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嘘のない世界
あれは、いつのことだっただろう…
この『嘘』に塗れた世界がある前の話…
一 『嘘』のない世界
ここは『嘘』のない世界、だれもが正直だ。ほら、あそこを見てごらん。たった今財布を落としたものがいるだろう?それを他の人が拾った、そして警官がきて言うだろう?
「この財布は君のものか?」
『嘘』がある世界なら『これは自分のものだ、』と『嘘』をつくだろう?だがな、拾った男をみていてごらん。
「いいえ、これは僕のものではない。落ちていたものだ。」
ほら、男は『嘘』をつかないだろう?まずこの世界には『嘘』という概念がないのだ。つまらないだろう?変えたいだろう?なら変えようじゃないか、あいにく僕には力があるものでね、
さあ、手始めにあの平凡な青年に『嘘』という概念を吹き込んでみようじゃないか、
え?僕が誰かって?それはこの長い話が終わってから話すとしよう…