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11話「新兵器」

 




 クラスの人間の事を心の中で思い出しながらも、サテラと再び狩りに向かう事にした2人だが、一つヴォラクの頭の中に問題が浮かび上がった。



「あ…サテラ!ちょっとストップ」


「え?」






 ヴォラクが抱えていた問題は自分達の戦力と武器の問題だった。



 今現在ヴォラク達が保有する武器はたったの三つしか無い。一つ目はヴォラクが使う銃ツェアシュテールング。二つ目はサテラが使う銃ネーベル。そして三つ目はヴォラク自身がオリジナルカスタムを施した鞭だけだった。


 

 現在ヴォラクはサテラと2人だけで戦っている為、多人数で来られては対処出来ないのだ。






 これでは自分達と敵の間に戦力に圧倒的な差が生まれてしまう、武器自体はかなり強力な力を持っているが、銃が弾切れを起こせばリロードをしなくてはいけない。

 弾切れを起こした銃なんてただの鉄くずにしかすぎない。万が一少人数では無く大人数でヴォラクとサテラを攻めた場合、銃の弾が切れてリロードも出来ずにヴォラクは敵に殺されて、サテラは男達に拉致される事になるだろう。その問題を解決するには味方の数を増やす必要がある。


 しかし今の自分の見た目では誰かが自分達の仲間になってくれるなんて無理な話だ。また奴隷を買うのもありだが、その場合かなりのGを消費してしまう。節約の為に極力無駄な使用は避けたい。


 そしたらどうしたらいいか、ヴォラクの頭の中には何も思い付かない。





 やはり新しい銃を作るしか無いのか?と思った。実際今銃を作るのに必要な素材はあるにはあるが今使い過ぎると後々痛い目を見る羽目になりそうだ。なので多少は素材をケチる必要がありそうだ。



 サテラに銃を教える為に大量制作した銃は全てリペアパーツにする為に解体したので、新しく制作した銃の改造などにも使用可能だ。





 今戦力を上げるには人手よりも今の自分達を上げる必要があったと思った。早速ヴォラクは森に向かい、新しい銃を作る事を決意した。



「サテラ。今日は悪いんだけど銃を制作する予定が出来たからクエストを受けるのは無しで」


「…そうですか分かりました。主様のお言葉は絶対ですので。クエストを行うのはまた今度にしましょう」



 サテラもヴォラクの説得に納得したようだった。そもそも今日のクエストは簡単な依頼が多かったので、クエストには行かないかもしれないと考えていたので、銃を作るには丁度良かった日なのかもしれない。






 2人はすぐに森に駆け足で向かった。誰かに見られるのば絶対に嫌だった。



 理由は『銃』の技術が漏洩する可能性があるからだ。

 この世界に銃の技術は一切無い。しかしどこかの悪い奴が自分達の技術を聞いていたら、それはかなりの脅威となる。銃の弾は生身の体に命中何てすれば致命傷どころか即死する可能性もある。防弾チョッキで防御は出来るが銃弾を完全に遮断するタイプを作るのはヴォラクでも少し難しい。なので誰かに聞かれず、見られる事が無い森にいつも向かっていたのだ。



 ヴォラクは誰かに見られていない事を確認し、森に入っていった。








「サテラは銃の練習でもしておいてくれ。僕は新しい銃を作るよ。後新しい弾も作るから」


「分かりました。じゃあ私は昼食の為の肉でも確保しておきます」


「え?」


 変な事を呟いた様に聞こえたのでサテラの方を振り返ると、そこにはサテラの姿は無かった。

 恐らく空耳だろうと心の中で言い聞かせ、ヴォラクは銃の制作を始めた。





 今回作る銃は『スプリングフィールドM1873』


 仕様の説明。種別は『後装式ライフル銃』



 有効射程は良く分からないが、多分結構長く飛ぶだろうと適当だが思っていた。


 作動方式は『ヒンジ式ブリーチブロック』使用弾薬は『45-70-405』他の弾薬とは別の類いなので一々作るのは少々面倒だったが作れそうな銃の中で強そうだったのがこの銃だったので少しだけ抵抗はあったがこれを作る事にした。この銃は単発式なので、連射等を行う事は出来ないが、一発一発発射する事に装填し直す必要がある。因みに使用済み薬莢は自動的に薬室から抽出され、はじかれる様に銃本体の外に排出される仕組みになっている。カートリッジは装薬量を3.6gに減装し、威力を低減した「.45-55-405」カートリッジを製造した。本当はあまり素材が少なかったので装薬量をケチっただけだが……





 ヴォラクはこの少し複雑な銃をたったの二時間で作り上げてしまった。前から自分で銃を作っていた影響もあると思われるが、かなり強い狙撃銃を作るには時間と努力を必要とする。



 しかしヴォラクはそんな事を聞き流す様にこの銃を完成させてしまった。





「サテラ、新しいが銃出来たぞ!戻ってこ…」


「主様。昼食の為の肉を用意してきました」


 そこにはサテラが三匹の狼を抱えて立っていた。まさかサテラがこの狼達を殺したのでは無いか?と思った。実際サテラが狼達を狩った事に間違いは無かった。



「あ…ありがとう。昼飯には丁度良いね…」


「はい!早速焼いて食べましょう」


 サテラに向かって苦笑いをし、サテラに狼の体を解体する様に頼み、ヴォラクは銃の弾を開発する事にした。


「主様。毛皮はどうしますか?」


 その言葉を聞いて、ヴォラクの体に何かが走る。


「勿論!残しておいてくれ」



 このチャンスは逃す訳にはいかないとヴォラクは思った。「この毛皮を黒色に塗装して着れば…どこぞの宇宙海賊の装備みたいに…」と心の中でふと思ったヴォラクだった。



「わ、分かりました。主様が残せと言うなら…」


 そう言ってサテラは狼の毛皮を自分のリュックに詰めた。




 弾を次々と制作していると、お腹が空きそうないい匂いが鼻を刺激した。あの時みたいな変な匂いと違いいい匂いだった。



「焼けましたよ!すぐに食べましょう」


「ああ、分かった」



 狼を解体して、ただの棒で刺して焼いただけの物だが、とても美味しそうに見える。焦げ目がうっすらと見える狼の肉はすぐに口に放り込みたくなる様な色を放っていた。



「じゃ、いただきます」


 焼いた狼肉を取り、口に放り込んだ。肉汁が少し口の中に染み渡る。今まで食べた事の無い味だった。元の世界でこんなに美味しい肉を食べた事は無い。牛や豚、鶏よりもまた違った味がヴォラクの舌を駆け巡っていた。



 気が付けば、肉はすぐに無くなっていた。夢中で食べていればそうなるもの普通だろうと思った。


「サテラありがとな。めっちゃ美味かったよ」


「そう言ってもらえると、頑張って殺して良かったです」


(今しれっと変な発言してなかった?)


 変な疑問を持ちながらも、2人は立ち上がる。


「さて…新しい銃も作れたし、美味い飯も食えたし、そろそろ行きますか…」


「はい、またクエストでたくさんの強敵と戦いましょう。主様」



 太陽が空の一番上辺りに来た時、2人の影が山から降りて行った。その2人の姿と影を見る者は誰もいなかった。




 




































(必ず私はもう一度凱亜と会って、本当の思いを伝える。それまで死なないでね凱亜)




(俺は凱亜に謝る事が出来なかった。もう一回凱亜に会って、凱亜の目を見て謝ろう。棺桶の中にいる凱亜に言うんじゃなくて、ちゃんと生きている凱亜に…)









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