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93話「何で僕らのチームだけブーイング?」

 

 目を覚ますと同時に自らの目に映るもの、光を失ったランプが吊るされた天井と横目に映るのは、太陽の様に眩いていて、直視し続ければ、目を焼いてしまいそうな程までに美しく輝く光が部屋の窓から刺す様にして照らされる日の様な光だった。

 そしてヴォラクは目を覚ますなり、一人で黙々と今日行われる決闘(デュエル)の為に準備を進め始めていた。使用する武器はビームサーベルと己の体術のみ、ツェアシュテールングやリベリオン、バスターブラスターは相手の命を簡単に奪いかねないので使用はせず、戦闘時は観戦しているサテラ達に渡しておく事にしようとヴォラクは考えていた。時々体を伸ばしながらヴォラクは武器の調整と確認を行い、部屋の中に置かれていた桶に注がれた水を使って顔を洗って、口を濯ぎ、僅かに乱れてしまっていた自分の髪髪を整え、ハネっ毛になってしまっていないかどうか確認すると、昨日脱いでしまっていた黒色のロングコートを再び羽織り、身なりを整えると、部屋の鍵を閉めると同時に、部屋の中に忘れ物がないか確認してから、部屋を出た。


 前日の夜の時、ヴォラクはサテラとシズハとの三人でベットの上で互いに肉体を楽しんだ後、部屋に戻って行ったサテラとシズハを見送った後、普通にそのままベットに寝転がると同時に、設置されていた布団を身に被ってそのまま眠りについた。眠りについた後の記憶は一切存在しておらず、何か夢を見た様な気もしなかった。

 しかし今になっては夢の話だとか、夜の事なんてどうでもいい事だった。夢の話なんて自分にとってはくだらない様な事だし、昨日の夜の事なんて詳しくここに書いてしまったら、作者とヴォラク達の心臓が偉い人に握り潰されて、ヴォラク達だけではなく、作者すらも消されるかもしれないので話す気にも、作者が書く気にもなれなかったのだ。


「行くか……」


 誰にも聞こえない程度の小さな独り言をボソッと呟く様にしてヴォラクは部屋の外に出る。ドアを開けて部屋の外に出ると、既に部屋の外には五人の美しい姿をした女性達がヴォラクの部屋の前に立ち、今か今かとヴォラクが部屋から出てこないか気になりながら部屋の前に立つ女性達の姿があった。


 紫髪をしていて、ポニーテールにする為に長めの髪をまとめ、若干小柄な姿に幼さが若干残りながらも美しい姿をしていて、明るい表情を見せながらこちらを見つめている十七歳の女性。

 薄い黄色の髪をしていて、背中の下辺りまで綺麗に伸びていて、少しばかりハネている髪、頭の上に二つ生えていて、時折意志を持つかの様にして跳ねる敏感な獣耳と揺れる触り心地のよさそうな腰から生えている狐の様な尻尾、巫女の様な服を身にまとい、揺れる度に音が鳴る鈴と細長く仕込まれている様な錫杖を片手に握る十六歳の女性。

 鮮血の如く流れる赤い血の様な赤い色をしていて、束ね上げるかの様にして後ろに結んだ長い髪。ヴォラクよりも長身で、その素顔は非常に整っていて異性だけでなく、同性すらも虜にしてしまいそうになる美しい目鼻立ち、そして非常に豊満で全てを包み込んでしまいそうな大きな胸を始めとしたグラマラスな体と良い肉付き、そして着崩していて僅かながら肌を露出した戦闘用の為に改造した和服、腰の帯には全てを斬り裂く長刀を鞘に納刀しながら携え余裕な風貌を見せながらヴォラクの前に立つ二十歳の美しき女性。

 まるで透き通る様な銀色をしていてまるで剣の刃の様に見通すかの様な美しき髪を持ち、腰の下にまで長く伸ばされた髪、赤髪の女性と同様に美しい肉付きをした肉体に纏われた黒いライダースーツ風の服装に整えられていて見た者全てを虜にしてしまいそうな目鼻立ちをしている自分と同じ十八歳の女性。

 後はショートカットでポーカーフェイスでメイド服着ているクールな感じの女の子一人って感じだね。


「相変わらずですが、何で私の扱いこんなに酷いんですか?作者は私に何か恨みでもあるんですか?」


「いや、そもそもあんたはモブキャラの予定だったんだけど、ストーリーの都合上名前考えて物語に無理矢理入れたんだよ。だから作者的には、あんたは早く退場してほしいらしいんだよ」


