エピローグ「世界」
自分はこの世界に来てすぐは「帰りたい」とか「こんな世界は嫌だ」と嫌な事を思っていたが、最近になって少しだけこの世界に来て楽しいと思える事があった。
一つ目は大好きな銃を使える事。何故なら自分が住んでいた国では銃を使えば法律違反だ。更に持っているだけでもアウトだ。けどこの世界じゃそんなルールなど存在しない。思う存分に銃を使う事が出来る。銃を思うままに使える…これ程までに嬉しい事は無かった。この銃を使ってモンスターを撃破し、自分のやりたい様に使う事が出来る。今まで生きてきた中で最高な事だった。
それに自分の仲間である存在に銃の使い方を教えさせる事が出来たのも嬉しかった。今まで銃の話が合う人や実際に撃った事がある人物なんて周りを見ても見つからない。探しても見つからなかったからだ。
しかしこの世界に来て、銃の存在が分からない人に銃を教える事が出来て嬉しかった。今この世界で銃を使いこなす事が出来るのはきっと彼女だけだろう。他の誰でも無い。彼女にだけ分かる事なのだ。
誰も知らない事を1人の人間にだけ教えるのは惜しいと思うかもしれない。でも今の自分が彼女だけに教えるのが楽しかった。誰も知らない様な事を自分だけが知っていたら、嬉しくなるだろう。しかし自分はそんな考えは持っていない。教わりたいのなら誰にでも教えたいと思った。でも自分が恨んでいる奴には教えたくない。
二つ目は信頼出来る仲間が出来た事だ。この世界に来て初めて組んだチームに言える事は一つ「最悪」の一言だ。
チームを組んでも自分の事を裏切っては罵り、挙句の果てには自分に本当の事でも無い罪を背負わせて…最悪だった。
しかし今は違う。自分にとって最高の仲間が出来たと思った。『サテラ・ディア』と言う存在だ。彼女は自分の事を裏切らずに、今自分に着いてきてくれている。『銃』と言う聞いた事も無い武器を使ってくれて、更には銃を使いこなして、自分の武器にしたのだ。仲間が出来た幸せと自分が大好きな銃を使ってくれた嬉しさは考えられない程の幸せだった。
今の時間を大切にしたい。無限にある訳じゃ無い。だけど今この瞬間を大切にしたいと思った。
サテラと言う仲間とこの世界で銃を使う事が出来ると言う嬉しさを…自分は大切にしたいと思っている。
もしかしたら自分の事を待つ様に生きている人がこの世のどこかにいるかもしれない。このとても広い世界のどこかに存在していると自分は思った。
「サテラ行くぞ!モンスター狩りの時間だ!大量に狩るぞ!」
「はい、沢山狩りましょう!主様」
彼女を自分は守る…絶対に…そしてこの銃も自分の腕の様に使う。
この二つを必ず守りたいと心の中で彼は誓った。