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桜鬼の修次と眠り姫

 しばらく歩いていると巨大な黒い渦を巻く空間を見付けた。


 どうやら、この先が次の舞台なのだろう。


 俺は迷わず、その渦を巻く空間へと入って行く。


 すると、刀を手にする麻の服にジーパンを履いた男に出くわす。


 俺よりも少し年上っぽいな。


 あれは月岡修次で間違いないだろう。


 その月岡修次の背後には蹲って倒れている緑の髪を後ろで束ねた赤いジャケットに短パンの少女の姿がある。


 そして、その修次が刀を構える先には数体のモンスターを引き連れた銀髪の男の姿がある。


 あれって十六夜境夜か?


 境夜って序盤で風魔に頭を吹き飛ばされてなかったっけ?


 疑問は残るが、今は劣勢の修次達に加勢をした方が良さそうだ。


 俺は黒龍の描かれたクォーター・スタッフを手にすると修二と対峙するモンスター達に飛び掛かって行く。


「せいやぁっ!」


 俺はモンスター達の間に入るとスタッフを振るい、モンスターの頭部や腹を蹴ったり突いたり叩いたりする。


 突然の出来事にモンスターが怯む。


 てか、このモンスターはゴブリンとかコボルトじゃないか?


 まあ、どっちでも良いが、それでも能力とかない修次には荷の重い相手か……。


「すまない。助かった」

「礼は良いよ、月岡修次さん」

「俺を知っているのか?」

「うん?ああ、そうか。みんながみんな、誰が何って知らないもんな?」


 俺は修次にそう言うと迫り来る剣をしゃがんで避け、カウンターでモンスターの顎に決める。


 そして、一発ドカンと爆破した。


「火炎烈火掌」


 俺は頭部が燃え上がりながら倒れるモンスターに呟くとスタッフを構え直す。


 ーーと背後から絶叫がした。


 振り返ると首を切断されたモンスターの死体が眼前に佇んでいた。


「助かったが、気を抜くな。此処は戦場だぞ?」


 そのモンスターの死体の後ろから修次の声がする。


 どうやら、助けたつもりが、助けられたらしい。


「改めて、俺の名は月岡修次だ。お前の名は?」

「リュウ・フレストだ。宜しく、修次」


 俺はそう言うと修次と共にモンスター達を殲滅する。


 それを見て、境夜は分が悪いと悟ったのか背を向けた。


「四元魔弾!」


 俺は空いている手をピストルの形にすると指先から赤、青、緑、黄色の四色に交互に変わる魔法の弾丸を発射して境夜を撃ち抜く。


 ーーと境夜の身体から黒い液体が出て四散する。


 どうやら、あれは境夜の影だったらしい。


 境夜の影が消えるとモンスター達も消え、後には俺と修次と倒れた女の子が残される。


「なんとかなったな。しかし、俺が加勢したとは言え、モンスターに怯まない辺り、流石は修次だな」

「お前もなかなか強いな」


 修次と俺は互いに武器を納めると倒れた女の子を見る。


「ん?この子、ソラじゃないかな?」

「ソラ?ああ。あの娘か……」

「なんで、俺は解らないのにソラは知ってんの?」

「統合した世界でなんたらって奴を以前、ギルドアイで見たからな」

「ああ。陰猫の方でやってた奴か……。

 その子とは別に"トレジャる?"ってタイトルの小説が陰猫(改)の名前であるから」

「ふむ。俺が知るソラとは違うのか……」

「うん。そう言う事」


 俺は修次に頷いて、その顔に視線を移す。


「で?なんで、修次がソラと一緒にいる訳?」

「たまたまだ。気が付いたら、この娘と一緒に倒れていた。

 それでしばらく、起き上がるのを待ってたら奴が来てな」

「ああ。境夜の影ね?」

「一応、話し掛けたらモンスターを出して来てな。それで彼女を守りながら戦っていた」


 流石は桜鬼の修次。


 能力の一切無いただの人間のくせに女の子を置いて自分だけ逃げるって事をしない辺り、凄いな。


 それに剣を極めてるだけあって雑魚とは言え、モンスターとタイマン張ってるんだからな。


 普通の奴じゃ、そんな事出来ないぞ?


「まあ、相手がルシファーとかじゃないだけ運が良かったな?」

「ルシファー?」

「……あんたはもしかして、"桜と鬼と"の第一部の修次さん?」

「?さっきから何を言ってるんだ?」


 どうやら、本当に解らないらしい。


 この月岡修次はこの世界ではイレギュラーなのかもな。


「……う、う~ん」


 おっと、そんな事をしているとソラがモゾモゾと起き上がった。


「……あれ?此処はどこ?」

「お早う、ソラ」

「お早うさん」

「あ、はい。おはようございますーーって、貴方達は誰ですか!?」


 慌ただしい子だな。


「警戒しなくても俺達は敵じゃないよ」

「ああ」

「そう、なんですか?本当に?」

「もちろん」

「なら、良いんですが……それよりも此処はどこですか?風魔さんは?」


 おいおい。まさか、この子もかよ。


「あ~。二人とも、まずは落ち着いて聞いてくれよ?」


 俺は二人に今の現状を伝える。


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