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椅子  作者: 井伊空佑
9/10

催眠術

「今、テレビで引っ張りだこの催眠術師、

Kさんに来てもらいました。どうぞ。」


MCキャスターが言う。


「どうもKです。」


多くは語らない。

信憑性が下がってしまう。


「この人私知ってますぅ〜。」


女性タレントが知ったかを振る。


「どんな人でも催眠術をかけ

思いのままに操る…。

それがKさんなんです。」


全くの他人から

知ったような口をきかれる。


「では今から観覧席のお客さん1人に

催眠術を体験してもらいましょう。」


カットが入りエキストラが

舞台上に上がる。


「それではお願いします。」


声がかかった。

しっかりと催眠をかける。

……ようなフリをする。


「ゆっくりと目を閉じて。

あなたは雲の上で

ふわりと浮いています。

とても気持ちの良い状態です。」


そう声をかけると

エキストラの女性は目を閉じ、

演技の準備をしている。


「私が今からカウントダウンします。

そして0になるとあなたは

このわさびが甘く甘く感じる。」


番組が用意した、わさびチューブを

取り出す。この中には辛くない

緑色のものが入っていて、わさびと

そっくりに作られている。あとは

催眠術を解く演出でエキストラが

どう上手く演技できるかだ。


「5.4.3.2.1…0。」


チューブの中身を女性の口に

沢山入れる。

喉に入り込まないように注意する。


「どうですか。皆さん!

あの辛いわさびをこんなに

たっぷり口に入れました。」


「え〜辛くないのぉ〜?」


女性タレントが良いパスを送る。


「はい。全然。もっと欲しいですね。」


エキストラも良い進め方をした。


「では催眠術を解きましょう。」


これでいいリアクションを

してくれれば最高だ。

手を叩いてそれらしくする。


「はい、解きました。」


言い終わって

カメラがそっちの方向に

向いた後、エキストラは

咳き込んだ。なかなかのリアクション。


「どうです。これが私のパワーです。」


という自己催眠を部屋で1人で

かけ続ける自称催眠術師の

Kと名乗る男がいた。

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