悪即BAN!
「ーーで、俺の相手はお前か?」
「そうなりますかね?」
十六夜境夜は風魔の言葉に頷くと本を手にする。
「まあ、俺として丁度良いですけどね?
前に吹き飛ばされた腕の借りを此処で返して今度こそ、幻想郷とあちらの世界を支配してやります」
「まだそんな事言っているのか?懲りない奴だな?」
風魔は溜め息を漏らすと黒いサングラス越しに境夜を睨む。
十六夜境夜。
私の代わりに幻想入りする筈だった男である。
そして、本の内容を具現化する程度の能力者にして世界を手中に収めんとする野心家でもある危険な男だ。
詳しくは"陰猫、紅魔館へ短期バイトをします"を見てね?
対して、風魔は私が陰猫から陰猫(改)になった時から書いていて、様々な作品で登場させている知る人ぞ知る人物だ。
詳しくは"トレジャる?""教えて、風魔さん""東方物書き異聞録"などを見てね?
「俺はお前を殺します。ただ、殺すだけじゃありません。
じわじわとなぶって、自分から殺してくれと言うまでいたぶってやりましょう。
そして、作者である陰猫も殺して、俺が作者になるんだ」
「は?そんな事出来る訳ないだろ?」
「理論上、幻想入りして個を持った俺になら可能の筈です。俺は神になる!」
「……まあ、なんでも良いか」
陶酔する境夜に風魔は溜め息を漏らす。
「あの、風魔さん?」
「ん?なんだ、陰猫?」
「私がいなくなるのはなんでも良くないんじゃ……」
「それもそうだな。お前がいなくなるのは困る。
でないとコーヒーも買えなくなるからな」
「なんか、納得いかないけど、アルファポリスネタ持ってくるのは止めれ!」
「ああ。詳しくは"風魔と珈琲"で検索して見てくれ。二つ目位でヒットするからな」
「宣伝もやめーー」
「お前達!大概になさい!」
風魔と話をしていると境夜が強引に割って入って来る。
「またそうやって馬鹿にして!
二度と憎まれ口が叩けない様に此処で成敗してやりましょう!」
「解ったから、もう良いか?」
風魔はそう言うと二丁のガンブレードを左右に持ち、一気に駆け出す。
そんな風魔に境夜が本の内容を具現化してモンスターを作る。
「我は魔を払う風なり」
その瞬間、風魔の姿が消え、境夜の背後に立つ。
遅れて何かが落ちる。
境夜がそれに視線を落とすとそれは境夜自身の本を持つ腕であった。
「……え?」
それが何か境夜には一瞬解らなかったが、その腕が自分の物であると理解して腕から先の無くなった右手を押さえる。
「ぎゃあああああああぁぁぁーーっっ!!」
「お前の敗因はたった一つのシンプルな答えだ」
風魔は振り向きながら悶絶する境夜の両膝に弾丸を撃ち込む。
「お前は無意味に怒り過ぎた」
そう言って風魔は境夜の脳天に弾丸を叩き込む。