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一話


昼下がりの教室。放課後だろうか生徒たちが身支度をしたりする中、ワイワイと騒ぐ数名の男女が円を描いて少年二人を囲んでいた。


「ふーん。なるほどね」


片方の少年は余裕の顔つきでもう一人の少年に問いただす。


「じゃあなんでさっき君は「壺が割れたなことなんて知らない」なんて言ってたんだ?誰も割れたものが壺だなんて一言も言ってないけどなぁ…」


そしてその少年は指を指して言う。


「はっきり言ってしまおう。君が犯人だ。カルロ。」

「ぐぐぐっ…!!」


カルロ君サイテー、早く謝れよ、ルナ君すごーい

などと外からはヤジが飛ぶ。指を指された少年、カルロは体を振るえさせ、顔を真っ赤にした。そして犯人だとバレてしまったことに対して怒りと恥ずかしさを覚え、抑えが利かなったカルロはルナと呼ばれる探偵じみた少年に殴りかかってくる。


「くそぉ!!お、お前のせいでぇ!!」

「何が俺のせいだって?」


ルナはカルロの拳をスッと横に避け、足先を前に出しカルロを引っかけさせる。

うわっ!っとカルロはその勢いに乗せられ、思いっきり前に転倒する。うつ伏せに倒れたカルロにルナは

乗りかかり、カルロの右腕を固めて拘束する。


「犯人確保」


キャーかっこいいー、すごーい、さすがルナだな、ステキー

とワイワイ騒いでいると、教室に二足歩行のロボットが入ってくる。その姿は人間の骨格を意識しており、

茶色いスーツを着込んで、まるで先生のような風貌をしていた。


「何をしている」


少し機械じみた声でそのロボットはルナに話しかけてくる。


「先生…。いや、これは…」

「あ、先生!あのね、カルロ君が教室の壺を割っちゃったの。しかも、ルナ君に殴ってきて、それで…」

「おい、リナ。それ以上言うな」


俺はこの先生に状況を説明する少女、リナに少し怒鳴り気味で注意する。


「え、だって…」

「ふむ。つまり、カルロは「壺を割った」「ルナティックを殴った」という2つの違反を行ったのだね。カルロ、私に着いてきてもらおう」

「いや、ちょっとまってくれ、先生…」


そのロボットの先生は何も訊かずに俺からカルロを引っ張り出し、廊下に出ていく。その際、俺はカルロが「助けてくれ…」と言ったことを聞き逃さなかった。


カルロもこれで反省するだろう、ルナ君かっこよかったよー、じゃあルナ君、また明日ねー

などと周りが騒ぎながらも徐々に下校していく。俺はそんなクラスメイトを適当にあしらい、自分の席に座る。そんなルナにリナが近寄る。


「ねぇ、なんでさっき私のこと止めたの?」

「はぁ…リナ。お前は「反省会」のことを知らないのか?」

「知ってるよ。いけないことをした生徒が反省するためにやるためのことでしょ?」

「やることじゃない。やられる(・・)ことだ」


ルナはバックに勉強道具をしまい、席を立つ。


「リナは「反省会」を受けたことがないから…」


と俺は言葉をそこで切る。リナにこれ以上言う必要がないと感じたからであった。


「はぁ…まぁいいや。帰ろう、リナ」

「?…うん!」


俺とリナは教室を出て、そのまま学校も出る。帰り道は少しオレンジががっており、時間を見るために腕についている腕輪型の端末「ILU」を確認する。


「今は…17:30か。早く帰らないとな」

「そうだね。18:00には帰らないと規則違反になっちゃう。それにしてもルナ君は凄いよね。今日のこともだけど、ほかにも色んな事件を解決してて。頭良いし、喧嘩も強いし!」

「そうか?まぁそうかもな」


特に反応することなく話を聞き流すことにした。


「それに…か、かっこ…いい…//」

「ん?なに?」

「へぁ!?い、いや、と、とにかく凄いなーって!」


リナは顔を赤くする。俺はオレンジがかる世界でリナの顔色は認識できていなかったため、特に疑問に思うことはなかった。


「ふーん、凄いというか好きでやってるだけだけど。周りがやらないことをやってるから凄いと思うだけじゃないかな」

「そ、そんなことないよ!」

「そっか、まぁありがとな」

「へ、へへ…//」


そんな会話をしていると十字路にたどり着く。俺は立ち止まり、リナに向く。


「リナはそっちだっけ。一人で帰れるか?」

「うん!時間もぎりぎりだし今日は一人で大丈夫だよ!」

「そっか。じゃあまた明日な」

「うん!またね。ルナ君!」


リナはそう言って手を振る。俺も軽く手を振り返し、自分の帰路を歩く。そんな中、ふとリナのことを考える。


リナとはずっと前からの知り合い、幼馴染であった。俺にできた最初の友達と言ってもいい。というのも親同士が昔からの友人らしくその縁がこっちにも回ってきた感じだった。昔から一緒にいて、一緒に遊んで、あいつのことは誰よりも知っていた。だからこそあいつが俺に好意を寄せていることは薄々感じている。


自分で言うのも何なんだが、俺は頭が良く運動もできる。国が定めるカテゴリー分けで、Class:S+を総合的に獲得しており、同世代ではトップレベルの人間だ。正直、その辺の大人と同じくらいの人的価値はある。そしてそれは成長につれて、どんどん上がっていくだろう。だからこそ周りからは期待されるし、それに応える義務がある。俺は迷っている。リナに答えてあげた時、リナは俺を重荷として背負っていくのではないかと。それにこのことを「マザー」が許してくれるかどうかもわからない…


「ちょっと、ルナティック!どこに行く気なの!」


女性の声が後ろから聞こえてくる。振り向くと、そこには母親の姿があった。

考え事をしている間に家の前を通り過ぎていたようだった。小走りで家の前まで戻る。


「よくわかったね。母さん」

「リビングから見えたのよ。何してたの?」

「いや、考え事をね」

「そ。まぁいいわ。もう18時になるし、早く家に入りなさい」


ILUを見ると、17:58と記されていた。

俺は母親に導かれ、自分の家の中に入っていく。















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