「そ、そんな……って言うか、あんた誰よ?物語を影から操ってる作者かしら?」


「いいや、僕はそれすらも凌駕する……」


 ◇◇


 そしてヴォラク達は準備を整え、全員の顔を確認するなり、軽快な足取りで泊まっていた部屋を抜け出すかの様にして飛び出した後、階段を降って、受け付けをしていた女性に鍵を渡して宿を後にした。


「昨日の夜、凄かったですね……」


 しかし去り際にこの様な言葉をヴォラクは耳元で囁かれた様な気がした。気のせいにしておきたい所なのだが、空耳や気のせいにしてはやけに良く聞こえすぎていた様な気もしたし、実際の所受け付けの女性が自分に対して言った事は間違いではなかったので本当の事かもしれない。

 そう思うと少しだけヴォラクの頬が赤くなってしまった。普通誰にも聞かれずにする事だとヴォラクは思っているのだが、誰かに聞かれていたのでは何故か恥ずかしく思えてくる。ヴォラクはそんな頬を赤らめた表情を見せない様にする為に、仮面で顔を覆い、自らの姿を伏せ、誰にも気付かれない様にした。現にこれからの戦いもヴォラクは仮面を付けて臨むつもりだった。もし仮に、彼の本当の正体を知っている者がその場に居合わせてしまえば、自らの本当の姿がバレてしまうのは時間の問題なのでヴォラクは細心の注意をはらってこの戦いへと向かう事にした。


 そして宿を後にして、闘技場へと向かう途中、ヴォラクの耳に入ってくる街の人々の会話の多くは今日、闘技場で行われる決闘(デュエル)の話題が多く上がっていた。闘技場へと向かうヴォラクにもその多くの会話が耳へと流れ込む。


「なぁなぁ、今日の決闘(デュエル)誰にかけた?俺はサリア様のチームにかけたぜ!」


「俺は一か八かであの初出場組に共にかけた!倍率が結構高かったからな!」


「ねぇ、聞いた?今日の決闘(デュエル)、スッゴイイケメンの人出るらしいよ!今日偶々見たんだけど、スッゴイイケメンでカッコよくて!」


「知ってる!名前は確か……」


 ヴォラクは知らなかったが、どうやらこの決闘(デュエル)は競馬や競艇の様にお金をかける事が出来る様だった。街のあちこちでどのチームに金をかけたのか、どのチームが優勝するのか、等々色々な議論が行われていた。最もであるかもしれないが、ヴォラクが率いるチームは何故か異様に不評が多かった様な気がする。現に聞こえてきた会話の中で、自分に関する不評の話はかなりあった様に思える。

 しかし無理もないだろう、あんな可愛い女性達を率いているハーレムの主、不評が集まってしまう(主に男)のも仕方のない事かもしれない。現に闘技場に向かうまでの途中、何度が男性に強烈な眼光で睨まれた。ヴォラクは軽く視線をそちらに向ける程度で特別気にする様な事はなかった。それに多人数から睨まれるなんて慣れっ子であった為、ヴォラクは身震いをしてしまったり、恐れてしまう様な事はなかった。


 ◇◇


 一息着く暇もなく、僅かながらに人前に出ると言う緊張で震える中、ヴォラク達は闘技場の前に辿り着く。試合はもうすぐ始まる様で、闘技場での決闘(デュエル)を一目見ようと、自分の周りには沢山の観客が闘技場の中へと入っていく。ヴォラクは人の多さに少しだけ身震いを起こしてしまう。

 え、何故かって?ヴォラクは人が多い所が苦手だからですよ。

 人の多さに呆気を取られ、周囲をキョロキョロと見渡しているヴォラクではあったが突然人混みを掻き分けて、闘技場の中へと向かっていく観客達の中から一人現れた、見覚えのある女性に話しかけられた事でヴォラクはハッとなり、思わず女性の方を見つめた。


「貴方は、昨日の……」


「あ!覚えててくれたんですか?」


 ヴォラクの前に立っていたのは、昨日ヴォラクをこの決闘(デュエル)に誘い、参加を促したあの女性だったのだ。服装も昨日と差程変わらず相変わらず露出多めの服装をしており、男性の目を自然と集めてしまいそうな程綺麗な姿をしていた。

