87話「An Invitation to a New World‐新天地への誘い」
体調を崩してしまい、投稿が遅れました。ごめんなさい。
気が付くと、ハッとなると同時に失われてしまっていた意識が元通りになり、意識が失われた事により瞑ってしまっていた瞼が上へと動き、目の前が光に包まれた様な気分になった。そして自分の体はベットの上に横たわるかの様にして横向きになりながら、地面に転がり、立ったまま気絶していたり気を失っていたりはしていなかった様だった。
すぐさま意識を取り戻すと同時に自分の双眸を動かし、周囲を確認する。確認すると同時にその場から立ち上がり、武器をその手に取って再び戦闘に戻りたかった。その為には全身に力を入れ、集中し戦いに望む必要があった。
しかし全身に力が入らなかった。動かそうにも自分の体は動いてくれなかったのだ。
と言うのも動かそうにも両手は後ろの方で交差させられたまま動いてくれないし、足も動かそうにも足首の部分しか動かす事が出来ず、立ったり足を広げる様な行動を取る事は出来なかったのだ。また、それと同じ様に言葉も発する事が一切出来なかった。言葉を発しようにも口に何かを無理矢理に噛まされているせいなのか、言葉を話す事が全く出来ず、辛うじて口から飛び出した言葉も、まるで動物の唸る様な声やぐぐもった声しか出す事が出来ない。
「んぐっ!んぐぐっ!!」
何かを叫ぼうにも、誰かに対して言葉を発しようと出てくるのは言葉になっていない様な声にならない声ばかりだった。声を出そうにも出ない事に気が付いたので、すぐにこの体も何かによって拘束され動かせず声も出ない状況を理解しすぐさま周囲に目を向ける。腕と足が動かないのならまずは周囲の状況を確認する必要がある。体が寝転がらされたまま真面に動かない中すぐさま周囲に目を向け、状況を確認する。
「ん?あ、起きたの?」
目の前に広がる平原は薄暗く、光は闇へと変わった事により既に辺りは暗くなっており、周囲を視認する為には目の前で燃えている焚き火だけが唯一の明かりと言っても良いぐらいだった。ここから少しでも離れればもう暗くて道に迷ってしまうだろう、それぐらい今は辺りは暗くなってしまっていた。それに今は夜と言ってもよいので、非常に冷える。厚着でもしなければ凍えてしまい、寒くなって次第に動けなくなるだろう。だが目の前にはまるで自分の事を温める様にして作られた焚き火が設置されており、メラメラとその炎は周辺に散乱していたと思われる木片や枯葉などを燃やした事により煙を上げて燃えている。火の熱さは少し離れた位置に寝転がらせている自分すら届き、まるで包まれるかの様に暖かく、この寒空の下でこの体を温める事が出来る焚き火は自分にとっては非常に重要な物となった。
そして焚き火の周りには二人の男性と女性が一人づつ焚き火の周りに腰を下ろして火を囲む様にして座り込んでいた。
一人、特に自分から見て右側に座り込んでいる男性は完全に今暗闇に包まれる空間と同化しており、身に纏っている服装は漆黒と同意義と言ってもよい黒衣を纏っており、この暗闇の中であの男の姿を捉える事は難しいだろう。長身で自分よりも背が高い事も一目で理解出来た。それにこの男の服装はどこか見覚えがある気がする。さっきまでこの様な服装を着ていた奴と戦っていた様な気がした。鋭利に尖った刃を鈍く輝かせるナイフを片手に影を操っていた様な気がした。
もう一人は美しく腰にまで届く程長いロングヘアの金髪を生やし魔女の様なとんがり帽子を被っている。背中は露出し、美しい肌色の生肌が露出していた。肉体を晒しているにも関わらず裂傷やその痕、その他痣や傷や汚れなどは自分が見る限りでは、一切汚れや傷などが見えない綺麗過ぎる身体を持っていたのだ。肌を一切露出しない右側の男性とは違い、まるで曝け出すかの様だった。
