3.三人の生徒会役員
入学した四月からもう一ヶ月。
時間が過ぎるのは早いものだと実感している。
「梓ちゃん、一緒にご飯食べない?」
「すみれちゃんも一緒でいいですか?」
「いえ、私はお邪魔になるので……」
「そんなこと言わないで。一緒に食べようよ!いいですよね、先輩?」
「うん、もちろん」
こうして黒水先輩は休み時間になると私とすみれちゃんのところへとやってきてくれる。
今日は私達の教室で、机を合わせてご飯を食べていた。
すると「失礼します」という声がして、美男美女がやってきた。
背の高い金髪でとても綺麗な男性とゆるふわガールという感じの女性、そして目を引いたのが、白い短髪が特徴的な男性。
その三人が入ってきた時、女子も男子も見惚れてしまっていた。
そんな中、金髪の男性がすみれちゃんの方を見た。
すみれちゃんを私が見ると、目を伏せてしまっていて、どこかおかしいなと感じていた。
「私はこの学園の生徒会長を勤めている三年の九条永遠です」
金髪の男性の自己紹介を聞いて、彼がすみれちゃんの元彼であるということが理解できた。
こんなかっこいい人と付き合っていたんじゃ嫉妬されてもおかしくないなと思った。
けれどすみれちゃんも彼に似合う綺麗な子だ。
そんなことを考えていると、ゆるふわガールさんがにこりと笑った。
「私は生徒会副会長で三年の望月静香です。よろしくね」
男子が嬉しそうにしている中、そんな望月先輩を見ている黒水先輩は顔が引きつっていた。
どうしたんだとうと思っていると、望月先輩と目があった。
私を見てにこりと笑った望月先輩に、私は軽く会釈をした。
「二年の加賀知咲夜だ。生徒会書記をしている」
一番目を引いていた加賀知先輩はとても綺麗だったけれど、見られるのは嫌いなのか「あまりジロジロ見るな」と一言。
「加賀知君、そんな言い方しないの」
「あまり見られるのが好きじゃないんだろ」
「先輩達、俺のことは良いので進めてください」
「はいはい。今度生徒総会があるんだよ」
「それの資料を……何で黒水先輩が此処に?」
「昼休みくらい誰といようが俺の勝手だろ」
「私、突っ込まないようにしてたのに。加賀知君、それはいいから資料配らないと!」
「分かりました」
加賀知先輩と望月先輩が資料をみんなに手渡していく。
私達全員に配り終えると、三人とも出ていった。
「すみれちゃん、九条先輩が……?」
「はい。でももう過去のことですから」
「え、何が?」
「何でもないですよ。望月先輩と付き合ってるんですか?黒水先輩って」
「ありえない!絶対にないよ!」
全否定するところが怪しいと思ったけれど、この人は彼女がいるのにほかの子に告白したりしないだろうと思ったので違うと納得。
じゃあ幼馴染とか?
私、幼馴染とか憧れなんだよな……。
「まあ、望月についてなら代議委員に入った梓ちゃんはすぐわかると思うけど」
「はあ……」
すみれちゃんは貰った書類を机に置いて口を開いた。
「あの……加賀知先輩って何だか変わってましたね」
「先天性白皮症って知ってる?」
「いえ」
「アルビノのことでしょうか?」
「そう、それ。突然変異とか遺伝的欠損で、先天性の病気なんだって」
「でも綺麗ですよね」
「本人は自分の容姿が嫌いらしいけどね。アイツ、何でモテるんだろ」
ちょっと不服そうな黒水先輩。
私はそんな先輩に疑問を持った。
「黒水先輩もモテるんじゃないんですか?」
「いいや。怖いってイメージもたれてるからね。まあ好きな子以外に告白されても嬉しくないけどさ」
「やっぱり私、お邪魔でしょうか?」
「いや、そんなことないよ。二人でいたら何喋っていいかわからなくなりそう。いてくれて構わないよ。ていうか居て」