 しかしヴォラクにとってはどうでも良い事だった。ヴォラクは仮面を付けたまま淡々とした口調、気の抜けた棒読みに近い声でズボンのポケットに両手を入れながら女性に話しかける。


「で?僕達出場者は何処に向かえばいい?」


「はいは~い!今から案内しますね!」


 そう言うと女性は少し小走りでヴォラクの前を先導して走ると同時に後ろで待機するヴォラク達に手招きを行う。手招きを行われた事で、ヴォラク達出場者は彼女の後に着いていく。

 しかし着いていこうとした時、女性は突然、待ったの声をかけた。


「あ、待ってくださいね。不出場者はこの先入れないんですよ~申し訳ないですが、観客席の方でお待ちいただけますか?」


 それはサテラとアナに向けられた言葉だった。彼女の言う通り、サテラとアナは今回の決闘(デュエル)には参加しない。どちらかと言うと、応援役と言った方が正しいとヴォラクは思うのだが……

 しかしこれは当たり前の事だ、現に二人は出場しないので、出場者専用の入り口に入るのはおかしい事だし、まずもって非出場者が普通の入り口から入らないなんて常識的に考えて間違っている様な気がするのでヴォラクは、その場で一旦、サテラとアナに別れを告げる事となった。

 ヴォラクは先程の気が抜けていて、棒読み口調な言葉とは違い、サテラに優しげな口調で話しかける。


「じゃ、行ってくる。これは預かっといてくれ。」


 そう言うとヴォラクは背負っていたバスターブラスターとリベリオンをサテラ達に手渡した。サテラとアナはヴォラクのバスターブラスターやリベリオンその他シズハのビームスナイパーライフル等を受け取ると、彼女達はヴォラクに手を振るなり、足早に観客席の方へと走っていく。そして最後は観衆の中に紛れるかの様にして消え去り、ヴォラク達の目に、彼女達の存在は認識されなくなってしまった。

 そしてこの兵器はヴォラクにとっては、今回の戦いに不必要だと考えていたからだ。

 理由は明白ではあるが、まずバスターブラスターなんて人が持つ携帯兵器の割には威力が余裕で戦術兵器の域に達してしまっており、出力を落とした所でもその威力は恐怖と言っても刺し違えない。それにバスターブラスターはその威力が強大過ぎる故に外した時、周りの無関係者を巻き込んでしまう可能性を孕んでいた。もし誤ってバスターブラスターを誤射した挙句後ろで見ていた観客達にバスターブラスターの流れ弾が当たってしまえば、その観客達の命はないだろう。もしそうなってしまえば、洒落にならないので今回は使用を控える事にしたのだ。リベリオンだって同様だ、頭部や胸部に命中してしまえば、即死や重傷は避けられない様な威力を持つマグナムタイプの銃なので、ヴォラクは事故が起こらない様にする為にも今回は協力兵器の使用は控える事にした。

 だが、ツェアシュテールングは万が一の事態が発生した際に使用出来る様に携帯しておく事にした。もし何か重大で自分の命にすら危機が訪れた際に使用出来る様にする為に一応予備兵装として保有しておく事にした。だが、試合では使わない、絶対だ。


「お別れは済みましたか?それじゃ、行きましょう」


 そしてヴォラク率いる出場メンバー四人は女性に案内され、観客達が入っていく入り口とは別に設置された出場者専用の入り口に案内される。

 入り口は観客達が入れる様な程大きくはなく、正に出場者だけが入場出来る入り口となっていた。

 入り口の中は薄暗く、中には伸ばされた道が続いている。恐らくだが今ヴォラク達が立つこの場所の上は観客席だろう。実際上からは何か足踏みをする様なドタドタとした様な音が聞こえ、僅かながらではあるが、人の話声もうっすらではあるがヴォラクの耳に入ってきた。

 そしてその先にはうっすらではあるが明るい光がヴォラクの目に投影された。恐らくだが、あの光の先が決闘の舞台となる所であろう。まるで洞窟の道を彷彿とさせる入り口の様だとヴォラクは感想を心の中で呟くと同時に、彼は先へと進もうとする。