二人共自分に対して背を向けており、まるで今拘束されている自分の事なんて気にしていない様な振る舞いだった。しかしこのままずっと気付かれぬまま拘束され続けるのは嫌だったので、口に何かを噛まされ、真面に言葉を話す事が出来ない中ではあるが、言葉にならない声だと言う事も理解した上で発し、必死になって自分の存在に気が付いてもらう為に肉薄する。
「んんっん!っんんん!」
もはや言葉になっておらず、まるで動物が唸る声の様な感じになってしまっていたが、気付いてもらう為には言葉にならない声であっても発しなければならなかった。
まだ自分が発している声が小さいのか、まだ自分の前で地面に座り込んでいる二人の男性と女性は、他愛もない会話をしておりこちらの存在には見向きもしない。まだ声が小さい、だから二人は自分見向きもしない、ならもっと大きな声を出すだけの事だ。
「んんんっ!!んんっ!」
「んっ?あ、起きたのか?」
声が遂に届いたのか、右側に座り込んでいた男性が首を横に動かして、後ろの方を振り向いたのだ。素っ気ない声と感情を動かさず崩さない様なポーカーフェイスをした男性は後ろを振り返るなり、その場からすぐに立ち上がると自分の元へと歩いてきたのだ。悠々とした足取りで迫る男性は自分に対して危害を加える様な感じはなかった。寧ろ丁重に迎える様な風貌で待ち構え、起きた事に気付かれたら、すぐにナイフで喉元を突き刺される様な事はなかった。
「んんっ!んんっむ!」
「すまんな、手荒な事をして……でも、敵って可能性も否定は出来ないから一応手足は縛らせてもらったし、叫ばれるのも困るから、口にも布を噛まさせておいたからね?悪く思わないでくれよ」
そう男が呟くと男は腰に装備していたナイフシースなら鋭利で鋭く切れ味の良さそうなナイフのグリップを握り、ナイフシースから取り出したのだ。ナイフの刃暗闇の中でも鈍く銀色に光り輝いており焚き火の光に反射して美しくも残虐に光っていた。
そして自分の背筋に悪寒が走った。今自分はあのナイフで即死を狙える喉元か心臓を突き刺されるのか?と想像してしまい、強い悪寒が走ったのだ。不意にながらも身震いを起こしてしまう。死と言うものは言わせてもらえば恐ろしいものだ。しかもあんな鋭利で切れ味も良さそうなナイフを突き立てられるのだ。痛みも想像を絶するものになるだろう。勿論だが、ナイフを突き刺されるなんて事はされた事がない。斬られて裂傷を刻まれたり、軽い傷を負った程度の事はあるのだが、あんな鋭利なナイフを喉元か心臓部にでも刺されれてしまえば耐え難く、大きすぎる苦痛を味わう事となるだろう。しかも耐えられる様な程の痛みではなく想像を絶する程の痛みだろう。身震いが微かながらも続いてしまい、普段の自分とは違う様な姿を見せてしまう。
しかし男は右手に握り締めたナイフを自分の喉元に突き刺す事も心臓を抉る様な事はせず、喋れない様にする為に口に噛まされていた布を取り外し、足を拘束していた縄を切り落としたのだ。しかし両手を拘束する縄を切り落とす事はせず、その代わりの様にして男は自分の背中を支えながら、体を起き上がらせて地面に寝転がらせるのではなく焚き火の前に両手を拘束される形で座らせてくれたのだった。
最初はそのナイフで自分の体を突き刺すのかと思っていたのだが、全く違う行動を取った目の前に男に僅かながら驚きと疑問の表情を見せてしまった。
「ケホッ!コホッ!」
口に噛まされていた布を急に取り外された事により、僅かながら咳き込んでしまい、辛いげな表情を見せてしまう。そんな中で男は自分に対して何か言葉を発し声をかけてくれた。
「喋れるか?」
「ケホッ!……えぇ喋れるわ」
