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99話「迷い人」☆


テス勉ダルいマジで…

(終わったけど…)

 

「何で、こうなる…」


 彼は一瞬だけではあったが、我を忘れてしまった。そして一瞬だけ我を忘れてしまったが、ものの一瞬で現実を受け止めると同時に我に返った。しかし最初こそは彼は大きな動揺を見せると同時に我を忘れ、何の冗談か、目を擦る程であった。


「ん~」


「起こすべきか起こさぬべきか、微妙な所だな」


 彼は気の抜けた声で零すかの様にして言葉を発した。目の前に広がる光景に多少の動揺を見せ、その動揺を隠せない中ではあったが、彼はベットの上に転がる者に視線を集中させる。


「んっ~もぅ食べられませぇん~」


 何とも典型的な寝言だった気がした。「もう食べられない」と言う寝言の代名詞の様な事を目の前でぐっすりと眠っている者は言っていた。彼は無性にも目の前でぐっすりと眠っている者を起こしたくなる気分になってしまった。まず起こしたくなった理由としては目の前で眠る者がやけに無防備で、何故か襲いたくなってしまう様な者だったからだ。

 ここからは軽く彼の感想も踏まえながら、目の前で眠る女性の特徴について見ていこう。


(バストのサイズデカすぎないか?軽く百前後、いや以上はあるな…)


 まず胸のサイズに至っては百以上はありそうだった。何かもう見慣れてしまったと言うか、見ただけでどれくらいか分かってしまった。完全にヤバい奴になってしまった様な気がするが、慣れてしまったものは仕方がない事である為受け入れるしかない。

 そして顔はかなり美しかった。普通に美女と呼べる程のルックスであった。

 更に胸のサイズは百以上、尻も肉感的で良い形をしていたのだが、お腹周りは細めでスタイルは抜群と言って良いものだった。そして着ている服もかなり際どい、露出多めの服装だった。

 まず足がほとんど全て見えてしまっている。靴は履いておらず裸足の状態ではあるが、とにかく生足は晒してしまっていて、やけに気持ち良さそうな肉感がある少し太めの太腿も露出してしまっている。更に更に、まるでてんこ盛りと言わんばかりに着ている服装も布面積が少なく、更には肌に密着してしまっており、丸みを帯びた綺麗な尻や更にはへその形まで浮き出てしまっている為、全体的に非常に扇情的になっている。大きすぎる胸元が見えるのは勿論、呑気に綺麗で汚れが一切ない脇やまで晒し、服に深いスリットが入っているせいで若干ではあるが尻肉も露出してしまっていた。

 こんなにも体の至る所を晒し、露出が多い服を着ていて恥ずかしくないのか、と彼はふと考えたが、目の前で彼女が無防備にも寝ている姿を見ていると、こんな格好で平気で寝ているので彼女自身は大丈夫なのだろう、と彼は考えたのであまり気にはならなかった。

 そして彼はいつまでも寝てしまっている彼女を起こす事にした。見つけてしまった以上はどうにかするしかないし、起こさずにこのまま無視してベットに放置したまま置いていく訳にもいかなかった。

 取り敢えず彼はベットでスヤスヤと眠っている女性を起こす事にした。眠っている所悪いかもしれないが、起きてくれないと状況把握も出来ないので、多少の抵抗こそあったが、彼は声を上げて彼女を起こす事にした。


「お~い!テンプレセリフは良いから起きろぉ~」


 ベットの真横でかなりの声量のある声で叫ぶと、ベットで呑気に眠っていた女性は、情けない声を上げると同時にベットから飛び起きた。そして一瞬で彼女は彼の大きな声で目を覚ますと同時に、彼女は仰向きの姿勢から楽な座り方に体勢を変えると同時に、周囲を少しキョロキョロした後に彼の双眸に自分の双眸を合わせる。彼女の表情はまるで無知の様な少女の様で、どこか天然さを漂わせる感じになっており、彼は目が合った時に僅かにだけではあるが、彼は照れ臭くなり、頬を少しだけ赤らめてしまった。しかし初対面でそんな表情を長い間晒す訳にもいかなかったので、彼はすぐさまいつも通りの冷たく、無感情に等しい表情を作ったのだった。

