読者は何を求めるか?
『さて、ここまでの展開を見て、どう思う、陰猫よ?』
私は破壊神に聞かれて、しばし考え込む。
「まあ、説明としてはこんなものかな?」
『ーーで、あろうな?』
「逆に聞きたいけれど、万年底辺の私の小説に読者が求めているのはなんだと思う?」
『決まっている。今、流行りのなろう小説は異世界転生と追放モノだ。それ以外は滅多に人に見られん』
その言葉に私はフッと笑う。
「甘いな、破壊神よ。最近のお気に入りユーザーさんにはクレイジーサイコホモと言うジャンルがあるんだよ。
まあ、あっちはコメディーで勝負してるけど」
『ほう。それで?』
「だから、最近の読者は斜め上の展開を欲しがってると思う」
『成る程な。ならば、こう言うのはどうだ?』
破壊神はそう言うとクルンと人指し指を回す。
「……なんだ、これは?」
最初に異変に気付いたのはネロである。
ネロが空を見上げると暗雲が渦巻いて、彼の無造作に掻き上げた髪を撫でる。
それに合わせて戦闘をしていた戦士達が手を止めて、各々の表情で空を見上げる。
そしてーー
「うわあああああああああぁぁぁーーっっ!!」
「なんだ、こりゃあああぁぁぁーーっっ!!」
戦士達の叫びを合図に天が光り、次の瞬間にはこの場所に集まる戦士が一人残らず消えていた。
「何をしたんだ?」
私が破壊神に尋ねると破壊神は口から青白い炎を吐き出しながら笑う。
『スマ○ラやディ○ディアは好きだろう?』
「え?まあ、一応」
『だから、真似てみた』
そう言うと破壊神は私の視界に映像を映す。
『これからが本当の戦いだ』