「えぇ……と、いきなり聞くのもあれだけど、何で私達の街に攻撃を?」
「え?攻撃?私が?」
突然過ぎた言葉に彼女は言葉を失い、それ以降の言葉を口から出す事が全く出来なくなってしまった。街に攻撃を仕掛けた?金髪の女性が「私達の街に攻撃を?」と聞いてきた瞬間、思考が追い付かなくなり何故そんな事を自分に聞いているのか、と疑問の渦に巻き込まれ現在もその渦から脱出出来ずにいた。
街に攻撃した記憶なんて一切ない。勿論だが攻撃なんてする気もないし、する動機すらも存在しない。なのに何故金髪の女性は街に攻撃を仕掛けたなんて言っているのだろうか。彼女が間違っているのだろうか、それとも自分が忘れてしまっているだけなのか、分からなかった。残された記憶は王に何かを、記憶が曖昧なせいでどの様な命令を下されたのかは覚えていないが、取り敢えず何かの命令を下された所まで、それ以降の記憶は頓挫するかの様にして完全に消え去ってしまっていたのだった。
彼女の質問に対して、返答をどうするべきか考えていた時の事、近くに座っていた黒衣を身にまとった長身の男が助け舟を出すかの様にして落ち着いた口調で言葉を投げかけた。
「リア、彼女は洗脳魔法もしくは命令魔法にかけられていたんだぞ?恐らくだが攻撃してた時や俺達と戦っていた時の記憶はない、変な質問はやめておいた方が良いぞ?」
「あ、そうだったね。忘れてるなら、言わなくていいよ?さっきはごめんね」
「あ、えぇっと、その……」
急過ぎる展開に着いていけなくなりそうになった。二人の会話に入っていける自信もないし、まずもって何の話を二人でしているのかがイマイチ良く分からなかった。洗脳魔法や命令魔法など知っている単語は出てくるが、それでも尚この男性と女性が何について話し合っているのかが全くと言ってよい程分からなくなってしまったのだ。
「ま、状況理解出来ないなら仕方がないな、取り敢えず自己紹介でもしてくれ。名前が分からんと話にならん、一応先に名乗っておくが、俺は「裂罅悠介」だ」
「私は「リアン・ジュール」気軽にリアって呼んでくれていいからね!」
二人が名乗ってくれたのなら、自分も名を名乗るべきだろう、裂罅悠介と言う名には何故か聞き覚えがある気がするが、今は自分の名を名乗るべきだと感じたので裂罅悠介と言う男の名を気にするよりも自分の名前を素直に名乗る事にした。
「私は「グレンディ・ロメルディアル」王国『ユスティーツ』の王家側近支援攻撃部隊の副隊長です。よろしくお願いします。後、名前はグレンとでも呼んでください」
そして彼女の顔は焚き火に照らされ、よりはっきりとその姿を捉える事が出来た。髪や輪郭、肌の色や綺麗な双眸など、悠介から見て、彼女も十分美しく見えてきた。
「グレンディ・ロメルディアル」彼女はそう二人に名乗ったのだった。
彼女の姿は美しいの一言に尽きる。綺麗な金髪の髪を持つリアンとは違い、まるで空から降り注ぐ綺麗な雪の様な美しい白色の髪、ロングヘアのリアンとは逆の様にして肩の少し上までのショートカットにした髪、そしてリアン程ではないが美しく、胸や尻に程良い肉付きのある肉体、綺麗なオレンジ色の瞳、どれを取ってもリアンと並ぶ程の美しい女性だった。異性だけではなく同性すらも虜にしてしまう様な美しさと愛らしい身体を兼ね備えたグレンディ・ロメルディアルと言う名の女性は今、実際に悠介の視線を強く集めていたのだった。見つめられると当時に悠介には戦慄と強い焦り、そして強い動揺を見せる様な表情を二人に見せたのだった。しかし残念な事にリアンとグレンは悠介の強い焦りの表情に気が付いておらず、リアンがグレンと仲睦まじい様に話していたので悠介のその表情に気が付く事が出来なかったのだ。
「ねぇグレン、歳はいくつなの?」
「私はもう今年で十九歳よ」
