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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

二分で読める夏の夜のちょっとした残酷な妄想

作者: はなまる
掲載日:2019/07/27

 気配を探る。距離を測り、タイミングを待つ。


 気づかれたら必ず殺される。だが諦める訳にはいかない。


 危険を顧みずに飛び込まなければ、ほんの少しの飢えさえ凌ぐ事が出来ない。なぜこんな世界なのだろう。


 私は弱い。あの恐ろしい生き物が、ほんの少し手を翻しただけで吹き飛ばされてしまう。手を打ち合わせるだけで無残に潰され、汚物のように捨てられる。


 あいつらは私たちの事など、滅びてしまえば良いと思っている。ほんの少しの()()()()さえ許してはくれない。


 もう二日も何も口にしていない。体力がなくなる前に勝負に出るより、他に方法がない。


 夫はとうに逝った。私は泥水を啜り草の汁を貪っても、死ぬ訳にはいかなかった。この、お腹の中の命のために。


 明日は雨が降る。これが最後のチャンスだ。もう一度栄養補給できれば、きっとこの子を産めるだろう。私はおそらく、この世界に生み捨てる事しか出来ない。育つ様子を目にする事も、母と呼ばれる事も望めない。それでも……それでも。


 この宿った命を送り出すのが、私の最後の役目。


 さあ、行け! 気配を断ち、足元をすり抜け、息を殺してチャンスを待て! あの硬い皮に私の唯一の武器を突き立てろ!


 命を、燃やせ!






 パチン!



 あっ……






『うわー。刺された! 痒いよー』


『あーあ、痒み止め、あるよー。塗る?』


『うん。あーあ、痒くなければ血の少しくらい、あげても良いんだけどなぁ』




 そんなん言われても、少しの救いにもなりませんて……。




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― 新着の感想 ―
[一言] 病気ばら蒔かずに、痒くしなくて、 夜中耳元で羽音を立てなければ 多少の血くらい持って行って構わないのに…
[良い点] 「あっ、悲しい感じの話…………か!!」となりました笑 こういう話好きです、母の愛と短文で表される一生と〈か〉。 [一言] 昨日、左腕が三カ所餌食になりました。
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