プロローグ
「ん?」
気が付くと私は荒廃とした世界にうつ伏せに倒れていた。
『目が覚めたか。混沌より我を産み出したる者ーー陰猫よ』
その声に顔を上げて立ち上がると、遥か前方に私が今まで描き続けた漆黒の破壊神が佇んでいるのが見えた。
「これは?」
「戸惑う事も恐れる事もない。ここはお前が基盤の世界なのだから」
そう言って現れたのは漆黒のマントを翻す金髪の長い髪をしたルシファーが破壊神の隣より忽然と現れる。
これは何の冗談かな?
私の描く災厄をもたらす者が二人もいるんだけど……。
「お前が考えたんじゃないか。お前が書き続けた作品の数々の総集をやろうと」
そう言って銀髪の男ーー十六夜境夜が二人の背後から現れる。
ああ。そうだ。
今回はそう言う企画を考えていた。
「さあ!始めようぜ!あんたの思い描く正義と悪ーー光と闇の戦いを!」
そう言って闇の勇者ーーZiraiyaが影から現れ、私目掛けて突っ込んで来る。
そんな私を守る様に月岡修二が立ちはだかり、刀を抜いてZiraiyaと相対す。
「ははっ!懐かしいな、月岡さん!」
「ああ。あっちでは中途半端に終わってしまったが、こちらではケリが着けられそうだな、兄弟」
Ziraiyaの短刀と修二の刀が激しいつばぜり合いを起こし、両者が下がる。
その瞬間、黒いロングコートを翻しながら私の頭上を風魔が飛び越え、Ziraiya目掛けてガンブレードの銃弾を発射する。
それを更にバク転して避けるZiraiya。
「うおおおおおおおぉぉぉーーっっ!!」
そこへ雄叫びを上げながら鉄のグリーヴを履いた上半身裸の野性味溢れる男ーーネロが雄叫びを上げてZiraiyaに飛び膝蹴りを食らわせようとする。
「おいおい。三人掛かりは反則だろ?ーーよっと!」
Ziraiyaは悪態を付きながらも横に転がる事で避ける。
こうして、私のもっとも描いて来た三代英雄であるネロ、修二ーーそして、風魔が揃う。
『そうでなくてはな』
破壊神が笑い、手を掲げる。
すると破壊神の周りに私が今まで描いて来た悪役やライバルが現れた。
「……陰猫」
「こっちも盛大に頼む」
ネロと修二の言葉に私は頷くと破壊神同様に手を掲げた。
そうして、現れるラハブ、村雲桐生にアルマンなどの頼もしい仲間達。
今、此処に私の私による私だけの戦いが始まる。
過去と現在ーーそして、未来を紡ぐ私だけの戦いが……。