「えっ!?じゃあ私年下じゃん。私まだ十八歳なのに……タメ口でごめんねぇ~」
「別にいいよ、歳が下の人にタメ口を使われるなんて慣れてるし、さん付けとかもしなくていいからね?でも悠介君は何歳なの?」
「悠介ぇ!グレンに年齢を教え………って!どうしたの?」
「ヤバい……ヤバい!ヤバい!」
悠介は突然として頭を下げると同時に、項垂れながら両手で頭を抱え、顔を下に向けた。その表情は完全に怯え、恐怖し凍り付くかの様にして震え上がっている。しかも両手は震えており完全に怯えてしまっている。
突然の恐怖した悠介を見て、リアンも同じ様にして不安になってしまった。いつもならクールで表情を冷静なまま一切崩そうとせず、暗闇に紛れながら、ナイフを片手に処刑を行う処刑人の如く敵をナイフで斬り殺していく悠介が今はまるで雨に怯える小さな子供の様にして体を震え上がらせながら、情けない表情を見せ、強ばらせている。そんないつもとは真逆の悠介を見たリアンはすぐさま彼に駆け寄った。そして温めるかの様にして体を寄せ合うと密着させる程までに強く、互いの体を寄せ合ったのだ。寄せ合うと言うよりは怯えてしまい、項垂れている悠介をリアンは自分の胸元に押し付けていると言う状況の方が近い気がするのだが………
「どうしたの、悠介?らしくないよ?」
「遂に……遂に国王が国単位で俺を消しに来やがった……」
「えっ?どう言う事?」
すると悠介はすぐさま顔を上げると同時にグレンと目を合わせた。その表情はどこか怯えながらも疑問を解決する為に翻弄しているかの様にも捉えられる。
「おい、グレンさんよ…あんた『ユスティーツ』から来たんだよな?」
「え?う、うん、そうだけど?一応私あの国の王家側近部隊に所属してるから………って何で私こんな所にいるんだ?」
「マズイな……俺を始末するか連れ戻す為に刺客を送り込んできたのか?」
悠介の背筋に強い悪寒が走る。グレンが何故自分の元へと攻撃を仕掛けてきたのか、何故一発でバレたかの様にしてこの街へと来たのか。そしてグレンの所属している国は自分が前まで所属しており、勝手に召喚してきた国である「ユスティーツ」であり、しかも自分はその国の裏事情に逸早く気付き、仲間を見捨てて単独で脱走を謀った。そしてその後その国から派遣された追っ手を全てこの手で葬った。
ここまで考えれば、王国「ユスティーツ」が自分に対して何を行おうとしているのかはもう一目で理解出来た。
向こうは自分の事を抹殺、もしくは王国へと連れ戻す為に今回の様な刺客を送り込んできたのではないのだろうか?と悠介は考えたのだ。
グレンは王家側近部隊に所属していると言った。恐らくだが、グレンは自分を連れ戻すか抹殺する為に、自分を捜索する為に派遣された言わば傭兵の様な存在ではないのだろうか?と悠介は考えたのだ。
それに戦っている時に、グレンの事を拘束して深く被っていたフードを脱がして素顔を見た時、悠介はある事に気が付いた。自分の目に狂いはないだろう、間違いなく見間違いではない事が分かった。
あの時彼女は対象の人間又は動物などを洗脳し思想や考え全てを洗脳し、洗脳した者の命令を絶対に遂行する「洗脳魔法」もしくは本人に嫌な気があろうと無理矢理に命令を実行させる「命令魔法」のどちらかをかけられていたのだろうと推測する。
まず初めて彼女の素顔を見た時、彼女の瞳は深紅の様な濃い紅色をしていた。しかし今彼女の瞳は濃いオレンジ色の様な感じの色になっている。今の彼女と素顔を初めて見た時の彼女の瞳の色が全く違う事に悠介は強い違和感を覚えていたのだ。現に初めてその目を見た時は何かしらの魔法にかけられているのだろうとは推測していたのだが、本当にかけられていた事に悠介は今、気が付いた。
