五秒の死闘
俺がソラを下ろした瞬間、俺も後方に吹き飛ばされ、頭に凄まじい痛みを感じる。
「二秒」
ルシファーの姿も気配も捉えられない。
ただ、威圧感があるのみだ。
俺は地面に踏ん張り、倒れるのを防ぐ。
「……ほう。あの男よりは退屈しないで済みそうだな?」
「あの男?」
そう言うとルシファーは懐から血のついたガンブレードを手にして落とす。
「ーーっ!?まさか!!」
そう。それは紛れもなく、風魔のガンブレードだ。
「攻撃は良かったが防御力がな。だが、まあまあ、楽しめた」
「テメエ!」
俺は両手をルシファーへと掲げると火炎烈火掌の連続エネルギー弾バージョンを放つ。
だが、そんなルシファーの姿が消え、また俺の前に現れる。
「鈍いな。その程度では私に当てる事も叶わん」
そう言ってルシファーが背後に現れたかと思うと背中に鋭い痛みが走り、俺は膝をつく。
「ーー痛っ!」
「私の斬撃の風圧を喰らい、切断出来ぬか。なかなか頑丈だな?」
「……ぐっ……ううっ」
「次は直にその首を斬り落としてやろう」
俺がそう言われた瞬間、ルシファーが大爆発を起こす。
何事かと思い、周囲を見渡すと震える手で風魔のガンブレードを両手で手にしたソラがルシファーをサングラス越しに睨んでいた。
そのガンブレードの銃口からは硝煙が上がっている。
いつ、目を覚ましたんだ?
あまりにも突然の事でルシファーも対応出来なかったのか、ノースリーブが吹き飛んでいる。
それでも無傷なところから、あの爆発でもダメージは与えられなかったのだろう。
しかし、ルシファーを驚かせるには十分だった。
その隙に俺は体勢を立て直すと魔斬剣を繰り出し、ルシファーに喰らわせる。
手応えはあった。
これなら、どうだ?
「……くっくっくっ……まさか、私が二度も攻撃を当てられるとはな?」
「お前の言う五秒は過ぎた。この勝負、俺達の勝ちだ」
「良いだろう。通るが良い」
俺は脱力すると未だにガンブレードを震える手で持つソラに近付く。
「……ソラ」
「……はあ……はあ」
「終わったんだ。銃を下ろせ」
「……風魔さんはどうなったんですか?これ、風魔さんのですよね?」
「それはーー」
「風魔さんは無事ですよね!?ねえ、フレストさん!?」
「ああ。あの男なら生きているぞ?」
俺が言いよどんでいるとルシファーが口を開く。
「ほ、本当ですか!?」
「誰も殺したとは言ってない。まあ、重傷には違いないがな?」
ルシファーがそう言うとソラはガンブレードを抱き締めて泣く。
「お~……いてっ。頭が吹き飛んだかと思ったぜ」
「くっ!俺とした事がこんなところで……」
ラハブとZiraiyaも無事らしい。
「二人共、勝ったぞ?」
「おっ!やったな、眼帯の兄ちゃん!」
「正確にはルシファーの言う五秒を経過してだ。
ルシファーを倒したからじゃない」
「それでも勝ちは勝ちだろ?さっさと行こうぜ?」
ラハブはそう言うとリュリュと共に渦のある方角へと歩いて行く。
俺達もその後へと続いて歩き出し、渦の中へと入る。