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人間の可能性を舐めたらアカン

「此処は陰猫の世界だ」

「陰猫って僕達を産み出した?」

「うん。ソラは察しが良くて助かるよ」

「つまり、その陰猫が俺達を産み出した神と言う事なのか?」

「……修次は本当に解らないらしいな。

 まあ、あながち間違いじゃないけど」


 修次の存在は本当、イレギュラーなんじゃないか?


 此処までピンと来ないなんて……。


「それでどうして、僕達はこんな世界に?」

「戦わせる為だよ」

「戦わせる為?」

「そうだよ、ソラ。此処はまあ、戦場だ。俺達は戦う為の駒って訳だ」

「そんな……何の為に……」

「まあ、メタな話をすると読者層の新しい開発の為だよ。それと陰猫の総集も兼ねてかな?」

「そんな理由で戦わせられるんですか?」

「戦いたくないのなら、無理に戦う必要もない。俺達が君を守ろう」


 俺の言葉に愕然とするソラに修次が優しく頭を撫でて、そう囁く。


 あらやだ。修次ったら、イケメン過ぎ。


「フレストも俺に頼って良いんだぞ?

 確かに強いとは言え、女に無理強いするのもあれだしな?」

「いやいや、俺は確かに童顔だけど、立派な男だから大丈夫だよ、修次」

「ん?お前、男なのか?それにしては華奢だな?

 ちゃんと飯は食ってるのか?」

「まあ、そう言う体格なだけだから。後、ちゃんと食べてるよ」

「そうか。なら、良いんだがな」


 修次の奴、俺と愛弟子のシュラをダブらせてるな。


 俺はそもそも人間じゃないっての。


「それよりも問題は修次ーーあんただろ?

 魔法もない。能力もない。はっきり言って、お荷物だ」

「ちょっーーそんな言い方ないですよ!」


 俺の物言いにソラが反論する。


 だが、事実だ。


 修次は特殊な力のないただの人間だ。


 正直、ソラよりも足手まといかも知れない。


 ソラは恐る恐る、修次の表情を見る。


「……本当に何の能力もないんですか?」

「そう、だな。恐らく、この世界じゃ常人の俺が一番弱いだろう。ただーー」

「ただ?」

「修羅場の数は君より上の筈だ。まあ、見ていると良い。

 生身でも戦える事を見せてやるから」


 ……本当に修次の奴、イケメン過ぎだろ?


 これには風魔一筋のソラもポッと頬を染める。


「ーーっと、早速、次が来たぞ?」


 俺はそう言うと集団で群がる影の軍団に顔を向けた。


「じゃあ、やるか……」


 そう言って修次がソラの前へ出る。


「よく見ておけ、ソラ。これが生身で異世界のモンスターと言うのと戦って来た俺の強さだ」


 修次が刀を構え、俺と共に駆け出す。


 なんか、盛大に死亡フラグを踏んでる様なんだが大丈夫なのか?


 そう思って、修次の戦いぶりを観察しながら俺も戦う。


 今回も境夜の影とモンスターだ。


 しかも今度のモンスターはドラゴンと来ている。


 これは流石に修次には分が悪いだろう。


 そう思っていた。


 しかし、修次は送り足でドラゴンの牙を避け、その刀でドラゴンの首に傷を与えて見せる。


 切断まではいかなくとも、ドラゴンにダメージを与えるだけ、常人にしては上出来だろう。


 そうして、ドラゴンが怯んだ隙を突いて修次は一気に踏み込むとドラゴンではなく、その背後の境夜の影に迫る。


 境夜の影がそれに気付いて、本を開く。


 それより先に修次が刀を振り下ろし、その境夜の腕を斬り裂く方が速かった。


 正直な感想だが、凄い。


 修次は長年の勘と経験で境夜の影について、もう察しが付いているらしい。


 一度、相手しただけで此処までやるとは思わなかった。


 しかも修次は境夜の事を知らない筈なのに、その洞察力で本からモンスターを召喚していると即判断している。


 前言撤回だ。


 修次は足手まといなんかではない。


 立派な戦士だ。


 そうこうしている内に修次が返し刃で境夜の影を斬り捨てる。


 これが桜鬼の修次の実力か……。


 ただの人間と馬鹿にしていた自分が恥ずかしい。


 そんな事を思いながら四散した影を背に修次が此方を向き直る。


「これが生身の実力だ」


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