懐かしき青春の人物
此処からはとある人物視点で御座います
目を覚ますと俺は知らない凍てつく大地に倒れていた。
「……此処は?」
俺はゆっくりと顔を上げて周囲を見渡す。
地面は雪に埋もれ、ひんやりとしており、それが俺にこれは現実であると認識させる。
俺は立ち上がって軽く自分の手を握ったり開いたりを繰り返す。
右目は眼帯で見えないが、視界は良好だ。
さて、次は意識を確認しよう。
俺の名はリュウ・フレスト。
陰猫が小さい時に書いていた伝説の竜の民と言う種族の族長で主に主人公をしていた。
爆鬼龍とか塁滝龍なんて呼び方もされる時があったが、今回はリュウ・フレストらしい。
因みに愛称はリュッチだ。
外見は十代半ばで、黒髪に黒い眼帯をしている。
体格は華奢な方だ。
そして、俺の格好は夜○みゆきのレ○ァリアースの影響でその主役に似た旅人の衣装を着ている。
多分、陰猫の中では一番古い付き合いだな。
俺は陰猫が物書きではなく、漫画家を目指してた時のキャラだ。
本当、懐かしい話だ。
ーーと俺の前に突然、人の形の影が現れる。
一対のガンブレードに黒いロングコートを羽織っているから、今、陰猫が書いている風魔だろうか?
「やあ」
俺は風魔に近付き、挨拶を交わそうとする。
ーーが、風魔からの返事はなく、逆に頭部目掛けて発砲された。
俺はそれを眼帯で防ぐと風魔をーーいや、風魔の影を睨む。
どうやら、相手は風魔ではないらしい。
俺は何もない所から刺々しい爪に水晶が嵌め込まれた剣を手にして身構える。
「こうして、戦うのは何年振りかな?
しかも絵じゃなくて文字で表現されるのは初めてかも知れないな。
昔の陰猫は好奇心旺盛で飽きっぽかったから」
俺は独り呟くと風魔に突っ込む。
風魔の影だけあって足や頭を的確に狙って来るな。
俺は加速して迫り来る弾丸を剣で弾く。
子供の頃、陰猫に書かれた俺の必殺技と呼べるものは少ない。
まあ、戦闘描写が少ないのもあったからな。
戦闘描写って意外と難しいんだぞ?
そんな俺が最も得意とした技。
それがーー
「魔・斬・剣!」
この斬○剣のパクリ技である。
違うのは対象に高速で接近し、遠心力を利用して上半身と下半身に一撃ずつ斬撃を与える事だろうか……。
「……手応え……あり」
俺がそう言って風魔の影を通過して剣をしまうと影は黒い血渋きを上げ、身体が三つに別れて塵へと帰る。
「……ふう」
俺は一息吐くとゆっくりと振り返る。
「これも君の余興かい、陰猫?それとも、破壊神の気紛れかい?」
俺は見ているだろう、陰猫に尋ねる。
「まあ、いいや。君の思う通りに俺は進もう。俺は君の心の友。いつだって君の味方だからね?」
俺は独り呟くと凍てつく大地を歩き出す。