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楽しい学園生活!  作者: 綾鷹
2/5

2.告白されちゃいました

あれからすみれちゃんと仲良くなったものの、それ以外変わったことはなかった。

女子の先輩からは近くを通るたびに色々言われていたものの、最近はそれもなくなっていた。

ようやく私も楽しい学園生活を送れるわけだ。

そう思っていたのも束の間。


『松野梓さん、松野梓さん、至急放送室まで』


聞き覚えのある声がして、私は放送室へと向かった。

するとそこにいたのはこの前のお世話になった黒水先輩だった。

私は何かしてしまったのだろうか。


「こんにちは!この前はどうもありがとうございました!」

「こんにちは」

「何かあったのでしょうか……」

「あのさ、松野さんは彼氏とかいる?」

「いませんけど……」

「じゃあ俺と付き合ってくれない?」


私は驚いて声が出なかった。

すると黒水先輩は困ったような顔をして「無理かな?」と一言。


「先輩の気持ちは嬉しいのですが……そこまで先輩のことを知らないですし」

「そうだよね。じゃあ、友達になってくれる?」

「あ、はい。友達くらいなら」

「よしっ!」


喜んでいる黒水先輩はガッツポーズをしていた。


「ありがとう、梓ちゃん」

「黒水先輩って、放送委員会なんですね」

「違うよ。俺は風紀委員長やってるんだ」

「そうなんですか?放送室までって言うから、てっきり放送委員会だと……」

「先生に頼めば貸してくれるんだよね、鍵とか」

「へぇ」

「じゃあ、そろそろ教室に戻ろうか。俺、送ってくよ」

「ありがとうございます」


先輩と話をしながら歩いていると、この前の先輩達とばったり会ってしまった。

黒水先輩が睨みを効かせているのは、先輩達が怯えた顔をしているからすぐにわかった。

先輩はかっこいいけれど、怒ると怖いというのはこの前見たからすぐにわかった。


「せ、先輩……あまり睨んだりしたら駄目ですよ」

「梓ちゃんがそう言うなら分かったよ。でも、今度またこの子とあの子に何かしようとしたら、俺がただじゃ置かないから」

「わ、分かりました!」

「もうしません!」


先輩達はそう言うと小走りで廊下を走っていった。

そのすぐあとに「廊下を走るな!」という先生の怒鳴り声が聞こえてきた。


「先生も廊下で大声出すなよな、そう思わない?」

「ふふっ、そうですね」



私の教室の前まで着くと、黒水先輩は「じゃあね」と一言言って去ってしまった。

それを見ていた私の友達のすみれちゃん、そして同じクラスの女子たちが集まってきた。


「ねえ、あの人ってこの前の?」

「ねえねえ、なんで呼ばれたの?」

「もしかして告白とか!?」


好奇の眼差しで見られるのはちょっと嫌なものだと感じた。

私は告白されたなんて言ったら断ってしまったのだし、黒水先輩に悪いと思って、違うと答えた。


「ちょっとしたことだよ」

「なんだー」

「でもかっこいいよね、黒水先輩!」


「でもさ、もっとかっこいい先輩見つけちゃったぁ!」

「私だってかっこいい先輩見つけたもん!」


みんなが先輩で盛り上がっている中、私はすみれちゃんの席へと向かっていった。

みすれちゃんは読んでいた黒魔術と書かれた本をパタンと閉じると、キラキラした目で私を見た。


「とてもよくお似合いでした。お二人は」

「え?」

「黒水先輩に実は告白されたと思って……」

「ううん、違うよ」

「梓ちゃんは嘘が苦手みたいですね」


クスクスと笑うすみれちゃんを見て、この子にはかなわないと思った。

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