第127話 謁見 大迫力だな
なんで全員でなんだろう? 体が沈み込むような慣れない椅子に座り、ただぼー
っとしていた。
・・・・いかん、なんだか雰囲気に圧倒されて頭が働かない。
えっと・・、とりあえずエイジに相談してみよう。
【エイジ、さっきのギリウスさんのどういう事なのかな?】
【どうって、そのままの意味だろ、外でやるってんだからここに残ってても窓から
見えるんだ。だったら身元も確かだし、どうせアルが何があったか仲間内に話すん
だろうから、だったらって事じゃないか?】
そっか・・、ん? でもなんで。
【あのさ、そもそもなんで外でやるのかな?】
【あのな、アルが国王の息子かどうかはちゃんと確かめなきゃならんだろう?】
【うん】
【だからだよ】
【? どういう事?】
【まあ楽しみにしてろよ、後でわかるから】
なんかやだなー、なにさせられるんだろう?
・・まあここまできたら、なるようにしかならないか。
考えても仕方なさそうだな。
皆静かだ、セルもシャルもアリーも口を開かずじっとしている。
そんな中、アーセだけは興味深げに周りを見回している。
そういや、お城の中見てみたいって言ってたっけな。
何時からかはわからないけど、早くに来たからまだ時間はあるだろう。
それまで、アーセに他の所も見せてあげられないかな?
「ねえセル、ここ詳しい? 見て廻りたいんだけど案内とか出来る?」
「いや全然、迎賓館なんて一度見学に来ただけだから、ほとんど覚えて無いよ」
「迎賓館? ここってお城じゃ無いの?」
「違うよ、城の敷地内にある国賓を迎えたりする場所、レンドルト王というかイァ
イの王族がここに宿泊してるから、ここにしたんじゃないか?」
・・てっきりここがお城だと思ってた。
言われてみればここはミガ国なんだから、国王に謁見っていってもイァイの国王に
だもんな、そりゃお城って訳にはいかないのか。
謁見かー、何話すんだろ? 「お前は俺の息子か?」とか言われるのかな?
そんな事言われても、答えよう無いしなー。
とりとめの無い事を考えているとドアが開き、再びギリウスさんが入って来た。
「それでは、これからご案内致しますので付いて来て下さい」
いよいよかと気持ちを引き締めて、ギリウスさんの後に続く。
歩きながら、謁見時の所作に付いて簡単なレクチャーを受けた。
えっと、印のとこまで歩いて行ってそこで片膝をついて頭を下げて待つっと、そん
で声をかけられたらそのままの姿勢で頭を上げる、か。
うん、まあこのくらいなら覚えられるな。
控えの間を出て回廊を歩くと、庭に絨毯が敷かれ台が置かれているのが見える。
あそこでやるのか、そう思いつつ少し歩くと外へと開け放たれた箇所があり、そこ
を通って庭に出た。
一旦手前で集まってから服装チェック、とはいえ正装とかではないので、単に変
なしわが無いかとか汚れが付いて無いかなどを見てもらう。
本来は、それ用に仕立てないといけないんだろうけど、今回急なお話という事で勘
弁してもらったのだ。
特にする事も無くなりその場に佇んでいると、何か楽団の演奏がはじまりだし、
とうやら王族の方々がいらしたみたいだった。
遠めだったんで誰が誰だかわからなかったが、最も高い位置にある玉座と思われる
椅子に男性が腰を下ろす。
あのヒトが・・、そう思っていると、すぐさま僕らに移動するようにと指示が出
た。
事前に言われている印のある位置まで歩いて行く、くゎー緊張するなー。
所定の場所に着き、片膝をつき胸に手を当て頭を下げて待つ。
「面を上げよ」
この言葉を聞いてから、心の中でゆっくり3秒数えてから頭を上げた。
? なんか息をのむような、変な雰囲気が漂ってる。
・・・・すっごいこっち見てる、どうしよう? この先はどうするのか言われて無
いんだけどな。
すると、国王様? の方から声がかかった。
「・・お主がアルベルトか?」
「はい、アルベルト=ロンドと申します、へっ陛下におかれましてはごっご機嫌う
っ「堅苦しい挨拶はよい」うるわ・・、はっ?」
僕が唖然としていると、国王様が続けて今度は質問を投げてきた。
「単刀直入に聞く、お主は自分の出自にについて誰かから何か聞いておるのか?」
「はい、15歳で家を出る際に父親から、お前の本当の母親は自分の妹のルルリア
で、父親についてはわからないと言われました」
「! そう・・か・・、で、その母親はどうしたと?」
「僕を産んだ後、すぐ死んでしまったと聞かされました」
天を仰ぐ国王様、・・やっぱりルルリアさんの事知ってるんだな。
・・とうもこの場に来てから時間の感覚がおかしい、すごく経ってるようなそうで
も無い様な変な感じ。
