手によって止められる。


「くっ!くっ!」


「ヴォラク…」


「お前は、お前だけはぁ!」


 白銀の騎士と黒き銃士は共に走り、前へ前へと進む。

 その先に待つのは勝利か、または敗北か……。



 ◇◇



「………あれ?」


「これって、悪の銃使いそのまんま。しかも、先の展開のネタバレ…」


 まさかの展開に困惑する一同。何が起こっているのかと戸惑う中、突如としてヴォラク達が議論していた部屋に謎の声が響く。


「あ~あやっぱり……まぁ予想はしてたよお前ら創作物風情がこんな事出来るとは思ってなかったしな」


「な、何の声だこれ?」


「ま、まさかしょうねんじ……」


「と言う訳で、ふざけまくって本当にすいません。出来る限りは更新したいと思ってるんで。また宜しくお願いします。そして今回の事、本当に申し訳ありません」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