「取り敢えず、あの光の方に向かって歩けばいいのか?」


「そうですよ!出番が来たら、出口前の柵が開くので、開いたら普通に歩いて来てくださいね!」


「了解した。じゃ、出番まで待機しておく事にするよ」


 そう言うと、ここまでヴォラク達を案内してくれた女性は今まで進んできた道を引き返し、入り口から退場していった、そして次第に彼女の姿は見えなくなった。

 そしてヴォラクは表情を閉ざしたまま下に何があるか確認する事もなく、その場に腰を下ろすと同時に胡座をかいた。出番までただ只管に立ち続けている訳にもいかないので、ヴォラクは休憩の意味合いも込めて今は座る選択を取ったのだ。一応地面はコンクリートの様な素材で作られている様なので、腰を下ろして地面にズボンを密着させてしまっても大丈夫だろう。土なら、この黒色の服が汚れてしまう可能性があったが、これなら汚れる心配はなさそうだった。

 そしてそんな座り込んでいるヴォラクを見ていた血雷は、そんな彼を真似るかの様にして壁にもたれかかるかの様にして立ち尽くすと、懐にしまい込んでいた、愛用している煙管を取り出すと、徐に煙管を口に加えて、嬉しげな表情を見せながら煙管を吸い、その味を深く楽しんでいたのだった。

 しかしその場に座りながら腕を組んでいるのはヴォラクだけで、シズハやレイアは血雷を真似て、壁にもたれかかりながら自分達の決闘(デュエル)の時を静かに待ち、何も話さずに立ち尽くしていた。


 ◇◇


 闘技場の中に設けられた客席は満員に等しかった。観客席には多くの人達が座り込み、中には上の方から立ち上がりながら闘技場を見つめる人も存在していた。そして各々食べ物や飲み物を持ち、これから行われる決闘(デュエル)を心待ちにする人達や今回の決闘(デュエル)でどのチームにお金を賭けたかを話し合う人々も存在した。

 どうやら、この街で行われる、この決闘(デュエル)は名物の様なものらしく、毎年何度か行われているらしいのだ。しかも各出場するチームにお金を賭ける事が出来るらしく、お金を賭けたチームが優勝すれば、賭け金が倍率によって倍になって返ってくるのだ。言わば、ギャンブルの様な賭け事で、賭ける人もいれば、普通に見に来る人も存在していた。

 そして各種方向から聞こえてくる人々の若干耳障りな声、人の数が多いので、普通の事かもしれないが、司会の男性と女性が闘技場内に現れた事により闘技場の観客達のテンションは非常に高まり、全員が甲高く叫ぶ様にして声を上げた。

 そして司会の男性は自らの声量が上昇する無属性魔法を使用する事により、観客達の甲高い声すらも上回る声を発して、観客達に呼びかける。その声は観客達が一斉に発する声よりも大きくなる様に聞こえた。


「さぁ~て!今回も始まりました!この街の名物、この闘技場での決闘(デュエル)の時間が遂にやってまいりました!今回も沢山のチームが募集に応じてくれた事により、全部で八つのチームがエントリーしてくれました!各チームの健闘を期待し、大きな声援を送る様お願いします!そして司会はこの私「マッス・オーキス」と!」


「同じく解説兼司会の「ルーリエ・ウィナー」がお送り致します!」


 闘技場の中に、解説兼司会として立っていたのは、ヴォラク達をこの決闘(デュエル)へと誘ったあの女性だったのだ。サテラは少しだけその事実に驚きを見せてしまった。


「早く試合スタートしてくれぇ!」


「もったいぶるなぁ!早く始めろぉ!」


「おっと!観客の皆さん、もう待ち切れない様ですね……なら、皆さんのお願い通り、早速第一回戦、第一試合を開始したいと思います!」


 観客達の願いに、司会は非常に大きな声を上げて、観客達の闘志を奮い立たせた。試合を始めると言うなり、観客の盛り上がりは更に上昇し、多くの人々が嬉しげに強く声を上げる。


「第一試合の選手を紹介します!まず左コーナー、この決闘(デュエル)の皆勤賞!幾度となく挑み続ける精神は最早優勝レベル!今回は勝ち星を掴む事が出来るか!?この街の名も無き冒険者達四人チームの登場です!」


 司会の男性が今から登場する選手達の紹介をし、闘技場の中に入る為の、重そうで錆が僅かながらこびり付いた鉄の柵が開く。開くなりその中から選手達が登場する。

 そして選手達が登場すると、選手達を観客達が熱い拍手と歓声によって歓迎する。まるでスポットライトを照らされたかの様な気分になる。多くの人から注目される気がする、そう思ってしまい、自分達の気持ちはより大きくなり気合いとやる気が非常に上昇する。