 彼は彼女よりも先に言葉を口から吐き出そうとしたのだが、自分が喋るよりも先に彼女が綺麗な声を自分にかける。


「ふぁ~おはようございます…もう朝ですかぁ?」


「朝かどうかも分からんないよ。外が見えないからね」


 互いにもう親睦があるかの様にして話した。これが初めての会話であった。しかし二人はまだ初対面だと言う事に気が付いたのか、片方の女性は先程の時とは違い、妙に畏まった話し方をしてしまう。


「あ、も、もしかしてこの施設人ですか?ち、違うんです!別に泥棒しに来た訳じゃなくて、たまたま迷っちゃっただけで!眠かっただけで!」


「いやいや、焦るな。僕も迷ってしまっただけだ。ここの人ではない」


 彼女はまるで勝手に入ってしまった事を詫びるかの様にして彼に言葉を投げかける。しかし彼はこの施設に所属する人間ではなかったので、穏便且つ冷静な言葉で対処し、彼女の事を軽くいなした。


「え、そ、そうなんですか?」


「そうだよ、君が迷い人だと言うのなら僕も同じ様な存在だ」


「ふぇぇ~よ、良かったぁ。お説教は無いって事ですね」


「あ、あぁ」


 彼女の少し理解に遠のく発言に僅かにだけ思考が追い付かなくなってしまったが、彼は必死になりながら苦笑いを見せ、雰囲気を壊さない様にした。そして会話が途切れない様にする為にも、すぐさま次の言葉を投げかけ、会話が途切れない様に会話を続ける。それは彼だけではなく彼女も同じの様だった。彼は言葉を投げかけようとしたが、それより先に目の前で楽な姿勢で座る女性が先に発言した。


「貴方、名前なんて言うんですか?先に名乗りますが、私は「無那月沙夜」と申します。どうぞ宜しく」


 そう言うと、彼女はベットに座りながらではあるが、胸に手を置き、まるで慕うかの様にして、彼に対して深々とお辞儀をした。

 彼女の礼儀は惜しみなく賞賛したい所であったが、彼はそれよりも彼女の名前を聞いて、どこか思い当たる節があった。ただでさえ頓挫し、消失している記憶が多い中彼は彼女の名前に何故かはよく分からないが、親近感を覚えていた。彼は心の中で親近感を覚える理由を求めようとした。何故近いものだと思えるのか、何故似ているのだろうと思えるのかと。


「えぇっと、僕の名前は…………」


 あれ、と彼は心の中で呟いた。自分の名前は何なのか、それが彼には分からなかった。確かに自分に何かしらの名前を付けられていた事は覚えている。だが、彼の脳内の記憶には、彼の名前に関する情報は一切存在していなかったのだった。

 質問されている側だと言うのに、いつまでも黙り込んでいる訳にはいかなかった。いつまでも黙ってしまっていたら、変な印象を与えてしまうし、会話が歯切れ悪く途切れてしまう。彼は表向きでは平常心を保ちながらも、内心では自分の名前が分からず混乱に近い状態に陥ってしまっていたのだ。

 こうなってしまった上での選択は少ない、素直に分からないと答えるかぽっと出で思い付いた偽名を使用するか、もしくは口封じに始末するかのどれかだ。最後の選択は絶対にやりたくないので、ほぼ除外と言う事にしておくが、どうするべきだろうか。この際潔く正直に言うべきなのか、それとも分からない事承知の上で偽名を使用するべきなのか、分からない事が全体的に多い事ではあったが、彼は後者の選択を選ぶ事にしたのだ。偽名を使用する、それが彼の答えだった。

 

(確か、僕の名は…………が、ガイ……ガイアだったか?しかしガイアだけでは不自然だ……なら、校舎の名前は…)


「んっ?どうしたんですか?」


「すまん、何でもない。僕の名前はガイア「ガイア・ロアノーク」だ」


「ガイア………ロアノーク?私の住んでた所ではあんまり聞かない名前ですね…」


「ま、そんな事はどうでも良い。僕はこれからこの施設から脱出する所だ、どうする?一緒に来るか?それともまだ昼寝してたいか?」


 彼の質問に彼女は即答した。彼の質問を聞くなり、まるで待ってました、と言わんばかりに立ち上がり、ベットの傍に置かれていた足首を保護する事が出来る様な靴を履くと彼と目を合わせ、にこやかに微笑むと質問の答えを返した。


「着いていきます!私も迷ってた身ですから!」


「そうか、ならよろしく頼むぞ、沙夜」


「はい!お願いしますね、ガイアさん!」


 ガイアの冷静な言葉とは対照的に紗夜は元気のある声でそうガイアに対して言った。



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