まず自分達を攻撃した記憶がなかったり、ここに来た理由も良く分かっていない時点でもう察していた。彼女は無理矢理に命令を実行していたのだろう。恐らく本人は手を汚したくはなかったのだろう、しかし王国の奴らは平気で志願もしていない彼女にこの様な任務を無理矢理に押し付けた。考えてみれば、自分の意思ではしていない事だし、意思に反して無理矢理行わせた事なので、絶対に許せない事だが、その原因の元を辿ればそれは自分が国から脱走した事により起こった事だ。その結果、彼女は何者かによって洗脳された結果無理矢理に自分と戦わされた挙句怪我を負うと言う羽目になったのだ。考えてみれば苦悩する事だし苦痛以外の何者でもなかった。
(と……なると、この先も刺客を送り込んでくる可能性も否定出来ないな。グレンから詳しい話を聞いて、その後はこの場所から移動した方が……)
まだ何かを考えようとしていた悠介だったのだが、突然後ろから誰かの気配を感じると同時に、自分の背中に何か柔らかい物が当たった様な感触を感じた。何とは言わないがこの感触的にもう何なのかは何となく察してしまった感じだ。
悠介は素直に首を横に動かすと同時に視点を後ろへと移す。後ろには金髪の長い髪を生やした美しい女性、誰なのかも一目で分かった。
「リア?どうしたんだ?」
「ねぇねぇ、悠介。こんな物見つけたんだけど?」
「な、何だこれ?」
悠介は自分の目を疑うと同時に初めて見た物に対する謎の好奇心に駆られた。リアンが手の平に乗せていた物、まるで何かのスイッチの様な物だった。直径約8cm程の円状の形をした物の上にはまるで押してくださいと言わんばかりな出っ張りの様な物が付いている。
何のスイッチなんだ?や押せと言わんばかりだな、などとツッコミたくなる所なのだが、取り敢えず今は何処で拾ったのかリアンに確認する事にしよう。
「ど、何処で拾ったんだ?」
「実はね、これグレンの服を物色してた時に見つけたの、着てた上着の中に入ってた!」
悠介はリアンが手の平に乗せている謎のアイテムに目が釘付けになると同時に顎に指を当ててこれが何なのか考えてみる事にした。一体このスイッチの様なボタンの様なこれは一体何なのか、考えてはみたものの初めて見る、更に素性もまだ完全には明らかになっていない人が持っていた物だったので簡単にはこれが何なのか、特定に至る事は出来なかった。
(これは一体何だ?仲間に対して救難信号でも出せるのか?それとも押したら誰かと通信出来るのか?………もしかして押したら指定した人を消せるとか?いや、まさかそんな事は………あるかもしれん…)
やはり分からないのなら本人に聞くのが一番だろう。悠介は手の平に謎のアイテムを乗せ、目を輝かかせる様にして眺めているリアンを他所にこのアイテムを所有しているグレンにこれが何なのかを素直に聞く事にした。結局は本人に聞く方が良い、これやっぱり大事。
「なぁ、グレンあれって何……」
「取り敢えず、分かんなかったら押しちゃえ♪」
「あ、馬鹿!そう言うのは押すのがお約束かもしれないが!」
「あ、それって……」
次の瞬間だった。まるであの時この世界に召喚された時と同じ様な光が三人を襲う。悠介達が座っていた場所の周囲は光に包まれると同時に何処か新世界へと歩を進めると同時に包まれ消えていった。勿論リアンが地面に置いていた魔法を使う為の長めの杖やグレンから一時的に奪取していたコンパウンドボウやその弓を射る為に使う矢を入れた矢筒も全て彼らの転移に巻き込まれていくのであった。
悠介達はこの謎の現象に抗う事は出来ずただ素直に巻き込まれていくしかなかった。転移してからは意識が闇へと包まれ、何が起こったのか思い出させない様にその記憶は闇へと落ちていき、まるで新天地へと誘われるかの様に三人は何処か彼方へと降下していくのであった。