国王様の前とか初めてで緊張してるからなのか、自分がふわふわしてる気もして、
なんだか落ち着かない。
この後どうなるんだろう? そんな風に思っていたらギリウスさんが呼ばれて、
国王様の元まで歩いていくのが見える。
何かを渡してそれをギリウスさんが受け取り、今度は僕の方へ向かってきた。
僕の横に立つギリウスさん、その手には小さな箱を持っていてそこには、真っ白
い色の大きな石がはまった指輪がある。
なんだろう? プレゼント? そんな訳無いか。
【エイジ、これ何?】
【ドラゴンリングだ】
【へーこれが・・、ってえー! これがそうなの?】
「アルベルト殿、これを自らの指にはめていただけますかな?」
僕が事態に付いていけて無い中、ギリウスさんはこう言ってきた。
【エイジー、どういう事?】
すかさず、エイジに聞いてみた。
【言われた通りさ、それはめて龍が出せたらアルに王家の血が流れてる、つまり国
王の息子って証明になるってこったろうよ】
【ぼっ僕に龍がだっ出せるの?】
【出来るかどうかやってみろって事だろ、それを以って証明とする、出来なきゃ間
違いだったお疲れさんって話になるさ】
【でも・・、龍を出すったってどうやればいいのさ?】
【聞いてみるんだな】
いきなりそんな事言われても・・、とっとりあえず、言われた通り指にはめてみ
るか、えーっと合うのは・・人差し指かな。
左の人差し指にはめてみた、これでいいのかなと思いギリウスさんを見る。
うむといった感じで頷いてくれる、・・で? この後どうすれば・・。
どうしていいか分からずにいると、国王様から声が届いた。
「指輪に集中せよ、操魔術で操る要領で魔力を注ぐのだ」
集中・・、魔力を込める・・、なっなんか吸い取られるような・・。
こっこれ、どれだけ入るんだよ・・。
「アルベルトよ!」
国王様? 今度はなんだ?
「我に続いて復唱せよ、よいな!」
「はっはい」
「古の盟約に従い」
「いっ古の盟約に従い」
「此処に顕現を命ず」
「此処に顕現を命ず」
「出でよドラゴン、ホワイトゴルド!」
「出でよドラゴン、ホワイトゴルド」
すると、指輪の白い石から靄みたいな白いモノが噴き出してきて、大きな魔物の
体が作られていく、白く輝く鱗に覆われた威容の存在。
こっちにはお尻を向けてるので、尻尾しか見えない。
こっっこれが龍なのか? これを僕が出した? ・・はは、なんだか凄すぎて逆
に落ち着いてきたな。
でっかいなー、凄い迫力、こんなのいきなり出てきたら腰ぬけちゃうよ。
どんな顔してんのかなー、こっち向かないかなー。
そう思った途端、ぐるっと首が周りこちらを振り向いた。
うゎ! びっびっくりしたー、急にこっち向くんだもんなー。
ん? もしかして僕の言う事わかるのかな?
えっと・・、あっじゃあ口開けてみて?
そう心で思ったら、ぱかっと口が開いた。
やっぱりわかるんだー、へー、こうやって命令すんのかー。
? なんか周りがざわついてる気が・・、んーと、これ引っ込めるのはどうやるん
だろうな?
横に立っているギリウスさんも、龍を見上げるばかりで特に反応が無い。
僕がいきなり国王様に話しかけてもいいのかな? 作法とかわかんないんだよな。
エイジなら知ってるかな?
【エイジー、これどうやったら引っ込むの?】
【通常、魔力の供給によって形成されてるんだから、それを止めればいいんじゃな
いかと思う、指輪に向けてる魔力を意識して遮断してみるんだな】
意識して・・、あっ段々薄れてきたような。
あー、すっかり消えちゃったなー、ってあれ?
なんだか、体が重い様なだるい様な、これって・・。
【軽い魔力枯渇じゃないか?】
【魔力枯渇? あーそういえばそんな気もするけど、そもそも僕ってそこまで魔力
使い果たす事ないから、あんまりわかんないんだよなー】
【まあ、大人しくしてれば直に回復すんだろ】
あっ、指輪返さないと、人差し指から引っこ抜いてギリウスさんに預けた。
・・今更だけど、よくこんな事させたもんだなー。
僕がやろうと思えば、国王様とか龍でどうにかできちゃったんじゃないかな?
【その辺は、事前にアリーの調査で問題無しって報告があったんだろうよ】
【わかんないよー、実際に力を手にしてヒトが変わるってあるんじゃないかな?】
【まあな、そん時はそれこそ怪獣大決戦だったんだろうよ】
【怪獣? 大決戦って?】
【ミガの国王が、自分のリングから龍を呼びだして、戦ったんじゃないか?】
そっか、それがあるからこんな方法試せたって訳か。
【まっ、とりあえずおめでとうでいいのか?】
【なにが?】
【これでアルが王族、おそらくは国王の息子って確定した訳だろ?】
・・そうだった、僕これからどうなるんだろう?