「よっしゃ!今回は絶対優勝してやるぜ!」


「まずは一回戦突破、だろ、リーダー?」


「へ、優勝ぐらい俺達なら簡単に出来るだろ!」


「親分!きっと楽勝ですよ!」


 そして次のチームの紹介だ。司会は更に声を張り上げ、次のチームを紹介する。


「続いて右コーナー!今回初参加でありながら、最恐と思える様な風貌と姿をした、黒き戦士!初参加の彼らは勝つ事が出来るのか!?ダークホースチーム、リーダー、ヴォラク率いるチームの入場です!」


 再び発された司会の大きな声に合わせるかの様にして、ヴォラク達の前に立ちはだかっていた、鉄の柵が少しづつ開いていく。ジリジリと開いていく柵、ヴォラクは一度深呼吸をすると眩い光が見える方へと足を動かし始める。緊張と言う感情はあまりなく、むしろ胸が高鳴る様な気分になり、仮面の下でニヤリと笑いを浮かべる程であった。

 そして柵が完全に開いた事で、ヴォラクは足を動かし、光の方へと進んでいく。そして、そのヴォラクの後ろの背中を追うかの様にして、シズハを始めとしたレイアや血雷も彼の後を追う様にして歩き出した。

 ヴォラク達が門の中から登場した瞬間、先程までとはいかないが、大きな声援が舞い上がり、盛大な?拍手と謎のブーイングが彼らに送られてきた。


「このハーレム自慢野郎!さっさと負けちまぇ!」


「可愛い女自慢したいなら、闘技場に来るなぁ!」


 うん、まぁ分かってはいたよ、こんな事言われるなんて分かってたんだよ?現にこのチームに男は一人しかいないし、後の女性達も美しいと言うレベルを超えているぐらいの美貌の持ち主なので、大半の男性はヴォラクにこんな事を言うであろう。

 現に今ヴォラクにはかなり辛辣で圧が重いブーイングの嵐が飛び交ってしまっている。ヴォラクはそんなブーイングを真摯に受け止める?事はせずただ、その場に石像の様に棒立ちをしながら、観客達が吐き捨てるブーイングをただ無情にも聞き続けていた。


「はいはい、ブーイングはそのくらいに!……………………静かになりたしたね?それでは、今回は初参加のチームがいると言う事で、一度ルール説明を行いたいと思います!」


 ヴォラクは周りのうるさい野次馬の様な奴らの声は放っておいて、一度司会の男性の声に耳を傾ける。ヴォラクはこの決闘(デュエル)には初参加なのでルールはしっかりと聞かなければならない。ヴォラクは耳を傾けると同時に聞き漏らしがない様に司会の言葉を耳に入れる。


「この決闘(デュエル)でのルールは簡単、相手を殺さずに戦闘不能にするか場外に叩き落としてしまう、それだけがルールです!後はどうやろうと煮るなり焼くなり自由です!場外に落ちたり、戦闘不能に陥ればその時点で脱落、先に全ての敵を倒したチームの勝利となります!何か質問はありますか?」


 ヴォラクは司会から自分に対して向けられた質問に対して、首を横に何度か振った。ヴォラクはルールを理解していた。

 要するに、敵を殺さずに昇天させるか、場外に落としてしまえば勝ち、そう言う事だった。別に特別な事なんてない。殺さなければ何でもありと言うルール。

 ヴォラクはそう言う感じだろうと思い、後半は何も言わずにただ無言のまま腕を組んだまま立ち尽くしていたのだった。

 そんなヴォラクを見ていた司会者は、質問は特に存在しないだろうと、思い、一度首を縦に振ると同時に、司会者は声を張り上げる。


「それでは、出場者の皆さん!戦いの舞台へとお上がりください!」


 その言葉を聞くと同時に、ヴォラク達や敵のチーム達も一斉に若干盛り上がった石造りで横に広い壇上の上へと、壇上の上に上がる為に設置された短めの階段を上り、決戦の舞台へと向かう。


「さぁ!第一回戦のスタートです!両者の健闘を期待して……Let's Rock!」


 その言葉と同時に戦いが始まったのだった。



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