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閉ざされた光

 ラハブの加入があれば、Ziraiyaが不利になる。


 この好機を逃す手はない。


「いや、有り難い言葉だが、矢路とはーーZiraiyaとはサシで戦いたい」


 修次の言葉にラハブがずっこけそうになり、加勢しようとした俺の手が止まる。


「ちょっーーお前、何をーー」

「頼む、フレスト。その方があの子達の為になる」

「「え?」」


 そう言われて、俺は闇の中を見渡す。


 するとリュリュの背後に刃を持った影がいた。


 彼女だけじゃない。


 ソラを背負った俺の後ろにも影がいる。


 Ziraiyaと共に転移してやがったのか、五行衆は……。


「……野郎!」

「俺と月岡さんの勝負だ。邪魔をするなら、殺す」


 Ziraiyaがそう言うとラハブは短剣を掲げた手を下ろし、Ziraiyaを睨み付ける。


「万が一、リュリュに手を出して見ろ。その時はお前らを八つ裂きにしてやる」

「それはそちらの出方次第だな」


 Ziraiyaは脇差しを手にラハブの横を通り抜けると修次と相対す。


「さあ、始めましょうか、月岡さん」

「ああ。行くぞ、兄弟!」


 修次が正眼に構えて地を蹴り、Ziraiyaが脇差しに雷を走らせながら闇に溶け込む。


「鵺!」


 刹那、Ziraiyaの脇差しから電撃が走り、修次を襲う。


「その技は一度見ているぞ!」


 それに対し、修次は電撃を両断して四散させ、更に前進する。


 修次自身に特殊な能力はない。


 今、電撃を斬ったのも対魔法用にコーティングされた刀のお陰だ。


 そうこうしている間に修次の刀とZiraiyaの脇差しがぶつかり合い、火花が散る。


 この闇の中、Ziraiyaの影を捉えたと言う事は修次も勘を取り戻しているのだろう。


 全盛期の自分を……。


「ははっ!勘を取り戻しましたか、月岡さん!」

「お蔭さんでな」


 二人は鍔迫り合いをしながら会話すると同時に離れる。


 その離れ際に修次の小手が決まり、Ziraiyaの利き手が出血する。


「……本当に大した漢だよ、あんたは。能力もないのに戦い続けて来たんだからな」

「仲間に恵まれたからな」


 Ziraiyaの言葉に修次は正眼に刀を構え直すとゆっくりと上段に刀を掲げた。


 修次が得意とする上段の構えである。


 それを見て、Ziraiyaが笑う。


「いいね!盛り上がって来たよ!」


 Ziraiyaは叫ぶと同時にバックステップで更に跳び、呪文を唱えて姿を眩ます。


 気配はない。


 姿も見えない。


 辺りの闇はZiraiyaの味方をしている。


 静寂に包まれた中、先に動いたのはーー



 ーーラハブだった。


 ラハブは一筋の光線を振り向き様に発すると戦いを見守っていたリュリュの背後の影を貫く。


 次の瞬間、影の離れたリュリュの手から太陽の様に明るい光が放たれ、深淵の闇を払う。


 あまりにも突然の事だったので、一瞬、"なにしてんだ、こいつ?"と思ったが、俺もすぐに我に返り、眩い光に手を翳していた四つの影を振り向き様に斬って捨てる。


 そして、その最中、修次とZiraiyaが擦れ違った。


 影を斬る事に気を取られて、肝心のところは見てなかったが、結果はどうなったんだ?


「……月岡さん?なんで?」


 Ziraiyaはそう呟くとグラリと膝をつき、首筋を押さえる。


 そんなZiraiyaに振り返りながら、修次は口から血を吐き出す。


 そして、ゆっくりと倒れ込み、腹から大量の血を流した。




「何故、"峰打ち"にしたんだ、月岡さん!」


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